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『紅の森 番外編〜SoraVersion〜』 作者:森々 / 未分類 未分類
全角1324.5文字
容量2649 bytes
原稿用紙約4.45枚
最近海の様子がおかしい。

話しかけても大抵上の空で、ダルそうにしていることが多い。
それでも分担した家事は完璧にこなして、葬儀後の始末や遺産相続などの手続きも着々と進めていて、俺も手伝うと言うと「心配ないよ」とあしらう。
海は気付いていないかもしれないが、家の戸棚には多種多様の薬が詰め込まれている。
普段はダイニングテーブルの上に並べておくのだが、あまりにもたくさんあるために、スペース上の問題で俺がソコに移した。
何故そんなにあるのかというと、海が買い物の度に購入してくるからだ。
「あって損するものではない」と言っているが、一日に何度も飲もうとしている自分に彼女は気付いていない。
俺が止めると驚いた顔をして謝るが、その30分後にはもう薬に手を伸ばしている。
流石に心配になって問い詰めてみると、最近休む暇がなくて疲れが溜まっているのだと答えた。
何故そんなに時間がないんだ、バイトでも始めたのかと聞いてみたけれど、海は笑いながら否定した。

『私がバイトなんてできるワケないでしょう?』
『でも前言ってたじゃないか。バイトでも始めて稼ごうかなって』
『あれは単なる独り言よ。それにお金については叔母さんに協力してもらっているから大丈夫』
『頼らないって言ってたのに?』

そう言うと海は少し顔を曇らせた。

『あれは・・・その場限りの強がりっていうか・・・本心じゃなかったのよ』
『じゃあ学校が終わったあと一体何処に行っているんだ?帰りはいつも深夜近くだし、一週間出掛けっ放しじゃないか』
『別に何処でもいいでしょう?関係ないじゃない』
『関係なくないだろ!そんなに疲れた顔をして・・・心配しないワケがないじゃないか!』
『心配したの?』

海は大きな瞳を倍ぐらいに広げて、眉間に皺を寄せた。
俺は何故そんな表情をされるのかわからなかったが、当たり前だと言って再度問い詰めた。
すると海は低い声でゆっくりと答えた。

『彼氏のところよ』
『彼氏!?』
『幼馴染の渡部諭史くん。あんたも何度か一緒に遊んだことがあるでしょう』
『サト兄と付き合ってたの!?俺全然気がつかなかった』
『あんたには言おうと思ってたんだけどね。言いそびれちゃってさ』
『いつからそういう関係に?』
『いつだったかな・・・もうずっと前からだけど』
『じゃあ毎日出掛けて行った場所って・・・』

嫌な予感がした。

『諭史の家よ』

言い終わると海は「宿題があるから」と言って部屋に戻ってしまった。
俺は驚きのあまり言葉がでなかったが、暫くしてやっと理解することができた。
サト兄は昔から仲が良かったし、海と同じ高校に通うことが決定した時も、そう驚きはしなかった。
でもその時喜ぶ海を目の前に、俺は何となく「良い気持ち」でなかった。
その気持ちを何と言うのかはわからないけれど、有耶無耶な考えに押しつぶされそうだった。

それからも海は外出を止めようとはしなかった。
帰ってきた時の笑顔のワケも、一週間毎日通い続ける意味も、薬を飲んでまで行こうとする理由を、俺は全て理解した。

わからないのは自分の気持ちだけ。
どうして俺は・・・

『じゃあ行って来るね』
『・・・いってらっしゃい』

笑顔で見送ることができないのだろう。

2003/12/02(Tue)16:41:20 公開 / 森々
■この作品の著作権は森々さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
番外編第2弾、空Versionです。
なんだか段々海と空の関係が怪しくなってきたような気がしますが、今の時点では未だ海には空と同様の気持ちは芽生えていません。
ちなみに海と諭史は付き合っていません。海の咄嗟の嘘です。
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