- 『本と友達』 作者:KISEKIandTENNMA / リアル・現代 未分類
-
全角5633.5文字
容量11267 bytes
原稿用紙約19.4枚
読書部の楽しい話です。
-
第1章、読書部の部員
キ―ンコーンカーンコン
帰りのHRの終了の合図だ。
「えーそれじゃあ気をつけて帰るように」
優助、今日も部活か?」
「うん、そうだよ。」
「そっかぁじゃあ先帰るわ」
今のは、結構仲がいい慶介だ。
ザワザワそれぞれ荷物を整理して、帰ったり部活に行ったりしている。
僕、幾田優助もここ宝林高等学校の部活に所属している。
文化部だ。何の部活かというと、読書部だ。活動内容は、みんなで読書や、執筆したりする。読書部が出している、本は結構人気だ。部員は、全部で3名みんな同学年だ。林美希、活発で元気な女の子だ。喧嘩が強くて、いつもタイマンを申し込んでくる。あと忘れちゃいけないのが、近藤桜、世界有数の財閥である、近藤財閥のお嬢様だ。あと、桜は僕の事、優助様と呼んでくる。優助でいいんだけどね。最後に、部員じゃないが、結構仲がいい慶介だ、不良だけどいい奴だ。
「ねぇ優助、読書部行かないの? 」
後ろから、美希が呼びかけてきた。
「ごめん、ぼーとしてた。」
「もう、早く来てよ、優助が来なきゃはじまんないんだからね。」
軽く、美希が怒っている。それにしても小さいよな、髪はポ二テールで可愛いけど、これは、僕の習慣なんだけど、女子の胸を一瞬だけ見てしまう……美希は……小さいな
「あんた、失礼な事考えているでしょう?」
美希が睨んで来た。
「え? そ、そんな事考えてるわけないだろ? 」
慌てて目をそらした
「嘘! 今胸見てたでしょ! それでどうせ小さいとか思ったんでしょ? 違う?」
くっ勘のいい奴だ。
「考えてないって! 」
「ふん。どうだが」
美希は、怒って先に行ってしまった、俺も小走りで部室連に向かった。
部室連は校舎の半分くらいの建物だ、建物の一室に読書部がある。
読書部の部室の前についた。ガラガラ、ドアを開ける。部室は10畳くらいの広さで、本棚が10個ぐらいある。本棚には、シャーロックホームズの冒険や三国志などたくさんの本が並んでいる。
「優助様、めずらしく遅かったですわね」
部員の桜だ。胸はデカイ……
「ごめんね、桜、ちょっと教室でぼーとしていた。」
「まったく!あんた来なきゃ始まんないってのー」
美希の口がへの字に曲がっている。
「あら、別にちょっとくらい遅れてもいいじゃありませんか」
桜が、美希を睨みながら言った。
「良―くーなーい」
桜を睨み返した。
「まあ終わった事をしつこいですわね。チビすけ」
微笑を浮かべながら、また睨んだ。
「なんだと! 人のコンプレックスを……この乳娘が! 」
「なんですって?」
「まあまあ。ゴメン、ゴメン」
「で? 今日の名言の話合いは何? 」
名言の話合いとは、ストーリの名言を話し合うのだ。バカらしいかもしれないけど、結構役に立つ。普段の生活や考えるときに役に立つのだ。読書部、創部からの伝統で一応やっている。
「今日の名言は、『不可能な真実を除外していって残った物が、例えどんなに信じがたくとも、それが本当の真相である。』にしよう。」
「あー知ってるよ、それ」
「私も存じていますわ」
「OK、じゃあ誰の言葉でしょう?」
「シャーロックホームズだ!」
「シャーロックホームズですわ」
よしよし、二人とも知っているみたいだな。
「このセリフについてどう思う? 」
「うーんと、その通りだと思うよ。たださぁ」
「ただ何? 」
「これってイコールさ、例え、自分の奥さんや息子でも犯人でも警察に突き出すてことだよね? だったら、私はあんま好きじゃないなぁ」
「うん、確かにね、桜は? 」
「うーん」
首をかしげながら考えてた、
「でも確かにそうですわね。ただ不可能な真実って指紋とかDNA鑑定とかならよろしいと思いますけど、人の想いとか、わからないと思いますわ。」
「うん、僕もそう思う」
僕は、あいづちをうった。
「あーそれ私もそう思う、人の想いって機械じゃ測れないもんね」
「確かに、これはあくまで僕の推測だけど、たぶんこのセリフの意味は固定願念をくつがえせて事だと思うんだ、あいつは、そんな事をするやつじゃないとか、常識的にありえないとかさ、そういう固定願念をくつがえせって事だと思うんだよね」
「あーそういう事か」
「わかりましたわ、さすが優助様」
桜がうっとりとした目で見ている気がする。
「まああくまで僕の考えなんだけどね」
キーンコンカ―ンコン
部活終了のチャイムだ。
「おー結構話したね、美希、桜」
「確かにね、じゃあ帰ろっか」
「そうですわね、帰りましょう」
僕たちは、鞄を持ち、学校の前まで歩いた。
「それじゃね、美希、桜」
「うん、じゃあね、優助」
「失礼しますわ、優助様」
桜は、そう言いながら執事に電話をかけているようだ。
なぜ学校の前で別れてしまうかと言うと、僕の家は学校から近い柔道の道場だ。僕も子供の頃からお父さんに柔道を習っている、美希の家は、俺の逆の方面で区域が違うけど、歩いて帰れる、桜の家は、むろん豪邸で学校から近いけどわざわざ車で迎えにきているらしい、なので学校の前で別れるのだ。
俺は、ippdを取り出し音楽を聞いた。今流行りのBZZだ。
しばらく、歩いて道場の前まで来た。
「ただいまぁ」
「おかえり」
俺の家族は、母親が早くに死んでしまい、父親しかいない。
リビングに行くと、親父が家政婦さんの作った晩飯を先に食べていた。
「そら優助も食べろ」
「うん、わかった。」
俺は、飯を食べて自分の部屋へ向かった。
ブゥブゥブゥ
携帯のバイブが鳴った、電話みたいだ。
「もしもし」
「優助様でございますか?」
「はいそうですけど」
誰だこいつ?
「桜さまの執事を務めさせて頂いております、長谷川と申します」
「桜がどうかしたんですか?」
「はい、車でお迎えにあがらせて頂いたのですが、お嬢様がいなかったのです」
「何だって? 」
「一応周りを調べました。しかし、お嬢様はよく一人ででかける事があるので、あまり心配しませんでした、しかしさすがにもう10時を回っております。」
「あまりに遅いという事ですか? 」
この時、僕は、ある考えを巡らせていた。
「はい、そうです。」
「その前に、長谷川さんに聞きたいんですけど」
「はい、なんでしょうか? 」
「いつも何時くらいに桜の事を向かいにくるんでしょうか? 」
「そうですね、お嬢様から電話をもらって家が近いので2分くらいで到着いたします」
そうか、じゃあ僕の憶測は、あっていたようだな。僕は、深くうなずいた。
「とりあえず、僕も探してみます」
「わかりました。」
僕は、携帯を切って、美希の所へ電話をかけた
「もしもし美希? 実はさぁ」
第2章 桜捜索
「ごめんね、学校前まで呼び出して」
校門の前に、美希がいた。走ってきたようで美希の息が、かなりあがっている。
「はぁはぁ、私だって桜の事心配だからね」
にこりと美希が笑った。こいつ、いつもさくらと衝突しているけど、やっぱり友達想いなんだな。
「大変そうだな」
「そうそう、頑張って探そうよ」
結構のんきな声を美希があげる。
「てか、何で学校の前なの?」
美希が首を傾げている。
「学校の中に彼女は、いる可能性がある」
「え?」
美希がを丸くしていた。
「執事さんが2分で来られるってことは、桜さんは、そんなに遠くのところに行けないはずです」
「確かにね」
「でも執事さん達は、周りを探したって言っていたよね?」
「そっか、だから学校の中にいるってことになるんだね」
美希は、感心したようだ。
「確かにね、学校の中にずーといるって事? そんなのあり得ないよ」
「いや、ありえなくないよ、2分でそんな遠いところに行く方がありないよ、『不可能な真実を除外していって残った物が、例えどんなに信じがたくとも、それが本当の真相である』だろ?」
「うん、そうだね! 」
「それじゃあ学校の中に向かいましょう」
「長谷川さん、美希まずは、体育館に行こう」
体育館の重いドアを開けた。体育館は、うすぐらかった。
「優助様、美希!」
なんと、そこには、桜が椅子に座らせられていたのだ。
「桜! 一体どうしたんだ?」
「お嬢様一体! 」
「桜どうしたの?」
「優助君できれば君は、きてほしくなかったな」
後ろから、男の声が聞こえた。えっ? この声は……
「慶介! 何でお前がそんなところにいるんだよ」
「さぁて何故でしょう? 」
凍りついた笑顔で答えてきた。不気味だ。
「どうしました? 慶介さん? 」
「このガキは、誰ですか? 」
慶介の後ろから、ぞくぞくと不良みたいな奴がでてくる。
「うるせーお前等は、黙って見ていろ! 」
どうやら、慶介がこの不良団のTOPみたいだ。その証拠に、全員黙って見ている。
「優助様! この外道、覚せい剤をやっていますわ、しかも売人まで、それで私の家が財閥だからそれを利用してもっと売ろうと私を脅迫してきましたわ! 」
「何だって? 」
そんなバカな!? そんな事あるわけが
美希を見ると、驚きすぎて声が出ないみたいだ。
「慶介! 嘘だよな? お前がそんな事……」
慶介は、にやっと笑った、あの凍りついた笑顔だ、慶介は、腕をまくって俺に見せてきた。
「これでもやってないと思うか? 」
無数の注射のあとだ。
「慶介! あんたそんな事する人間だったの? 」
美希が本気で切れているみたいだ。
「僕は、信用しねーぞ! 絶対に」
また慶介は、冷たい笑顔を俺に向けてきた。
「『不可能な真実を除外していって残った物が、例えどんなに信じがたくとも、それが本当の真相である。』お前が好きな、シャーロックホームズの名言だろ? 俺は、薬をやってるんだよ! 」
僕が、こいつのためにしてやれる事はなんだろう? 僕は……僕は……僕は……
「優助……」
美希が心配そうに見ている。
「じゃあ僕が連れ戻す! 」
これが僕の答えだ。
「おもしれぇ、お前とはサシでやってみたかったんだ。」
「僕もだよ」
優助は、自分がどんどん楽しい気持ちになっていくのが、わかった。優助も武道家戦うのが好きなのだ。
「おいてめぇら! 」
「はい!」
不良集団が、一斉に声を上げる。
「俺と、優助とのタイマンを邪魔するなよ! 」
「はい!」
「よし!お前等には、あの女をくれてやる、煮るなり焼くなり好きにしな! 」
その瞬間、僕の体には、悪寒が走った。あの野郎! ぶち殺す!
「ただし、タイマンだ! 他の奴が負けそうになっても、手え出すんじゃねーぞ! 」
「ひゃっほー、あの娘かわいいじゃねーか」
「一番はじめにヤるのは、俺だ! 」
「いや、俺だ」
不良集団が騒いでいる。
「美希……大丈夫か?」
美希は、あはっと笑った。
「大丈夫、大丈夫」
「そっか、すまん」
優助は、頭を下げた。
「おいてめーら、この女を甘く見るな! 」
慶介が、不良集団に怒声を浴びせる。
「それじゃあ私から行くわよ」
「じゃあこっちは、俺から行くぞ」
不良集団の一人が出てくる。
美希は、そいつに向かって右ストレートを放った。
「ぐあっ」
どうやら、決まったようだ、相手は、動かない。
「この糞アマ! 次は、俺だ! 」
また次の奴が出てきた。
「さて、じゃあ俺らも始めるか」
「そうだね、本気で行くよ」
慶介が突っ込んで来た。そのまま左ストレートを放たれた。優助は、それを右によけてイナした。右フックを放つ、慶介は、それを受け止めた。
「やるじゃねーか、優助! 」
「慶介もな! 」
そのまま、優助は、足蹴りにかかった。慶介は、受け止めた手を放して、バク転を繰り出した。それを優助は、手で防ぐ。
「これを受け止めるなんてな! 」
「当然だ! 」
そのまま、優助は、突っ込んでいった。右ストレートを放った、それをフェイントにして、左ストレートを放つ。慶介は、またバク転で下がった。
「ぐっやるじゃねーか」
次に、慶介は、顔面目掛けて、右ストレートを放つ、優助は下に伏せて、拳を下から上に振り上げた。アッパーだ。クリテイカルヒットしたようだ。
「ぐはっ」
慶介は、そのまま倒れて、体が動かないらしい
「テメ―の勝ちだ、こんなに強かったのか? テメ―は? 」
慶介は、息がかなり切れているみたいだ。
僕は、慶介を見下ろした。違うよ、慶介、僕が強いんじゃない。
「慶介、キミは薬をやって反応速度が落ちてたんだ、僕が強いんじゃない、キミが弱くなったんだ」
慶介は、目を開きそのまま涙を流していた。
「俺は、どこで間違えたんだろうな……」
慶介は、目を閉じて動かなくなった。
「慶介さん! 」
「慶介! 」
「ボス! 」
不良集団は、動けないみたいだ、声だけしか聞こえない。
「美希……警察に連絡してくれ。」
僕は、静かにそう言った。
「うん……」
美希もつらそうだった。
俺は、桜の所へ向かった。
「大丈夫だったか? 」
「優助様……優助様……うぇーん 怖かったです。」
桜は、抱きついてきた。
「えっあの」
僕は、恥ずかしかったけど、ずーと泣きやむまで抱きついていた。
俺は、桜をゆっくり放した。
そして、慶介の方にむかって叫んだ。
「慶介、絶対更生してこいよ! 」
僕と美希は二人で学校を出て行った。
余談だけど慶介達は、捕まった。警察が発見した時には、全員倒れていて、全員の体から、薬物反応がでできたみたいだ。
3日後、僕たちは、図書室の部屋に集まっていた。
「私、まだ信じられなよ」
美希がそう呟く。
「わたくしもですわ」
二人とも悲しそうだった
「ねぇ優助……本当に慶介は、薬やっていたのかな? 」
「わたくしも信じたくありませんわ」
僕は、うつむきながら言った。
「僕も信じられいけど、『不可能な真実を除外していって残った物が、例えどんなに信じがたくとも、それが本当の真相である。』だったろ?」
二人は、僕の言葉を聞いて目を伏せた。
外には、冷たい秋風が吹いている。
END
-
2010/04/05(Mon)18:28:31 公開 / KISEKIandTENNMA
■この作品の著作権はKISEKIandTENNMAさんにあります。無断転載は禁止です。
-
■作者からのメッセージ
1、最後まで読めましたか?
2、面白かったですか?
よろしくお願いします