- 『The Universe』 作者:Tona2 / ファンタジー ショート*2
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全角996.5文字
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原稿用紙約3.4枚
幻想ファンタジー
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夜中、目が覚めた。何も見えない。何の音もしない。
いきなり体が浮いた。無重力状態に陥ったように。ふわり、ふわり。
目が慣れてきた。暗闇に、たくさんの点が輝いている。
その点は星だった。「ああ、きれいだ」ただそれだけを呟いた。
ただ空間に流されるままになる。重力を感じない。心地いい。
何の障害も無い。壁も無く、無限の世界が広がる。
突然、誰かが耳元で囁いた。「こんにちは」と。
「君は誰」とにかく訊いてみた。
「僕は―名前は―infinity」
infinity、つまりそれは「無限」を表していた。
「君は無限なのかい」infinityに訊いた。
infinityは答えた。「無限ではありません。無限というのはあくまで人々の理想なのです」
infinityはさらに付け加えた。「この世界、この宇宙に無限はありませんよ。あらゆる生き物の命も無限では
ありません。森林や、群青色の大海原も、決して無限ではないでしょう。星だって、生まれれば、爆発して
死んでしまいます。無限であるものはありません」
infinityは優しい声で囁いた。
「有限であるほうがいいと思うのですよ。生きることが無限だったら、死ぬことは無い。生きることが無限
なら、生きることの大切さが分からないでしょう?創造してみてください。大切な人を失うことの無い世界を。
一見、良い世界に思えるかもしれません。ですが、大切な人は死なない。永遠に生き続ける。
次第に、その人が自分にとって大切な人では無くなってしまいます。これほど寂しい世界はありませんよ。
だから有限であるべきなのです。大切な人を失う悲しみは、簡単には忘れられないことでしょう。
しかし、人生は山あり谷あり。良いときもあれば、悪いときもある。喜びや楽しさだけでは、人として成長
できません。悲しみや怒り、空しさなどの、負の感情を持たなければ、人は前へとは進めません。
人はいつか死にます。命は有限だからです。だからこそ、今を大切に生きるのです。
『Now or never.』今をもって他に無い、という意味です。今という時間は人生で一度しかありません。
だから、生きるのです。今という時間を」
その瞬間、星の輝きも消えた。重力が戻る。四肢全てに感覚が戻る。
夢か、それとも現実か。いや、どちらにしても、何かとても良いことを聞いたと思う。
今のこの経験が、いつか役に立つのだろう。
心の中で、静かに誓った。今を大事にしようと。
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2008/03/21(Fri)16:18:15 公開 / Tona2
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■作者からのメッセージ
初投稿です。幻想ファンタジーです。読む人に命の大切さを知ってほしいと書きました。やっぱり、命は有限で、かけがえの無いものだと思います。
これを読んで、命の大切さを感じてほしいです。