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『きつねのしっぽ 第壱話』 作者:猫子 / 未分類 未分類
全角1413.5文字
容量2827 bytes
原稿用紙約4.8枚
この国の名は、『七の国』。
すべてが普通で、人々も普通。
けれど、ひとつだけおかしなことがある。
それは、七の国の森の中には、きつねの妖怪が出る、という噂があるのだ。
その妖怪を見た者は、1日後に、苦しみながら死ぬといわれている。
このことを恐れた人々は誰も、その森には入らない。
入って助かる者は誰もいないと人々は思っている。


森の中には、木で作った小さな家がある。
そこの家には、きつねの妖怪が住んでいる。
妖怪は1人でこの森にいる。
その妖怪の名前は『木虎利(きこり)』
きつねの耳と尻尾がついている。
目は水のような色をしていて、額には、大きな古傷がある。
いつもと同じように、部屋の中に入って、誰かが来るのを待っている。
だれも来ないのはわかっているが、なぜだかわからないが、何時も待ってしまう。
もしかしたら、自分を孤独の中から、救ってくれるかもしれない。
そう思いながら、何時も何時も待っているのだ。

9時ごろ、家にノックの音が、飛び込んだ。
木虎利は、耳を立てて、ドアを開ける。
けれど、自分よりも背の低い少女が立っていた。
その少女は、無言で家の中に入っていった。

「あなた・・は誰ですか?」と木虎利が聞くと、その少女は、
「葉流(はる)。・・・・あなたはきつねの妖怪の木虎利ね。」と言った。
(・・・。どうして僕の名前を知っているんだろう・・。)
「そりゃあ、あんたが私を呼んだから。」
「・・・え?」
「私も・・・妖怪だよ。私は、人の気持ちがわかるんだ。それだけで妖怪だ。って勝手に信じて、七の国から追い出された。」
「でも、僕はあなたのことは呼んでいない・・・。」
木虎利が、そう言うと、葉流は怒った顔をして、
「だから嫌だったんだ。私は、あんたなんか助けたくもなんともない。」
「なら・・・・。なんで・・。」
「・・・。国王が、『誰かを1人でも助けてみろ!そうしたら、貴様をまたこの国に戻してやろう。だが、住民どもには手が出せない。皆、貴様を怖がっているからな!!あと、一ヶ月後にできなかったら、貴様を殺すからな。』って・・・。」
「それじゃあ、僕しかいないの・・?」
「あたりまえでしょ」
「それとも、私が助からないで、ずっとこうしていろって言うの?」
「いや、違うよ!!・・・・。僕も・・・なんだ。」
「えっ」
木虎利は肩を落として、こう言った。
「・・・。僕の母さんと父さんは、国王に、刺されて殺された。僕も殺されそうになった。だけど、傷だけですんだんだ。けど、額を切られたショックで、殺されそうになったとき以外、すべて記憶が無くってね。でも、あなたが言ってた、国王の言葉は覚えている。」
「・・・・。なんでお前はこんなに時が過ぎても殺されないんだ?」
「僕は、怪我が治るまで、って言われたんだけど。こんな傷じゃあ一生治らないし・・・・。」
「・・・・・・もしかしたら。」
「なに?」
「国王は、私達が会うことを予言してそんなことしたんじゃないのかな」
「な・・・なんで?」
葉流は、冷や汗をかきながら、木虎利に言った。
「あんたには・・・。なんか能力とかない?」
「・・・・。僕は、足なら速いけど・・・・。」
「違うっ!!もっとなんか攻撃とかに使う。」
「それなら、剣ならできるよ。」
「・・・・・・!!!」
葉流は汗を流しながら、木虎利に言った。
「実は・・・・・・。」
                           弐話に続く。

2003/11/12(Wed)16:33:40 公開 / 猫子
■この作品の著作権は猫子さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
初・小説ですっ
なんとなくって思って、きつね小説ッス!
(まあ狐が好きなだけだけど。)
弐話も見てくれると嬉しいです。
それでは。
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