- 『夕方の月』 作者:理恵 / 未分類 未分類
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原稿用紙約10.55枚
仲のいい兄弟オリバー、トム、ウィル。オリバーの寝言から三人はぎくしゃくし始める。しかしそれは誤解だった?
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僕はウィル・ガードナー。あおチーズ町に住んでいます。兄さんが二人居てオリバーとトムという名です。
「じゃあね。ボブさん」
「バイバイ、ウィル」
兄さんたちと三人で暮らしています。両親とは別居してます。
「お帰りー」
「ただいま」
「夕飯出来てるぞー」
一緒にご飯を食べて一緒に寝ます
「おいしーい」
「だろ?これ祖母ちゃん伝授さ」
その日もいつものように、お風呂(これは流石に一人ずつ)に入って寝ました。
「お休み」
「お休み」
僕は海辺でボブさんと遊んだせいかすぐ眠りました
「んはぁ…んっ…」
誰?
「いっ…は…」
気がつくとオリバー兄さんが体に覆い被さっていました
「…兄さん?」
「ローナ」
「僕ローナじゃない」
オリバー兄さんは一瞬間が空いて
「フレッド…違う。ローナは…愛しているのは…違う」
と言い、また寝ました
「お、重い〜」
僕は兄さんの下から抜け出て、トム兄さんの隣で眠りました。心の中で『ローナ』と『フレッド』のことを考えながら
「朝だぞー」
「うーん…」
「朝ご飯出来てるぞ、ウィル」
オリバー兄さんは夕べのことを覚えていないみたいでした
「うん」
その日は土曜日で学校が休みでした。
「今日の朝ご飯はホットケーキだ。」
「美味いね」
「そうだね」
ウィルはトム兄さん(次男)に昨夜のことを話しました
「…オリバー兄さんがウィルを押し倒して、ローナって呼んだ?」
「フレッドって言ってまた眠った。誰のことだろう」
「ローナは彼女かなにかだな。フレッドは友達だろう」
ウィルはそうなんだな、きっとと思った
「行ってくる」
「あ、オリバー兄さん。何処行くんだ?」
「フレッドって奴の所へ行ってくるよ。夕飯までには戻る。」
ウィルとトムは驚いた。
「う…うん」
「昼ご飯にサンドイッチ置いていくから食べろよ」
「うん」
オリバーは出掛けていった
「…フレッドって友達だと思うけどな。親しい間柄なんだろうな。いきなり言われて吃驚した」
「まさか、ホモ?」
「まさか、そんなことは」
がたん
「わっ」
トムの頭上にアルバムが落ちてきた
「痛…」
「大丈夫?」
「ああ、これ何時の写真…ん!?」
ウィルはその写真を見た
「わあ!?」
それはオリバーが誰か(男)にキスしている写真だった
「…これがフレッド?」
「まさか!?」
本当に…ホモ?そんな、そんなわけ…
「ウィル!」
ウィルは家を飛び出した
「ウィルー!」
一人暮らしだと誰かお茶の相手が欲しいと思うなあ
コンコン
「誰です?」
「ボブさん」
「ウィル?」
ボブにウィルは全てを話した
「うーん…君は受け入れにくいかも知れないけど、男が好きでも女が好きでもオリバーは君のお兄さんじゃないか」
「そうなんだけど…じゃあ兄さんは僕を愛してるの?」
「違うと思う。誰かと間違えたのさ。それに君のお兄さんは例え君が好きでも非道いようなことはしない人だよ」
ウィルは少し笑顔に戻った
「うん…」
「ありがとうございます。ボブさん」
「またいつでもおいで。ウィル」
その帰り道
「あ!」
「ウィル」
オリバーに会った
「一緒に帰ろうぜ」
「うん…」
オリバーは表情がなかった
「何かあったの?」
「…なんでもないよ」
帰る途中はローナやフレッドのことには触れず、他のことを話した
「…」
「着いたぞ」
「あ、うん」
考える時間が多くなった。それはいつもあの日の夜のことだ
「朝だよ。学校遅れるぞ」
「う…うん」
その日も
「今日の朝飯はベーコンエッグだ。キャベツも食えよ」
「へーい」
何もオリバー兄さんには聞かず
「行って来ます」
「俺も高校行かないと」
時間が過ぎゆく
「お早う!」
「おはよーウィル!」
ウィルの親友のビリー。とっても明るくて面白い奴だ。
「お前最近ぼーっとしてるけどさ。恋か?」
「ばっ馬鹿なこと言うな!ちょっと家のこと考えてるだけだ」
「母ちゃんの浮気?父ちゃんのリストラ?」
ウィルは赤くなった
「違う!」
「悪い。今日は一緒にドッジボールするか?」
「…するよ」
ビリーはにっこり笑って喜んだ
そうだ。最近考えてる時間 多いなあ
「うわーもう月が出てらあ」
「せんせーい夕方って事にして帰らせてくださぁーい」
メルマン先生は恐ろしく醜悪なハゲだ。
「まだ昼の位置に太陽がある。即ち昼間だ。帰せない」
「あーあ腹ぁ減ったぁ」
「早弁でもしろ。成績が下がるのはお前達だからさぼったってちっとも俺は構わない」
どういう教師だあんたは、とトムは思った。それにしても本当にオリバー兄さんは男が好きなのか?トムも考えながら鉛筆でメルマンの顔を描いた。ハゲ神様とも描いた
「ただいまぁ」
「お帰り…」
なぜだろう?
「晩ご飯食べてた?」
「うん」
「カレー食った」
なぜだか、みんな…
「俺風呂先に…」
「うん」
よそよそしいというか…隠し事でもしているような…。
「…」
僕が隠している気持ちがみんなに伝わっちゃうのかな?
「ローナ…」
ローナのこと、教えるべきだろうか。
朝
「起きろよ」
「う…」
また繰り返す
「…美味しいね」
「うん、お魚」
また…考え事の多い一日
「…」
「おい、ウィル」
誰か
「聞いてるのか?トム」
「あ、ロマ先生」
助けて。連れ出して。この繰り返される日々から…
「貴方、ウイリー君?」
「え、ウィルです」
「私エリサ・レーヴァ。オリバー君のことが聞きたくて。彼大丈夫?傷から立ち直った?」
ウィルは
「傷?」
と思った。傷…といっても何の事やら
「ローナさんは自殺かも知れないけどオリバー君のせいじゃないって…そう言ってあげて」
「ローナさんって…どういうこと何ですか?」
「ローナ・トレッタっていう女の子が高校にいたの。それが恋愛関係の縺れで屋上から飛び降りたのよ。飛び降りたところを見た人はいないけど…」
ウィルは…
「そんな事情があったの?何で僕等に話さないの?」
と思った
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2007/03/15(Thu)17:04:25 公開 / 理恵
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■作者からのメッセージ
三人の揺れ動きまくりのお話です