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『夜景に吸い込まれてそしてそれから』 作者:せれん / 恋愛小説 リアル・現代
全角1357.5文字
容量2715 bytes
原稿用紙約5.05枚

私はとても弱いのよ。
ねえ、ほんとうに、笑ってしまうくらい。
貴方が居なければ、震えてしまって立つ事も出来なくなりそうなのよ。
ああほら、今だって。








「好きじゃないのに、結婚するの?」

 二人だけじゃ広すぎると言っても良い、最上階のスウィートルームに、凛としたソプラノが響いた。
何時もならばこんな豪華な部屋じゃない癖に。どうして、なんでこういう時だけ。
もしかしてもしかすると、これで終わりにしようという、無言の訴えなのだろうか。
もしそうだとしたら、なんて勝手な男なのだろう。
先程探索してきた時に見た、部屋と同様の広い広いバスタブに沈めてやりたい。
それ位、腹が立つ。
……この男の、言動に。

「……仕方ないさ」
「はあ? 何が仕方ないのよ。断ればいい話でしょ、そんな、」

下らないお見合いなんて。

 凛としたソプラノが響いた後、空間はまた居心地の悪い静寂に包まれた。
お互い視線を合わさず、顔を上げて此処ではないどこか遠くを見ている。
銀色の腕時計の秒針が進む音と、二人の小さな呼吸だけが、広い広い空間に微かな波紋を作っている。

―勿体無い。
折角、久々に逢えたのに。もしかしたらもう逢えないかもしれないのに。視線も合わさず、喋らずだなんて。
もしこれが最後になっちゃったらどうしよう。私、こいつの事、ちゃんと諦められるかな。
…………否、そうじゃなくて。
もっと彼に話したい事があった気がする。もっと言いたい事があった気がする。
頭を左右に振って、額に手を当てつつ溜息を吐く。

そう、だ。もっと、話さなくちゃ、言わなくちゃいけない事があった。
こんなこと、してる場合じゃないんだ。

「ねえ、……」

小さい声を発すると、(本当に情けないんだけれど、)無意識に震えてしまった。
少しだけ戸惑いがちに、目線を彼の方に移す。
それだけなのになんだか緊張してしまい、口内に溜まっている唾を飲み込んだ。

「……なに……?」

数秒置いて、聞き慣れた心地よいテノールが返ってくる。
……それだけで。それだけの、ことなのに。
気持ちと同時に、涙腺が緩んで、熱い涙を零しそうになった。
見られないように反射的に顔を背け、私の身長の倍はあるガラス張りの壁の方を向いた。
星一つ見えない、薄暗い街灯と煌びやかだけれど目に五月蝿いほど派手な赤、ピンク、黄のネオンに彩られた、街。
少し遠くに見える、無機質な灰色や白い高層ビルやらが、私の目に寂しく映った。

冷えたガラスに両手を置いて、目蓋を閉じ、深呼吸する。
ガラスに当てた手から冷たさが伝わって、全身をまるで旅でもするかのように、駆け巡って行く。
途端、無機質な景色の中に吸い込まれて行きそうだった。


「……ねえ、……」


「見合いなんか止めてよ。私と居てよ。家なんか捨ててよ。二人で暮らそうよ。しがらみや重たい枷なんか、かなぐり投げ捨てて逃げちゃおうよ」


一息にそう、捲くし立てた。
気を抜けば泣きそうだった。
もう何もかもどうでもよかった。

「……うん」

声と同時に、品のいい足音が聞こえて、背中に温もりを感じたと同時に、熱いものが頬を伝っていった。






―夜景に吸い込まれてそしてそれから君の声を飽きる程聞きながら、
(その後は覚えてない。嗚呼でも分かる事は、今が幸せだという事くらいで、)


2009/07/27(Mon)20:14:44 公開 / せれん
■この作品の著作権はせれんさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
生きていたら、必ず、大きな別れ道の選択をしなければならない。
そして どちらも、なんて言葉は子供にしか許されないから。
その選択が例え自分を苦しめる事になるとしても、それでも人は必ず選択
して、悔やみつつも、次こそはと生き。
又其の姿はとても美しいものなのでは、と。
この作品に対する感想 - 昇順
 初めまして。
 まず、タイトルが素敵だと思いました。最後の一文がかっこの中に入っていて、句読点で終わっているのもなんとなくいいな、と思います。
ただ、綺麗な一瞬だと思うのですが、一言一言に現実味というか、いまいち具体性がなく、シーンもやや唐突過ぎたようにも思います。
 また、「凛としたソプラノ」「無機質な〜」など、同じ表現が近いところで二度繰り返されているのが、ややくどいように感じました。もうすこし描写を減らした方が、かえってきれいにいくようなきがします。
 練りこみをもう少しなされたら、物凄く素敵な小説を書かれる方だと思うので、少し残念でした。
 失礼なこと申し上げてごめんなさい。次回作期待してますね。
2009/07/31(Fri)10:43:520点夢幻花 彩
作品を読ませていただきました。歌詞的な作品ですね。感情が鮮明に伝わってくる代わりに背景がほとんど見えない。もっと描写を増やして作品に厚みを持たせると、非常に綺麗な作品になると思いますよ。では、次回作品を期待しています。
2009/08/02(Sun)22:25:150点甘木
夢幻花 彩様
うわわ…おっしゃる通りです。
よくよく読み返してみたら、書いた私が言うのもなんですけれど、何か違和感を覚えるような文になっていました。
以後、意識して書いてみたいと思います。
失礼だなんて、とんでもないです。
寧ろ有難い程、鋭いご指摘でした。ありがとう御座います。

甘木様
これまたおっしゃる通りでした…!
もっと推敲して書いてみる事に致します。
ありがとう御座いました。
2009/08/04(Tue)12:49:270点せれん
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