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『侍 第0〜1話』 作者:暁 飛燕 / 未分類 未分類
全角5132.5文字
容量10265 bytes
原稿用紙約18.8枚

月の明るい夜だった。

途方も無く続く広大な草原の真ん中に、一人の人間がぽつりと立っていた。

月は、東の空にぽっかりと浮かび、草原と人間とを優しく照らし出していた。

月の光に照らし出されたその人間の顔は、大人びているが、どこかあどけなさが残っていて、青年、と言うよりは少年、と言った方が似合いそうだ。
短く切りそろえられた黒髪は、光を反射してきらきらと輝き、吸い込まれていきそうなほど黒い瞳は、遠く、どこか一点を見つめている。

辺りには、杉の木が数本ぽつりぽつりと立っているだけで、その他には草しかなく、さらにその先には暗黒の世界が遥かに広がっていた。

優しい夜風が時折少年の頬を撫で、それに合わせ木々の葉が揺れて擦れ合い、足元の草がなびき、かさかさと小さな音を立てる。それ以外には何の音もしない。



静かな夜だった。




沈黙の時がゆっくりと流れてゆく。





月がちょうど南の空にやって来て、少し雲が出てきたころ、ふいに沈黙は破られた。

「・・・・そろそろ出てきてはどうです?いくら待っても無駄です。隙は見せませんよ。」

まだ声変わりの始まっていない、少女のような高い声で、少年が言った。


また少し沈黙は続く。


月が少しずつかげってくる。


暗黒の世界が草原を飲み込んでゆく。


そしてまた、沈黙は破られた。

木がガサガサ、と揺れた後、男が一人、草原に降り立った。

「さすがだな」

低い声で男が呟く。

「どうしても、僕を殺すんですか?」

少年は、悲しそうな声で返す。

「・・・・依頼を受けた。それが仕事だからな。だからおとなしく・・・・・」

「命よりも大事なんですか?」

低い声に少年の高い声が割り込む。

「・・・・どう言う事だ?」

男はかすかに表情を歪ませると、少年の真っ黒な瞳を見つめ、言った。

「命と御仕事、どちらが貴方にとって大事なのですか?」

「・・・・それは、俺がここで死ぬと言う事か?」

「・・・・・そう受け取って頂けますか?」


また、沈黙が訪れる。

月は完全に雲に隠れ、草原は完全に暗闇に支配された。


暗闇の奥から低い声が聞こえてくる。それは、怒りを含んだ声だった。

「その命、頂戴する。」




乾いた音が二度、暗闇に響き、そして止んだ。


ひんやりと冷たい夜風が時折少年の頬を刺し、それに合わせ木々の葉を揺らし、草をなびかせ、闇の奥からかさかさと言う音が聞こえてくる以外は、何の音もしない。


静かな夜だった。



沈黙の時が流れてゆく。


西の空に月が再び顔を出した。闇は払われ、草原と少年がまた現れた。

と、少年の後ろから声がした。さっきの男とは違う、青年のものだ。

「・・・・追っ手は倒したのか?」

その声に少年は振り向くと、優しい声で返す。

「まぁ・・・ね。」

「よくやった。お疲れさん。」

青年はぱんぱんと手を叩いた。少年は不機嫌そうな顔になった。

「大体君が原因なんだから君が後始末するのが普通じゃないのか?」

「・・・・・」



緩やかに時が流れてゆく。


やがて、月は西の彼方に沈み、その代わりに太陽が東の方から昇ってきた。

月よりもずっと明るい朝日に照らされて、草原はその全てをあらわにした。

地平線まで続く草原。そしてはるか西に、街のようなものが見える。


そして草原には、



木の棒の刺さった小さな一つの山と、



西の地平線へと続く、踏み倒された草の跡だけが残された。



一日が、始まる。




第一話―――――

・・・・・賞金稼ぎ。

それは、自由という名の職業。

それは、誇りという名の剣。

それは、信念という名の銃。

  そして、

悲鳴と血の匂いの蔓延する世界で生きるもの。





僕がその二人に出合ったのは、今日の朝のことだ。僕の家は国境のすぐ傍にある。

日曜なので散歩でもしようと僕が家を出ると、目の前を二人組の男が歩いていた。

僕は彼らが外の国の人間だと、一目で分かった。

背中に大きな剣を掛け、冬でもないのに黒いコートを着た人間や、腰に銃を、太腿

にサバイバルナイフを提げた人間はこの国にはそうはいないからだ。

僕はほんの興味本意で二人に声を掛けた。このとき声を掛けたのが、僕にとって良

かったのか悪かったのか、それは今でも良く分からない。


・・・・今、世界は千あまりの国々に分かれている。そのせいで国から国へと逃亡

する凶悪犯を捕えるのは困難となった。そんな凶悪犯を取り締まるため、

国連はUNCCO(国連犯罪対策組織)という機関を設け、国際凶悪犯罪者に賞金を

賭け、その犯罪者を捕まえて賞金で生計を立てる『賞金稼ぎ』なる職種を新しく作

った。

『賞金稼ぎ』の免許は、いくつもの試験をパスした人間にのみ与えられ、国連加盟

800国以上に、ライセンスを見せるだけで入国できるという特権も与えられる。

しかし、賞金稼ぎになるための試験は難しく、一説では、100億人超とも言われ

る全世界の人類の中でも100名にも満たないとされている。


そして、この二人はプロの賞金稼ぎ『狂焔』のリュウさんに『静風』のレンさん。

巷では『侍』と呼ばれる有名な二人組らしい。

しかし、僕の住んでいる国は他国との交流がほとんど無く、外から入ってくる情報

なんて、どこそこの国で内乱が起こった、または、どこかの国の王子と別の国の王

女が結婚したとか、そんな程度だ、皆その国がどこにあるのかも分からない。

だから、賞金稼ぎについての諸々のことは全て『侍』の二人から聞いた事だ。二人

の言っている事の真偽のほどは分からない。
 


だが、これだけは確かだ。



この二人は、強い。



「・・・・・ということだ、分かったか?」

時間は少しさかのぼり、賞金稼ぎについての説明が終わった頃...

三人は少年の部屋にいた。今日は両親が仕事でいないから自分ひとりだ、と言う訳

で少年が招き入れたのだった。

リュウは最後まで説明し終えるとふーっ、と息を吐き、その鋭い真紅の眼で少年を

見つめた。金色の長髪が蛍光灯の光を浴びて輝いている。


「はぁ・・・何となく・・・」

少年は困惑気味の表情で答える。なにせ話の中で知っていた単語は国連と言う言葉

のみで、それ以外は全く新しい知識な訳だから、無理も無い。

「・・・・本当に、今の話を信じる事が出来るのかい?」

レンが思わず吸い込まれていきそうな黒い瞳で見つめ、言った。

「正直、外の事なんて何も知らなかったので・・・・そう簡単には・・・」

なおも困惑している少年を見ていたリュウが、ポンッと手を叩く。

「そうだ、こいつに『社会見学』させてやろう。どうだ?レン」


「・・・・良いんじゃないかな?僕らの仕事にはこんな国の人々に世界の現状を伝え

る事も含まれているわけだし。」

レンは以外にあっさりと答えた。

「え?でも凶悪犯なんてこの辺にいるんですか?この辺は平和なんですよ。」

少年は二人のあまりにあっさりとした発言に唖然としていた。

「本当に平和だと思うのか?」

そう言ったリュウの目つきは、今までよりもさらに鋭くなっていた。少年はその迫

力に半ば圧倒されつつも、ゆっくりと頷いた。

「じゃあ、ついて来い。」

そう言うと二人は立ち上がった。リュウの方は2m近い長身なのに対し、レンの方

は随分と低い。中学三年の少年とほとんど変わらないくらいだ。立つと、その差が

はっきりと出て一見兄弟にも親子にも見える。

二人は少年をつれて家を出た。





「あの、本当に凶悪犯がこの辺にいるんですか?」

歩いている途中、少年は二人に聞いてみた。

「いるさ、こういう『見せかけ』が平和な町は警戒の目を向けられないってんで、奴

ら姿をくらませる時にはこういう町に一旦住み着くんだ。で、自分に対する警戒が

ゆるくなった所でまた何かやらかし、そしてまた戻ってくる・・・・」

少年はリュウの答えに思わずなるほど、と呟いた。

「それで、どこに向かっているんですか?やっぱり廃倉庫とか?」

ワクワクしてきたのか、少年はまるでスパイ映画の結末を聞くかのような顔で尋ねた。

「・・・・この辺りが妖しくないか?」

そう言ってレンが立ち止まる。

「ああ、いかにもって感じだな。」

リュウも足を止めた。その先には倉庫でも工場跡でもなく、立派な住宅街が広がっていた。

「・・・・えっ?こんな高級住宅街に犯罪者が?」

少年は本気で驚いた。そこは少年の想像からは大きくかけ離れ、むしろ対極とも言
っていい場所だった。

だが、二人は当然という顔をしている。嘘や冗談ではないようだ。

「そう思うからこそ、ここなんだよ。元々犯罪者なんだ、奪ったにせよなんにせよ金

はある。だから逆にこういうところで堂々と身を隠しているってわけだ。それに、

住宅街でかたまっていた方がいざと言う時に便利だろ?」

「その証拠に、ほら、家は綺麗でも庭の草木がどの家も伸び放題。家はそうでもなく

ても、植物は成長が早いから一年ほど手入れをしないとすぐに伸びてしまう。

基本的に彼らは庭のことなんか興味はない人がほとんどなんだ、庭師に頼んで足が

着くと困るから頼まない。でも自分でやるのも面倒くさい。で、伸び放題になると

いうことなんだ。」

二人の説明に少年はまたも感嘆の声をあげた。



「ところで、どうやって捕まえるんですか?」

少年は素朴な疑問をぶつけてみた。レンは少し考えてから答えた。

「・・・単純に分けると二つかな、一つは妖しい所を一軒一軒回っていく、もう一つは――――」

「賞金稼ぎの『侍』だ!!お前ら全員捕まえてやっから命が惜しけりゃ出てきやがれ!!!」

と、レンの説明の途中、突然リュウが叫んだ、その声は住宅街の隅々まで響き渡った。

「――――こういう風に相手を挑発しておびき寄せた所を一網打尽にする方法もあるんだが・・・・」

「どうしやがった!!お前ら意気地なしか!?たった三人も殺せねぇってか!?」

誰も出てこないのでリュウはなおも叫んだ。

「この方法はちょっとでも頭のある人間には通用しないんだ・・・・」

レンが頭を抱えた時、4〜5つのドアが同時に開き、全部で30人ほどの手に凶器を持った男達がぞろぞろと出てきた。

「アンだとコラァーー!!」

「○○組なめんなよ!!」

「わかってねぇな〜、指名手配犯ってのは精神的に極限状態なんだよ。極限状態の人間にはこっちのが効率がいいんだよ。」

リュウは剣を抜き、構えると小声で言った。レンも無言で銃を構える。右手で銃を持ち、左手はサバイバルナイフへと伸びていた。

「あの、僕は?」

少年は不安そうに二人を見た。

「自衛手段はねぇのか?」

「あ、剣道なら初段です。でも剣がないと・・・・」

少年が答えるとリュウはコートの中から小型の剣を一振り出して、少年に渡した。

「一応持っとけ、必要ないと思うがな。」

そう言うと二人は敵に向かっていった。


圧倒的だった。


リュウが剣を一振りすると、前にいた数人の男達が吹き飛び、レンが銃を地面に向

けて一発打つと、コンクリートが弾け、その破片が石つぶてとなって敵に当たる。

その一つ一つが小型の銃弾に匹敵する威力を持っている。



僕は本当にこの二人が賞金稼ぎなのかは分からない。



ただ、これだけは確かだ。



この二人は、強い。


数分後、僕の目の前には気絶させられた凶悪犯たちの山と、武器の手入れをする

『侍』の二人の姿があった。

その後二人は警察に犯罪者たちを連れて行き、換金してもらった。最初に出てきた

人は二人の言っている事が分からなかったらしいが、後から出てきた署長らしき人

は賞金稼ぎについて知っていたらしく、偉く喜んでお金を渡していた。

その後署長は二人を表彰したい。金一封も出す。と言っていたが二人は、というか

レンさんは断っていた。


夜、二人はもう旅立ってしまった。昼間、賞金稼ぎだと叫んだせいで顔が割れてし

まったから、もうここには居られないそうだ。

以前にも同じような事で殺し屋に狙われたらしい。

レンさんいわく

「後先考えない相棒を持つと苦労するよ。」

だそうだ。

二人は、僕は狙われることは無いといっていたが、どうも心配だ、本当に狙われな

いといいが・・・・


そして二人は旅立つ時、今のままでは表面的には平和でも、内部が犯罪者だらけに

なってしまう。それをどうするかはこの国に住む僕ら次第だ。と言い残していっ

た。





私は今、この国の大統領となっている。あの時の二人の言葉を胸に、今必死に犯罪
者を取り締まっている。

そのお陰で命を狙われる事も少なくはない。


あの時、興味本意で二人に声を掛けたのが、私にとって良かったのか悪かったの

か、それは今でもよく分からない。



2004/02/02(Mon)01:17:48 公開 / 暁 飛燕
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■作者からのメッセージ
はい、遅れましたが第一話です。
自分の書きたい方向からかなりずれた気がしないでもない・・・・
説明入ったので読みづらいと思いますが、ご感想やご指摘をいただければ幸いです。
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