- 『Someday』 作者:はるか / 未分類 未分類
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全角1334文字
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原稿用紙約4.25枚
「今日は何の日なの?」
君の声が聞えた。
「何の日でもないよ」
小さく言った。クリスマスだなんて口に出来なかった。君はいなくなってしまうんだから。どうしてこう何もかもあっけなく、何もなかった様になくなってしまうんだろう。終業式を終えた教室の黒板に幾つもかかれた住所。その中に落書きしながら思った。教室の後ろではロッカーの荷物を片付けながら君は笑っているんだろう。黒板を見ながら悲しくなった。黒板の文字をすべて消して、横目で君を見ながら窓に寄った。空はもの凄く白くて青なんか見えなかった。寒い風音が響いた。
「なんで行っちゃうんだよ」
窓に向かって吐き捨てて言った。君はちょっと苦笑いをして何も答えなかった。聞かなくたって答えは分かってた。だけど、認めたくなかった。君がいなくなってしまうという事。
朝起きたら君からメールが来て一言「行くね」慌てて「何所へ?」って送ったら「学校に来て」って。訳が分からず来たらこうだ。教室は昨日と比べ物にならないほど静かだった。
「私、すっごく成績落ちたの」
へぇ・・と無関心な態度で返事をすると君はまた黙った。窓際の机に腰掛けて君を見ると君は僕の席に座ってた。
「何やってんの」
睨みながら言うと君は笑ってこう言った。
「ここに座れるのは最後だから」
何も言わず黒板を見た。所々消えてなかった。がたっと席を立って隅から隅まで消してついでにと廊下に出て黒板消しをはたいて帰ってくると君は居なかった。名前を呼んだけど居なくて窓から身を乗り出して外を見たけど居なかった。
「もう行ったんだな」
教室の窓にもたれて僕は君の机を眺めた。
クリスマスの日、雪も降らず白い君だけが消えていった。手紙とかメッセージとかあるはずもなく君は知らない間に居なくなって取り残された。開いた窓から入ってくる空気が僕を取り囲んだ。まるで黒い渦に巻き込まれる様に強い風が吹いた。バンっと窓を閉めてカバンを取って廊下に出ようと自分の机に向かった。と、誰かの机の上にあったペンを落とした。拾うと何かが書いてあった。
”きさらぎ・・・”
君のだ・・・。僕は自棄になってそのペンをぶっきらぼうに机の上に置いた。君の好きな人ぐらい知ってた。君の名前の横には君の好きな人の名前。君はその好きな人と暮らすと引っ越して行った。僕を気持ちを知ってるいるのか知らないのか。どうでもいい。もう会えやしないんだから。
「さよなら」
僕は君の机に向かって呟き教室を出た。
数分後君がここに帰って来た。僕に何か言いたかったらしい。当然僕は居なくて君は帰ったみたいだけど何か置いて行ったようだ。僕自身は新学期その置いて行った手紙を読むことになる。「僕自身の君がまた現れてしまう」と君からの電話が来るまでは読むまいと思っていた。だけど君が言う事を無視する事は出来なかった。読んだ後僕は一目散に君に向かって走り出した。
”青樹くん。もう会えないと思うけどまだ分からない。未来は変えることが出来るんだよ。そうだよ。会えないって事も変える事が出来るの。いつになるかは分からないけどね。一つ言っとくけど私は好きな人と暮らす為に引越しするんじゃないよ。じゃあね青樹くん。行くなら行け!!如月依菜”
いつか会える
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2004/01/05(Mon)08:22:27 公開 / はるか
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■作者からのメッセージ
季節がちょっとズレていますが一応恋愛ものです。矛盾してる部分も多いかと思いますが・・・。感想お願いします!!