- 『朝の、』 作者:れるのな / ショート*2 未分類
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女学生のちょっとした葛藤です。
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どれほどこうしているだろう。
もしかしたらまだ10分とたっていないのかもしれないが、随分と長い時間布団の中でうずくまっているように思う。
もぞもぞと手を出して枕もとにある時計をつかみ、それから重い瞼を持ち上げて画面を見た。今の時刻は午前6時32分。これからどうするべきか。そんなのは決まっている。
私は中学生、学校に行くのだ。
分かっているのになかなか体が動かない。いや、動かないという言い方は少々セコいかもしれない。この場合は……。
このままこの意味のない思考にすべてを任せたい気持ちに襲われるが、自分の根本にある理性が必死に対抗した。腕を頭上にある空いた空間に持っていき、メガネを探す。しばらくするとひんやりと冷たい感触がした。
ゴシゴシと目をこすってから、メガネを手に取り装着。何故だかしらないが、朝、メガネをかけると私の頭は冴えてくる。いつも思うが、朝限定なのが残念だ。
少し損した気持ちになりながら、それだけの作業をしてまた行動を止める。多分まだ2、3分しか経っていない。まだ間に合う。まだいける。まだ大丈夫。
まだ…………。
この20分後、私は母の声で飛び起きることとなる。
私は中学生。さあ、学校へ行こう。
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2008/07/31(Thu)15:10:34 公開 / れるのな
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■作者からのメッセージ
昔を思い出しながら書いてみました。
あの頃は、朝寝坊しても笑っていられたなあ。