- 『チャット寮の人達へ……』 作者:シトロン / 異世界 ファンタジー
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原稿用紙約6.1枚
これは、一回諦めたお話なんですけど、また書く事に決めました。世界の設定とかそう言う部分はちょっと変えてあります。でも、住人とかチャット寮とか、そう言う部分は全く変えずに行こうと思いました。色々脚色を加えたりもしましたが、趣旨は変えていません。(前作知っている人いるかな?)諦めてしまった前作は、メゾピアノです。
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プロローグ 記憶の夢回想。
これは……何……? これは……ボクの昔の記憶だ……ボクがいじめられていた頃の記憶……
昔ボクはいじめられていた、でも仕方ないよね……だってボクは《アルビノ》だから……アルビノって知ってる?
アルビノの人は、色素がほとんどないか、全くないんだ。だからボクは、生まれつき髪は白くて、瞳は赤いんだ。
色々なあだ名をつけられた。それも、酷いのばかりね。
幽霊、死体、化け物、鬼、妖怪、悪魔、色々ある。でもボクが一番イヤだった呼び方は《エクソシスト》
ボクは《エクソシスト》と呼ばれる事が一番イヤだった。ボクはイヤだって言っているのに、周りの人は皆ボクを
わざと《エクソシスト》と呼ぶ……学校に行くのがイヤだった。《エクソシスト》って言われるから。
何の解決にもならなかったんだけどね、《エクソシスト》って書かれた手紙が送られてきて……
リスカ……リストカットをした……自殺してしまおうと思って。誰も僕が死んだって悲しまないから……
「悲しむ人はいるわよ? 少なくとも、私は悲しいわ」
リストカットをして、まだ傷が浅かったからもう一回切ろうと思った時、後ろからいない筈の女の人の声が聞こえた。
振り返ってみると、着物を着た黒髪の二十歳くらいの女の人がいた。酷く存在感が無かった人だったとその時は思った。
「今まであなたが接してきた人は、あなたが死んでも悲しまないかもしれない。でも私は悲しいわよ?」
……変なの……ボクはこの人に会った事がないのに、どうして悲しいの?
「無駄な命が無い事を、死んでも良い命が無い事を知っているからかな?」
ボクが聞いたら、女の人はそう答えたんだよね? ボクなんか、誰にも認められない存在なのに? こんなボクでも
無駄じゃないのかな……?
「無駄な訳ないでしょう、周りが彼方を受け入れないなら、私が受け入れる。だから寮に来なさい」
最初は、寮って言う物に興味を抱いただけだった。周りの人には会いたくなかったから、ここからいなくなりたかったから
寮に行ってみようと思ったんだよね? その時のボクはまだ幼稚で知らなかったんだよね?
環境じゃなくて、自分が変わらないといけないって言う事に……?
第一話 素を見せられずキッカケを迎えて。
そうなんだよね。そう言えばボクって、未だにチャット寮に住人に素を見せられてないんだよね?
ここは《メゾピアノ》と呼ばれている小さな世界。この世界の九割は一年通して暖かい事が多い原っぱで
覆われていて、残りの一割が林と泉だ。《メゾピアノ》の原っぱに建つチャット寮。
《メゾピアノ》の向こう側に存在する別の世界《メゾフォルテ》でいじめられてしまったりした《可哀想》な人たちを
集めて(正確にはチャット寮の管理人、及び住人が拾ってくる)十七になるまで生活させている場所。
そのチャット寮の00三号室に住む愛希 樹亜(あいき きあ)は、心の中で一人つぶやいていた。
過去の事をコンプレックス的な物が原因で、樹亜は部屋に引きこもっている事が多かった。樹亜は顔の左側が
髪で隠れている。その髪は雪の様に真っ白い。隠れていない方の目は赤みがかっている。樹亜はアルビノ。
アルビノ知っている?
「外に、出ようかな? だったら厚着しないといけないな。まぁ、いいか」
樹亜は小さくつぶやくと、今着ている白のTシャツの上に、真っ黒いハイネックの服を来て、つばの広い黒い帽子を
深くかぶり、部屋の窓から外に出た。(樹亜を含めチャット寮の住人は、自室の窓の部屋から外に出る事がほとんど)
赤色は大嫌いだったのにな……チャット寮の住人リフィーは、自室にいた。白いベッドに腰かけ、床に敷かれた
絨毯の上に置かれた服を眺めていた。それは真っ赤なワンピース。それとワンピースと同じ赤色のリボン。
リフィーは、美しい金髪と青い目の十五歳程の少女、リフィーにこの赤色のワンピースはよく似合うだろう。
少なくとも、今リフィーが着ている白いワンピースよりは似合うんじゃないか?
リフィーは美しいけど、痛々しい姿をしていた。顔の右半分は大きなガーゼが貼られていて、隠れてしまっている。
右腕には包帯が巻かれていた。肌が見えないくらいに巻かれていた。それは右足も同じだった。右足も包帯が肌が見えない
位巻かれていた。そんな痛々しい姿をしていたリフィーは、そんな事は気にする風でもなく床に置かれている赤い
ワンピースとリボンを、どこか悲しそうに眺めていた。
「私は、赤色が大嫌いなんだよ」
とつぶやいたのに、リフィーは今自分が着ている白いワンピースを脱いで、床に置かれている赤いワンピースを着て、
赤いリボンで、長い金色の髪を束ねようとした。でも、上手くいかなかったので諦めて首にそっと巻いた。
鏡で赤く彩られた自分を見て、リフィーはため息をついた。そして、窓から外に出た。
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2009/06/03(Wed)22:46:03 公開 / シトロン
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■作者からのメッセージ
これからは、多分一日おきとか、もしかしたら周一とか、それくらいの
頻度でしか小説を書き進めて行く事が出来なくなってくるかもしれないけど、
そう言う限られた時間内で、この小説を書き進めて行きたいと思います。
編集して行く過程で遂行して、最終的には良い作品に仕上げたいと思っています。