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『嘘つきな神様』 作者:ETUMA / 未分類 未分類
全角1530.5文字
容量3061 bytes
原稿用紙約5.25枚
・・・・・私がいなくなっちゃっても
           みんな、変わりないよね

   誰も哀しまないで
       すぐ忘れるんだよね・・・・・
 
 
         

T,優しいココロ

「ハヤ、もう行くぞ」

聞き覚えのある声を聞いて、ふと振り返る。

「・・・・・・ハヤ?」

私を呼んでいるように気がして、少しそっちに行きたくなった。

「ハヤ!何してるんだ!!」

「あっ、ごめん。今行く。」

誰の声だったんだろう・・・・?

私の隣りにはエルがいる。

それは嘘じゃない。でも、さっきの声は嘘のような気がした・・・・・・

「エル、誰かの声聞こえなかった?」

私は不思議に思ってエルに聞いてみる。

「何も聞こえてないけど?」

「そっか・・・・うん。」

私は未完成の神様。この世の神様。だからって、別に普通の人間と何も変わ
りないし、誰も逆らっちゃいけないワケじゃない。神様って言うのは世界の
全てが分かるって言う想像されているけれど、まだよくはわからない。完成
したら少しは分かるって聞いたんだけど、分かりたいとも思わない。

「ハヤ、もうすぐ近くの町に着く。もう少しがんばれるか?」

私を心配してくれているのはエル。
私がちゃんと神様になるためのボディガード。私は神様になるくせに
とてつもなく弱いから、守ってもらわなきゃいけないみたい。

「うん。平気だよ。」

出来ることなら強くなりたい。

エルに迷惑かけたくない。エルに心配して欲しくない。

自分の足で歩いていって、自分の手で切り開いていきたい。

なんで私は未完成で生まれてきてしまったんだろう。

時々そんなこと考えて、お母さんのこと恨んでしまいそうになる。でも、そんな時はお母さんがいたときの暖かさを思い出して、有り難うって思う。
だって、お母さんがいなかったら、今の私はここにいないんだよね。

「ハヤ、泉だ。水をくむからついてこい。」

エルは、いつも冷静で冷たい。私のこと心配してるのも、上からの命令だから。命令がなければ、私のことなんかどうでも良いって思っていると思うの。そう思うと傍にいるのが、ちょっと辛くなる。

少し歩いていくと、綺麗な泉が見えてきた。

「うわーぁ!!」

私は思わずはしゃいでしまっていた。

「あぶない!!」

転けそうになった私の体をいきなりエルが抱えてくれた。

一瞬その場が静かになる。

水の揺れている音しか聞こえない。

「あっ・・・・・ご、ごめんなさい・・」

おもわず私はエルに謝った。

きっとエルに怒られる。神様のくせにっていわれるんだ。

私は目をギュッとつぶってうつむいた。

「ったく・・・・・・・・気をつけろ!神様の体に傷つけられないだろ。」

私は思わず目を開けた。

”神様の体に傷つけられないだろ”って・・・・・・?

神様だから?私が人間なら、支えてもくれないの?

そっかぁ・・・エルは、私を守ってくれてるんじゃなくて
神様っていう私を守ってくれてるんだよね・・・・・

「何してるんだ?もう行くぞ。」

エルの声が、私の心に痛く響く。

エルは、きっと優しさのつもりでかけてくれた言葉で、優しさのつもりで支えてくれた。守ってくれた。

「先行ってて。もう少し、ここにいたい。」

私はエルの方を向いて、少し微笑んだ。

「・・・・・・え?」

私の後ろから太陽が眩しいほどに輝いて、エルの目に焼き付ける。

「大丈夫なのか?」

「・・・・・大丈夫だよ。」

もう、心配して欲しくない。

エルの優しさが、私にとってはすごく痛みに変わってしまうから。

もう、傍にいて欲しくない。

本当は大丈夫じゃない。

   でもね、ホラ・・・・・

       もう嘘をつくのも平気になってるから・・・・
     
2004/01/01(Thu)10:38:20 公開 / ETUMA
■この作品の著作権はETUMAさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
えぇっと、もう少し書こうと思います。でも、だいぶここで終わりかけてる?ハヤはこう思っていますが、もう少し傍にいなきゃダメみたいです。頑張って書くのでよろしくお願いします。
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