- 『夢』 作者:蠢く蟲を嬲り殺し / ショート*2 ショート*2
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夢は誰しもが見る。されど、その夢を叶えられる者は少ない。
100人いたら、せいぜい1人が居るか、居ないかぐらいだろう。
だから、ほとんどの者共が夢をあきらめ、頭で計算し、妥協し、現実を見はじめる。
夢なんて、叶うためにあるというより、見るためにあるかのように。
そんなことを、今の世の中は物語っている。
夢を見ない子供は、固定された道で怪我をしないことを知っている。
常識的に考えて、こうしたほうが俺(私・僕)の将来は明るいんだ。
確かに暮らしは落ち着く。確かに、大きな失敗はない。
だが、日々に喜びは見出すことはできない。
なぜなら、はじめから妥協しているから、計算されているから、諦めているから。
はじめから、冷めた目で世を見て、批評することには優れていて、感動など微塵もない暮らし。
そんな暮らしに喜びはない。あるのは延々と続く、足元だけが照らされた道。いや、もはや通路だ。
そしてそんな暮らしに、嫌気が差した者共はどうなるか。
あるものは、酒、博打、果ては覚醒剤。そんなものに溺れてしまう。そして、自分の体を傷つけ始める。
あるものは、周りに向かい、鋭く光る刃を向ける。それは、他人を傷つける。そして、自分の心を傷つける。
だが、本気で夢を追った者は、たとえその夢が破れたにしても、暮らしに喜びは生まれる。
努力することを知っているから、何事にも本気になれる。だから、感動が生まれる。
そんな暮らしにこそ、喜びは生まれる。
そんな暮らしを過ごしている者は、決して自分を傷つけるようなことはしない。
自分を傷つけない者は、決して、他人も傷つけない。
夢とは努力である。
だが、死ぬほどの努力を重ねても、夢は実現しないことが多い。
ほとんどが、実現しない。
だが、実現のために必死で行った努力は決して無駄にならない。
夢とは違う世界に入っても、その努力の過程は無駄にはならない。
決して……。
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2008/01/12(Sat)23:09:19 公開 / 蠢く蟲を嬲り殺し
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■作者からのメッセージ
恐ろしい名前ですが、難しい文字をたくさん入れてかっこよくしようとしたらなんだかホラーな名前になっちゃいました。気軽に虫とでもお呼びください。
それはともかく初投稿です。がんばりましたが、詩的な感じに……?