- 『親友以上のアブノーマル。 〜crazy love〜 ※百合注意』 作者:キラワケ / 恋愛小説 未分類
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原稿用紙約23.3枚
ある町ある学校ある二人の「女の子」の少し普通じゃない恋愛物語。昨日までの親友は――それ以上へと。
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私と彼女は親友だった。
幼稚園の頃からずっと一緒で、それからもずっと一緒で。
私たちは高校生になった。
賑やかなクラスの中で私と彼女はいつも一緒。
でもかつてまでは親友だったのだ。今では少し違くて、きっとそれ以上――
それはある日のこと
「ミコトちゃんっ、帰ろっ」
笑顔が眩いばかりに声をかけてくるのは同じクラスメイトで、長い付き合いで、私にとっての掛け替えの無い親友。
「そうねー……そういえばアユミは今日何か用事あるの?」
彼女の顔を覗きこむようにして私は聞いてみる。
「うーん、ないかなー? どうしたの?」
「うん、少し寄り道に付き合ってほしい……と思って、どう……かしら?」
私はその返答に不安を覚えながら問う。
断られたらどうしよう……いくらアユミでも一人の時間はあるはずだもの。
だから来てくれる確証なんてないわけで。
「うん! うん行く行くっ!」
「そ、そう! じゃあ行こっか」
「うんっ!」
兎のように跳ねるように隣を歩く彼女はとても愛らしい。
薄茶色の両側で束ねたツインテールの近づくだけでシャンプーのいい香りのする艶やかな髪も。
少し身長が私に劣ることでコンプレックスを抱いているらしい、少し私よりも小さな背も。
人形のように細い手足と触るとすべすべな絹のような触りの羨ましいほどの美肌も。
くりっとして丸く茶色の大きな瞳と、幼さを大きく残す童顔な出で立ちも。
見ているだけで癒されて、一緒に居るだけで幸せだった。
高校生まで変わらず親友だったのが嬉しくてしかたない。
そうして今日も親に急かされた英語の参考書を買いに彼女に付き合ってもらって商店街へと向かう――
この町の商店街は大きく二分されていて「食品関連」と「そ乃他」に綺麗に分かれている。
学校から半分がスーパーや青果店や精肉店が存在し、そこを抜けると日用雑貨を扱う店やジュエリーショップやゲームセンターなどが有る。
商店街の終盤へと差し掛かるとこの町最大の本屋が見えてくる。商店街を抜けた直後に存在し三階建てのその本屋の品揃えはかなりに良かった。
「ごめんね、付き合わせちゃって」
「ううん!」 暇だだったし、それにミコトちゃんと話せるからねっ!
「ありがとう、アユミ」
そうして二人店内に入って私は一つのコーナーへと向かう。
高校生向けの参考書コーナーで、私は携帯を取り出して改めて参考書の出版会社とタイトルを確認する。
それは学校推薦のものだけあって分かりやすい位置に平積みだれていて、早速にそれを見つけた。
「これね」
「あった?」
「あったわ。じゃあお会計済ませてくるね」
「了解っ、じゃあレジまで一緒にいこー」
「そうね――」
そうして会計を済ませて二人本屋を出た。短い時間で済んだとはいえ付き合って貰ったわけで……どうしようかしら。
学校帰りで三時半……丁度おやつ時ね。そうだわ!
「アユミ。お礼に何か奢るけど、何か食べたいものってある?」
「え、えっ! 悪いよ、だた私は付いてきただけだし!」
「それでも付き合って貰った訳だし、お願いっ」
両手を合わせて頼み込む。それにまだ私も物足りないのだ。
アユミと居る時間が終わってしまう事をが、結構に。
「……う、うん。わかったよ、じゃあごちそうになろうかな」
「本当に! じゃあどんなのが良い?」
「えーとね――」
それを聞いて私たちは商店街を抜けた直後の公園へと歩いた。
隣を鼻唄を口ずさみながら笑顔で歩くアユミの姿を時々に見ながら。
「はむっ」
隣に座るアユミは私が買ったクレープを大事そうに両手に持ちながら、その中心へと口をダイブさせた。
クレープを咥えながら心が浄化されんばかりに輝く笑顔で食べてくれていた。
「ミコトちゃん! 美味しいよ!」
「よかったわ」
そんな風に私へと感想を述べる彼女がなんとも可愛らしい、そしてまたクレープにかぶりつく。
見ていてなんとも抱きしめたくなる衝動に駆られる愛くるしさだった。
……まあ私は一度も抱きついたことなどないのだけども。ええと、まあ幼いころにはあった……かも。
「ミコトちゃんは何にしたのっ?」
「え、チョコバナナよ」
「チョコバナナ? ……うーん、そうきたかー、それもいいなー」
羨望の眼差しで私の手に持つクレープを眺めるアユミ……子犬のように眼を潤ませているようにも見える。
見るに見かねたわけではなく、つい私は甘く。
「良かったら食べる?」
「いいの?」
「うん、代わりにそっちのイチゴクリームを頂戴ね」
「うんっ、もちろんだよ!」
そうして私のチョコバナナのクレープとアユミのイチゴクリームのクレープを交換した。
どちらも唇の大きさ分切り取られた食べかけで……あれ、ええと。
「(これって間接……!?)」
意識した途端に顔が赤くなってしまう。アユミの唇が少し前まで触れていたクレープの生地。アユミとの間接キスと成り得ること。
……何を思っているの私は! 女同士で、親友同士でそんなこと意識することないはずよ!
落ちつきなさい、私。そう、そうよ。これはクレープよ、チョコバナナ味のクレープよ!
「はむぅっ」
アユミが私の唇が触れていたところにかぶりついた……悶々としていても仕方ないわ! ままよっ!
「……はむ」
そのアユミから受け取ったクレープは甘酸っぱい味がした。
マンガとかでは良く見るけれども……キスの味って本当に甘酸っぱいのかしら――
「(っ!?)」
いい加減にしなさい! 私はどれだけ悶々としているのよ!
「……美味しいわ」
「うんっ、ミコトちゃんのクレープ美味しいっ!」
「私のクレープって……チョコバナナ味でしょう?」
言い間違えだと間違いを正すように聞くものの、彼女は首を横に振って言った。
「ううん、ミコトちゃんの味がする」
「ちょ……っ!」
何を言っているのかしらっ、この子は!
「私の味って……」
「ミコトちゃんの味だよ、うん」
私の味ってなんなのよ――!
今の私の顔は一体どんな有り様になっているのだろうか。真っ赤に紅潮していると思う。
だから私は先程からずっと俯いているわけで。
「ねえ、ミコトちゃん」
アユミの急に声のトーンが落ちて、何か深刻そうに話題を切り出した。
「ミコトちゃんってさ……モテるよね」
「え」
私は思わずそんな声を出してしまう。どうしてそんなことを突然に聞くのだろうか。
「えと……」
「ミコトちゃんはさ――」
私が言おうとしたのを制すように続けて、そして彼女は言うのだ。
「ミコトちゃんに彼氏っているの?」
あまりにも衝撃的だった。
「なっ……!」
「ねえ、答えてよ。ミコトちゃん」
ど、どうしたらいいのだろう? 素直に答えるべきとは思うのだけど、なんでアユミがそんなことを聞いてくるのかがまったくもって分からない。
「ミコトちゃん?」
空気が変わっていく。先程までの柔らかい空気が重く鈍いものへと。
「付き合っている人が……いるの?」
「え、えと、そんなこと」
「じゃあ、なんで答えてくれないの?」
「だから、それは、あまりにも急で」
「ねえミコトちゃんっ!」
アユミがクレープを口から離して片手に瞬時の持ち変えると空いた右手で私の腕が掴まれた。
強く、肌に深く食い込むほどに。
「い、いたっ……!」
「ミコトちゃんっ! ミコトちゃんってば!」
私はその腕にのしかかるような痛みよりも、アユミの表情が気になって仕方なかった。
涙で瞳は潤んで、紅潮して、そして声も……必死に見えた。
彼女をなぜそこまでするのだろう。私が誰かと付き合っていることでなぜアユミが必死になるのだろう。
「あっ……ごめん」
「…………」
黙ってしまった。
「ごめんねごめんね痛かったよね、ごめんねごめんねごめんね」
それでも黙ってしまった。
掴まれた腕が離されて、その部分がズキズキと痛む。
「……付き合ってないわ」
ようやく声に出して言う返事。
「……本当に?」
「本当よ、私は誰とも付き合ってないし――告白はされたけど全部断ってきたわ」
付き合う理由がなかった。でも断る理由もなかった。
なぜ私は断ったのだろう、と今になって考える。でも私は何故か、それが嫌で。
「……なんで? ミコトちゃん美人だから男子に人気ありそうなのに」
「そんなことないわ。私たちのクラスは変にレベルが高いでしょう? そんな中じゃ私は」
”あの”クラスには学校で一、二位を争う文字通りの”ヒロイン”が居る。
そのヒロイン以外でも綺麗な子はいくらでも居た。
「……そんなことない」
俯き気味にして。
「え」
「ミコトちゃんはそんなことないっ! ずっと美人でっ、凄い綺麗でっ、とっても魅力的でっ! そんなミコトちゃんが――」
それで途絶えてしまった。でもその続きが気になってしまう。
なぜだろう、聞きたいのに。それを聞いたら何か道を踏み外してしまう気がする。
何かが変わってしまう気がする。それでも、私は。
「私が……何?」
聞いてしまった。
「言っていいの?」
少しの恐怖があった。一体私が何と呼ばれるのだろう。もしかして、実は親友じゃなかった――とか。
大きな不安があった。だとして、私は気になって、気になって。好奇心とも違う聞きたい衝動に駆られてしまう。
「……ええ」
そう一言答えた。
「……うん、わかった」
何か理解するように、一人頷きながら。
「きっと私は嫌われるな……ううん、さっきの私の行動で嫌われてるよね」
「そんなこと――」
私はそんなことで嫌いになんてならない!
私がそう否定する前に。
「私は……ミコトちゃんが好きだから」
その言葉からが全てが変わる。
「ミコトちゃん、私と付き合ってくださいっ」
それからは関係が変わる。かつての親友は――
これは私と彼女の変わりゆく物語。
* *
「ちょっとアユミっ」
「綺麗だよ……ミコトちゃん」
「や、ひゃんっ!」
「とっても可愛いよ、ミコトちゃん」
ここはトイレの個室の中、おそらくこの女子トイレには私たち二人以外はいないであろうその空間。
そんなトイレの個室の一つに私たちはいた。
肌と肌が触れ合う直前で、お互いの吐息が明瞭に聞こえて、火照るように頬を赤くした二人がここにはいる。
ええと……なぜこんなことになったのかしら。
* *
「ごめん……なさい」
私の前へと立ちあがって突然の告白をしてくれる彼女がいた。
そしてそんな告白を無為にも断ってしまう私がいた。
「え……」
見える彼女の表情は見る見る青ざめていく。
それは自分の言ったことで、全てを壊してしまったかのような。それに我に返って気付いてしまったような。
「え、え……」
聞き返すように彼女は私に声を漏らした。
そして次の瞬間には膝からガクリと倒れるようにして公園の決して綺麗ではない土砂の上に座りこんだ。
小柄な彼女は地面に座ったことで未だにベンチに座る私を見上げるようにして表情がゆっくりとゆっくりと消えていった。
そして瞳からは涙が頬を伝って一筋
「違うの! アユミ! 聞いてっ」
「そっか……やっぱり私は嫌われてたんだね。そうだよね、気持ち悪いよね」
「アユミ、聞いてってば!」
「女の同士なのに付き合うって……頭がおかしいよね、うん。自覚がないわけじゃなかったの」
「聞いてアユミ!」
「でもそれでも私はミコトちゃんが好きで、大好きで、好きで仕方なくて」
「だからアユミ」
「ミコトちゃんは美人で綺麗で可愛くて、きっといつか好きな人が出来て、きっと離れてしまう気がして、それで、それで――」
「話を聞いてっ、アユミ!」
「っ!」
私が声を張り上げると、また我に返ったようにはっとして直ぐに沈黙する。
すると涙腺が崩れるようにして、大粒の涙が彼女の綺麗な顔を伝って行く。
それはとても綺麗なものなのに、それは見ているだけで胸が苦しい。
「アユミ。私はあなたのことが嫌いじゃないわ、いいえ嫌いなわけがないの」
「…………」
私は彼女が、アユミが大好きだ。
いつも一緒にいて、どんな時も隣にいてくれて。どれだけ心強かったか。
「私はアユミのことが好きよ」
「………ぇ」
それは本心、私のことを好きといってくれたアユミと同じように。
「でもね、私は分からないわ。付き合って、というのが分からないの」
「それは……」
私は大人ぶっているだけの子供だから。色恋沙汰なんて今まで一切ない。だから分からない。
「アユミと一緒にいれるだけで幸せで、アユミの笑顔を見れるだけで私は嬉しいのよ」
「…………ミコトちゃん」
私にとってのそれは温かな時間で、これからもずっとそうだと良いと思い続けていた。
「分からないまま、答えて。それでふいにもしかしたらアユミとの時間を、日々を台無しにしてしまうかもしれない――そう思ったの」
「じゃあ……」
「付き合うことは出来ないけれど、私が好きなアユミと一緒にいたい。こんな答えでごめんね、アユ――」
そう言い切る前にアユミは私の胸に飛びこんでいた。
それに少し驚くものの、小さな頃のアユミのように胸の中で泣きじゃくる今のアユミが愛おしくて、両手でそっと包み込む。
「ごめんなさいごめんなさい! ミコトちゃんが遠くに行っちゃいそうで、それで私焦って、ミコトちゃんを傷つけて、困らせて……ごめんなさいごめんなさい!」
アユミは私のことをそこまで想ってくれた。
その事実に私の胸はポカポカと次第に温かくなっていく、幸せに満たされるようにゆっくりと。
「いいのいいの、私こそアユミを不安にさせてしまってごめんなさいね……私は口下手で、変なところプライド高いから」
それでもしかしたらアユミを失ってしまったかと思うと自分が憎たらしく思えてくる。
「ありがとうミコトちゃん……ありがとうミコトちゃん」
「これからもよろしくね、アユミ」
彼女の小さな頭を柔らかく抱いて、眼を瞑る。
お互いの気持ちを知ることのできた私たちはこれからどうなるのかな――
それはきっと今まで以上に私たちは幸せになれると、私は思う。
アユミ、あなたはどう思うかしら?
* *
「さっき強く握ったところ……大丈夫?」
泣きやみ顔を上げたアユミは眼の下を腫れぼったくしつつも落ちついて、そして先程のことを心配して不安気に表情を向けてくる。
「心配しないで、大丈夫よ――」
言い切ったはずなのに。
「ああっ! 赤くなってる、ごめんねごめんねミコトちゃんっ!」
「謝らないでって……気がめいってしまうわ」
「ば、絆創膏はった方がいいのかな!? ううんもしかしたら包帯かも!?」
「大げさすぎるわよ。第一、赤くなっているだけでしょう? すぐに赤みも引くわ」
「あああああああ、冷やした方がいいのかな。ど、どどどどどどどうしよう!?」
「落ちつきなさい、アユミ」
「そうだ! ミコトちゃん、こっち!」
「え、ちょっと――」
* *
そうして連れられるまま公園のトイレの個室へと。
公園にしては小奇麗な手入れの行き届いているトイレに私を連れ込むと一つの個室に私を押しこんでアユミが入り鍵を締めた。
「な、なにを……」
「こういうときは舐めればいいはず」
そんなこと初めて聞いたのだけど。
「ねえアユミ、それは一体どこで知ったのかしら。きっとそんなことは――」
「ああ、まだ赤いよミコトちゃんっ! 今すぐにでもっ」
「人の話を聞きなさいっ!」
制服の袖をまくられて腕が露わになり、少し赤みのある手首に温かくそれぢて湿り気を帯びた何かが触れた。
「あぁっ」
「これでいいと思うんだけど」
「と、良くないわよ! とにかくいいってば!」
「あ……ミコトちゃんの肌綺麗」
「え、だから舐めるのは……ひゃっ!」
それで先程へと戻る。
途中からは私の体を舐め回すようにあちこちをぺたぺたと触り始め、最初の目的を忘れるように舐められた。
……肌がべとべとってことはないのだけど、触れる度くすぐったく。ふとももの弱い私は舐められるごとに喘いでしまっていた。
改めて、ええと……なぜこんなことになったのかしら。
羞恥に悶える私と、舐められることを嬉しく気持ちいいと思う自分の葛藤の中で。
十数分の間個室に入りこんで二人過ごしていた。
……過ごす、というには少し恥ずかしい内容だったのだけど。
それでも私を好きでいてくれるアユミが嬉しくて、ついついままにされてした。
うーん、いいのかしら……これで?
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2011/07/18(Mon)00:12:44 公開 / キラワケ
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■作者からのメッセージ
某サイトで連載させて頂いているものの最初の2話分をまずは投稿させて頂きました。そして作風は基本的にゆるいです。