- 『つき』 作者:なす / ショート*2 恋愛小説
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わたし、中学生になってすぐ初恋をしたの。七年たったけどいまでもずっと大好き。わたし、結ばれることを望ではいないの。いや、ちがう、かな。でも(こんなこと書くのじたい馬鹿らしいけど)望まないようにしてるのはたしか。この感じは、なんというか、こう、性愛と言うより友愛を望んでる、そんな感じ。
たとえば、あの人に好きな人ができたとき、まずわたしに『なあ。どうしよう、どうしたらいいかな』なんて相談してくるような関係。親友。何でも話せて、お互いのことをわかりあっていて、心から信頼している。そんな関係。わたしの霞みかかっている憧れ。けっしてとどかないただの憧れ、お月様みたい。
わたし、あの人を思って何度涙を流しただろう。でも、泣いた後は気持ちがすっきりする。これは夢と逆。夢は後がつらい。二か月に一度くらいの間隔で、あの人の夢をみる。あの人の夢をみてからしばらくは心やすらかで希望にあふれる。今日こそどこかであの人に再会できるんじゃないかと思う。会えなくても次の日くらいは元気、だけどすぐに希望はさっていく。そして、いつにもまして感情が揺らぐ。虚しさ、悲しみ、愛しさ、せつなさ、絶望。たすけて、と声をだしそうになる。うそ、だしたちゃった。
こんなだけど、わたしはいつでも、幸せなら夢でいいのにって思っちゃう。現実はつらい、嫌い。わたしは幸せへの気持ちが強くなると、長い睡眠をとらないようにするの。短く何回も寝る。なぜって、こうすれば夢をみる確率があがるんじゃないかなって思ったから。それでも二か月に一度だけ。もっと間隔が長いかもしれない。馬鹿だなぁ。わたしは愚かしい馬鹿者だ。あの人に好かれるわけがない。消えてしまいたい。なんだか、人生の半分以上が消化されたみたい…
なんで、なんであの人を好きになっちゃたのかな。もしわたしが誰かを愛しても、あの人の影をその誰かさんにみたからだもの。きっとそう。どんなに時間がたってもあの人の影は消えない。あの人はそこにいる。お月様!!
こんな遺書を遺して死んだらどうかしら。
あの人のところは名前にしたほうがいいかしら。
それであの人に送りつけたらどうかしら。
うふふふ、あっははははははははははははは
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2008/07/24(Thu)05:20:12 公開 / なす
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■作者からのメッセージ
フィクションです。(笑)