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創作小説 投稿掲示板『登竜門』 『ハッピーエンド』
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- 『ハッピーエンド』 作者：杏子 / お笑い 未分類
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全角1698.5文字ただの、かなしい話で上等です。
容量3397 bytes
原稿用紙約5.2枚
レディース アンド ジェントルメン。お待ちかねのハッピーエンドのお時間です。お送りしますのは、作家の俺と主役の君です。おふたりの初めての共同作業、ってな。
まあまあ、ラスト十五分で馬鹿みたいに幸せになっちゃってくださいな、主人公さんよォ。
あんなに素敵だった悪役も、勧善懲悪の理念に則（のっと）って、もうグチャグチャに、再起不能に致しました、俺が。痛快至極。むしろ興奮しました。お仕置きは、相手が泣いてからが本番なのです。サディストだなんてご冗談を。作家生涯、品性なんて問われたことがあったでしょうか？
そんなこんなで、お話の矛盾は上手に隠して、ご都合主義はご愛敬。君が幸せなら良いのです。だって創造主たる俺の話の、君は可愛い主人公です。ハッピーエンドにするしかあるめえよ。君のためなら、なんでもします。
さ、大人しく主役の特権に甘んじてちょうだいな。
ちゃんと幸せですか？
ＥＮＤの文字はキラッキラしてますか？
ご不満でしたら、死んだフィアンセでも生き返らせますか？ 愛の力、とかそんな感じで適当に。君のためなら、なんでもします。繰り返し失礼。
まあ、なんでもやる、とは言いましたが。 目からビームが出る、とか、そういうことはさすがにやりたくないです。だけど君が言うなら構いません。ビュンビュン出しますぜー、ビーム。
あ、いっそのこと、死んだフィアンセの目からビーム出しますか？
それで思いつくかぎり一番頭悪いやり方で愛を誓えば良いんじゃないですか？
あ、嫌ですか。ビーム嫌ですか。奇遇ですね、オレもちょっと嫌でした。君がお話のわかる人でよかったよかった。
ああ、そんな辛気臭い顔されたら、エンディングテーマも流せません。笑ってくださいよォ。ハッピーエンドなんですから。
あんなに苦労したんだから、ハッピーエンドで良いじゃないですか。まあ、ラスト二十分で、苦労なんて嘘のように片付きましたが、片付けましたが、俺が。
いやいや、物語なんて嘘っぱちなんだから、その辺は気にしちゃいけません。
割り切ってくださいな。ね？ てめえ主人公だろが、ちょっとは世渡り上手くなれよ。めんどくせえな。
もしかして、ちょっと色っぽいシーンが少なかったのが、お気に召さなかったんでしょうか？ ははァ、そういうことなら早く言ってくださいよ。言ってくれたらなんでもしますって。
手始めにどうでしょう？
パンツ被っときますか？ ハレンチ極まりないですぜ。Ｒ指定にしときましょうか？ あ、やらない？ Ｒ指定にしない？ 可愛い顔して大胆ですね。いや大丈夫。むしろそういうの嬉しいから。ああ、パンツのほうですか。被らないんですか。モラリストぶってんじゃねェよ意気地なしが。いやいや、こっちの話。
何が気に喰わねェんだかなァ。温厚な俺も苛立ってきましたぜ。
え？ フィアンセは生き返らせなくっていいんですか？ 悪役も、自分で倒す？ 無理だと思うよ。
目からビームは？ あ、すいません。出しませんよねやっぱり。
そんなことしたら、全然ハッピーエンドじゃないですぜ。
フィアンセが死んじゃったら、君は天涯孤独だし。悪役のほうが正直君より素敵です。
あ、それでも良いんですか？ 死んじゃってもフィアンセを愛してるし、悪役も絶対、自分ひとりで泣かす。ひとりでできるもん、ですか。馬鹿すぎて可愛いわ。
世渡り下手なヤローだよ、あんた。
上等ォ、とことん付き合ってやります。
クオリティの低さは百も承知で、ラスト十五分を最低にあがく。
薄ら寒い茶番に成り下がろうが、これが自分のハッピーエンド。辛うじて鑑賞に値する。
イエス。ただの、かなしい話で上等です。
なんてな、活字にすると野暮でいけませんわ。行動あるのみですぜ。
そんなわけでとりあえず、素敵で無敵で最強な悪役を倒しに行きましょうか。十中八九、負け戦だけんどよ。
この圧倒的な力の差を覆すには、なんらかの必殺業が必要ですぜ。
あ、ありました必殺業。
目からビーム出せ。それしかねえ。
ＥＮＤ． -
2009/03/17(Tue)19:21:02 公開 / 杏子
■この作品の著作権は杏子さんにあります。無断転載は禁止です。 -
■作者からのメッセージ
どうも！杏子です^^
えーとですね、皆様！目からビーム。出たら一人前です！（バレる嘘つくなよ
なんてすみません。いろんなバリエーションで土下座します。
今回はですね、とことんくだらない感じにしようと思ったら、目からビームなうえにパンツ被ってしまいました。
もう、『パンツ』って打つと『被る』って出てきて、良いオトナになれそうもないです笑。
目からビーム出すフィアンセの横には深々とパンツ被る主人公さんがいます。
倫理的には最低だけど素敵なカップルです笑。
それでは、こんなお話ですが、感想を頂けると嬉しいです。
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こんにちは！読ませて頂きました♪
作家と主人公の会話で、主人公の言葉はなくても何だか言ってる事が分かる感じで、主人公（戦隊物のヒーローだと勝手に思いつつ）らしく真面目に返してる感じが読みとれて楽しかったです。
でも、やっぱり必殺技が目からビームは私も嫌ですねｗ
では次回作も期待しています♪2009/03/17(Tue)20:09:53 0点 羽堕 杏子さん、はじめまして。春野藍海（ハルノアオミ）と申します（＾＾*
「あっ、私の連載小説の登場人物と同じ名前の方がいる！」と思って読ませていただきました。笑
書き出しから、私が今までに読んだことのないような感じだったので、ワクワクと言いましょうか、ドキドキと言いましょうか……まぁ、そんな期待が一気にわいてきたわけです。
予想通り、思ってもいない展開で、なおかつアップテンポなリズムで。読み手も物語のように軽快な気分になれました。
時折、作家の洩らす優しい台詞がなんともキュートでした！
杏子さんならではの世界観を生かした作品を楽しみにしていますね（＾＾2009/03/19(Thu)17:29:08 0点 春野藍海 合計 0点
- この作品の投稿者 及び 運営スタッフ用編集口