- 『勝手にしやがれ』 作者:REBIRTH / ショート*2 リアル・現代
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全角1108.5文字
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原稿用紙約4.15枚
ふと思いついて書いたお話です。2人の少年(青年?)のぬるい会話。盛り上がるところも盛り下がるところもないです。
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そこには2人の少年が、テーブルを挟んで向かい合って座っていた。
午後5時、町内のファミレスにて。
ひとりは水を飲みつつ、これといった表情を変えないまま。もうひとりは殆ど水も飲まずにしきりに話している。
「それでさ、俺の兄貴がすごいんだよ」
「へぇ」
「ハッキリいってあんなスピーチはなかなかできないって」
「まぁね」
「お前も聞いたろ?」
「いや」
「そうか、実は今ここにその台本があってね」
「うん」
「俺と兄貴以外は誰も読んだことないんだぞ」
「だろうな」
「読むだろ?」
「どうかな」
「そうだ、兄にできるんだから弟の俺にできないはずはないと思わないか?」
「さぁ」
「俺も今度やってみようかな…どう思う?」
「いいと思うぞ」
「やっぱりな!じゃあそんときは仲谷も来てくれよ!」
仲谷と呼ばれた少年は、ほとんど水を飲み干してしまったグラスを揺らし、一番小さい氷だけがうまく口に入るように努力していたが、それをやめ、グラスをおろしてさっきから喋りまくりの友人を見据えた。
………めんどくせぇ………。
彼の顔はそんなネガティブな感情で満ちあふれていた。
「ちょっとまた水を注いでくる。お前のも…」
活き活きとした目をしているその友人の、結露しまくりのグラスをちらと見て、彼は言葉を止めた。
「…まぁ、注いでくる」
彼はグラスをもって席を立ち、ゆっくりと歩いていった。
‥‥‥
10分ほどたって、ようやく彼は席に戻って来た。手に持っているグラスにはお世辞にもたくさんの水が入っているとは言い難い。テーブルにグラスを置き、珍しく黙っているゆ友人を少し眺めたあと、いつもの気だるげな口調よりも幾分かはっきりとした口調でこう言った。
「俺、トイレ行ってくる」
「またかよ」
「あぁ」
15分ほどたって彼は戻って来た。
再びイスに腰掛け、水を少し飲む。水は、もうほんの少しになってしまっていた。
「親父がさ…」
「あぁ」
「先輩が…」
「うん」
「知ってた?あれ…」
「まぁな」
…………………………
段々と人が増えて来ている。家族連れも多い。2人がこのファミレスに入ってからもう4時間ほどが経過している。
相変わらず楽しげに話し続ける少年。相変わらず反応の薄い仲谷。
「…でさ、スピーチはどんなのにしたらいいかな?」
仲谷はゆっくりと立ち上がり、友人を見下ろした。右手には少し前に入れたばかりで、なみなみと水の入ったグラスが握られている。
その右手が素早く動く。突くような動きで、中に入っていた水が凄まじい勢いで飛び出していく。
「勝手にしやがれ!」
仲谷少年は今日初めてマトモな文章を口にしたかな、とか思った。
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2007/06/03(Sun)23:25:22 公開 / REBIRTH
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■作者からのメッセージ
あまり慣れてないので、なかなかうまくいきません。