- 『God Love...』 作者:櫻 / 未分類 未分類
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現実感に彩られた景色。景色は秒針と共に流れ、流れゆく時は君の世界を閉じ込める。
閉鎖された世界の向こう側で、君は、こう考えたことはないだろうか。
今君が感じている世界が、全て君の妄想の産物であるということを。母も、父も、全て自分が生み出した理想という偶像に過ぎない、と。
くだらない、と君は一笑にふすだろうか。
しかし、世の中に永遠がないように、絶対という言葉もまた存在しない。君がよく知っていることだ。
“もしかしたら”。この言葉が、新しい世界を繋ぐ架け橋となるだろう。
君が感じている世界は、どんな色をしているんだい?
君は心の窓の向こうで、息苦しさを感じてはいないだろうか。君の心の部屋は、本当に君の心の部屋なのかい?
自己紹介がまだだったね。僕は、“神の子ども”と呼ばれている。……いや、本当はただの人間さ。
だから、何年ぶりかに咲く桜の花を見ながら、僕はふと考えたんだ。
生きるということは、探すことではないか。
僕は生きる意味をずっと探してきた。
ここまでたどり着くのに、何年もの時を要した。そして、これが答えではないかもしれない。僕は一生探し続けるだろう。転び、泥だらけになり、荒野を彷徨する旅をしている。荒野の果てを見つめながら、ずっと歩き続けている。終着点の見える旅だ。僕は、一人きりの荒野で自身と戦いながら、荒野をさまよい続けるだろう。
生きることは、探すことだ。
探すことは、戦いだ。
なら、その戦いにあなたは勝ったのか。
もしそう問われたなら僕は、こう答えるだろう。いや、全てに負けた、と。僕は、夜明けを見失ってしまった。
教えて欲しい。君が何も見失っていないなら、この世界で何を見ているんだ?
華やかに彩られた建物か、白黒の閑散とした空か。
世界は全ての者に、平等に与えられた唯一のものだ。世界が美しいのは確からしい。
青い海、白い雲は果てなく続いている。花は大地からこちらを見上げ、草は風と共に笑いあう。神は、この世界を愛した。世界が汚いのではない。世界と僕たちを繋ぐ、眼のレンズが違っているだけだ。
僕たちは不完全だ。しかし、この不完全な人間を、神は愛する。
神は人間を創り、物語は紡がれ続けている。
歴史は物語だ。ただ、その物語には始まりと終わりがない。
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2008/02/23(Sat)12:25:08 公開 / 櫻
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