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『アインの弾丸3 下』 作者:祠堂 崇 / リアル・現代 アクション
全角20423.5文字
容量40847 bytes
原稿用紙約64.55枚
 




 Bullet.X     いかないで





 火蓋を切ったのはアインの銃声。
 一発目は威嚇。足元に着弾し抉られたアスファルトの破片が顔の前へ飛び散るが、真琴は瞬きもせずに歩み出す。
 二発目は牽制。左肩を狙った弾道は、一歩右にずれながら上体を捩じった事で外れる。
(忠告はした、警告もした)
 アインは銃把を握る右手に左手を添え、頭部を狙い澄ます。
(それでも来るなら容赦はせぇへん!!)
 ガゥン!!
 銃身から解き放たれた三発目は殺傷。
 大気の壁を突き破るようにして飛来した弾丸が、自信有り気な微笑のまま近付こうとする真琴の額にジャストミートした。頭部が後ろへ弾かれ上半身が仰け反る。両足の爪先が地面から離れ、背中から倒れ込む寸前、
「いや、まったくね……人を殺める事に迷いが無いというのは恐ろしいと思わないかい?」
 ジャリッ、と片足を退いて転倒を防いだ真琴の上体がしならせた竹のように戻って来る。
 その眉間にはやはり傷一つ無い。
 アインは銃を突き付けて構えたまま冷静にその意味を考え、口を開いた。
「身体硬化か……?」
 金属バットを肩に掛け、真琴はおどけてみせる。
「さあ? どうだろうね……敵にわざわざ種明かしをする程、馬鹿じゃないつもりだよ」
「せやろな」
 今の状況で考えられる限りでは、肉体を瞬時に硬化させて銃弾を弾いたと推測するのが無難だ。
 だが、それは違うという否定が既にアインの中にはあった。
(単に硬くなるだけなら、ルルカのオールプリズンを破壊した事に説明がつかへん)
 銃口を下ろして、何か一つでも彼女の能力を暴ける要素が無いか探りの視線を向ける。
 かといって、彼女の言動はともかく、神器の形状が金属バットという点で不可解極まりない。鈍器である以上、射撃や斬撃の類ではないのだろうが、あの防御力との関連性が薄過ぎて、今一つ判断材料に欠ける。
(原理について知りたいとまでは言ぃひんのやけどな、ルルカやあるまいし……せやったら、もっと別の攻撃で攻めてみるしかないか)
「試案は纏まったかい?」
 不意の一言にはっと顔を上げたアインに、真琴は金属バットをアインへ突き付けてから、盛大に声を発した。
「では開幕と征こうかっ!! 先陣切ってバッターボックスに立つのは背番号一番、ショートの相崎選手! 対するはそこはかとなくやらしいシスターガンマン!! 名前はまだ聞いてないけどとりあえずやらしいシスターガンマンです!!」
「やらしい言うなっ!!」
 好きでこんな格好をしている訳ではないアインが怒鳴った直後、膝を折って身を屈めた真琴が凄まじい勢いに加速する。
「プレイボォォゥゥーッル!!」
 ズダン!! と踏み込んだ瞬間、一息で距離を潰した真琴の金属バットがアインの顔面を捉える。
 アインは一歩足を前に出しながら上体を仰け反らせそれをかわした。倒れる寸前で左足で蹴って捻転、空振りした体勢の真琴の胸に銃口を滑らせて一発撃ち込む。
 グン、と真琴の体がくの字に折れるが、無傷の真琴は顔を上げて金属バットを振り上げ垂直に落としてくる。
 さらに捻転させて避けたアインは拳銃の尻で思いっきり真琴の鼻っ柱にぶち当てた。
「――っ!?」
 上体を仰け反らせて一歩二歩とたたらを踏む真琴。だがやはり傷を負ってすらいない。
 しかし、アインは予想外の何かに眉をひそめた。
(なんや、今の感触……?)
 手首に伝わる衝撃の余韻に不思議な感覚がした。明らかに直撃したはずなのに、まるで手応えが無い、そんな虚しい感覚だ。
 アインは残り弾数を確認してバックステップを踏む。シリンダーに込められている弾丸の数は残り一発。
 途端に真琴が突っ込んできた。身体能力にかまけて鋭敏さを失った、猪突猛進な戦法。普通なら馬鹿の一つ覚えにしかならないだろうが、銃器類特有の弾数制限には有利な手だ。
(リロードしとる暇は与えへんっちゅう事か、えぇ根性やな!)
 アインは視界の端に見える車に気付いた。
 赤いスポーツカーで、新品かと思うほどの綺麗な光沢感を持っている。
 ほんの一瞬そちらに視線を向けていたアインの側頭部に、金属バットが空を薙いで飛んでくる。咄嗟に頭を下げてかわす。やり過ごしたまま俯いているアインの顔面に膝蹴りが襲いかかるが、頭を目一杯に退いてバック転を二度三度行い、勢いを殺さずに跳躍して車のボンネットに着地。さらにぐるんともう一回転して天井に乗っかる。
 片膝を突いて低い体勢でこちらを見据えるアインに、真琴は呆れたような引き攣った笑みを浮かべた。
「当てたと思った所が二か所はあったんだけれど、器用なものだね君は……運動・感応、どちらのセンスも目を瞠る高さだ。軽業師に向いてるんじゃないかい?」
「軽業師がこない物騒なモン振り回しても捕まらへんのなら考えたるわ」
 睨みつけるアイン、
 微笑みかける真琴、
 両者視線を絡ませる。
「……なんでや」
「?」
 低い体勢のまま口を開くアインに、真琴は片眉を上げて不思議そうな顔をする。
「なんでサラトを狙う?」
 すっと拳銃を握る手を下げる。それに倣うように真琴も金属バットの先端をアスファルトに付けて杖代わりに体重を掛ける。彼女にとって奇襲が劣悪を差す限り、その余裕は至極当然の行為なのだ。
「質問の意図を測りかねるね。狙う、だなんて……悪役チックな事をしに来てはいないよ。言うなれば訪問、そして査定といった所かな」
「査定……?」
「そう、査定だよ」
 コンコン、と金属バットを地面に鳴らしながら真琴は答える。
「灰色の髪の子にも言った事だけれど、僕は≪アマテラス≫の命令で来た訳でもないし、≪アマテラス≫に貢献したくて来た訳でもない。僕は僕の流儀に沿った上で、『組織を離反した上で彼女が善か悪かを知る』という目的でサラト君に会いたいんだ」
「善か悪か、やと……?」
「人は何故、善悪というカテゴリを社会に提示すると思う?」
 話の大筋をなぞらえていながらも、唐突に感じる質問を投げかける真琴。
「そこにプラスかマイナスかの損得勘定が出てくるからさ。善で在れば金を生み、心を和らげ、会社や組織という土台を作る為の一翼を担う。だが悪で在れば金を貪り、心を虐げ、恨み妬みが争いの火種を作ってしまう。そもそも悪である事に、一体誰が得するだろうか」
「知らん……」
 特に考えもせずに冷たくあしらうアインに、真っ直ぐと見つめた真琴は答える。
「自分だよ。己自身の利益を手に入れる為だけに人は悪に身を捧げようとする。実に嘆かわしい事だね、そこに他人を救う力など在りはしない。天秤に掛けるべきでないモノを左右に吊り下げた時、人は我が身可愛さに自分の立場や生命を危ぶまないようにする為なら平気で悪に走れるのさ」
「何が言いたい?」
 簡単な事じゃないか、と真琴は口元に微笑を浮かべた。
「善悪一<Tラト=コンスタンスは果たして、己自身の為に組織を敵に回したのかを僕は知らなければならない=B命令や貢献ではなく、≪アマテラス≫にとってマイナス面ばかりが出るこのような事態を、彼女はどうして引き起こしたのか。それを知りたいんだ」
「――!」
 アインは表情には出さないようにしたが、かなり動揺した。
 自己の欲望の為に。
 それが彼女の糾弾の内容だとするのなら、尚の事サラトに会わせる訳にはいかなくなる。
 否定出来ないからだ。
 サラトはただ自らの宿り木として≪アマテラス≫に居はしたものの、それは命令や貢献ではなく『【純真世界】を許容し、信頼してくれる誰か』を必要としたサラトにとって、力さえ在れば存在の否定を決してしない実力主義の≪アマテラス≫が一等性に合っていただけに過ぎない。だが特定の人物を宿り木とする事が出来ず既に精神面が不安定になりかけていたサラトがようやく出会えたのが、姫宮恭亜だった。
 つまり、恭亜が彼女の世界を許容し、信頼する限り、サラトは自らの欲望のままに恭亜の傍に居続ける℃魔ノなる。
 そこに他者の介入は許されず、サラトが身を任せた恭亜の口添えで≪ツクヨミ≫の庇護下に居るこの事実は、真琴の言い分にまるで狙っていたかのように当てはめられてしまう。
 アインは恐る恐る訊ねた。
「……もし、そうなら」
 それが失言だったと気付かされたのは、彼女の口元に違う笑みが浮かんだ時だった。

 強烈な殺意に満ちた、暗い微笑。

「正義とは、他者の為に悪意を滅ぼす崇高な意識を指す」
「……っ!」
 心臓が止まりそうなぐらいに、深い重圧を受けた。
 凄まじい威圧の気配が立体駐車場二階の全域を埋め尽くす。
 暑さとは違う、嫌な汗。
 素人がここに居ようものなら、震えて動けなくなるだろう圧迫感。
「埒外の天秤≠ニはとどのつまり、そこに善が在れば絶対に悪が許される事のない強制的な天秤」
 柄尻に当てていた手を、柄へと握り締め、
「悪在る限り、僕は善の為に総ての悪者(ヒール)は鏖す。それが僕の出自、【邁進世界】の存在証明だよ――お嬢さん?」
 ガンッ!!
 金属バットを少し浮かせ、それを地面に叩きつけた瞬間、直立していた真琴の体が予備動作無しで突進した。
 一拍遅れたアインの眼前。ボンネットに着地した真琴が無造作に金属バットを振るった。
 反射的に屈むアイン。遅れてなびいたボサボサの蒼銀髪に、チッ! とバットが掠める。
 狭い足場で近接戦闘の有利さを物語る互いの体勢。悠然とした姿勢で金属バットを振り上げる真琴がアインを見下ろした。
「悪が最善を示す唯一の手段。それは、死だ」
 手に力が込められた瞬間、俯いたままのアインがぽつりと呟いた。
「……つくわ、」
「ん?」
 動きを止めた真琴を一気に睨み上げ、アインは怒号を放った。
「正義とか口にする奴は、ほんっまにロクなのがおらへんのか! ムカつくわボケ!!」
 ガチリ、と銃口を突き付けるアイン。
 真琴は思わず怪訝な顔をした。何故なら、その銃口はこちらを向いていなかったからだ。
 銃口は、真琴の足元。
 何だ、と視線を落とした直後、アインは引き金を絞ると同時にその反動を殺しもせずに車体を蹴り、後ろへ吹き飛んだ。
 真琴の足元。彼女が立っているのは、車のボンネット。
(エンジンを――)
 気付いた時にはもう、五十口径の弾丸が薄い鉄板などあっさり食い千切り、親指が通せる程の弾痕を作る。
 ブレーキオイルを正確に射止めた弾丸は火花を散らし、車の機構を火あぶりにする。
 時間にして二秒足らず。
 真琴が行動に移すよりも先に、赤いスポーツカーは小さな爆発がエンジンオイルまでも引火させ、大爆発した。


 ◆


 強烈な爆発音が轟く。
 弾かれたように恭亜達の視線が飛んだ。
 結界に覆われた遥か先に、もうもうと立ち上る黒煙。
「何だっ!?」
 公園を出て、開けた道路に来た辺りでそれは突然の出来事だった。
 黒煙はやがて結界の膜に触れるが、煙に触れた部分の文字が白く輝き、波紋を作る。
「誰かが、戦ってるのか……」
 自分でそう呟いた恭亜ははっとする。マーシャは勿論、ルルカの性格からしてあんな爆炎を上げるような派手な戦闘はしないだろう。あんな事態を起こす身内など、一人しか思い浮かばない。
「アイン……!」
 恭亜は振り返り、サラトに声を掛ける。
「サラト、そいつを見てやってくれ!」
「恭亜は?」
 どこか不安げな瞳を向けるサラト。恭亜は茶髪に一瞥をくれてから視線を戻す。
「多分、あそこでアインが戦ってる。もしかしたらこの結界を張った奴と。俺は様子を見て、もしもの時は手を貸してくる」
「恭亜! あぶないよ!?」
 サラトが耐え切れないとばかりに言うが、恭亜は既に固めた結論を覆さない。
「ここに居る以上、それは何処でも同じ事だ。それに俺が向かわない訳にもいかない」
「なら、サラトも……っ」
 訴えかけるサラトに恭亜は首を振る。
「せめて一人ぐらいはそいつを見張っとく人間が居た方が良い。何が起こるかなんて俺にも分からないんだ。分かってくれ、サラト」
「……」
 サラトは何か言いたげにしながらも俯く。呑み込んだ言葉の代わりにパチンと髪から静電気が擦れるが、あえてそれを抑えるサラトに苦笑して彼女の頭を撫でた。
「大丈夫、すぐに戻るから」
「……約束だよ?」サラトは名残惜しそうに恭亜を見つめる。「絶対に約束だよ!? 絶対、戻ってきてね……?」
「ああ……お前も、俺の約束を忘れるなよ?」
 うん! と元気良く頷くサラトに微笑みかけてから、恭亜は振り返って一気に走りだした。
 その姿を、ぐっと堪えて見送る様を眺めながら、茶髪は居心地が悪そうに口を開いた。
「こんな状況になっても、まだ生き残るつもりなのかよ」
 サラトは振り返る。茶髪はびくりと怯えるが、当たり前の事だと不満そうに頬を膨らませてサラトは答えた。
「恭亜はこんなことで誤魔化すような嘘つかないもん」
 子供らしい仕草の彼女にどこか安堵し余裕が生まれたのか、茶髪は引き攣った笑みを口の端に浮かべて減らず口を叩いた。
「なら、本気でオレも護るつもりでいるって? せいぜい頑張ってみろよ」
「むぅ……!」
 さらに不機嫌そうな顔をし、サラトの髪から電流が淡く流れる。
 両腕を交差させて咄嗟に一歩退く茶髪だが、腰が引けている彼の事などお構いなしにサラトは振り返って両手を後ろで組み、プンスカと怒りながらも歩き出した。
「やっぱりお兄さん大嫌い……! でもサラト我慢する。恭亜と約束した、だから我慢」
 色々な不満からか、道端の小石を蹴り転がすサラト。歩くたびに擦れた髪から静電気が弾けている。
「は、はは……」
 傍から見れば格好悪い事この上ない腰抜けスタイルで両腕を交差させたまま、茶髪は空笑いを発していた。


 ◆


 立体駐車場二階は、深いオレンジ色に染まっていた。
 まだ夕暮れには程遠いはずの場所を朱色に塗りたくる理由は、一台のスポーツカーが轟々と紅蓮の炎を噴いているからだ。
 ボンネットが開いていて、窓もフロントガラスも粉々に砕け散ってしまっている。熱と衝撃で前輪のタイヤがパンクしたのか、今も炎を吐き続ける車体は若干前に傾いていた。
 駐車スペースから多少動く程の爆風はアスファルトを強かに叩き、息を吸えば肺が焼けるような感触を覚える程だった。
 爆心地から十メートル程度離れた場所。アスファルトに転がり込んでいたアインはゆっくりと上体を起こす。
 キャンプファイヤーのようにうず高く巻き起こる炎の海を見ながら、軽く咳き込みながら立ち上がった。
(ったく……車の爆破に巻き込まれんのは二度目で終わりにしたいもんやな)
 ほぼ密閉された地下駐車場で似たような状況に追い込まれた事がつい最近あったアインは炎を見てから、ゆっくりと振り返った。着ている修道服は熱で生地のあちこちが爛れ、煤もかなり付いてしまっている。衝撃を緩和したアインですらこうなら、最早結果は出たも同然だ。
「こんだけの爆風なら身体硬化も意味ないやろ。往生しときぃ」
 口元に付いた煤を腕で拭って立ち去るアイン。
 拳銃のシリンダーを横へ傾け、手をかざす。リイイイィィイン――、という鈴の音が響き、シリンダーの六つの穴に光が埋まる。三秒も経たずに六発の弾丸が装填され、手首を返してシリンダーを戻したアインが歩き出した。目指すは結界の支柱の一角。そこを破壊すれば、全てが丸く収まる。
 その時だった。

「本当に……加減を知らない子だね、君は」

 背後から聞こえた声に、肩が竦んだ。
 ばっと振り返ると、今も高らかに吹き荒れる炎の中から、ゆっくりとした足取りで人影が出てくる。
 金属バットを逆手に携え、無傷で立つ埒外の天秤≠ェそこに居た。
「普通は器物破損の罪で劣悪ポイント一点追加する所だけれど、まぁここは結界が創った疑似空間だから大目に見よう。真琴ちゃんは何かにつけて人を悪く言う事はしないのさ」
 悠長にそう言う真琴を見て、絶句するアイン。
(な、なんでや……? 物理攻撃に強いとしても、爆風に熱まで受けてダメージ無しやと?)
 しかも、単に無傷なだけではなく、彼女の来ている服には一切の汚れすら付いていない。明らかに爆発に直撃したはずなのに、それは異常な事だった。
「とりあえず、話に納得して貰えてはいないようだね」
 少し残念そうな声を出す真琴。
 ゆっくりとした足取りを止める事もなく、動けずにいるアインの眼前に立つ。
「仕方が無いね。劣悪ポイント三点の君には粛清は避けられない。本当に困ったものだ」
 真琴の手が、アインの首筋にすっと伸ばされる。
 アインが金縛りから解き放たれて後ろへ退くよりも先に、二人の合間に銀閃が奔った。
「「!」」
 アインと真琴が同時に目だけをそちらへ向けると、そこにはルルカが投擲小剣を投げた体勢で立っていた。
「アイン先輩から離れて下さい!」
「ルルカ……!」
 ルルカの後ろには、マーシャも階段の途中辺りからこちらを恐々とした表情で見ている。
「来てしまったのか……」
 疲れたように溜息を洩らす真琴は金属バットを肩に掛ける。
「君は粛清の対象にすらないんだ。これ以上の正当防衛はいささか心が痛いね」
「戯言を……!」
 歯噛みするルルカを尻目に、アインは舌打ちする。
「大人しぃしとけば良かったのに」
「やられそうになっていた方に言われたくはありませんね。それにマーシャ先輩から聞きましたよ、腹部を刺された痛みを引き摺って容易に倒せる相手ではないでしょう」
 ふぅ、と小さく溜息をつくアイン。
「アイン先輩、これは一体……?」
 マーシャを下がらせ、ルルカはアインの隣りにつく。炎を背景にそれを見守っていた真琴は二人のトークタイムさえ許し、金属バットで肩をとんとんと叩きながら待つ。
「どうもこうもない。弾丸をいっくらぶち込んでもビクともせぇへん、爆破に巻き込んでもあの通りや」
「身体硬化の可能性は……?」
「同じ発想かい……でも、弾ぁ喰ろぉて仰け反っとる辺りそうやと思てんけど――」
 アインの返答がそこで不意に停まった。
 ふと、妙な感覚がした。
 おかしい。
 身体硬化。
 かなり単純や予測に不可解な点が多い事を不思議に思ったアインは、その不思議だと思った要素を一つ一つ反芻する。
 ルルカのオールプリズンをあっさりと破壊する。
 高所から落下しても無傷どころか反動すらない。
 五十口径の弾丸を喰らって仰け反る程度の動作。
 衝撃や熱のような特殊な攻撃で対処しても平気。
 そして、
(汚れ一つ付かへん……?)
 悠然と佇む真琴の身なりには、一切の汚れがない。弾丸を腹部に撃ち込んだはずだし、何よりあの爆炎で煤ぐらいは付いてもいいはずだ。
 それすらない。
 簡単な話だった。
 どうして身体硬化などという安直過ぎる発想で納得しようとしてしまったのか。
 それらの条件を総て満たす能力など、それしか思いつかない。
「……アイン先輩?」
 唐突に言葉を切ったアインに訝しげな表情で窺うルルカに、視線を真琴に向けたまま口を開いた。
「ルルカ。アレ=Aまだ持っとるか?」
「アレ……?」
「恭亜と一緒に迎えに行った後で、貰ったはずやろ」
「――、」
 状況を思い出し、すぐに意味を理解したルルカは躊躇いがちに頷く。
「はい、念の為に携帯していましたが……これをどうするのですか?」
「一か八か、賭けに出る。貸しぃ」
 切羽詰まっているのではなく元からの素っ気無さで説明を省き手を伸ばすアイン。憮然とした感情が湧くが、渋々とルルカはコートの奥から取り出したそれを真琴に見えないように腕で隠しながらアインに手渡す。
「何やら画策しているね。うんうん、いかにも劣悪らしい行為だ」
 嫌味というより清々しいまでに感心の深い頷きを繰り返す真琴。
 どうするつもりなのかを知りたいのはこちらも同じだと思ったルルカは、根負けしたように溜息を吐いてから投擲小剣を二本取り出してそれぞれを両手で持ち、構える。
「援護します。期待しておきますからね」
「せやから、確証は無い言ぅとるやろが」
 その応酬が引き金となった。
 拳銃を構えるアイン。待ってましたという顔ながら、ゆっくりと歩き出す真琴の額目掛けて二発撃つ。
 右、左と順に弾丸の軌道を読んで頭を揺らし避けた真琴。だっと駆けるアインの後ろから間髪入れずにルルカが投擲小剣を放つ。
 だが一本はかわされ、もう一本は胸に当たる直前で掴まれて届かなかった。刃の事などお構いなしの、鷲掴みでだ。
 投擲小剣を放り捨てた真琴が視線を横へ。アインは真琴の左側に滑り込むようにして一発撃つが、頬に直撃した弾丸が火花も散らさず弾かれ、真琴の頭が多少ぐらつく程度だ。
「効かないと分かっていて顔を狙う君は本当に劣悪だ。やはり粛清は避けられないね」
 真琴の視線が飛び、低い体勢で居たアインを捉える。
 腕を鞭のようにしならせて振るった金属バットを落とす。
 ボロボロになった修道服のスカートを花のように開き、ぐるんと捻転してかわすアインはろくに見もせずに叫ぶ。
「ルルカ!!」
「分かっています!」
 新たな投擲小剣を渾身の力を込めて放つ。
 真琴とアインの間を素通りする軌道の投擲小剣を常人の倍以上の動体視力と反射神経で見定めたアインは、虚空を奔る銀閃に手を伸ばす。
 正確に投擲小剣の柄を掴んだ直後、アインは振り下ろされた金属バットをそれで防ぐ。
 ガツッ!! と鈍い音を発して衝撃が手首を襲う。
「……っ! う、ぉぉぉおおおおおおおっ!!」
 歯を食いしばって耐えたアインは咆哮を上げて金属バットを押し退け、銃口を腹部に突き付ける。距離もへったくれもない。もう少し腕を伸ばせば真琴の腹部に押し付けられる零距離から引き金を何度も弾く。
 真琴の体がくの字に曲がるが、何の音もしない。すぐさま真琴は金属バットを横に薙ぐ。
 反射的に拳銃の尻で防ぐが、得物の重さの違いからアインの体が宙に浮く程の衝撃を伴って吹き飛んだ。
 地面を転がるアインが受け身を取る。膝を突いて顔を上げたアインは、何もせずにこちらを見据えた。まるで何らかの結果を待っているかのような視線に真琴が首を傾げた瞬間、
 ビシャア――ッ!
 水の音。
 頭上から降ってきたのは、ペットボトル。
 むくれるアインを無視して恭亜がルルカに渡した、飲みかけのスポーツドリンク。
 蓋を毟り取られたそれが、真琴の頭に直撃して中身を盛大にぶち撒いた。
「――、え?」
 それ≠見て一番に間の抜けた声を出したのは、ルルカだった。
 何故なら、
「成程、弾き飛ばした瞬間に僕の死角から投げ込んだのか。まいったね……」
 溜息混じりに頭を掻く真琴の肢体。

 その周囲をスポーツドリンクが零れて伝ったからだ=B

 まるで見えない壁に邪魔をされているように、半透明の飲料は真琴に届く事無く除けられ、滴る。
 地面に広がる沁みを見ながら目を見開くルルカ。
 アインがぽつりと呟いた。
「おかしいもんやな。銃弾も刃物も効かん。衝撃も熱も効かん。服に汚れすら付かへん」
 ゆっくりと立ち上がり、弾の装填をしながら、
「にしては奇妙なのは、銃弾をモロに喰ろぉてる割によろめき方が軽すぎる=v
 もしそれが演技であるとすれば、
 もし着弾すらしていないのなら、
 そもそも弾が当たる音がしないのは在り得ない。
「服に汚れ一つ付かへんっちゅう事は、そもそも触れてすらおらんのやろ?」
 金属バットを逆手に持って何とも言えない表情の真琴を見据え、
「物理も非物理も纏めて受け流しとる……アンタの能力の正体は、力の流れの操作」
「――!」
 ルルカはそこでようやく、総ての謎を解くに至った。
「力の流れ……」
「バレてしまったのなら仕方ない! 教えようとも!!」
 ばっと腕を振るい、大袈裟な仕草で真琴が大声を張り上げる。
「僕の神器アストレア・ティンクルは、『指定した座標軸とそこに連動する物体に関与する力の流れる方向を書き換える』というものさ」
 ルルカは思い出す。
 見動きの制限された牢獄内で投擲小剣を返した事実。慣性や重力を持つ投擲小剣の力の流れの向きを逆さまにすれば簡単だ。
 砂の牢獄を打ち破ったのも頷ける。常に内側へと圧縮し続ける事で形状を維持していたのなら、金属バットの触れた部分だけ力の方向が崩れ、結果として形状が不安定になった。
「ベクトル操作……っ」
「That’s right!!」
 パチンと指を鳴らす真琴。
 そんな態度とは打って変わって、アインとルルカは呆然とその答えが差す意味に硬直していた。
「じゃあ……ウチらの攻撃は今の今まで……」
「考えている通りだよ」真琴の重圧が、じわじわと二人の首を絞め始める。「総ての攻撃や技術にはほぼ総てにおいて『流れ』が存在する。まずこうして立っているだけでも人は地球が創り出す重力に引っ張られている訳だしね。慣性や摩擦、衝撃、熱や冷気、その他もろもろ……数えるには両手の指では足らない力には、必ずと言って良い程流れが在るのさ」
 その流れが、指定した座標軸を通過するか、あるいはその座標軸上に存在する物体に触れる時、彼女の能力はその流れの方向を別の方向へと書き換える。
 それは即ち、
「そんなもの……対処のしようがないじゃないですかっ!」
 そうでもないよ、と真琴は至って真面目に答える。
「力の流れには道筋が存在する。部屋の向かい合う窓を開ければ風が通る原理とか例に出せば分かるかな? 流れを急激に変えると捻じ曲げた道筋の分岐点で反動の余波が出来る。反動から来る余波を書き換えてまた反動が起きて……と悪循環になるから、肉体に触れた物体は完全に反射させられない。処理しきれなくなった余波が来てダメージを受けてしまうからね。だから実際、触れたモノの方向を何もかも任意に変えてる訳じゃない。難点としては効率の良い角度に自動(オート)で変えてしまうから割と二次災害が酷い能力でね、正義の味方である真琴ちゃんとしては結界無しではあまり使わない事にしてるんだ。それに、神器を含む僕の周囲一メートル強程度の座標軸と、極端に範囲が狭いのも問題だね」
 それは、とても絶望的な響きを放っていた。
「要するに、結界の中では貴女に一切の攻撃は通用しない、という結論で良いのですか?」
 にんまりと真琴は笑みを浮かべる。
「僕の構築数式は完璧だよ。肉体は既に算出した式を書き込んで自動(オート)で防ぎ、余波を受けても実質的なダメージを被らないアストレア・ティンクルで攻撃を反射する」
 まさに、無敵。
 あらゆる力は彼女の隷属化に堕ち、届くどころかその攻撃の主に牙を剥く。攻撃と防御、どちらにおいても、それは究極の力と言える。
 そんな化け物が、目の前に居るのだ。
 ぞくりと背筋が凍った。ルルカは冷たい汗を頬に感じる。
 無理だ。いかなる攻撃も意味を成さない相手に、どうしろというのか。
「ちなみに粛清対象止まりの彼女含めまだ本気は出してないが、気を付けるといい。アストレア・ティンクル自身の破壊力を、理解しているはずだ」
 ? といまいち分かっていないアインに、ルルカは口を開く。
「アイン先輩……間違ってもあの神器に触れてはいけませんよ?」
「何やて?」
「分からないのですか? あの神器は何ら弊害を受けずに能力を行使出来るそうです」
 引き攣った顔で体勢を低め、
「なら、触れた時点でアウトなんですよ」
 その含みのある遠回しな言い方に、アインは合点がいったのか、表情が強張るのを感じた。
「……そうみたいやなぁ。人間なんて、血を流れさせとる$カき物やしな」
 それだけではない。呼吸による酸素の流れを滅茶苦茶にされれば肺胞は木端微塵だ。さらに突き詰めれば脳と肉体とを往復する電気信号を止めるだけで、人体など簡単に支配し、指一つ動かさずに殺す事も出来る事になる。
「攻撃は通じない。触れるだけで終わり。八方塞ですね」
「けどやらん事には始まらへん、諦めてボコボコにされた方が良ぇ言うんか?」
 嫌味のように聴こえるアインの言葉に、ふっとルルカは乾いた笑みを浮かべた。
「命を取られずに済むのならそれが利口でしょう……ですが、敗北が何を意味するかを考えれば、意地でも彼女は通せません」
「意地、か……アバウトな事言うようになったもんやな」
 からかうアインに無言で返し、ルルカは階段の辺りで不安そうに見つめるマーシャに視線を向ける。
「マーシャ先輩! ここはどうにも危険です、もう少し下がっていて下さい!」
「え、で、でも……っ」
 二人を置いて逃げたくないという表情全開のマーシャ。
「なんで連れて来たんや」
「仕方無いでしょう、あの人の性格を忘れて突っ走るのがいけませんよ」
 二人して渋面になるが、真琴の顔がばっとマーシャの方を向く。その表情は尊敬と好奇の色に強い興味を示している。
「マーシャ? まさか彼女はマーシャ=ハスティーノン!?」
 呼ばれたマーシャがびくりと竦み、アインとルルカが警戒するが、真琴は何やら鼻息を荒くして無駄に高いテンションを余計に上げる。
「君があの音に聴く弔花の諸手≠ゥ! うわぁ、本物だぁ……!」
「え、えっと……?」
 今まで死線と隣り合わせだった戦いを繰り広げていた人間が嬉々とする様を恐々と見るマーシャ。ぐっと拳を固めた真琴が一人で勝手に呟く。
「噂には聴いてるとも。【救済世界】の出自を偽る事無く、敵味方を問わずに傷付いた者達に救いの手を差し伸べるその慈悲深い人間性……まさに正義! 一度会ってみたかったと思っていたがまさかこんな所で出会えるとはね!」
 目頭を熱くさせながら一しきり語った真琴は、納得がいかない顔色でマーシャに訊ねる。
「そんな素晴らしい人間である君が、どうしてこんな劣悪を平気で望むような面々と一緒に居るんだい?」
「え……」
 言葉の意味を理解しあぐねたマーシャを真摯に見つめ、真琴は言う。
「君のような正義の模範が、≪ツクヨミ≫に所属しているだなんて僕は納得いかないね。君にはもっと自分の居場所を最大限に活かせる場所は在るはずだ。≪アマテラス≫はどうにも乱暴な部分が拭えないが、それにしたって≪ツクヨミ≫に居るのはいただけないよ」
「わ、私は……」
「正義である事は決して間違ってはいない。自分の正義に素直になるべきだ」
 瞬間、銃弾が真琴の喉に飛ぶ。しかし触れる寸前にベクトルの書き換えが成された座標軸を通過した弾丸が軌道を変え、真琴の後方に駐車されていた黒塗りの外車のフロントガラスに乱雑な円を描く。
 真琴は首を動かさず、視線だけをそちらに向ける。
 銃を構えたアインが、イラついた表情で睨んでくる。
「ルルカには喧嘩売って、マーシャには誘惑か。ほんまにウチらナメとんな」
 五十口径の弾丸など初めから恐れもしない真琴は、静かに苛立つ。
「だからといって、会話中の人間を狙うのかい? 劣悪ポイント一点追加。あと一点で粛清から完殺に変わるよ」
 知るか、と低く呟くアイン。意を決したマーシャが真琴に叫んだ。
「ど、どうしてこんな事を、すっ、するんですかっ!?」
「こんな事?」
 本気で首を傾げている真琴に、それでもマーシャは切に願った。
 正義か劣悪かではなく、救済の為に戦いを止める道が在るんだと。
「これ以上誰かを傷つけるなんて、ま、間違ってますっ! どうか戦いをやめて下さい! アインも! ルルカも! もう誰かが傷つくなんて、良い事では決して、ないんですから!」
 それを聞いた真琴は少々面食らったようだが、悩ましげな表情を作り、金属バットを肩に当てながら答える。
「ああ、それは難しい相談だ……マーシャ君、君の言い分はとても綺麗だ。僕にそれを踏み躙る事なんて出来ない、出来ないと言いたいね」
 けど、と答えた真琴の表情は、自信に満ちた笑みに戻る。
「それでもね、綺麗事だけでは悪は潰えないんだ。そういうモノを何度も見てきた*lだからこそ、それは断言出来る」
「そんな……」
「哀しい事だね。でも事実だ」
 カチャリ、と音が鳴る。
 アインが拳銃を握り直した音だ。
「ごちゃごちゃと言ってからに……」
「アインっ!!」
 マーシャの制止を無視し、ルルカまでもが投擲小剣を構える。
 遠くを見つめるような目で、真琴は至極残念そうに付け加えた。
「ほら……戦いを望む限り、やはり血は流れる他にない」
 口火を切った真琴が金属バットを肩から降ろした瞬間、アインが壮絶な勢いで引き金を何度も引く。
「ベクトル・ウォール」
 アインの動作と同じタイミングで呟いた直後、真琴の眼前に不可視の領域が形成され、音速で飛来する弾丸は屈折して真琴の周囲を通過する。
 舌打ちをしたアインが駆け間合を埋める。合わせるようにして金属バットを振るう真琴。
 迫る脅威にぞっとしたアインが急ブレーキと共に転ぶようにして後ろに倒れそれを避ける。返す刀でまた横に薙がれる一撃必殺の神器。アインは咄嗟に地面に向かって一発撃ち、その反動を利用してぎりぎりにかわす。
 片方に気を取られていた真琴の死角から飛び出したルルカが羽織るコートの端を掴み、真琴の眼前で翻す。
「オールプリズン――刃牢発動!」
 ばら撒いた無数の投擲小剣が、まるで磁石に吸い寄せられるようにして繋ぎ合わされ、ろくに回避行動を取らない真琴を覆い牢獄を創る。全面が鋭利な刃で形成された凶悪な外観の牢獄だ。
「へぇ……」
 こんな物でも牢獄に変えるのか、と言いたげに深い関心の声を上げる呑気な真琴。
 ルルカは牢獄の繋ぎ目に投擲小剣で紐のように連結部分を創る。少し離れて見ればそれは、ファンタジーで言うところの鎖結鉄球(モーニングスター)のような感じだ。
 純銀製のフレイルはそれだけでも威力が有りそうに見えるが、元が牢獄である事がもっと恐ろしい意味を秘めている。
「――衝撃破砕!」
 一喝。柄にあたる部分を=A背負い投げの要領で引く。
 しなりを作って勢いを得た刃の牢獄が持ち上がり、ルルカを基点に半周。
 結果、真琴を入れたままの牢獄は凄まじい重さと勢いのままアスファルトに激突する。
 グシャアッ!! と聴くに堪えない物々しい音が轟く。
「って……! やりすぎやろルルカ!!」
 敵を相手にしながらも思わず口を挟んでしまうアイン。それ程にその攻撃は見てるこっちが顔をしかめそうになるとんでもない一撃だった。牢獄ごと叩きつけられた事で刃が全身に食い込み、加えて衝撃をもろに受けるのだから、普通なら肉体がぐちゃぐちゃになっている事だろう。
 だが、
「……!? 手応えが……っ!」
 苦い顔でルルカが言った瞬間、刃の牢獄の中から涼やかな声が届く。
「ベクトル・エクステンド」
 バガン!! と鉄を穿つ音が炸裂する。
 牢獄の上部が内側から吹き飛ばされ、形状を維持しきれなくなった無数の投擲小剣がばらばらと崩れる。
 落ちてゆく投擲小剣の奥から、ルルカを見据える視線を感じ取ったアインはぎくんと身を跳ねさせた。
「あかん! ルルカ避けぇ!!」
 咄嗟に反応が遅れたルルカにタックルをかますように突っ込む。
「ベクトル・マニピュレーター」
 吹き飛ばされて垂直に戻ってきた投擲小剣の一本を、金属バットが叩く。
 明らかにルルカに向けて振った訳でもないのに、表面に触れた瞬間投擲小剣は不自然な角度に力の流れを書き換えられ、猛スピードでルルカの左肩を狙う。一歩早く動作に移っていたアインのおかげで横に倒されたルルカはなんとかそれを回避した。
 完全に崩れ去ったそこに、悠然と立ち上がる真琴。その格好に、あんなえげつない一撃を受けた事など気のせいだとでも言いたいかのように無傷で、涼しい顔を向けてくる。
 ルルカは地面に倒れるより先に素早く投擲小剣を抜き、手首を返して放つ。しかし同じように視えない壁を通過した投擲小剣はあらぬ方向へと軌道を変えられた。
 地面に倒れ込んだ瞬間、アインはルルカを下敷きにする手前でごろんと頭上を前転。天性の運動センスで最大の効率を生んだ動きで銃を撃つ。
 鉄板を障子のように食い千切る恐ろしい弾丸が、鼻先まで迫る。
 しかし、それでも真琴に恐怖は無かった。警戒すらもしていない。まばたき一つせず、彼女は実に合点が行ったという顔で頷く。
「うんうん……素晴らしい。実に凄いよ君達は。僕の能力は普通、能力にこだわらない単純戦闘の方が真価を発揮するんだけれど……ここまで基礎が出来た人間はそうそう御目に掛からなかったね。シスター服のお嬢さんも、灰色の髪の子も、素晴らしい」
 言う間に左側から距離を詰めるルルカと、銃弾を放ちながらも右側へと滑り込んだアインが同時に跳躍。
 体を捻転させて空を裂く爪先で打ち込む回し蹴り。
 華奢な体躯とはいえ目一杯に体重をを加えた刺突。
 左右から来る鋭い攻撃を、
「――ベクトル・ディフェンシブ」
 たった、一言。
 真琴の首筋と後頭部を狙った二つの攻撃は、触れる寸前で同時に停まる。力の流れを四方八方に分散され、勢いを失ったのだ。
「「……!」」
 二人の表情が強張る。空中でもう一方の足を振り抜こうとするアインも、そのまま両手で握った投擲小剣を押すルルカも、前へと向かう力を分散させられて届かない。
「けどね」
 それは静かに、落ち着いて、噛み締めるように聴こえた。
「いかに君達の力が強大でも、そこに流れが在る限り決して僕には効かない」
 金属バットの先を地面に向け、
「ベクトル・エクスプロード」
 ガン!! と地面に荒く突き立てる。
 地面への衝撃。帰って来る反動。二つの力の流れが書き換えられ、アインの爪先とルルカの投擲小剣に向かう。二人の体が何にも触れてすらいないのに押し返された。
「正義は、――絶対だ」
 突き立てた金属バット――アストレア・ティンクルの柄を握る手に力が込められる。
 触れるだけで命を根絶する、必殺の一撃。
 空中で防御のしようがないルルカが咄嗟にコートの奥に手を伸ばす。脇腹の辺りに仕込んであった手榴弾に似た形状のそれを抜き取り、指でピンを弾き地面に投げた。
 アスファルトに激突したそれは熱も衝撃も放たない。代わりにバシュン! という空気の抜ける音と共にもうもうと白濁色をした煙を大量に吐く。足元からの煙に埋め尽くされた真琴はさすがに面食らって動きを止めた。
「煙幕……成程、目潰し(サミング)で来たか……」
 左右からドサドサ、という倒れる音が聴こえ、苦笑気味に溜息を吐いてアストレア・ティンクルを肩に掛けた。
(気流に乗ってほぼ不規則に浮遊する煙はさすがの僕でも制御出来ない。それに縦しんば出来たとして、そんな膨大な情報量に演算を割り振っては防御出来なくなる。考えてるね、これは確かに効果が在る……)
 ただし、それは煙幕自体に攻撃的な意味が在ればの話だ。
 ならばこちらはベクトル・ディフェンシブで自動的(オート)に防御すれば意味が無い。普段、こういうのは逃げの手段に使う手だ。しかし結界が張ってある上にサラトから遠ざける名目が立ってしまっている彼女達に、真琴を野放しにして逃げる事は許されない。
「ただの時間稼ぎだね」
 つまらなそうに呟いて、自ら出る事もなくそこに佇む。風が煙幕を自然に薙ぎ払うのを待っていると、不意に男の声が聴こえた。
「……っ!」
「……っ!? ……っ!」
 真琴が片眉を上げる。その声の主に反応してアインやルルカが何か叫んでいる。単純に距離が有り過ぎて聴こえ辛いようだ。やはり向こうもただの時間稼ぎにしかならない事は理解していたらしい。
(増援かな? それにしても、この声どこかで……)
 一しきり会話を終えたのか、誰かがこちらへと近づく気配が伝わる。
 彼女の能力相手に不意打ちは通用しないが、誰だろうと気になった真琴は散歩でもするかのように歩きだした。
(迷う必要なんてない。誰であろうと僕の天秤はその善悪を見定め、行動を決めるのみ)
 【邁進世界】の名を忠実に煙幕の出口を抜ける真琴は、眼前に薄っすらと見える人影に真っ直ぐと突き進む。
「僕は迷う訳にはいかないんだよ。正義の為に。それは、僕が信じた唯一の神様(ちから)なんだから」
 威風堂々。やがて煙幕を掻い潜って異質の光で満たされた世界に躍り出た真琴は、

「「……え?」」

 互いの間抜けな声が重なる。
 彼女にとって、最も想定外であっただろう青年と、ばったり遭ってしまった。
 黒髪の美麗な青年。
 彼女にとっての正義が、そこに居た。


 ◆


 煙幕の中から飛び出したアインとルルカは受け身も取れずに地面に倒れ込んだ。
 慌てて立ち上がるが、立ち込める煙の中から真琴が出てくる気配は無い。攻撃しても効かないのだから焦る意味などなく、間違いなく煙が風に払われるのを待っているようだ。
 二人は同じ方角に距離を取る。狙った訳ではないが、自然とマーシャを背に庇うように遠ざかって顔を合わせる。
「どないすんのや!? 何やっても届かへん!」
「私に訊かれても困ります!」
「演算は御手のもんやろ!? 何とかあの能力の隙間は在らへんのか!」
「そんな簡単ならあれ程の余裕が在る訳がないでしょう! そもそもあそこまで攻撃が通用しない敵と相対した事がないのですから、手の打ちようもありません!」
 こちらは充分に焦っており、声を荒げて叫び合う。
 ふわりと二人の頬を掠める柔らかな風に、口論はぴたりと止まる。
「……出来るんですか? 結界を作る際に殆ど必要生の無い気流の情報さえここまで真似る相手ですよ!? 私達が太刀打ち出来る相手ではなかったんですっ!」
 アインは口ごもった。
 ルルカ=T=エスティークという少女は決して弱音を吐くような人間ではない。己への戒律を重んじ、常に冷静で在る事を心がける彼女が焦り、このように不安をぶちまけるという事をするだけで、それが事実だとアインには充分判り切っていた。
 勝てない。
 相手にすらなってない。
 なんと無力な事か。アインは少し俯いて銃を握る手に力を込める。
 そこに生まれた握力などでは、決して届かない敵が居る。煙幕の時間稼ぎを知りながらも、一歩も動かず待ち構えるような相手。何をされても傷一つ負わない結論を既に導いている化け物。
 歯痒い思いで胸がいっぱいになり、完全に心がへし折れそうになった。
 その時だった。
「えっ……!?」
 不意に横合いからマーシャの驚く声が聞こえ、胡乱な視線をアインは向ける。
 一階から上るための細い階段を、カンカンカン! と早いペースで駆け上がる足音。
「……、まさか」
 ぽつりと呟いた瞬間、それは現実のものとなった。
「――アイン!」
 ばっと顔を出したのは、少し肩で息をしている恭亜だった。
 ルルカとマーシャは呆然と恭亜を見つめ、アインは別種の驚愕を表情に浮かべた。
「な、なんでアンタが……」
 結界の内側に居る可能性は確かにあった。真琴が指定した座標対象は≪アマテラス≫の三人組。その付近に居さえすれば巻き込まれるのは容易に見てとれる。実際、恭亜はサラトが作った簡易結界に干渉を受けていたせいで、それが解除された直後に真琴の結界が展開された際に連鎖する形で巻き込まれたのだ。
 だが、それはいい。もしも巻き込まれていたとして、それが必ずしも危険とは限らない。むしろ真琴の狙いにない恭亜なんて居ないに等しかったからだ。
 いや、いっそ狙われずに済むべき一人。
 そんな彼が、真っ先にここへ来てしまうなど、こちらも計算外だった。
 マーシャの横を擦り抜けてやってくる恭亜を睨みつけ、アインは叫んだ。
「なんで来た!!」
「う、わっ……!?」
 ずいと顔を寄せられ思わずたたらを踏む恭亜。アインはどうして身を引いたのか分からず、分かりたいとも思わなかった。
「敵はウチらが束になっても敵わへんよな奴や! ちゅうか、そうでなくたって何でアンタが来とんねん!」
「そ、そんなの今言われたってしょうがないだろ!」
 咄嗟に正論じみた事を口にする恭亜だが、さすがのルルカも彼を批難した。
「恭亜さん、相手はサラトさんを狙っているようですが私達では歯が立ちません。最良の策はサラトさんと共に結界の支柱を破壊して逃走する事です」
「――、」
 その言葉の意味を、瞬時に恭亜は理解した。
 要するにそれは、『私達で足止めをするので支柱を目指して下さい』という副音声が紛れている事に他ならない。
 恭亜は言葉を持たず、しばし目を閉じて考えた。
 それは悠長にも見える一瞬。
 考えるのは、答え。
 ここで出すべき恭亜の答え。
 姫宮恭亜は非日常に足を踏み外した$l間。
 闇の楽園=B
 その真名とも言えぬ存在を持ち、既に大きな罪を犯した。
 鵜方美弥乃を救えず、
 桃瀬晴香を救えず、
 檜山皓司を救えず、
 ようやく救えたサラト=コンスタンスの命が危ぶまれているこの状況下。
 一体彼女に何を望み狙うのかは分からない。
 けど、分かる必要なんてなかった。
 もう答えは出ているから。
 答えなんて、決まっているのだから。
「……ルルカ」
 瞼を上げ、ただ真っ直ぐとルルカを見据え、恭亜は口を開く。
「俺がどうして、結界の中に居るんだと思う?」
「え?」
 唐突な質問を投げかけられたルルカが戸惑う。
 それでもいい、と。恭亜は一人心の中で頷く。
「サラトと一緒に、一人の男と戦った。そこには死が当たり前の世界に、俺は見えた」
「恭亜、何を……」
「けど、結局は生きたい奴しか居なかった。どいつもこいつも死にたくないくせに、殺す以外に道なんて無いと思ってる大馬鹿しかいなかったんだ……一人じゃ間違った答えかどうかも分からないって理由を付けて、どいつもこいつも殺す事しかしようとしなかった!」
 声が荒くなる。
 言葉が重くなる。
 酷くなる。
 でも、それで良いんだと恭亜は強引に自らを殺して選択をする=B
「戦う事が殺す事だなんて、誰が決めた!? 負ける事が死ぬ事だなんて、誰が決めんだ!?」
 うんざりだった。
 どうして目の前に居る奴等は皆、こんなにも簡単に自分の命を二の次に考えられるんだろう。
 死にたい訳じゃないくせに。
 生きる為に戦ってるくせに。
「その力は一体何の為に在るんだ、アイン! その強さは一体誰の為に在るんだ、ルルカ!」
「……っ」
「それは……」
 二人は視線を逸らす。様々な想いから背けた視線を睨み返し、恭亜は怒る。
「逃げろだって!? 冗談じゃねぇ!! 俺が此処に居る事自体が既に間違っちゃいないんだ=I! サラトの為!? お前等だって分かってるんだろ!? ここでその敵ってのを倒さなきゃ結局は堂々巡りなんだって! イイコぶるんじゃねぇよ! 今更俺を蚊帳の外に扱うんじゃねぇよ!!」
 遠くから見守るマーシャも口を小さく開いたまま硬直する。
「どうせ死ぬなら一緒で良いよ!! サラトのついでで救われる俺の価値は一体どこに在る!? 何の為にサラトの友達を誓ったか、お前等になんか分かるかよ! 分かってたまるか!!」
 悲痛な想いがそこにあった。
 他人には理解されない想い。
 孤独。
 独りで居る事の、それが痛みと呼べるものなのかも分からない苦しみ。
 アインやルルカ、マーシャには分からないだろう。
 けれど恭亜には分かる。
 同じだったから。
 雪の降り積もる一面の白のような、一切の感情も埋め尽くされた無音の世界。
 声を出しても届かないと理解させられた世界。
 冷たい世界。
「サラトの世界はどんなに冷たいものだったか、俺には分かる」
 【純真世界】。
 善も悪も一つの嘘として決まってしまう、まるで雪原のように平らな居場所。
 言葉が意味する重みを、人の想像を超えた範疇で理解しなくてはならない心。
 信じる力。故に何度も何度も傷つけられ、傷んできた。
 それでも、壊れ、崩れる前にやっと出会えた暖かいモノの為に、サラトは戦っている。
 自分自身と。
 死が当然の世界から抜け出せた事を、本能が否定してしまわないように。
 恭亜との陳腐な口約束を、己の存在証明を傷つけながらも護っている。
 結局、恭亜にサラトは救えてなんかいないのだ。
 せいぜい前よりは環境の良い場所を提供したに過ぎない。≪ツクヨミ≫が居なければ、サラトの身を擁護する存在が無ければ、恭亜にはサラトが芋蔓式に呼び込んだこの事態を収拾する力なんて無く、あっさりと潰されていたに違いないのだから。
 彼女は今も苦しんでいる。悲しんでいる。戦って、傷付いている。嘘を許容し、嘘と隣接し、嘘に支配されなければ戦う力を持てないなら、恭亜の為に彼女は嘘を望み、求む。
 なんて愚かな事だろう。必要の無い苦しみを背負うサラトは。
 なんて愚かな事だろう。背負うのが当然の罪を重ねる恭亜は。
 でも、分かってる事が一つだけある。
 それだけは、雪化粧に埋もれても決して見失わない答え。
「俺は、サラトが俺を友達だと胸を張って言えるのなら、あいつの代わりに手を血に汚しても構わない」
 びくん、と。言葉以上にアインの視線がこちらへ向く。
 いつの間にか恭亜の右手に、漆黒の刀が握られている事に気付いたからだ。
「戦わなきゃならないなら、もう俺は日常は要らない」
 失わなきゃ戻れない世界なら、もう要らない。
 そうして恭亜は振り返る。白濁色の煙の中に居るらしきその『敵』を間接的に見据え、
「『さよなら』はもう言ったんだ……俺にはもう、ここしか無いんだ!!」
 アスファルトに靴を踏み鳴らし、恭亜は早足気味にそこを目指した。
「恭亜さん!?」
「あかん……っ!」
 二人の制止も、振り切るしかなかった。
 答えは出ているのだから。
「サラトだけじゃない。俺は、お前達も護りたいと本気で思ったんだよ!!」
 ぶわりと煙を燻らせて、中から人影が現れる。
 恭亜はアルテアリスを振りかぶり、真正面からその『敵』と相対した。

「「……え?」」

 互いの足が止まる。
 恭亜は呆然と口を開いて、思考が真っ白になるのを感じた。
 煙幕から姿を現したのは、一人の少女だった。
 髪を片側で縛って伸ばす、スタイルの良い端正な顔立ちの少女。
 何故か金属バットを片手に持つ、利発そうな表情の『敵』は、
「君は……」
「……、真琴?」
 ほんの数時間前に会っただけの、優しい正義の味方だった。
2009/01/03(Sat)00:36:38 公開 / 祠堂 崇
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この作品に対する感想 - 昇順
こんにちは!続き読ませて頂きました♪
アインと真琴の戦闘は、単純なだけに面白かったです。真琴の不明な能力など、謎の部分はあったとしても、二人のぶつかり合い(言葉も物理的にも)という感じで楽しめました。今回も真琴の「悪の最善は死」って凄い事いうなぁって感じましたが、それが真琴なんだろうなって思えてアインの「正義を語る奴にロクなのがいない」というのが、分かるかもという感じでした。
では続きも期待しています♪
2008/12/15(Mon)16:59:241羽堕
 こんにちは。
 緊迫したアクション描写は、羽堕さんのおっしゃるように流石だと思いました。ただ細密な描写といささか饒舌な会話が戦闘のスピード感を殺いでしまっているようにも感じたんですが、いかがでしょうか。スローモーションみたいな効果が出ていたとも思うので、これでいいのかも知れませんけど。
 ただ、最後の「二秒」というのは、ちょっと長い感じがしました。二秒も行動を起こせないなんて、これだけの手練れとしてはちょっと不甲斐ないような。

 日本語として気になったところが数箇所ありました。「銃声音」「崇高な意識を差す」などです。ご確認とご訂正を。
 あと、関西弁の「言ぃひん」は誤りで、正しくは「言わへん」です。
「いぃひん」だと、「居ぃひん」もしくは「射ぃひん(こんなの誰もつかわないけど、理論上は)」という意味になります。否定の助動詞「へん」が「ひん」に変化するのは、サ変動詞(しぃひん)、カ変動詞(きぃひん)または上一段動詞(見ぃひん、着ぃひん等)に付く場合に限られるからです。
 ただしサ変「しぃひん」とカ変「きぃひん」はやや京都的で、大阪では「せぇへん」「けぇへん」の方が普通の気がします。神戸は「せぇへん」「こぉへん」の人が多いかな。
 ご参考まで。失礼いたしました。
2008/12/22(Mon)01:19:510点中村ケイタロウ
【羽堕様】
レス、有り難う御座います。
真琴の考えはある意味、同じく正義を振りかざすプリシラとは真逆の思想で出来てると思って書いてます。
それについてはもう少しすれば、だんだんと分かると思います。あるいはあとがきで書くやも知れないですし。

【中村ケイタロウ様】
レス、有り難う御座います。
単純な戦いだけど、自分が苦手とする描写ベスト3に入るシーンだけに難しかったです。
詳細描写と心理描写の両立に目が行くと、他の観点に盲目になるのがやっぱり勉強不足で若干歯痒いです。
「二秒」についてですが、あれは真琴の遊び心が起因です。どうせ喰らってもダメージなんて被らないのだから、何をするのか知りたいという学者気質が出ています。
何気にキーワードを二つ出してますが、それについては続きにて噛み締めていただけたら嬉しいです。目指せスルメノベル。

それと、日本語的な指摘、本当に有り難う御座います! 急ピッチで直させて頂きますっ!
ホントにもう何書いてんだ俺……(汗)。
あと関西弁についての補足、毎度の事ながら有り難う御座います。すっごく参考になってまして、有り難い限りです。
ぶっ飛んだ関西弁書いてたらまた叩いておいて下さい。かなり助かります。
2008/12/26(Fri)20:08:560点祠堂 崇
こんにちは!続き読ませて頂きました♪
真琴強いなぁ、各組織のトップって、どんだけ強いんだって思ってしまいました。「一か八か、賭けに出る」とあったので、敵の能力を踏まえた上でダメージを与えようとするのかと思ったら、ただ真琴の能力を暴くだけでした。確かに敵の能力を知ることが、どれだけ有利か大切さは、分かりますが「一か八か、賭け」という表現は違う気がします。あと「対象にすらにないんだ」となってました。
では続きも期待しています♪
2008/12/27(Sat)10:11:450点羽堕
【羽堕様】
レス、有り難う御座います。
なんだか拍子抜けな場面に『一か八か』なんて使ってしまい、済みませんでした。勢いだけじゃ駄目なんだと勉強中です。主に灼眼のなんたらとか読みながら。アレ凄い言葉の引き出しだなぁとか思いますよね。そう思いません? 逃げだと言われたらもう返す言葉も……。
誤字発見感謝します! 自分で確認しても訳分からん……orz
短いですがこれにて然らば。
2009/01/03(Sat)00:28:240点祠堂 崇
こんにちは!続き読ませて頂きました♪
口を挟めないような言葉を並べてしまう恭亜が痛々しく感じてしまいました。だけど、そこが恭亜らしい考え方なのかなと納得したりもします。敵として出会った真琴と恭亜が、このあとに、どうなってしまうのか楽しみです。「灼眼」は存在はしっていますが小説もアニメもみたことないのです、すいません。
では続きも期待しています♪
2009/01/03(Sat)14:32:430点羽堕
合計1
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