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『欠片となって降る記憶』 作者:LOH / 未分類 未分類
全角1783.5文字
容量3567 bytes
原稿用紙約5.65枚
目を開けると、いつの間にかヴァイオリンを止めて心配そうに覗き込むライの顔。
「シラン? 大丈夫かい?」
「ライ……」
ライに関する記憶が次々に浮かんでくる。
何十年も離れていた恋人のような感じがして、私は目に涙を浮かべた。
「ライ……!」
もう一度懐かしく愛しいその名を呼んで、私はライの首に腕を回した。
「ライ…ライ……」
「シラン? シラン、どうしたんだ」
いつもと違う私の態度に、ライは動揺しているようだ。
しかしライの頭の中にもあるはずだ。
私が記憶を取り戻したという考え。
「シラン…? もしかして君は記憶を……」
私は何度も首を縦に振る。
「そうか。そうか…よかったな……!」
大きな手が私の頭と背中をライの方へ引き寄せた。
しばらく、これ以上ないほど近づきたいと、お互いを求めるように抱き合った。
身体を離し、視線を合わせる。
薄い蒼の瞳を見つめながら、私はライとのことを思い出す。
今まで忘れていた思い出が、次々と浮かんでくることが、嬉しくてたまらない。
ライの吸い込まれるような瞳がだんだん大きくなる。
私の唇はライのと近づき、触れ合った。
懐かしい柔らかい唇の感触に、私達は数十秒唇を離すことはなかった。

「シラン、取り戻したばかりでこんなこと聞くのはあれなんだけど……」
「記憶喪失の原因…ね」
一つため息をすると、ライは心配顔になる。
「辛かったらまだいい。もうすこし時間を置いてからでいいから」
「大丈夫。実を言うと、私もはっきりとは思い出せないの」
頬を持ち上げて、ライの表情を直そうと努めた。
でもそれは事実で、少しずつ思い出してくる感じ。
「私はいろんな事を抱えていた気がする。なんか毎日のパーティとか、誕生日を迎える毎に増えていくお仕事とか。もううんざりって……。それに、そのおかげでライと一緒にいる時間もなくなってきてね。こうやって、ライがヴァイオリン弾いて私が歌うことも、前は良くやっていたよね」
そういえばそうだなと、ライの顔に笑みが戻った。
私はその笑顔に力をもらっている。
「なんか、もう自分が爆発しそうになっても誰にも言えなくて。心配してほしくなかったのよ。ライはライで忙しいから甘えられないし…。それにこんなこともできないくらい弱いなんて認めたくなくて」
ライは黙って聞いていた。
無駄な口出しをして、私の話を止めたくないのだろう。
それは私も同じだから、かえってそれが嬉しかった。
調子良く、次々に記憶が甦ってくるのだ。
「でも、爆弾に火をつけたのは、私への陰口……って言うのかな」
「まっ……!」
勝手に動き出した自分の口を、慌ててライが抑えた。
その姿に思わず笑みをもらしてしまった。
「あんまり関わりないお手伝いさん。それで、嫌われるならなんで私こんなことやってるのって気になって。自分で人生は選べないから……この国を治めなきゃいけない人に生まれたから……って思うのに……」
「それで、記憶喪失に……?」
私が話し始めて、やっとまともに口にしたライの質問に、私は頷いた。
「現実から逃げたかったのよ。記憶を失おうとも。少しでいいから、休息の時間がほしかった……。でも、もう十分ね。ちょっと、強くなれた気がするから」
さぁっと、春の温もりを含んだ爽やかな風が、私達の横を通り過ぎた。
横に首を回すと、私が生まれたときから共に生きてきた愛しい顔がある。
そして、私に向かって微笑んでくれている……この笑顔さえあればそれで十分なんだろう……。
「幸せだな、シラン。今日も、これからも……ずっと幸せなんだな」
「うん……。シアワセかもね…」
私は首の力を抜いて、ライの肩に自分のそれを預けた。

春の薫る風が心地いい。
このまま時間が止まってしまえばいいのにと思うほど、シアワセな時間が過ぎていく。
そんなシアワセな時間は、今までの記憶を一度砕いた事で、できたような気がする。
結局記憶を失った事は、私の損になったのか得になったのかはわからないけど。
ライとの絆が強くなった事には変わりない。
こんなことを思う私は、やはりありきたりなロマンティストかもしれないけど……。
そんな人が一番思ったことをストレートに言えるのではないかと思ったのも事実だ。
今、ライの近くで、ライとの思い出に浸りながら、ライと触れることができる私は……。
この瞬間の中では一番のシアワセ者かもしれない。
2003/11/15(Sat)23:26:00 公開 / LOH
■この作品の著作権はLOHさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
やっと終わりました。
ここまで適当にでも読んでくださった方!!
本当に本当にありがとうございました!!
まだまだ未熟者ですが、がんばっていきたいと思います。
ありがとうございました
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