- 『フェイル・クローズ T 悪魔の指輪』 作者:プリンス / ファンタジー 異世界
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〜第1章 脱獄〜
フェイルは一人暗い牢爺にたたずんでいた。牢の右側には刺青をした強そうな男。左側には見飽きた顔、共犯者がいる。
罪は連続殺人、十三歳の少年とはいえ八人も殺しては許されるはずが無い。しかし、フェイルは終身刑などという無駄なものには従うつもりは無い。警察がやって来て、罪を言い渡したときの姉貴の顔は見ものであった。
なぜだか分からないが、フェイルは魔術のようなものを使える。尤も制御できる訳ではないが。できるときというものは、感覚で掴む。
今だ!!そう感じたのは二分ほど前。未だ行動はせず。警官のクローディスが牢の前を通る。フェイルは体中に溜まったエネルギーを発散すべく、大声を揚げ、鉄格子に突っ込んだ。格子は折れ、クローディスは吹っ飛び、壁も破壊された。
こうなってしまってはどうしようもない。警官が今に銃を持ってやってくるだろう。フェイルは火山口のような形の穴から飛び降りた。
〜第2章 異世界〜
フェイルは街の裏路地のゴミ箱の上に座り息を整えていた。これからどうするか考えなければならない。まずは衣服を入手しなければ。囚人服でうろうろするわけには行かない。走っているとき、左足の靴が脱げたため、足の裏を切っている。
フェイルは痛む足を左手で持ち、右手の人差し指で傷口をなぞった。フェイルは人目を避けるように歩き出した。また人を殺して衣服と金を手に入れるのもいいが、人の血にはうんざりだ。トボトボと歩いていると、聞きなれたパトロールカーの音が聞こえた。フェイルは歩調を速め、姉貴とよく行った綺麗な湖まで休みなしに歩いた。
湖の名は「スデイ湖」
昔、スデイという若者が、家と金と家族を亡くし、とうとう自殺を決心し、飛び込んだ湖がこれらしい。フェイルには飛び込むつもりはさらさら無いが。
後ろの茂みでガサガサと音がし、びくりと振り向いたが最後、警官に腕を掴まれた。また牢爺に逆戻りならばいっそのこと…
フェイルは暗い湖に沈んでいった。警官はすぐに腕をはずしたらしく、水面に顔が見える。
フェイルは硬い地の上についていた。血が流れる。異世界で。
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2009/08/04(Tue)10:16:38 公開 / プリンス
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■作者からのメッセージ
ありがとうございます。少々短いですがまだまだ続くので楽しみにしてください。
コメよろ^^