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『マリオネット・ゲーム 1〜2』 作者:小都翔人 / 未分類 未分類
全角2139文字
容量4278 bytes
原稿用紙約7.4枚
今までの人生で、自分がまさかこのような情況に身をおくことになるとは。
僕はいま、背もたれのある椅子に座ったまま、両手を後で縛り付けられている。
両足もがっちり椅子の脚にくくりつけられ、口には猿ぐつわを噛まされた情況。
そして・・・・・・、そして、喉もとには鋭利なナイフが・・・・・・。
ナイフの冷たい感触が、僕の緊張感を極限まで高める。
どうしてこんなことに・・・・・・。


−1−

「今年の五月の連休、なにか予定あるのか? 」
真二は、マルボロの煙をまずそうに吐き出しながら、そう訊ねた。
「いや。特になにも決めてないな。毎年なんも予定たてねぇから。」
僕は紙コップに残った、生ぬるいコーヒーを飲み干しながら答えた。
「そっか。実は美奈子から、昨日連絡があってさ。」
「美奈子から? 」
その時、始業開始のチャイムが鳴った。昼休みは12時から50分。もう仕事に戻らなければならない。
「おっと!じゃあまた後ででもメールするわ!」
真二は上着を取ると、自分のオフィスに戻っていった・・・・・・。

僕の名前は北村雄介。都内の広告代理店に勤めるサラリーマンだ。今年でちょうど30歳になる。
真二というのは、大沢真二。僕と同期入社で、新人時代からの遊び仲間だ。
真二は情報システム部、僕は営業部に籍をおく。
美奈子というのは、僕たちのひとつ後輩だった女子社員。
”だった”というのは、彼女が3年前に僕たちの会社を退社し、インテリア関係の企業に転職したからだ。
僕たちは休日を利用しては、よく遊びにくりだしていた。
ちょうど一年前に、僕の妻だった玲子が事故で亡くなるまでは・・・・・・。

外回りを終え、事務所に戻る途中の車内で、携帯がメールを受信した。
てっきり真二からだと思ったが、美奈子からだった。

『ひさしぶり!真二から聞いたかな?今度のGW休みに、みんなでまた北海道の
 ペンションに行ってみない?もう予定が決まっちゃってたら、残念だけど。時間が
 あるときにでも、お返事くださいね(^-^) 』

北海道のペンション。きっと”スターライト”の事だろう。
懐かしい。前に行ったのは、もう3年ほど前だったか?
僕は美奈子に、メールを返信した。

『こちらこそご無沙汰しちゃってました!GWは今のところ、特に予定はありません。
 ペンションの件。僕はオーケーです。また近々、連絡します。』

この北海道行きが、悪夢の舞台への幕開けになろうとは・・・・・・。



−2−

5月2日 午後3時20分。
僕たちは、新千歳空港に降り立った。五月といえども予想以上に肌寒く、機内での眠気もすっかり覚まされた。
真二と美奈子も、あわててコートに袖を通した。
荷物を受取りロビーを出ると、僕たちは真っ先にタクシーに乗り込んだ。
「あ〜なんか暖かいものが食べたい! 」
「ラーメンなんていいねぇ! 」
羽田で昼食をとってきたばかりであったが、みな食欲旺盛だった。

車で一時間半ほど走った頃、懐かしい建物が見えてきた。
雪のような白い壁に、淡いブルーの屋根。ペンション”スターライト”だ。
「懐かしい!前に来たときと全然かわってないね! 」
美奈子が息をはずませた。
タクシーが止まるとその音を聞きつけたのか、一番手前の棟からオーナーが出てきた。
「いらっしゃいませ。ご予約のお客様ですか? 」
「ええ。今日から3泊でお世話になります。東京の藤木と申します。 」
美奈子が嬉しそうに答えると、オーナーは微笑みながら僕らを案内した。
「一番奥の5号館ですね。鍵はこちらになります。皆様でお出かけになるときには、お預けください。 」
僕らは荷物を持つと、スターライト5号館へと向かった。
その時僕は何故か、背筋にゾクっとした寒気を感じた。理由はわからぬが、ふと誰かに見られているような。
何気なく後を振り返ったが、そこには誰の姿もなかった・・・・・・。

「ふぅ〜。ようやく落ち着いたな。 」
真二はマルボロを咥えると、火を点けながらそう言った。
僕も少し疲れていた。久々の長旅だったから。
「は〜い!できたよぉ。 」
美奈子がコーヒーを炒れて、持ってきてくれた。カップから暖かそうに湯気がたっている。
「おー!サンキュ、サンキュ。 」
僕と真二はトレイからカップを取ると、炒れたてのコーヒーをすすりはじめた。
「生き返るわ・・・。 」
僕はそう言って、軽く伸びをした。

少しすると、僕と真二はそれぞれソファーに凭れながら、ウトウトし始めた。
暖炉がパチパチと、眠気を誘う音をたてている。
・・・・・・。30分ほど眠ったように思う。
僕らは悲鳴のような物音に、目を覚まされた。
「おい!今なんか聞こえたか? 」
「ああ!なんか・・・、悲鳴みたいじゃなかったか? 」
僕らは立ち上がった。リビングに美奈子の姿がなかった。二人とも駆け出していた。

廊下の突き当たり、浴室の前に美奈子が立ちすくんでいる。
「おい!どうした!?なにかあったのか!? 」
真二が走りながら、大声で呼びかけた。振り向いた美奈子の顔は蒼白だった。
僕らが駆け寄ると、美奈子は黙って浴室の中を指さした。
「あ! 」
浴室の白いタイル貼りの床が、真っ赤に染まっていた。
そこで鮮血が流されたかのような・・・・・・。

2004/02/28(Sat)14:12:47 公開 / 小都翔人
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■作者からのメッセージ
ペンネーム(小都翔人)に逆らって、はじめて少し長めの連載物に挑戦してみます。アイデアはできあがってるのですが、なにぶん初の試みなので、皆様からのご意見、ご指導等いただけると嬉しいです。
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