- 『カオス』 作者:kisukun / リアル・現代 未分類
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全角1602文字
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原稿用紙約7.65枚
私と彼。日本人の私と韓国人の彼についての実話です。
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「彼のことが好きですか?」
そう聞かれると、言葉に詰まる。
「彼のことを愛していますか?」
そう聞かれても、言葉に詰まる。
私と彼の関係は、言葉に表すことのできない感情で作られている。
私が彼と出会ったのは、共通の友人の電話がきっかけだ。
「私の友達と一緒にタンゴ弾いてくれない?」
タンゴの大好きな私は、2つ返事で引き受けた。
それが韓国人ピアニストの彼、きす、日本人バイオリンニストの私、圭子が出会ったきっかけだった。
私は、現在もドイツのH音大で勉強している。
きすとはドイツ語で会話している。
当時、私には忘れられない彼がいた。
そして、私は忘れられない彼を忘れるために韓国人ピアニストの彼を誘い、付き合うことにしたのだった。
その2日後、彼の母親がドイツに来て、2ヶ月もの間滞在した。
その間に、私はきすと別れた。
なぜなら、きすにとって私は遊びだったからだ。
彼にも、私と同じように忘れられない人がいたからだった。
ここで終わりにすればよかった…。
でも、私は彼とタンゴを弾かないといけなかった。
弾く、弾かない。
彼ともめにもめた。
だけど、私は彼と一緒に弾くことにした。
しばらくして、私はポーランドの講習会に行った。
ポーランドで、私は、考えていた。
彼と付き合いたい、と。
そして、ポーランドから帰って、私は彼と付き合うことになった。
当時、私の体重は、彼よりも20キロ上回っていた…。
彼は、私に言った。
痩せるように努力しろ、と…。
それから3ヶ月経って、私は10キロ痩せることに成功した。
そして、彼と別れた。
きっかけは、彼の嘘だった。
彼と別れて、私はとても楽しい生活を送った。
体重は5キロ増えていた。
でも、ある日、韓国に帰っていて音沙汰のなかった彼から2ヶ月ぶりに電話があった。
その電話がきっかけで、私は、彼とよりを戻すことになった。
そして、私はさらにスポーツとダイエットに励んで、彼と正式に付き合ったときから、約9ヶ月間での16キロダイエットに成功した。
20キロの体重差は、きすの努力の成果もあり、彼のほうが私よりも2キロ上回ることに成功した。
現在も努力を続けて、私はあと4キロのダイエットに励んでいる。
私と彼が付き合ってきた中で、色々とつらいことがあった。
彼は付き合った当初、常に言っていた。
「韓国人の全員が俺と圭子が付き合うことに反対してる。」
と…。
いつも彼はとても色々なことを私に言った。
でも、私は、耐えた。
耐えぬいていた。
当時、私の心には別の人、きすの心には別の人がいた…。
でも、私は決めていた。
世界中で一番好きな彼のことを忘れよう、と。
そしてきすが彼女のことを忘れられるように努力しよう、と。
私は、誰よりも努力して、ダイエットに成功した。
そして、尽くし続けた。
愛情を持って。
それは、きっと母性愛だっただろう。
きすは傷ついた野良猫のようだった。
それは、私も同じようだった。
前の恋愛で私もきすも相当な傷を負っていた。
だからこそ、私は、彼と2人で互いの傷を乗り越えられたのかもしれない。
ものすごいののしりあいをした。
彼に彼の問題点を見せつけたりもした。
とても長い喧嘩をしたりもした。
でも、いつも手をつないで眠っていた。
喧嘩しても、必ず仲直りした。
彼と知り合って1年。
お互いの心をぶつけあった結果、私は彼と深い絆で結ばれている。
普通ではありえないくらい激しい喧嘩をしたりしたし、誰よりも仲良くなったりもした。
だからこそ、私はただ一言、彼を好きだ、とか、愛してる、とか私は答えることができない。
誰よりも彼が特別な存在だからだ…。
「あなたにとって、きすという存在は、どういった存在ですか?」
この質問をされたとき、私はきっとこう答えるだろう。
「誰よりも大事な存在です。」
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2011/01/09(Sun)00:50:20 公開 /
kisukun
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■作者からのメッセージ
実際に私が体験したことを書いた、私小説です。
長らく書いていないのと、3年も日本に帰っていないのでつたない文章ですが、読んでもらえたら嬉しいです。