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『柚木の森』 作者:夜耶 / 未分類 未分類
全角1019.5文字
容量2039 bytes
原稿用紙約4.25枚
誰も知らないところがあった。

森の奥深くに、木の穴の中で1人の少女がいた。

僕が知っているのは、それだけだった…。




『ねえ、あなた、人間でしょう?』

突然の言葉に僕は戸惑った。けれど、君は何でそんな事を聞いてきたのかな?
君も人間なのに。


『柚木に・・・柚木に会いたい』

君はそう言ったよね。
柚木って誰なんだろう?君はその答えに応じようとはしてくれなかったね。
結局、謎のままなんだけれど。
君はこれからも教えてくれないのかな?


雨が降った。
柚木の女の子は、今どうしているだろう?
いつもの木の穴にいったけど、君はいなかったんだ。替わりに、リボンが落ちてた、それだけだった。
『お兄ちゃん・・・!!』
後ろを振り返ると、柚木の女の子が走ってきた。泣きながら、顔が涙でぐしゃぐしゃになっても、それでも走ってきた。

『柚木が・・・この世にいないって・・・柚木、死んでるんだって』


死ぬ場所は、人それぞれ違う。
でも、死んでから行き着く場所は同じだ。

柵があった。
柵の向こう側に、女の子が泣きじゃくって僕を呼び止めようとしている。
でも僕は振り向かずに、どんどん階段に向かって歩いていった。
怖くは、なかった。

途中、白猫にあった。ピンクのリボンをしていた。ほかっておいたら、そのままついて来た。
にゃあにゃあ、よく鳴く。だから、ぼくはこの森に入った。猫を迷わせるために。
だけれど、僕が迷ってしまった。そして行き着いた場所は、ここなんだ。



時は、長い年月をかけて時代とともに動いてゆく。ゆっくり、ゆっくりと、何かを思いださせるように。


『柚木』

柚木は、僕と女の子の間に棲む鬼なのかもしれない。





今日もあの木の穴に行った。
女の子が待っていた。

女の子は、僕を見るなりこう言った。

『柚木』

僕は・・・柚木?

『その証拠に、これ』
女の子が差し出した、それは1枚の写真。
「これ、君?」
『そ・・・う』
柵のところで呼んでいた、あの子は君だったんだね。
『そして・・・』
ポケットから取り出したものは・・・

ピンクのリボンだった。


あのときの猫だというのか?

わからない。けれど、そうだとすれば僕は死んでいる。

『そう。あなたは死んでいる』


女の子に言われた言葉は、きついようで温かかった。ぼくには歓迎の言葉に聞こえた。







200]年○○月○○日――――――

1人の男の子が、病死した。
それを追うように、飼い猫もショック死したのである。

2004/01/06(Tue)13:02:41 公開 / 夜耶
■この作品の著作権は夜耶さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
久しぶりです、こんにちは。
何か意味わかりませんねぇ。すいません。
でも一度目を通していただけるとありがたいです。
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