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『情報屋さん。二枚目』 作者:無音 / 恋愛小説 ミステリ
全角3710文字
容量7420 bytes
原稿用紙約11.75枚
学園の中にあるという『情報屋』。真人は気にも留めていなかったが、琴音と屋上で別れて生徒会室に向かう途中で奇妙な部屋を見つけた。その部屋はあの噂の『情報屋』だった―…!?そして、中に入ってみる真人…。そこに居たのは、自分から『情報屋』と名乗る少年だった。興味を持った真人が自分の情報を聞いてみると、少年の性格がすごくて―…!?
―……「情報屋さん。」

「……それでねぇ、って聞いてるの?」
「えっ?あ、うん。聞いてるよ」
今私と琴音は屋上で昼飯を食っている。まったく。屋上から飛び降り自殺があったっていうのに、普通に利用して良いだなんて……後で校長に文句を言いに行こう。こういう時は便利なもんだぜ、生徒会長の座は。
「さて、私はもう戻るからな。仕事があるので」
「えぇ〜?行っちゃうの?つまんなぁ〜い」
あぁもう、五月蝿いなぁ。私は忙しいんだよ! 生徒会の仕事で!!
「五月蝿い。私は忙しいんだ。じゃぁな」
もう行く。面倒だ。後ろから「ひどーい!!」 何て言葉が聞こえた気もするが無視。
「……ったく、付き合いきれないな。琴音には……」
はぁ。本当は嬉しいんだが、上手く言えないのだ。感謝の言葉が。困ったもんだ。
「あれ?こんな所に部屋なんてあったか?」
目の前にある扉には堂々と『情報屋。依頼、待ってます☆』なんて事が書かれている。ふざけてんのか?その文字の下には、ポストだろうか。多分そうだろう。ポストがある。
「ちょっと待て?いや、誰が待つんだ?って関係ねぇ!!」 
一人ツッコミをしてしまった。何て恥ずかしい。くそっ。
「たしかこれって、あの噂の……?」
いやいやいや! 今ちょっと「マジであんの?」なんてワクワクしてしまったぞ!?……落ち着け。あれは噂なんだ。実際にある訳が無い。うん、ないない……
「おーい。誰か居るのかぁ?」
うおぉぉい!!! 何で入ってしまったんだ!?ちょ、ちょっと考えさせて。頭がパンクしそうだ……。
しーーーーん……。
あれ?何だよ、誰も居ないんじゃねぇか。ちょっと期待しちゃったっつうの!! 
「てか、真っ暗だし。カーテン閉めてんのか?まぁ、良いや」
もう出よう。関係ないし。後でこのハッタリの部屋は無くそう。
ガラガラッ!! ピシャッ! 
あれ?扉閉まったぞ?おぉ、スゲェ。自動ドアか?
「って待てぇい!! 私はまだ中に居るぞ!?」
くっそぉ、開かない。どうしよう……真っ暗だし。えっと電気のスイッチは……
「あれれぇ?貴方、誰ですぅ?」
何だ?この部屋に人が居るのか?じゃぁ、何でさっき聞いたときに答えなかった!!ムカつくぜ……
「私は生徒会長の日暮 真人だ」
「僕は黒薔薇 遙(クロバラ ハルカ)と言います♪」
おい、今語尾に♪付けなかったか?ってか、女なのか?僕って言っていたが……あ、男か。
「今、灯り点けますね〜」
パチン!
あ、点いた。でも蝋燭だから少し暗いな。指鳴らして点けるとか、キザな奴だぜ。
「ようこそ。情報屋へ」
そう言う遙は社長椅子並みの椅子に座り、大きめな机―よく校長室にあるような机だ。―に手を添えていた。顔はフードを被っているらしく、見えない。まぁ、暗い理由もあるがな。
「情報屋って……まさか、噂は本当だったのか?」
「まぁまぁ、立ってないで座って下さいよ」
座れって言ったって、椅子なんて……あ、あった。二人座り用のソファが一つと、ガラス製のテーブルを挟んで一人用のソファがある。きっと遙が座るためのだろう。
「……で?お前があの噂の『情報屋』か?」
「えぇ〜?誰ですか?噂にしたの。実在しているのに、はぁ〜」
ん?何だ?落ち込んでる。ショックだったのか?まぁそうだろうな。例えれば、クラスで影が薄すすぎて誰も気付いてくれないのと同じだしな。
「ま、良いでしょう。それで?貴方は何用で?」
立ち直るのは早っ。つーか、本当に気にしてたのか?疑っちまうぜ。
「いや、特に無い。ただ気になったので寄ってみただけだ」
「ふぅん。まぁ、貴方ならそう答えると思っていましたよ」
あぁ?どういう事だ。意味わからん。分かる様に説明しろってんだ。この野郎。
「どういう意味だ?頼むが、私に分かる様に説明しろ」
「あぁ、それはですね。貴方が噂などに興味が無いって知っていたからですよ」
そう言うと遙は首を傾げた。顔が見えないからどんなだか分からないが、口元が笑っているから笑っているのだろう。
「なぜ知っているのだ?」
「僕には分からない事なんてありませんよ。なぁんでも、知っています♪」
また♪付けやがったな?ハッ倒すぞ?
「じゃぁ、何でさっき私のことを誰と聞いた?何でも知っているなら、私の名前くらいわかっていたのだろう?」
「もっちろん☆知っていましたよ」
じゃぁ何で聞いたんだよ! てか、今度は☆かよ!! 
「知ってたのかよ。では聞こう。私の事をどこまで知っている?」
そう聞くと遙は立ち上がって一人用のソファの方へ移動してきた。お、楽しみだな。
「分かりました。はいっ♪」
また♪……って何だこの手は。今直ぐ引っ込めろ。
「何だよ、この手は」
「何って……ここ、有料ですから」
口元が笑ってる。どんな顔してるんだか……って今は関係ないだろう!! 有料って、金取るのか!?
「金払わなきゃいけないのか?」
「えぇ、もちろん。……あ、でも。貴方は手紙を入れてないですよね?」
手紙?あぁ、ポストに入れなきゃいけないのか。もしかしてあのポストは、依頼の手紙を入れるものだったのか。うっかり郵便ポストかと。あ、でも。あんまり変わらないか。
「入れていないが?入れなきゃ教えてくれないのか?」
「本当は手紙を入れて僕がどの依頼を受けるか決めるんですが……貴方は分からないで来てしまったので仕方ありませんね。今回は初回サービスということで無料にしますよ」
遙は親指を立てて言った。意外と明るいキャラだな。うん、良いことだ。
「あぁ、サンキュー。じゃぁ教えてもらおうか」
「えぇ、良いでしょう」
おぅおぅ、さて……どんな答が返ってくるんだか。
「旭学園、1年3組。出席番号18番。年齢は16歳。彼氏いない歴16年、友達は一応同じクラスの小谷 琴音さん。身長164cm。体重48kg。1年生にして生徒会長を務めている。その権力を使って暴力を振るう姿もしばしば……本人はあくまでそんな事は無いと思っているらしい。まったく、調子が良い人だ。迷惑に思っている生徒も居るというのに、気にしていない神経の図太い持ち主。成績優秀で学年トップをキープしているが、いつしかは抜かされるだろう。余裕ぶっこいているのは今の内だけ。後で泣きをみるかもしれないというのに。ちなみに、何故彼氏が居ないかというと、その男勝りの性格がゆえに、暴力は振るう、暴言は吐く、ごめんなさいと命乞いをする生徒の言葉を無視して容赦なく止めをさす。それが、彼氏居ない歴16年の理由。誕生日は19XX年、7月10日。出産時刻は夜の20時15分。その時の体重は、3600kg。家は道場で昔から武道を習っている。その中でも得意なのは空手。今は弟子もいるほど凄い。いや、凄いのは道場であって、真人さん自身ではないだろう。つーか、自分は凄いって自惚れのもいい加減にしろと思ってしまう。でも、琴音さんの証言によれば、弟子たちは皆、真人さんみたくなりたくて来ているらしい。へー、じゃぁやっぱり真人さんは凄いんだぁ。関心関心。家族構成は父、母、祖父母、姉、そして真人さんの6人家族だ。姉は凄く女の子らしくて可愛らしい。それでも剣道を習っていたので強い。しかし、そんな彼女でも彼氏は居る。真人さんとは大違いだ。ちなみに姉は妹である真人さんを溺愛している。おぉ、これがシスコンというやつか。でも真人さんは、それが嫌らしく冷たい。まったく、感謝の気持ちを持って欲しいものだ。最後に、スリーサイズは―……」
「うわあぁぁ!! それ以上は言うなあぁ!」
「あ、はい。分かりました」
ってか何なんだ! 聞いていれば毒舌を言いやがって! お前、酷いとは思わないのか?つーか、何で出産時刻まで知ってんだよ!! しかもスリーサイズまで……
「お前、そんなの何処から調べたんだ?」
「それは内緒です☆」
おーおー、言ってくれるじゃねぇか。このくそピ―――……野郎が。
「ふっふっふっ、ではもう用はないですね?」
あぁ?何だ?客をあっさり帰すのか?
「あぁ、ねぇよ。じゃぁな」
ったく、いらん時間を潰してしまった。早く戻らないと……キーンコーン……カーンコーン
「あ、午後の授業開始のチャイムですね」
えぇ!?まさか昼休みをここで過ごしてしまったのか!!?くっそぉ〜……
「開始って……次は体育だ! 着替えてねぇ!!」
「あぁ、じゃぁ急いだほうが良いですね。体育の先生、今日は機嫌が悪いですから」
テメェ、何笑ってやがる。そのフード取るぞボケ。
「分かってるよ!じゃぁな!!」
「はいはい、出でッた出でッた」
「わっ! ちょ、背中押すなよ!」
ドンッ!! 
痛ってぇ〜押しやがって……軽く廊下に鼻打ったぞ。
「では、またのご来店お待ちしてまーす!」
ガラガラッ! ピシャァ!!
……おい、閉め出しやがったな。客だぞ、一応。丁重に扱えっつうの。
「って、こうしちゃいられねぇ!!!」

―…
私は案の定、体育の授業に遅れた。いつもは熱血的だがとても優しい体育の先生に怒られる始末。遙の言ったとおり、今日は機嫌が悪い。はぁ、最悪だ。

 * * *
                                                       「ふふっ、ダサいですね……日暮 真人、さん」
情報屋の部屋から窓の外に居る1年3組の真人が怒られている様子を楽しそうに眺めながら呟く遙であった。



 情報屋さん。二枚目 完
2011/03/26(Sat)15:37:30 公開 / 無音
■この作品の著作権は無音さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ

はい、二話目です!
まだまだこれからですので、頑張っていきたいとおもいます!!
この作品に対する感想 - 昇順
 こんにちは。
 感想以前なのですが、このような続き物を連載するときは、新規投稿にはせずに前の投稿分の続きに付け足す形で更新していくことになっています。
 前回の感想でも他の方が言われていたことだと思いますが、規約を良く読んで理解してから投稿するようにしてください。
2011/03/26(Sat)16:26:540点天野橋立
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この作品の投稿者 及び 運営スタッフ用編集口
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