- 『君の姿は僕に似ている』 作者:優 / リアル・現代 ショート*2
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君は僕に似ている
君の笑顔を見た瞬間思った。君の笑顔の後ろには何か暗い闇があるんだ。
僕もそうだ。自分の中に入られたくなくて笑顔を作って入らせない。
他の人とは違う冷たい笑顔。笑っているはずなのに笑っていない、笑えない。
君は何の為にその笑顔を作っているの。
「ねえ、君はなんで笑わないの? 」
放課後の教室みんなは帰り僕と君と二人っきりになった時、
僕は僕に笑いかけてきてくれた君に言った。
君は、何を言ってるの? と首を傾げて大笑いをして僕の肩を叩いた。
僕はその手を掴みもう一度言った。
「ねえ、なんで笑わないの」
僕はまた君に聞いた。
君はさっきまで笑っていたが急に目が死んだみたいに冷たくなった。
僕の手を振り払い少し距離を置いて感情の無い声で言った。
「笑ってるじゃん。」
君は死んだような目のまま僕に微笑みながら言った。
本能が怖いと感じた。
君は僕に、はいお終い。もう帰ろうと鞄を渡して教室を出ようとした。
「笑ってない」
教室を出ようとした君を僕はとめようとして、
僕は大きな声で君にそう言った。
「何? あんたは霊能力者なの? 人の笑顔にケチつけないで」
君は僕の方を振り向いてさっきまで作っていた笑顔を作らず、まるでマネキンのような顔で僕の目を見ながら言った。
「君の姿は僕に似ている、君の笑顔は僕と同じで影がある」
僕は立ち止まった君に近づき目を見ながら言った。
君の真っ黒な瞳に僕は少し立ちくらみをした。
「私が? あんたと?」
君も僕の目をしっかり見ながら、
君は吐き捨てる様に僕に言った。
怖い、怖い、怖い、
君の笑顔は僕と似ているはずなのに、凄く怖い。
似ているけど、本質が違う。
僕はあまりの怖さに一歩後ろに下がった。
「私が笑顔を作ってる理由聞きたい?」
君は笑いながら一歩下がった僕に近づき僕の頬触りながら言った。
そんな君に感じた感情はただ1つ、怖い。
あまりにも怖くて僕は腰が抜けそうになる。
僕の目の前にいるのは同い年の女の子のはずなのに僕はまるで神を見ている気がした。
神といっても優しい神ではない。
鬼に近いような神だ。
「何? 冷や汗垂れてるよ」
君は僕の顔を流れる冷や汗を見ながらクスクス笑った。
その笑顔だけはまるで本心から笑ってる様に感じた。
逃げれるはずなのに逃げれない、ドアはすぐそこにあるのに君から逃げれない。
君はそんな事を思っている僕に気付いたのかまた少し笑った。
「知ってる? 女なのに男の心持った人間が存在するの」
君は僕から手を離し近くの机に座って淡々と喋りだした。
机の上に座った君の座り方は女の子じゃなくて、足を広げてその間に手を置いて身を乗り出すようで、まるでよく僕たち、男子がする座り方と同じだった。
「私もそれなんだよね。自分は男な筈なのにどんどん女の体になっていくの」
君は笑いながら自分を指差していうが、
そう言った君の表情はあまりにも悲し過ぎて僕は君を見ていられなくなった。
「私はそれを隠しているの」
君は顔をそらした僕を睨みつけながら言った。
そして机から降りて教室を出て行った。
「じゃあ、なんで僕に教えてくれたの? 」
僕は廊下を歩く君に声をかけた。
「さあ? なんでだろ? 」
君はくるっと僕の方を振り向いて笑いながら言った。
そしてまた向こうを向いて走り出した。
廊下を走って行く君の後ろ姿が消えた時僕はなぜか心が凄く軽くなった気がした。
それと同時に
僕の心に残る君に対する恐怖心はどんどん心の奥を埋めていって、
君に対する興味もどんどん膨れあがっていった。
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2008/03/23(Sun)22:41:39 公開 / 優
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■作者からのメッセージ
初めて小説書いたんで下手です。
何かアドバイスをもらえると嬉しいです。