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『大空の僕達 第一話』 作者:菊地 / 未分類 未分類
全角1481.5文字
容量2963 bytes
原稿用紙約4.85枚
毎日、毎日が・・あの空の下で過ぎて行く。

僕の下に広がる『雲』。大地なんて、今生きている大人達ですら見たことが無い。それもそのはずだろう、神書の中でしか見たことが無い。
どこまでも広がる『空』と『雲』。世界の向こうを見ようと、地平線へ目を凝らしてみても、青いグラデーションが薄くなっていき、でこぼこな雲が薄くなり・・・・・何も見えない。
雲の下には、本当に大地というモノがあるのだろうか?


             そして、僕は・・・・
「おいっ! 俺が後で食べようと取っておいたモノだぞ!! 返せよ!」
「いやぁ〜よっ、見つけたモノ勝ちでしょ? これは、わ・た・し・のモノなの!」

            この騒がしい、小さい飛空船にいる。

僕の目の前を、スゴイ勢いで女の子と男の子が通り過ぎて行った。

片手に苺のショートケーキをもって通りすぎて行った女の子、彼女は『エミリア・エンテランス』、僕と同じ歳で、髪は長い綺麗な黒、革製のブーツをはき、白いエプロンの下にピンク色のスカートとセットになった様な服を着ている。

              あっ・・・捕まった。

エミリアを捕まえた金髪の男の子、彼は『オルデット・ノンハルバー』、僕より一つ上の歳で、すこし短めに切っている金髪、黒い金具止めのブーツをはき、ブラウスの上から軽いジャケットを羽織っており、すこし大きめのジーパンをはいている。

「あぁ〜・・・ケーキ・・・」

僕はぼやいた。
エミリアとオルデットの視線が宙を浮くケーキへ・・・
ケーキはエミリアが扱けたと同時に、飛空船内の宙を舞い、空と雲を映している正面ガラスに激突! ・・・・・・べチャリとクリームの花火がガラスに描き出された。
ケーキの上に乗っていた苺が・・・コツンと僕の頭に当たり、手に乗った。僕はそれを口に運んだ。
「美味しい・・」

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」「あああぁぁぁぁっ!!!」

エミリアとオルデットが倒れた状態で、僕を指差し叫ぶ。
エミリアはオルデットを突き飛ばし、僕にズンズンと歩み寄ってきた。

「一番美味しい所取ってぇ〜・・・・なんでよっ!!」

オルデットも起き上がって、僕に近づいてきた。

「だ・か・ら! あれは俺のだって言ってるだろ!!!」

二人ともそれなりに・・・いや、本気で怒っていて怖いので、僕はあやまった。

それから、三人(何故、僕が掃除をしないといけないのかわからないが・・)でグッチャリと潰れたケーキを片付けていると・・・・・。

「あ・・・・街だ!」
エミリアがガラスの向こうを指差して言った。

『街』・・・大きな・・それは大きな飛空船の上に建てられている。

この広い空で「街の飛空船」と出会うことはあまりない。珍しいことなのだ。
僕はガラスに近づき、ガラスにおでこをつけて、その街を見る。

「よっしゃぁ!!なぁ!!勿論、あの街に降りるんだろ!?許可とるぞ!!」
オルデットはガッツポーズをした後、僕らの飛空船にある通信室に走っていった。

『街』降りるためには・・まず、その街の飛行場に「空き」はあるか聞く、なければ止まれない。それと自分のクルーの人数、や・・・etcと
とにかく許可を取る。

エミリアがクスッと笑った。
「オルデットたら・・・絶対、食べ逃したケーキが食べれるとか・・そんな理由で喜んでるんだわ」
僕もそう思う・・・・オルデットはそれなりにクールなのだが、ケーキが大好きだ。エミリアを追っかけていた時の怒った顔など・・・まぁ・・・怖かった。

「OKだってさ!!」
オルデットの声が通信室から響いた。

つづく
2003/12/07(Sun)17:37:27 公開 / 菊地
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