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『作りかけの玩具T』 作者:渚 / 未分類 未分類
全角2795文字
容量5590 bytes
原稿用紙約9.35枚
たくさんの目が俺を見ていた。興奮した、活き活きとした目。あちこちから歓声が上がる。俺はまぶしくて目を細めた。そう、すごくまぶしい・・まるで、暗い穴のそこから這い出てきたみたいに。




















「純!!起きろ、仕事だ!!」
鋭い痛みで目が覚めた。男が腹をけったのだ。
またいつもの夢・・意味のわからない夢だ。
俺はのろのろと立ち上がり、じゃらりと音を立てる手枷を突き出した。目の前に立っている荒っぽい顔をした男を上目遣いでじろりと見上げるが、男はフンとあざけるような顔をした。
「そのままでいいんだよ。今日のお前の仕事は『ストレス発散』だ。」
男は言葉の効果を楽しむように俺を見たが、俺は別になんとも思わなかった。ため息を一つついて立ち上がると、「地獄の部屋」へ一人で向かった。男は不満そうに俺の背中を見送った。
「ストレス発散」というのは、俺たちがするのではない。俺たちがされるのだ。欲求不満の大人たちは俺たちに容赦なく暴力を振るい、それで胸の中のもやをはらおうとするのだ。
俺たちは「玩具」(おもちゃ)と呼ばれる子供たちだ。大人たちの欲求を満たすために使われる、要は奴隷だ。俺たちに自由なんかない。もちろん、この俺、純にも。
俺たちは苗字を持たない。必要なかった。俺たちは親に売られたか、どこかからさらわれてきたものばかりだ。俺は親のことをまったく覚えていない。自分は売られたのか、それともさらわれてきたのかも知らなかった。物心がついたころからここ、紫藤家で「玩具」として18年間生きていた。
紫藤家は大金持ちで、政府ともつながりがあるという。この家にはたくさんの「玩具」がいる。一番小さいものはまだ5歳だ。
自分がかわいそうだなんて思わない。だが、まだ年端のいかない子供たちが大人に遊ばれているのを見ると、なぜか哀れだと思った。











「地獄の部屋」と呼ばれる拷問部屋で、最悪の拷問「ストレス発散」を受けた。ここの主人と執事は手枷と鉄球のついた足枷をはめられて身動きが取れない俺に、散々悪態をつきながら暴行を繰りかえした。痛みは感じない。そんなことを感じるほど余裕はなかった。ただ意識を失わないように、しっかりと目を開けておく。たとえ顔に拳が飛んできたって、顔を革靴で踏まれたって目は絶対に閉じない。意識を失えば負けたことになる。意識を失わなかったら大人たちはひどく不機嫌になる。それがうれしいのだ。これぐらいしか、反抗する術がないから。









3時間も暴力を振るい続けても意識を失わない俺についに主人が切れた。俺は手枷、足枷をつけられたまま地下牢に放り込まれた。主人が薄暗い地下牢から出て行くと、ようやく張り詰めていた気持ちが揺るむ。カラカラになった目に瞬きして水分を与えてやると、ぱらぱらと涙が出た。ずきずきとする頭を左手で押さえながら血が流れている右手を舐めた。
「足・・・。」
小さな声が聞こえて、俺はぱっと頭を上げた、と同時に鋭い痛みが走って、俺は顔をしかめた。頭を押さえながら今度はゆっくりと顔を上げると、牢の端っこに長い銀髪の女が座っていた。灰色の瞳が俺をじっと見ていた。見たことのない顔だった。
「お前・・ずっとそこに・・?」
女はこくんとうなずいた。頬に大きな切り傷があった。よく見ると、手枷をはめられた手にも、ノースリーブのシャツからむき出しになった肩や首にもいくつもの傷があった。
「足・・ずいぶん腫れてるよ。折れてるんじゃない?」
「ああ、折れたかもな。」
俺は立ち上がろうとそろそろと左足に体重をかけたが、あまりの激痛にまた座り込んでしまった。どうやら本当に折れているようだった。
ふと、じゃらんという音がして顔を上げた。あの女が俺のすぐ近くに来ていて足首を触っていた。
「なにやってっ・・。」
「傷の具合調べてんの。」
女は俺の足首をさすったり抑えたり(俺は悲鳴を上げた)していたが、やがてぺたんと膝をついた。
「足首、折れてるね。」
「・・明日から当分は地獄だぜ・・。」
俺は足をさすりながら横目で女を見た。「玩具」は大体みんなそうだが、やはり彼女もやせていた。鎖骨がくっきりと浮き出ているし、肩のとがった骨もむき出しだ。灰色の目はぼんやりと遠くを見ていた。
「・・お前、新入りか?」
女は黙ってうなずいた。銀色の髪がさらりと揺れた。
「お前、いくつだ?」
「・・普通名前から聞かない?」
「・・お前、名前は?」
「・・普通、自分から名乗るでしょ?男のくせに。」
女はピリッとそういった。俺はなぜか少し恥ずかしくなった。
「・・俺は純。18だ。」
「あたしは涼。17歳。」
「・・お前、そんな年から玩具になったんか?」
俺の質問に、涼は悲しげな顔をした。
「前は別の家にいた。でも、ここに売られてきたの・・。」
「ふうん・・またなんで?」
俺はちらりと涼の顔を見た。大きな切れ長の目。長いまつげ。すっと通った鼻筋に、形のよい口。そして変わった毛と瞳の色。「玩具」としては最高の素質を兼ねそろえている。それなのに、なぜ前の主人が涼を手放したのかわからなかった。
「一言もしゃべらなかったの。」
「・・一言も?」
「そう。一言も。悲鳴一つ上げなかった。あたしがどんなに拷問を受けてもうんともすんとも言わないから、愛想が尽きたのよ・・。」
「はあん、また短気な主人だったんだな。」
俺の言葉に、彼女は首を振った。口の端が儚げに緩んでいる。
「あたしの前の主人は、かなり辛抱強い人だったわ。あたしと7年間、ずっと飼ってたのよ・・7年間、一言もしゃべらないあたしをね。」
涼は頬の切り傷とそっと触って傷の具合を調べながらいった。血が流れたあとが残っていた。
「まあ、ここの主人はあいつよりずっと短気だけど・・ここに来て3日でもうこんなにボロボロ。そのうち殺されちゃうかもね。まあ、別にいいけど・・。」
俺は驚いて涼を見た。「死んでもいい」なんて言うやつは初めて見た。みな必死で生きているのに。生きるために、こんな仕打ちを受けているのに。
「・・なんで死んでもいいんだ?」
涼は俺の目をじっと見た。ここで目をそらしたらなめられる―――そう感じたので、俺も涼の目をじっと見てやった。灰色の瞳の中に、悲しみがゆらゆら浮かんでいた。
「あたし、10歳のとき親に売られたの。毛色と目の色が珍しいから高く売れた・・。親に捨てられるなんて思ってなかったから、すごいショックだった。後でわかったんだけど、あたしの父親は有名な『玩具屋』だったの・・。」
『玩具屋』。つまり奴隷商人だ。涼は話を続けた。
「なんか、どうでもよくなっちゃってね。あ、もう死ぬのか、まあいっか・・みたいな、ね・・。」
涼は悲しげにそういうと、四つんばいで這っていってまたさっきいた場所に戻った。三角座りをしてやせた膝に顔をうずめると、もうそれ以上動かなかった。
2004/01/28(Wed)14:06:39 公開 /
■この作品の著作権は渚さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
えっと、まず改名します。いきなりですいません;
これは結構長いと思います。もしよかったら最後までお付き合いください。
感想、意見等お待ちしています。



※改名すると書きましたが、ごめんなさい、注意書きをちゃんと読んでいなかったようです;本当にごめんなさい!!
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