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『歩き出す時<1>』 作者:加古絽 / 未分類 未分類
全角879文字
容量1758 bytes
原稿用紙約4.15枚

『赤、富原選手。白、佐崎選手』

名前を呼ばれあたしは白い紐を帯の上から巻き前に出る。

脈が速くなる、体温が上がるのが分った。

頭を下げ相手と向き合った。

視線が合う―・・・

『始めっ!!』









【歩き出す時】









夏が終わりもうすぐ冬がやってくる。

寒空の下を優樹はコンビニの袋を下げのんびりと歩いていた。

休日なのだが寒いためか道を歩く人はほとんどみない。

だけど、公園の前を通ると子供数人がサッカーをしていた。

元気に走る子供たち・・・優樹は自分の足を見る―・・・


 『頑張れっ佐崎。がんばれ!!』


嫌な汗が背中をつたう、うまく息が出来ない

目の前の景色が歪み、足に力が入らない

優樹はその場に座り込んでしまった。






















何分くらい立っただろうか?

ポッケトの中から携帯を出し時間を確認する。

「あ、あの。大丈夫ですか?」

不意に後から声をかけられた。

携帯をみたら結構な時間ここに座り込んでいたことになる、

声をかけられてもしょうがない。

「大丈夫です」

顔を上げ笑顔で答え立ちあがるー・・・

「あれ・・あんた、ささき!?佐崎じゃない!!」

顔を上げるとそこには同じ学校に通っていた千倉がいた。

「うわぁ。びっくりした、久しぶりじゃん」

「だねぇ、つーか千倉何やってんの?」

彼女は大きなダンボールを抱えていた。

「見てわかんない?バ・イ・ト」

良く見ると引越しセンター<vリントされたつなぎを着ている。

「あんたの方こそここで何やってんのよ、元気なら学校来なさいよ!」

「あれ、知らんかった?あたし学校辞めたんだよ」

千倉はダンボールを落して固まってしまった。

「なんで!?」

「ははは。色々あってね」

向こうの方から千倉を呼ぶ声がした

「あ、あたしもう行かなきゃ」

千倉は優樹の持っている携帯に目を止めると

「ちょい貸してね」

携帯を手に取るとすばやくボタンを押す

「あんたと番号交換する前に学校来なくなっちゃったからね〜」

優樹に投げて返した

「あたしのメルアド入れといたから、メール頂だい。じゃ」

そういって千倉は仕事に戻っていた。

2003/11/08(Sat)20:00:38 公開 / 加古絽
■この作品の著作権は加古絽さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
読んでくださってありがとうございます。
初めての続き物です。
書くこと自体久しぶりなんですが・・・。
感想など頂けたら嬉しいです。
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