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『太陽の仕事と真っ白な宝石』 作者:秋花 ゆず / 未分類 未分類
全角2482文字
容量4964 bytes
原稿用紙約8.05枚
「おはよう」
一番最初に挨拶するのは私。その私の一番の挨拶を丁寧に答えてくれるのは、お母さんだ。
「おはよう、麻奈。今日は早いのね。冬休みなんだからもう少しゆっくりしてたらいいじゃないの。」
季節は冬。私は7歳の小学校1年生。雪が大好きで、昨日荒れていたから雪、積もったかなぁって楽しみにしていた。で、それが見たくて早く起きてきたのだ。私は窓の方へかけながら、お母さんに言った。
「雪、積もったか見たかったんだもん。どれだけ積もったかなぁ。」
私はそう言って、窓の戸をガラガラとにぶい音を鳴り響かせながら開けた。冷たい風が私の頬にあたる。私は思わず声を張り上げた。あたり一面と真っ白に光っている。
「お母さん!雪、雪が積もってるよぉ。わーい!わーい!」
私は飛び跳ねた。お母さんが、
「どれどれ」
と言いながら、私の方へ向かってくる。お母さんもまるで子供にかえったように、
「まあ」
と言った。私は考えた。
「雪で何しよう。一人で遊ぶのじゃつまらないだろうし…。誰か誘おうかなぁー」
ぶつぶつと言って考え込んでいる私を見たお母さんは、クスクスと笑った。「じゃあ、誰を誘おうっかなぁー。芽衣ちゃんにしよっかな。あ、でも芽衣ちゃんピアノのおけいこだ。んー…あ!恵理ちゃんにしよっ!恵理ちゃん今日、おけいこない日だし。」
お母さんはそれを聞いて、私に尋ねた。
「恵理ちゃんに電話する?」
私は元気いっぱいに答えた。
「うん!エリちゃんに電話、電話ー!」
そう言って私は受話器を取った。プルプル、プルプル……電話の音が私の耳に鳴り響く。
「はい。北川です。」
「あっあの…佐藤麻奈ですが、北川恵理ちゃんいますか?」
でてきたのは恵理ちゃんのお母さんだった。恵理ちゃんのお母さんはとてもきれいな人で、遊びに行くといつも手作りのお菓子を出してくれる。
「麻奈ちゃん?ちょっと待っててね。今かわるから。」
そう言ってしばらくすると、恵理ちゃんがでてきた。
「あ!恵理ちゃん?今日いっぱい積もったねぇ、雪。」
恵理ちゃんは、
「うん。いーっぱい積もったね。」
最近風邪気味だった恵理ちゃんも元気そうでなによりだ。私は言った。
「今日、雪遊びしようよっ!それで雪だるまつくって…後、かまくらもつくっちゃおう!」
そう言うと、恵理ちゃんは、
「いいよ。雪だるまとかいっぱい作ろう!」
私は、だんだんさっき以上に嬉しさがこみ上げてきた。
「じゃあ、お昼に私の家にきてよ!」
「いいよ。お昼ね。ばいばい。」
私は恵理ちゃんのこと見えてないのに手を振りながら、
「ばいばい」
と言って、受話器をおいた。
「わーい!わーい!恵理ちゃんと雪遊びー!お昼に私の家に来るんだって。」
お母さんは笑いながら、
「そう。よかったわね。」
と言った。
「あ、そうだわ。お昼まで少し勉強してなさい。」
私は、めんどくさいと思ったけどお昼に雪遊びができると思うと、まぁいっか、って思った。
私は机に向かって、冬休みのしおりを見た。冬休みはほんの2週間ほどしかない。『冬休みの宿題』という欄を見て、私はいやになった。苦手な『あのね日記』がある。
「あのね日記は嫌いだ。内容が浮かばないよぉ。」
私は一人でぶつぶつ言った。だけど私はひらめいた。
「そーだ!今日、恵理ちゃんと遊ぶから、そのことについて書いてみよう。」

宿題やってどれくらいたったかなぁ?もう少しで恵理ちゃんが来る時間だ。
「そろそろ、やめよ。やっぱ宿題飽きちゃう。」
そう言って机から離れた。ふと窓を見ると、私は声を張り上げた。あまりの声のでかさに台所にいたお母さんも、かけつけた。
「あーーーん…雪が、雪がぁー」
お母さんも窓を見た。
「あらまぁ」
私の目に入ったのは、いつもと同じの土の色だけ。朝の白い宝石のように光っていた雪がとけてしまったのだ。私は泣きわめいた。
「わーん、わーん…雪がぁ」
空を見上げるとこっそりと隠れるようにして太陽が見えた。私は泣いて泣いて、顔をくしゃくしゃにしながら、その太陽を見つめ叫んだ。
「太陽さんがぁー…太陽さんがきれいな宝石を壊したぁ」
そう言って、お母さんに抱きついた。と、同時に電話がなった。
お母さんがとったら恵理ちゃんからだったらしく、雪がとけてしまったしまた今度遊ぼうっという電話だった。泣きつづける私にお母さんは優しく言った。
「麻奈ちゃん、顔をあげて。お母さんがいいお話をしてあげる。」
私はそれでも泣きつづけた。だけどお母さんは話をつづけた。
「むかしね、麻奈ちゃんみたいな年の子がいたの。その子も雪が大好きで、積もった雪をまるでお友達のようにして可愛がってたわ。
でも、ある日太陽さんが来て、雪をとかしてしまったの。だけどその子は泣かなかったわ。そしてその子は言ったの。『太陽さんは雪をとかしたりするのも役目だもんね。』っと。その後また突然雪が降り出したのよ。」
お母さんの話をそっと聞いていた私は、やっとのことで顔を上げ、
「そのお話本当?」
と言った。お母さんはにこっと微笑んで、
「太陽さんの仕事は暖かくするだけじゃなくて、雪をとかすことも仕事のひとつなのよ。」
私はすくっと立って窓の方へかけよった。そして太陽に言った。
「太陽さんごめんなさい。お仕事の邪魔をしてしまって…。」
私はへなっとしゃがんだ。お母さんは私の体をだかえこみ、
「さっ、太陽さんの仕事を邪魔してはいけないわ。行きましょう。」
そう言うと、私も静かにうなずいた。

雪がとけてどれぐらいたっただろう。あの後私はお昼寝した。するときらっと光ったのが分かった。まぶしくて、そのまぶしさはまるでさっきの積もった雪……もしやっと思って窓を開けると、朝と同じ真っ白な宝石が散らばっていた。私は、
「わー…」
びっくりだ。
「やっやっぱり、お母さんの話は本当だったんだぁー」
その後、お母さんを呼んで二人でその一面に散らばった宝石をながめていた。



「先生あのね、今日不思議でびっくりなことがおこったよ。太陽さんにごめんねって誤ったら、真っ白な宝石を私にくれたよ。」

             
2003/12/20(Sat)10:01:26 公開 / 秋花 ゆず
■この作品の著作権は秋花 ゆずさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
二度目です^^;
前回とは全く別物を書いてみました。どうでしょうか。感想・アドバイス、何かあれば書いてください。
それと、読んでくださりありがとうございました。
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