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『補習』 作者:葵 / 恋愛小説 リアル・現代
全角2163.5文字
容量4327 bytes
原稿用紙約7.4枚
リコのものすごく短い恋物語。
目が覚めた。ここはどこだろうか。
状況をのみこめないまま、しばらく頭が真っ白になっていた。顔を洗おうかと、流し台に向かう。
「……」
少しはすっきりした…というか、流し台があるって事はここは……
「学校だ!!」
居眠りをしてしまっている。という事実を呑み込むには時間が必要だった。昼休みから放課後まで、そりゃあもう、ぐっすりと眠っていたからだ。
「やばいぞやばいぞ…」
リコは呪文のようにその言葉を繰り返した。変質者か。まあ、そう思ってる人もいるかもしれないし。リコは走り出した。…職員室へ。
「本当にすみませんでした!!」
「…岡野。お前は人より馬鹿なんだぞ?成績がやばくなるぞ?いいのか?」
「いいわけないですよ……」
「じゃあ、居眠りなんてしないことだな。…二学期からは」
今は七月。中学三年になって、部活は引退。進路のことを考えなきゃいけない時期。こんなときに居眠りなんてさ…どんだけ馬鹿なんだ。
「ちょっと、先生。二学期からはってどういうことですか」
「いや、お前居眠りしたし、補習な」
「!?」
ほ…補習なんて今までなかったのに!
「ま、居眠りしてなくても補習だけどな」
「そんな…。先生の眠くなるような授業がいけないんですよ!」
リコは走り出した。ショックをうけて口から魂がでてる先生を無視して――。教室に戻る。人はいなく、机はぐちゃぐちゃ。リコの席は窓側の一番後ろ。
「そりゃ眠ってしまうよな、でもこの席選んだあたしが悪いのか……」
その日は、帰った。




そして、いつのまにか夏休み。居眠りをしたことなんて、さっぱり忘れたはずだった。
しかし。
「プルル……」
「おっとぉ!電話だ!電話があたしを呼んでいる!待ってろよ、今行くからな!」
リコのテンションは最大値まで達していた。理由は……まぁ、夏だから。
「はい、岡野です!」
「あ、リコ?あたしあたし。」
そのときリコはピンときた。なっ……これは新手のオレオレ詐欺か!?と。
「あ、あんた名前は……?」
「え。あたしだよ。ハルミだよ。」
「違う!ハルミは一昨日引っ越したはず!」
「プッ……プープープープー」
……馬鹿な女でごめんなさい。リコもさすがにふざけすぎたか、と折り返しましたので。
「もしもし」
「あ、ハルミ?あたし、リコ!さっきごめんねー!」
といいながらもテンションがたかいってどうよ。
「あー、リコ?いや、気にしてないけど。うざかったから切っただけ。で、さー」
「…………」
うざかったんだ。そりゃそうか。
「明日補習じゃん!あたしもそうなんだよねー。リコも補習だよね!一緒に行かない?」
補習……その言葉を耳にして、リコは居眠りのことを思い出した。そういえば…そんなことがあったな。とか思いながら。
「うーん。ごめんハルミ。あたしサボるし」
「サボれないよ。つーか来いよ」
リコは仕方なく補習に行くのであった!なにこれ!






補習。一番いやな言葉だ。メンドクサイし。今すぐやめたい!という叫びをリコは我慢した。ハルミが言うには、補習は出会いの場らしい。リコには関係なかったが。
「失礼します」
教室に入ると、男子が多かった。もちろん、顔がじゃがいもなどの、もてないオーラを出してる人たちだった。出会いなんてないし…そう言い聞かせたリコだったが……見つけてしまったのだ。
「!!」
あの男子は?誰だ!?それはリコが見たことのない人だった。明るくて友達思いで結構おもしろそうで……
「あたしのモロタイプやん!」
一目ぼれ…という言葉がある。今のリコのような状況。状態。授業中はもう、その男子のことが気になって気になってしょうがなかった。アホ丸出し。どうやら、その男子はナツというらしい。まぁ、なんだかんだで補習一日目が終わった。
「ハルミハルミハルミ!聞いて聞いて!」
「何よ。うるさいわよ」
「好きな人ができたっ!」
「告白すれば?」
「え」
ハルミはなんとも積極的な女子生徒である。
「いや、でも、さ。話したことないし」
あの、馬鹿女が、赤面した。写真におさめて、とっておきたいものだ。
「あたって砕ければー?」
「……」
リコはなんとも流されやすい女だ。やはりこのときも…。
「リコちょっくら行ってきます!!」
走り出した。目に見えないスピードで。走るのも告白するのも速すぎないと思わないか。
「ナツ君!!!」
「……え、誰?お前」
当たり前の反応。目を丸くしている。
「あ、あたし五組の岡野リコって言うんだけど!ナツ君のことが好きです!!」
出た、直球勝負。さて、反応は?
「えー……っと。え。まじで?」
出た、当たり前の反応!当たり前すぎて眠くなるぜ!
「まじです」
リコもナツも赤面している。青春時代ってこういうものだよね。
「いつから…いつから俺のこと好きだったの?」
「ずっと前からです!」
あれ。これ、うそじゃないか?まぁ、リコもパニック状態ってわけで。でも、ナツは勘違いしちゃったんだなー。そんな前からオレのことをって、ね。
「じゃあ、……いいよ。俺も岡野のこと、好きになっていくから」
まじか?この展開!びっくりだぜ。

まぁ、この後、リコとナツは付き合ったわけだが、まだそれは続いてたりする。ナツが馬鹿なだけだが。これがほんとの馬鹿ップル!いろんな意味で!みなさんも、すてきな青春時代を送ってね。

2007/07/07(Sat)19:04:08 公開 /
■この作品の著作権は葵さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
短すぎだろ!とつっこんじゃっていいです。普通ありえないです。でも小説だからいいんですよ!素敵な青春時代を送ってくださいね!
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