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『ギタリスト』 作者:海里 / リアル・現代 恋愛小説
全角3526文字
容量7052 bytes
原稿用紙約11.9枚
「私、ギタリストの指を、舐めるのが好き。」
 遼介は一瞬、動きを止めた。
 胸のふくらみに押しつけられた遼介の細い髪の毛を弄びながら、ああやっぱり言わなきゃよかったかな、と少し後悔した。
 遼介はむっくりと身体を起こすと、私の目をのぞき込んできた。
 ベッドのスプリングがきしむ。

 ギタリストの指先は、皮膚が硬くなっている。
 エレキギターにしてもアコースティックギターにしても、弦を押さえる左手の指が硬化するのだ。
 毎日あの針金みたいな弦を押さえつけていたら、皮膚も硬くなるだろう。
 例に漏れず、遼介の左手も、人差し指、中指、薬指、小指の先の皮膚ががっちりと層をつくっている。
 テーブルをはじくと、乾いた音を立てるほどだった。

 私はひろい海にぽっかりと浮かぶくじらの背中を眺めるような気持ちで、遼介の一重まぶたを見つめた。
 青白い。
 瞬くたびに透けた血管が動いている。
「ぼくは女の子の目玉を舐めるのが好き。」
「目玉?」
 思わず聞き返してしまった。
「そう、目玉。どっちかって言うと右目が好きだな。」
「へえ、」
 ひとの好みは十人十色、とは言うけれど、眼球が好きな人間なんて初耳だ。
 いや、スプラッタホラーの世界にはうじゃうじゃいるのかもしれないが、こんな身近に存在するとは思わなかった。
 もっとも、私の趣味も決してひとに言えたものじゃない。
「舐めてもいい?」
 遼介が挑戦的に見下ろしてきた。目玉を舐めることで彼が興奮するなら、差し出してみよう。
「うん。いいよ。」
 あぐらをかいた遼介のひざの上に乗り、目を見開いた。
「沙希は、コンタクト入れてる?」
「ううん。裸眼。」
「よし。どんな味かな、」
 遼介の舌が近付いてくる。視界いっぱいに、生々しい肉のいろが広がる。
「……怖くない?」
 舌が、私の右側の眼球から急速に遠ざかる。

 締め切ったみどりいろのカーテンの隙間から、これでもかというほど真っ白な陽射しが漏れている。
 遼介の髪の毛の輪郭が、逆光を受けて透き徹っていた。
 今はいったい何時だろう。
 今日は、何曜日だっけ。
「沙希、怖くないの?」
「え、何が、」
「目玉を舐められるのがさ。怖くないの?」
 怖い、という感覚はなかった。
 遼介は不安と不満を頬に乗せている。
 私は幾分、首をかしげて、遼介の一重まぶたを見上げてみた。
「私を、怖がらせたいの?」
「……まあいいや。」
 遼介はそうつぶやくと、私のくちびるをぺろりと舐め、まぶたにもキスを落としてきた。
「目、開けてみて。」
「うん、」
 そろりそろりと目を開けると、視界はふたたび肉のいろで埋め尽くされた。
 遼介の舌だ。
 舐められているのか、舐める寸前で焦らされているのか、あるいは舌先が触れているだけなのか、全く触感がない。
 左目の視界のなかは、遼介の骨張った肩のカーブとみどりいろのカーテンと白い一筋の光だけだ。
 ふっ、と遼介の身体が離れた。
「どう?」
「どう……って言われても。すごく変な感覚よ。舐められてるのか、そうじゃないのか、分からない。」
 正直に言ってやると、遼介は声を上げて笑った。
 私もくすくすと笑ってみた。
「じゃあ、沙希も舐めてみる?」
「……目玉を、」
「そう。ぼくの目玉を。」
「……うん。」
 頷いて、少しひざを立てて遼介のまぶたに舌を這わせた。
 舌先に唾液を含ませて、眉毛や鼻筋をたどる。

 遼介の肌は息づく陶器のようにしっとりとしていて、舌で触れているだけで気持ちいい。
 女の身からしたらうらやましくて仕方ないが、遼介はけらけら笑うだけだろう。
 私は力を抜いた舌で頬をなぞり上げてから、もう一度、まぶたを舐めた。
 遼介の一重のまぶたがゆっくりと開く。
 舌を、遼介の左の眼球に押しつけてみた。
 歯が当たらないように気をつける。
 眼球は茹ですぎて固くなった卵の表面のような、ポケットのなかで温めたビー玉のような、不思議な感触だった。
 涙で潤っているはずなので塩の味を期待したが、これといった味はなかった。
 たまに舌先に当たる睫毛の存在が、違和感となって脳に伝達される。
 そうやって、遼介の眼球の上で舌を往復させ、身体を離した。
「遼介、本当にこれが好きなの?」
 怪訝な表情をした私を見て、遼介はまた大笑いした。
「まさか。冗談だよ。きみが怖がるかと思って試しただけ。」
「……バカ?」
「ははは、」
 屈託なく笑い転げる遼介を無視して、私はベッドサイドに目を移した。
 とうに目覚ましの時間を告げ終え、静かに点滅しているデジタル時計。
 今からでも大学に行かなくちゃ、今日はどの教室で何の授業だっけ、ああその前にシャワーも浴びたい、などとぼんやり考えながら、無機質な時刻表示画面をのぞき込む。
 すでに、午前11時だった。

「あーあ、だるいな。ぼくは休むことにしよう。」
 私のはだかのままの腰に手を回しながら、遼介がつぶやいた。
「勝手にすれば。」
「きみは冷たいなぁ、」
 ことばとは裏腹に、私は遼介のくちびるにキスをした。
 まだ、まだ抱き合っていたい。
「きみは正直だなぁ。」
 のんきなふりをして、遼介のくちびるが応える。
 唾液がしたたるのも気にせずに接吻を続ける。
 互いに舌を絡め取り、舐め合い、吸い上げる。どちらのものともつかない吐息が漏れる。
 みどりいろのカーテンの向こうは、とうに真昼の光にあふれていた。


   *   *   *



 結局、夕方になってから遼介のアパートを出た。
 スーパーに寄って、ひとり分の食材を買う。
 途中で胡椒を買い忘れたことに気付いたが、引き返すのも億劫だったのでそのまま自宅へ帰った。

 午后2時過ぎにようやくシャワーを浴び、だらだらと続くテレビのワイドショーを見ながら、遼介が作ってくれた茶漬けを食べた。
 白飯の上に鮭をほぐし、もみ海苔と塩、そして胡麻を擂ってふりかけて、煮出した烏龍茶をなみなみと注ぐ。
 市販されている茶漬けの素を使わない茶漬け――しかもお湯ではなくきちんとお茶を注ぐ――を初めて食べたのは、遼介とふたりで食事する関係になってからだった。
 遼介はかなりの料理好きだ。
 私が手伝おうとしても、うるさそうにキッチンを追い出されてしまう。
 ある朝にはレモン風味の海鮮炒めと味噌汁、ある昼にはスープとサラダ付きのオムライス、ある夜にはボロネーゼスパゲティ。
 自炊をまったくしていなかった私にとって、衝撃的な料理ばかりだった。
 遼介と躰を重ねるようになってから、私は料理を始めた。
 外食ばかりだった私のアパートにはまな板と包丁すら無かった。
 半年ほど前に、遼介に頼んでホームセンターに付き合ってもらった。
 初心者にはこれぐらいがちょうどいいよ、と選んでくれた包丁と、必要な食器を買って、アパートに帰った。
 遼介に促されてキャベツの千切りをして、玉葱をみじん切りにして、泣きながらハンバーグを捏ねた。
 ぼろぼろに崩れてしまった焦げ臭いハンバーグを、遼介は完食してくれた。
「おいしかったよ、ごちそうさま。」
 遼介はそう言い残して、私のアパートを後にした。
 彼は、自宅以外では決してセックスしない人間だった。理由は分からない。

 そんなことを思い返しながら、私は買ってきたばかりのナスと豚肉を炒め、塩と醤油で味付けた。
 やはり胡椒を買ってくれば良かった、と後悔した。
 炊いたご飯を盛り、豆腐とネギの味噌汁をテーブルに運んで、口に流し込む。
 あのときのハンバーグに比べれば、かなり上達したと思う。

「ねえ、そろそろ、……雪奈が来るんだ。」

 夕方、遠慮がちに切り出した遼介のはにかんだ笑顔が、頭から離れない。
「じゃあ、私は帰るから。彼女と楽しみなさいよ。」
 なんて虚勢を張ってみるのも、いつものことだ。

 遼介と買った食器を流しに運んで、スポンジに泡を立てて丁寧に洗う。
 遼介は今ごろ、かわいい彼女と夕食を作っているんだろう。
 狭いキッチンに並んで立って、ふたり分の夕食を盛りつけているんだろう。
 当然だ。
 彼女は、遼介の彼女なんだから。

 食器を洗い終えて、煙草に火を付ける。
 フィリップモリスのメンソールは、遼介の好きなミュージシャンが吸う銘柄である。
 ……遼介、遼介。
 私の生活は、一方的に遼介だらけだな。
 煙草のけむりと一緒に自嘲してみる。

 テレビを付けてみても、下らないバラエティ番組しか流れていない。
 私はコンポの電源を付け、ジュエルのCDをかけた。
 つま弾かれるアコースティックギターの音と、ジュエルのやわらかで力強い歌声を聞きながら、私は少しだけ、泣いた。
2010/07/14(Wed)19:53:27 公開 / 海里
■この作品の著作権は海里さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
初投稿です。お読み下さりありがとうございます。

大学生の恋とセックス、をテーマにしてみました。
実は私自身もリアルタイムで恋をしています。

感想、評価などして下さると嬉しいです。びしばしと、よろしくお願いします。
この作品に対する感想 - 昇順
今晩は、海里様。せんだいかわらばんと申します。初めまして。御作を読ませていただきました。
私は短編を書いたことがないので、的を外しているかもしれませんが、感想を述べさせていただきます。
最初読んだときには、何とコメントを書いていいのかわかりませんでした。何というか、無難にまとめているというか。裏を返せば抑揚があまり感じられないというか。
可もなく不可もなくといった感じでした。
リアルタイムに淡々と物語が進行しているような感じで、それがコメントの書き込みを躊躇わせたのでしょう。
御作のテーマは恋とセックスということですが、思うにそのテーマの掘り下げが足りないのではないでしょうか? 恋やセックスがテーマなら、主人公の女の子と雪奈のドロドロとしたところを徹底的に書いてみるとか。そうした状況を交えて心理描写を書いていけばもっと深みのある作品になるような気がします。でもそうするとタイトルとの整合性も取れないような気もしますし。
要は、恋やセックスを通じて何をおっしゃりたいのかが私には伝わってこないのです。
気の利いたコメントが出来なくてすみません。
登竜門にはすごい書き手さんが大勢いらっしゃいますので、ぜひご一読いただいた上でコメントを残されてはいかがでしょうか? 私などよりより的確な感想をいただけるのではないかと思います。
それでは頑張ってください。
2010/07/15(Thu)23:08:540点せんだいかわらばん
 面白かったです。とても綺麗にまとまっているし、江國香織のような透明感が僕は好きです。本来どろどろしてしまいがちな題材を淡く薄めて綿に染み込ませるような表現の小説は、ちょっと疲れた時に読むといいですね。
 大学生の恋とセックスがテーマとのことですが、僕はちょっと違うなという印象を受けました。あえてテーマを挙げればこれはモラトリアムだと思います。結局どうしようもない、望むような結末に至らないと知って尚、結論を先延ばしにする恋愛。大学生という立場はまさにモラトリアムそのもので、寂しさとほのかな期待が入り混じっています。
 海里さんの長編を読んでみたいとも思いますが、こんな調子で短編をいくつか書いてもらいたいという風にも思います。それではまた。
2010/07/16(Fri)00:34:221プリウス
こんばんは、初めましてー。もげきちと申す者です。御作拝読させて頂きましたー
さてこの作品に出てきた沙希さんは本当に凄く凄く遼介さんの事が好きなのでしょうか? ただ何となく好きで身体を預けているだけで満足する関係は確かに気持ち良く、相互にとって都合が良いものですが――何も残りません。このままだと、結局ただの自然消滅で終わりそうで、どこか釈然としない読後感がありました。それどころかバレずに済んだと遼介がほっと息を吐いて安心している姿が出てきてむかつきました(笑) 自分としてはそんな男を追い詰める情念。泣いた、悔しい。でも、「いつか」を信じてずっとこの男を待ってやる! そんな覚悟を、どこかドロドロとしたものを、この綺麗な文章の中で見たかったです。
本当正直、自分が本気で怒った友人が、沙希さんのように都合を分かってくれていた上で、黙って居てくれるような「最高に男にとって都合の良い女!」だったので心配です。そして出来れば、そんな「ただ理解がある」だけの自己解決悲劇型女性に沙希さんはなって欲しくない。そう思ってしまった変な男の感想でした。
でも、まぁ綺麗事だけで片付けたくなるのは高校生、大学生の性なのかな? 私は嫉妬しない。とか言ってる娘だっているしなぁ。明らかに嘘だったけど(笑)
表面だけでカッコつけるか、それから脱皮し自分自身のドロドロとしたものと向き合い、色々な意味で恋愛するか。その境目に居るのがその年代だと思うので、これから海里様が良い恋愛をなさって幅がドンドン広がっていけば! と応援しております。
ととと、長々と好き勝手に感想を失礼しました。ではでは海里様の次作を楽しみにしつつ失礼します
2010/07/16(Fri)02:31:070点もげきち
とてもイマドキで、盤麺(ギタリスト)との”都合の良い”セフレ関係とか。”それでいい”と思います。あとは「雪奈」は”誰か女性が入っている”のを気付いてるんだろうな、と。そっちの方を色々考えてしまいました。
2010/07/16(Fri)04:19:581砂漠
 はじめまして。作品読ませていただきました。
 僕も江國香織のような雰囲気の小説だなと思いました。主人公のわずかな心の揺れが、繊細な文章で書かれていて、なかなか良かったと思います。文学寄りのおしゃれな短編として、綺麗にまとまっていると感じました。
 恐らく海里さん御自身も良く分かった上で書かれたのだと思いますが、これは二人の女のドロドロを書き込んだりしては心理描写として全く浅いものになってしまう作品だと思いますので、このままで良いのではないでしょうか。
 つまらないことですが、鍵括弧の文末の「。」は不要とされているようです。
2010/07/16(Fri)07:31:460点天野橋立
せんだいかわらばん様

ご感想、ご意見を頂きましてありがとうございます。

>何というか、無難にまとめているというか。裏を返せば抑揚があまり感じられないというか。
>可もなく不可もなくといった感じでした。
>リアルタイムに淡々と物語が進行しているような感じで、それがコメントの書き込みを躊躇わせたのでしょう。

私自身、無難にまとめたと感じていました。
もともとは友人(ギタリストで指先が硬い)をモデルに思いついた題材だったので、ストーリーが後付けになってしまいました…。
コメントを下さって、とても嬉しいです。

>御作のテーマは恋とセックスということですが、思うにそのテーマの掘り下げが足りないのではないでしょうか?
>状況を交えて心理描写を書いていけばもっと深みのある作品になるような気がします。

女主人公と「雪奈」のどろどろ。
これについては、実は登場人物各々が自分の“どろどろの感情”をもてあましてしまう、という方向で一度書いてみたのですが、
なんともうまく表現できず、今回のような形にまとめてしまいました。
「深みのある作品」、憧れです。
次は、心情描写を重視してみたいと思います。

>でもそうするとタイトルとの整合性も取れないような気もしますし。
タイトルは、最後まで悩みました。
結局、欲望のままに生きることに苦悩する遼介(という描写もせずに皆さまに任せてしまいましたが)、つまりギタリストに焦点を当てていただければ、という気持ちでタイトルを付けました。

>要は、恋やセックスを通じて何をおっしゃりたいのかが私には伝わってこないのです。
な、なるほど……。
これは、完敗です。
私はまだ21年しか生きていませんが、今感じていることを文章にこめたつもりでした。
これは今ことばで説明するよりも、今後の作品で表現していけたら、
そしてせんだいかわらばん様に「こういうことが言いたかったんですね!」とおっしゃっていただけるよう、精進いたします。

たくさんアドバイスを下さり、本当にありがとうございました。
今後とも、ぜひよろしくお願いいたします。
2010/07/16(Fri)23:14:440点海里
プリウス様

ご感想、ご意見を下さって、ありがとうございます。

>面白かったです。とても綺麗にまとまっているし、江國香織のような透明感が僕は好きです。
>本来どろどろしてしまいがちな題材を淡く薄めて綿に染み込ませるような表現の小説は、ちょっと疲れた時に読むといいですね。

「淡く薄めて綿にしみ込ませるような」……非常に優しい表現ですね。驚きました。
江國香織さんだなんて、身に余ります。
お世辞でも、「透明感」があるとおっしゃって頂けて、とても嬉しいです。
お恥ずかしながら、江國さんは1冊しか読んだことがありません。明日にでも図書館から借りてきて勉強したいと思います。

>あえてテーマを挙げればこれはモラトリアムだと思います。
>結局どうしようもない、望むような結末に至らないと知って尚、結論を先延ばしにする恋愛。
>大学生という立場はまさにモラトリアムそのもので、寂しさとほのかな期待が入り混じっています。

プリウス様、千里眼かと思いました。
結論を先延ばしにする恋愛、まさに、この小説でもそうですが、私含め周囲の大学生はみなそのような色合いの恋愛をしています。
モラトリアム、ということばについて、もっと調べてみます。
いつか確固としたメッセージをもった作品を作り上げてみたいです。

>海里さんの長編を読んでみたいとも思いますが、こんな調子で短編をいくつか書いてもらいたいという風にも思います。
本当に、ありがとうございます。
このような温かいお言葉を頂いて、ますます創作意欲が湧いてきました。
今後とも、ご指導いただければと思います。よろしくお願いします。

********** 

もげきち様

ご感想、ご意見を下さり、ありがとうございます。

>作品に出てきた沙希さんは本当に凄く凄く遼介さんの事が好きなのでしょうか?
>どこか釈然としない読後感がありました。
>バレずに済んだと遼介がほっと息を吐いて安心している姿が出てきてむかつきました(笑) 

主人公は、私のなかでは「都合のいい女と分かっていても遼介への思いから逃れられない自分、を認知しつつ嫌っている女性」です。
遼介は「欲望のままに生きている自らを受け入れる周囲の人間が信用出来ない自分、を認知しつつそれもひとつの賢い生き方だと言い聞かせている男性」のつもりです。
釈然としない読後感、これはおそらく、ストーリーの作り込み不足からではないでしょうか。
私自身、深く反省している点です。

>覚悟を、どこかドロドロとしたものを、この綺麗な文章の中で見たかったです。
そうおっしゃっていただけて、とても励みになります。
実はどろどろしたバージョンもございますので、もっと練ってから日の眼にさらしたいと思います。

>「ただ理解がある」だけの自己解決悲劇型女性に沙希さんはなって欲しくない。
自己解決悲劇型、これは耳が痛いです。
この主人公「沙希」には表面上、そうなってもらう予定だったからです…。

>でも、まぁ綺麗事だけで片付けたくなるのは高校生、大学生の性なのかな?
うっ……、とことばにつまってしまいます。
私も大学生で、自己解決悲劇型にどうしようもなく惹かれてしまうんですね。悲しいうえに美しいので。

>表面だけでカッコつけるか、それから脱皮し自分自身のドロドロとしたものと向き合い、色々な意味で恋愛するか。
>これから海里様が良い恋愛をなさって幅がドンドン広がっていけば! と応援しております。
アドバイス、そして応援してくださり、本当に、ありがとうございます。
実生活でもあまり幅の広い恋愛はしておりませんので(苦笑)、様々な物語に触れて経験値を上げていきたいと思います。
どろどろしたものともっともっと向き合いたいです。

今後とも、ご意見など頂けたらとても嬉しいです。
2010/07/16(Fri)23:44:500点海里
砂漠様

ご感想を下さって、ありがとうございます。

>とてもイマドキで、盤麺(ギタリスト)との”都合の良い”セフレ関係とか。
>”それでいい”と思います。
作品を肯定してくださって、嬉しいです。ありがとうございます。
イマドキ、とは意外でした。「都合のいい関係」以上のものを描きたいと思っていましたが、みごとに沈没しました。
精進します。

>あとは「雪奈」は”誰か女性が入っている”のを気付いてるんだろうな、と。
それについても、もっと書き込んだらどろどろした部分にせまっていけたかな、と反省しています。
同じテーマで書くときには、自宅でしかセックスしない「遼介」、という部分もクローズアップして、さらに練っていきたいと思います。

もしもまた読んでいただく機会がありましたら、アドバイスしていただけると嬉しいです。
本当に、ありがとうございました。

*********

天野橋立様

ご意見、ご感想ありがとうございます。

>僕も江國香織のような雰囲気の小説だなと思いました。
>文学寄りのおしゃれな短編として、綺麗にまとまっていると感じました。
江國香織さん、とは恐縮を通り越してただただ驚きです。
文学より、とおっしゃっていただけて、とても嬉しいです。エンターテイメントよりも文学を目指しているので励みになります。

>これは二人の女のドロドロを書き込んだりしては心理描写として全く浅いものになってしまう作品だと思いますので、このままで良いのではないでしょうか。
他の方々とはちょっとちがったご意見ですね。
私自身は、心理描写は「沙希」のものだけに止めることで、「遼介」や「雪奈」の“他者感”が引き出せればなぁ、なんて軽い気持ちでしたが、
ある程度深みを感じてくださったなら、とても嬉しいです。
より、自分の作品を捉えやすくなりました。
心情表現について、さらに磨いていきたいと思います。

>鍵括弧の文末の「。」は不要とされているようです。
これに関しては、私の敬愛する長野まゆみ先生が言い切りや命令のときには「。」、疑問や間延びする場合には「、」というふうに鉤括弧内の文末を書いてらっしゃるので、真似してしまいました。
憧れだけで真似するのはあまり褒められたことではありませんね。
今後、自分の作品に応じて使ってみたい(削除していきたい)と思います。

丁寧にご感想を書いてくださり、ありがとうございました。
今後も、ぜひよろしくお願いいたします。
2010/07/16(Fri)23:57:420点海里
合計2
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