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『ひ ろ い ん』 作者:ラインストーン / 未分類 未分類
全角1554文字
容量3108 bytes
原稿用紙約6.1枚
あなたの行く先に、「希望」という道はありますか?

私が行く先に、「運命」という二文字はあるのでしょうか?

進む未来は、ハッピーエンドで終わり、

また、再生の効く過去は振り切って、前に進めますか??

ぅぅぅぅぅ…。
進路表を見つめるしかない毎日。
頭をいくら絞っても、わからない未来――。

―――どんなに荒れた環境の上にも広がる、青い空―――。
いつもセットにされている、白い雲。

ここは大阪のとある中学校。どこにでもある、普通の学校。

どこにでもいる普通の子、鈴成林檎。

どこにでもいる子―――
―――それって一体、どんな子やろか。




進路表を見つめながら林檎は毎日こんな事を考えていた。
林檎は小さい頃から恵まれた環境に育ち、
林檎もまたそれに答えた様にのびのびした子に育った。

悩みも無く、毎日がとても充実していて、林檎は先の事…つまり未来が
どうなるかなんて一度も考えた事がなかった。

しかし今回、林檎に避けては通れない問題が待ち構えていた。

それが、進路。高校からの自分の未来を決める
「運命」とも言える紙が目の前に広がっていた。

友達はもうやりたい事が前々から決まっていて、今現在
進路希望表を出してないのは林檎だけ。

前にも何度か進路についてアンケートが幾度か取られたが、
林檎はいつも大まかに考えて、只適当に欄を埋めていた。

けれど、けれど今回の進路表は…。


《最終決定》

「なんやろ。あたしの夢ってなんやろ。」

小さい頃の夢だった「セーラームーン」も、今となっては
どこか懐かしく感じてしまう。

夢…

(適当に高校通って大学行って…)

(…結婚して子供産んで。あたしの人生それで終わりやろか…)


林檎がこんなに頭を抱えているのは、決して夢がないからではない。

実は、どこか心の奥で、子供の頃からずっと夢見ていた事。

漫画を描きたい…
―――漫画家に、なりたい。

「あほやあほ!!無理に決まってるやん。絵ー下手やし、後期の美術2やったし」
自分が一番良くわかってるって、こうゆぅ事やな…

「林檎〜?先帰ってよか?」
友達の声。

「あ、今行く!!」
―――進路表には、もうちょっと待っててもらおう…



夜。林檎の寝る布団の横には、いつも大量の漫画。

小六、修学旅行に行った時。
持ち物の《持って来ては行けない物》という欄に、「漫画」が
入っていた。
小説や雑誌はokだったのに、漫画は「不要物」にされていた。

先生に理由を聞いたけれど、返って来た返事は―――
「知らん。」

知らんじゃないわ。知らんなら持ってきてもいいとちゃうか…。

ポタポタポタ。

無意識のうちに涙が溢れてきた。
(あかん。また漫画に感動してしもた)

本当に漫画って、人を引きつける、磁石よりも強力な魔法や。
現実ではありえない恋愛物や、どんな友達の言葉よりも心に響く
友情物や…。

1コマ1コマ、目線を進めていく度に、

(あたしも漫画で人を感動させたい)
結局思ってしまうんや。

―――あかんな…

と、林檎の目にふと開いた漫画雑誌のページが開けた。

「第29回新人漫画家募集!大賞、特別賞に輝いたあなたには
デビューが待っている!!」

お。

気が付くと林檎は、無我夢中でそのページを読み尽くす。

…なりたい。
―――漫画家に、なりたい…

もちろん、あたしと同じ事思ってる人間何人もいると思う。
今あたしを感動させた漫画家やって、この戦争を勝ちぬいてきたんや。

やけど、あたしの夢は…

高校に行ってこのまま普通の人生を送る事やない。
それはそれで魅力的や、けど―――

あたしは、林檎やもん。小さい事からずっと思うてた夢…

―――捨てたくない。

―――やるんなら、叶えな…。

あたしの進路、たった今決まった!!!
                  《続く》



2003/12/09(Tue)21:47:53 公開 / ラインストーン
■この作品の著作権はラインストーンさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
なんか三話完結の話です★
あいにく都心出身なので、方言を
書くのは難しいですJJ
でも、頑張って書きつづけたいと
思うので、感想やご意見よろしく
お願いします。
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