- 『人間になった神』 作者:木介(初代) / ファンタジー 未分類
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俺には名前が無い。
その理由は俺が『神』だからだ。
神というのはねんデモすることが出来る。
人を作り出すことも、人を消すことも、時間を飛び越えることも。
たまに人間界に降り立ち、時間を自由に飛び越える、そうすることで一度見たものを何度でも見ることが出来る。
そんな毎日が楽しくて楽しくて仕方が無かった。
人間は神になりたがるが、神は人間にはなりたがらない。
当たり前だ、神は何でも出来る、だが人間は特別な力を使うことは出来ない。
人間の中には『超能力』と呼ばれるものもいるそうだがそれも偽者、俺たちは全てを見ている。
そんな嘘つきの人間にはなりたいとも思わなかった。
ある日、神の世界で『神帝』と呼ばれる一番くらいの高い神が少し用事があるということで留守にすることになり、神帝が守っている5つの扉の番を任せられた。
5つの扉の番を任せられたとき、「何があっても絶対に、絶対にこの扉を一つも開けてはならん、もし開けてしまった場合はきつい罰を与える。いいな?」
「はい、もちろんです。何があっても扉を開けたりはしません。固く誓います。」
「そうか、では私は行ってくる。」
「はい。」
こうして仕事を任された俺は、さっそく扉の前に座り込んで見張りを始めた。
最初の1週間ほどはやる気満々で見張ってたが、2週間、3週間とたつたびに面倒になってきた。
そこで俺は思いついた、時間を飛び越えていつ帰ってくるのか見ればいい。
おれは早速時間を飛び越え未来に行った。1週間後に飛ぶと神帝は帰ってきていた。
あと1週間、それだけで帰ってくる。そうと知ってしまえば楽なものだと思い、俺は元の時間に戻ってきた。
もどって再び扉の前に座ろうとすると俺の頭の中に「扉をあけたい!」という電撃が走った。
あと1週間で戻ってきてしまう。それまでにこの扉の中を見たい。
そうだ、見ても時間を戻せば神帝にばれることは無い、だからいまのうちに見てしまおう。
この考えが後で俺を地獄に叩き落とすことになるとも知らずに…
おれは一つ目の扉を開けた。するとそこには言葉にすることの出来ないすばらしい景色が広がっていた。
2つ目は1つ目には劣るがすばらしい景色が広がっていた。
3つ目も、4つ目もどんどん劣っていくがどれもすばらしい景色だった。
最後の5つ目の扉を開けようとした。そのとき俺は扉の中が予測できた。今までのどれよりも劣るがすばらしい景色だろうとおれは予測した。
しかし開けるだけ開けようと思い扉を開けた。その扉の中には何かが渦巻いているだけで他には何も無かった。
おれは興味本意でその渦巻いているものに触れてしまった。
すると急に渦は俺の周りを渦巻き始めた。
そして目の前にあの神帝が現れた。
そして、「お前は開けてしまったのか、私はお前に開けるなといったはずだ、なのになぜ開けた?私がお前に一つも開けるなといったのは一つでも開けてしまえば興味から他の扉も開けてしまうからだ。なのにあけてしまったのか。最初に言った通り私が帰ったらきつい罰を与える。覚悟しておけ!」
この言葉にもひるまず俺は「どうせ、神帝が仕掛けておいたんだろこの言葉を聞けばたいていの奴は謝るのだろうが開けてないと言い切れば大丈夫だ。それにいざとなれば時間を戻せばいいんだ。」そう思っていた。
1週間後神帝が帰ってきた。そして俺を見つけるなり近づいてきて、「あの言葉の通り罰を受けてもらう、覚悟はいいか?」
「何のことでしょうか?言葉なんて聞いていませんが?」
「しらばっくれるつもりか?だが私の前で嘘をつこうとしても無駄だぞ、罰は受けてもらう」
「まずいな、完全にばれてるここは逃げるしかない。」そう思って時間を飛び越えようとした。
しかし、時間を飛ぶことが出来ない。
「無駄だ、お前はもう時間を飛ぶことは出来ない。お前はもう神ではない。ただの人間だ。」
「!?なんで俺が人間にならなければ?」
「お前は私の約束を破り、しらばっくれ、おまけに時間を飛び無かったことにしようとした。そんなお前は神の世界追放だ。今すぐ人間界に降りて一生を人間として暮らすがいい。」
「そんな!お願いです。それだけはお許しください。人間になるなんていやだ!お願いです!」
「いまさら泣き言など見苦しいな、自ら出て行かないというなら私がここから追放する。」
「いやだ!人間になんてなりたくない!お願いだ。許してくっ…」
気がつけば俺がいた場所は人間界だった。
ついに俺は完全に人間となってしまった。時間を飛び越えることは出来ない、それだけじゃなく神の時に使えた能力、空を飛ぶこと、風より早く走ること、全て失ってしまった。
俺は自分を責めた。なんて取り返しの出来ないことをしてしまったんだ。
これからどうしよう、そんな事を考えていると、一人の少年が俺に声をかけてきた。
「どうしたんだ?こんなところに座り込んで。ん?見ない顔だなどっから来たんだ?俺と同じくらいの年だから迷子は無いよな…」
おれは何もしゃべれなかった。
「そうか、家出だな、行くところがないのか、まぁとりあえず家来いよ。な?」
おれは黙って少年についていった。彼が後で俺を救ってくれる事になるのはまだ知らない。
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2009/02/11(Wed)15:24:24 公開 /
木介(初代)
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■作者からのメッセージ
大変急ですが、『生きた証』シリーズ『人間になった神』の原作者、木介さんはこちらの都合上で小説がかけなくなりました。
勝手ながら誠に申し訳ありません。
これからは僕が2代目として引き継がせてもらいますのでよろしくお願いします。