- 『 メガネ君に恋する』 作者:煉 / 恋愛小説 未分類
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全角15340文字
容量30680 bytes
原稿用紙約43.25枚
受け取ってくれるのかわからないけれど、それでもちゃんとこの気持ちを伝えよう。
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メガネ君に恋する
滑らかなチョコレートの上に、焦って失敗しないようにとゆっくりゆっくり慎重に恥ずかしくなるような言葉を生クリームで綴っていく。これが出来ればチョコは完成だ。
初めてチョコ作りをしたせいか白いエプロンには、茶色の汚れが沢山ついている。不器用だからこういう器用な人しか出来ないことは、極力避けてきたのだけれど今回ばかりはそうはいかないのだ。
伝えない思いがある。この思いを受け取って欲しい人がいる。今自分が出来る精一杯を、自分の思いをこのチョコに乗せて、届けたい人がいるから。
初めてのチョコレート作りは、深夜の十二時が過ぎても続いた。出来上がったら、今度は可愛らしくチョコレートをラッピングしなくてはいけない。やることはまだまだ沢山ある。
明日は、ヴァレンタイン。
あのクリスマスの日に、気づいた想いを伝える日がようやく来たのだ。恋人になってもらえなくても、構わない。ただ自分のこの気持ちを否定して欲しくない。不安な気持ちは、ないといったら嘘になる。チョコを渡したら、もしかしたらこれまで通りに接してくれないかもしれない。それよりも前に受け取ってくれなかったら。そう考えると本当はものすごく怖い。
でも自分のこの気持ちは、きっといつまでも隠しとおせるものじゃない。
わたしは、自分の気持ちに嘘がつけるほどに器用な人間じゃないから。
受け取ってくれるのかわからないけれど、それでもちゃんとこの気持ちを伝えよう。
+++
びっちりと文字で埋められた予定帳の欄の中に、一日だけ空欄になっているところがある。そこを見ては、自然とため息が漏れた。12月25日、クリスマス。絵のメンバー達も、グループの先輩達も皆それぞれに予定があるそうで、そうなるとこの日は必然的に一人で過ごさなくてはならなくなる。てっきり皆でワイワイ騒ぐと思っていたのに、拍子抜けだ。予定帳からそろりと顔を上げて、こちら側に背を向けて絵を描き続けている教授の背中を見つめる。
高校の教師を教授と呼ぶのは、変だと沢山の人間に言われたが目の前にいる人間を先生という言葉で表現しようとするとしっくりこないのだ。先生という言葉が、彼を呼ぶにはあまりに幼稚すぎると思ったから。だから、教授と呼ぶようにした。
「……教授、あのぉ」
返事は返ってこない。いつもの事だから全く気にしないのだが、教授を良く知らない人間からみれば冷たいと思う人がいてもおかしくない態度だ。実際に教授はこの美術工芸高等学校の何十人といる教師達の中でずば抜けて評判が悪い。第一に、とてつもなくそっけないのだ。無駄な言葉は発しないというのが彼のポリシー。無表情で笑った顔を誰一人見たことがないことから影でアンドロイドと呼ばれていたりする。人に対して無関心で、わたしの名前を覚える気になったのは出会ってから半年後のこと。ようやく苗字を完璧に覚えてくれるまで三ヶ月かかっており、下の名前を覚えてくれているかは不明。
筆を自由自在に操って、真っ白なキャンパスに命を吹き込んでいく作業に没頭しているのか、わたしの次の言葉を待っていてくれているのか不安になりつつも、思い切って言ってみた。
「教授、クリスマスって予定空いていますか?」
「無理」即答。もう少し悩んでいただけませんか、教授。女の子が異性にこんな事聞くなんてものすごく勇気がいることなのに。本当にそっけない。
「そ、そうですか。すいません。馬鹿なこと聞いちゃって……」
既に教授は、わたしの言葉など聞いていないようだ。しかたない。ただ一人で過ごして何もしないのは癪なので、来月に開かれる学校行事に出品する作品を少しでも進めておこうと思う。
あまり気持ちは進まないが、予定帳にはさんであるペンで、12月25日の空欄に「出品絵を進める」と書き込むとそのページにペンを置いて予定帳を閉じた。鞄に予定帳を押し込む代わりに、中からスケッチブックと絵を描く時に愛用している鉛筆と消しゴムを取り出して、教授の後姿のスケッチを始める。これまで沢山の教授の後姿を描いてきた。時々、何かの奇跡が起こったみたいに横顔をスケッチできたりするけど、それは本当に奇跡に近いことで、殆どのページが後姿しか描かれていない。
教授の外見で目立つものは、ないといっても怒られないと思う。ただ少しかっこいいことを覗けばの話だけれど。そのかっこよさもあのそっけない態度でぶち壊しだけれど。きっとにっこり笑った教授の笑顔は、女の子の胸を一瞬で捕らえて離さないほど素敵だと思うのに。
まぁ、でも笑ったところであの黒縁の眼鏡が邪魔して見られないと思うのだけれど。
ただわたしが教授の側にいてわかったことがある。それは、大人の落ち着きがある人だということ。大人なら落ち着きがあって当たり前なのかもしれないけど、最近の大人を見ていただきたい。何だか荒れていないだろうか。こんなことは口が裂けてもいえないが、最近の大人は図体ばかりがでかくなっただけの子供のように思えてならないのだ。そんな一端の大人ぶっている奴とは、教授は核が違う気がするのだ。あくまで私論。わたしはそんな落ち着いた教授の後姿に太陽の光が当たったり、影が落ちたりするのを描くのが好きでたまらなかった。
外はいつのまに暗くなっていて、真っ黒な夜を背景に白い雪が踊っていた。教授は静かに筆をおくと、自分の描いた絵を見つめて色々と思案しているようだ。わたしは道具達を片付けて帰る準備をする。教授はああやって、絵の欠点はないか、もっと綺麗に見せることは出来ないのかを思案するのが好きらしい。わたしはといえばやっぱりそんな教授の後姿が好きだった。
考えがまとまったのか教授は、長く息を吐くと教室の鍵を片手に持って教室から出て行った。わたしもその後を追う。
教室に残ったのは、繊細なタッチで描かれた季節はずれのもみじ達だった。電気を消されて暗くなった教室では、緑や黄緑、黄色や赤が優しく色づけされた彼らだけが、生きているように思えた。
しばらく廊下を二人で歩いた後、教授とは反対方向に進まなくてはならないわたしは別れ際に、
「教授、早いですけど、メリークリスマス!」
「あぁ」相変わらず無表情のままで、クリスマスなんてどうでもいいような気だるげな声だった。
余談
水槽からの幻想的な青の光が、電気の代わりになって暗くなった部屋を照らしている。ひとしきりの仕事が終わって、何ヶ月も放置し続けていたパソコンの電源をつけて、椅子に腰掛けた。くせになってしまったのかずれ落ちてもいない眼鏡を押し上げる動作をしながら、音楽情報が載っているページを開く。暗い部屋の中で聞こえるのは、好きなクラシック曲ではなく、私を教授と呼ぶ変てこな生徒からきっと気に入るはずだといわれて、貰ったとあるゲームの曲だった。差し出されたときには、げんなりとしたが聞いてみると中々いい曲だったので驚いた。何よりも先に今のゲームなるものではオーケストラで曲を作ったりするのかと心底驚いたものだ。耳に心地よくて、自分が子供だったときのあの変てこな機械音とは天と地ほどの差があり、最近ではBGMとして頻繁にかけているほどである。パソコンの画面上には、ミュージカルのチケット購入のページが開かれている。クリスマスに何かするなんて自分の柄ではなのだが、ミュージカルの方にそれなりの知り合いがいるのでたまには見に行くのもいいだろうと思ったのだ。何よりも、しばらくミュージカルに触れていなかったので心がそれを求めているのが自分でもわかるので放ってはおけない。音楽は創造の源なのだ。
明日のクリスマスは、仕事が終わったら開かれることになっているオペラ座でも一人で見に行こうと決め込んでいた。
予定帳にもそう書き込んでいたのだが。
チケット枚数のところには、もちろん一人なので一枚と入れるが、購入ボタンを押す前に手が止まった。
(教授、クリスマスって予定空いていますか?)
確か彼女もクラシックが好きだったはずだ。先月だったかミュージカルの話を一言、二言話すと、一度でもいいから行って見たいといっていなかったか? とりあえず、かなり興奮していたことだけは、映像で覚えているのだが。彼女がくれた心地よいメロディーが、暗い部屋の中に何十もの波になって私の心を癒していく。
唇を噛む。
パソコンのデスクに膝をついて、唇をなぞりながらしばらく目がチカチカするほどの光を放っている画面を睨みつけてから、ため息がついた。
(教授、このCDきっと気に入りますから。聞いてみてくださいよ)
彼女はそう言ってにこりと微笑んだ。初めてだったかもしれない。自分はあまり人に対して関心を寄せることがない。それは、周りも自分も気づいていたことだから今更誰かと仲良くなるつもりはなかったし、だからこそどこか他人と一線を引いている自分がいたのも確かだ。初めて彼女とあってひよこみたいに自分の後ろをくっついてきては、教授、教授と話しかけてくる彼女を煩わしく感じたこともあったが、今ではどうだろうか?
クリスマスの予定を聞かれたときは、冷たくあしらってしまったが、今からでも間に合うだろうか。
(わたしディズニーとか大好きなんですよ。だからテレビでディズニィーのミュージカルのCMやっているともう見たくって、見たくって、でも見にいけないからテレビに噛り付いていました)
目を輝かせてそう言っていたな。
ミュージカルのトップページに戻ると、彼女が好きなそのディズニーのミュージカルは、明日開かれるのか上映日の方を見てみると、あった。またため息をつく。
まぁ、いい曲を貰ったそのお返しだと思えばそれでいいか。とうとう諦めて、肩から力が抜けていった。彼女という人間は、不思議なもので私を自由に行動させてはくれないらしい。
腑に落ちないことが一つだけあるのだが、何故自分がこんなにも彼女の言葉を鮮明に覚えているかということ。
何故だろうか。このチケットを見た時の、彼女の満面の笑顔を想像してしまう自分がいる。
これでは彼女とミュージカルを見に行くのを楽しみにしているようではないか。
椅子から立ち上がると、音楽を消してコートを着込んだ。チケットの他にも買わなくていけないものがある。自分の家には、女の子が気に入るようなものは何一つもない。
まずはチケットを入れるための封筒でも買いに行くか。
その前に、とりあえず12月25日の欄から「オペラ座」の言葉を消しておいた。
朝起きると世界は、純白に包まれていた。ぽつりぽつりと降る雪は空からの贈り物のような気がして、その愛らしさにしばらく見惚れていたのだがふと時計を見ると学校へ行くための電車が、もうすぐ出てしまう時間だと気づきあわてて、身支度をして出てきたのだがあと一歩のところで電車には間に合わず、一人駅のベンチに座っていた。
寒さに身震いしながら、両手を口に当てて一つくしゃみをする。相変わらず雪は、降り続いていて電車のホームでは駅員が雪かきをしていた。やることもなくて、何気なく携帯電話を取り出して雪の降るロマンチックなクリスマスを映像で残しておこうと思って、写真をとった。それを保存したら写真の題名に「サンタからの贈り物」とつけた。何だかそんなことをしていると、今頃皆は家族とか、恋人とかと楽しいクリスマスを過ごしているんだろうな、と思うと一人ベンチに座って寒さに震えているわたしって何なんだろうとふいに思ってしまった。
いけない。いけない。来年こそは、皆でワイワイ過ごすんだから。
そう思っても、やっぱり捨てられた子犬みたいに寂しくなってくるので、好きな歌手の音楽でも聴こうとMDを取り出した。
MDが何十曲目の曲を再生しようとしたとき、電車がホームに入ってきて駅に一人しかいなかったわたしは、寒さに凍えながらものそりのそりと電車に乗り込んだ。
電車の中は、暖房が聞いていてとても温かかった。何だかそれがまた胸を突いて。
今年のクリスマスは、そんなにも一人で過ごしたくなかったのかと自分でも内心驚いた。
父さんも母さんもいないから。兄弟もいない一人っ子だから。
これまでずっと家族三人で過ごしてきたクリスマスだから。今年もそうなんだと思っていたのに。
それが今年は一人ぼっちなのかと思うと、何だかやるせない気持ちになっていった。
きっと一人で過ごすのが、怖いのかもしれない。人のぬくもりの中にいたのに、いきなり仲間はずれにされたみたいに、感じているのかもしれない。
もうサンタクロースは会いに来てくれないんだな、と桜吹雪みたいに舞う白い妖精たちを見て思った。
学校につくと、クリスマスなのに出勤している教師がいたので玄関を開けてもらっていつも使っている教室の鍵を受け取ると、わたし一人の足音しか響かない廊下をテクテクと歩いて目的地を目指す。
今日中に沢山の色でキャンバスを埋め尽くしてしまおう。やることは、やらなければならないことは山積みにされているのだから。
ドアを開けて中に入ると、いつもは笑い声や喧嘩の声が響いて、人の熱で温かくなっているはずの教室が異様に静かで、冷たく思えた。閑散としている。こんな教室の姿を見るのは初めてだ。
何だか自分が異世界に来たみたいに思えた。
テクテクとその中を進んでいって、突き当りに置いてあるキャンバスに向う途中でわたしの狭い視界の中を、やけに熱を持った色が一瞬過ぎって自然と足を止めた。そこに飾られていたキャンバスは、真っ白だったはずなのに。クリスマスツリーや、ツリーを彩っている飾りなどが描かれており端っこのほうには、クリスマスなどでよく見かける赤い封筒がピンで止めてあった。
初めは何かわからず、真剣に首を傾げてみたけれど。
その封筒の意味を何となく分かっていくと、徐々に自分の頬に熱が上がってくるのがわかって、でも夢かもしれないじゃないと思って、両手で軽くほっぺたを叩いてみるけれども赤い封筒も描かれたクリスマスの風景も消えることはなくて、そこに存在し続けている。
これって、もしかすると、もしかしなくても。
おそるおそるピンを取って、赤い封筒を手に持つと自然と後ろを見ていた。そこには、一緒にクリスマスを過ごすのをそっけなく断られた教授の名前があった。
きっと今、自分は顔を真っ赤にしているんだろうな。封筒にも負けないぐらいに。
可愛らしく柊のシールで止められた封筒を開くと中には、想像以上のものが入っていた。嬉しくて誰もいないのにほころんだ口を隠そうと手が勝手に動いた。ぽたりと透明な雫が真っ赤な封筒の上を流れ落ちた。
封筒の中には、二枚のミュージカルのチケットが入っていた。
一つは教授ので、もう一つはわたしの。
チケットと一緒に入っていた小さなカードには、細い文字で、
「メリークリスマス。
仕事が終わったら、迎えに行く」
とだけ書かれていた。教授らしい字だと思った。しばらく心は落ち着いてくれなくて、痛いほどに熱を持ったほっぺたは、じんじんとした感覚をわたしに伝えていた。
心の中で同じ言葉を繰り返していた。
ありがとう、教授。
余談
瞼の裏にかすかな光を感じて目を開けると、机に突っ伏したまま寝てしまっていたらしい。腕を動かすと背骨に痛みが走った。 小さな呻き声を上げて、まだ手には鉛筆が握られていることを知った。
これまで日本画しか描いてきたことがなかったので、いきなり洋風なものは描けないと思った私は、真っ白な紙に下書きのようなものを描いていた。自分の好きなものではないとすぐに眠気が生じるらしく下書きは、あまり進んではいなかった。手から鉛筆を離すと、コロコロと机の上を転がっていく。
それを目で追いかけているうちに、窓の外に視線が行った。可愛らしい雪が降っていた。
自然と立ち上がった私は、窓に近づいてカーテンを開けた。
世界は、純白の大地へと変貌を遂げていた。ようやく起きはじめた太陽の光に照らされて、雪は宝石のようにキラキラと輝いていた。素直に綺麗だと思った。
時計を見るとまだ出勤するまでたっぷりと時間があるようだが、もうそろそろ出かけたほうが良さそうに思えた。とりあえず喉が、渇いていたので一杯の水を飲んでから素早くシャワーを浴びて、着替えた。鞄の中には、生活の必需品である携帯から財布などを一式を詰め込んで、水彩色鉛筆のケースの中に、途中までしか描いていない下書きを丁寧にたたんで入れて、水の入った小さなビンの蓋が開かないようにきつくしめて、水彩色鉛筆と一緒に鞄の中へと入れた。
手に取るのがためらわれる真っ赤な封筒も戸惑いながらも鞄の中に入れる。
喜んでくれればいいんだが。
そんなことを心の片隅に掠めながら、いつもより二時間も早くに学校へと向った。
学校につくと、厳重に閉められたままの玄関口を持っていた鍵で開ける。早朝の学校は好きだった。誰もいない、誰の声もしないこの閉鎖された空間は、とても居心地良く感じるのだ。職員室に入ると彼女が使っている教室の鍵を手に人っ子一人いない職員室を出る。自分の足音だけが反響する廊下を歩いて彼女の使っている教室に入った。
閑散としている。冷たい空気が肌にまとわりついてくる中、鞄を下ろすと中から水彩色鉛筆取り出して、持参してきた水に筆をつけた。筆に水がしっかりとしみこんでいく間に、下書きをキャンバスの横において作業を始めた。
部屋には自分のはく息と文字盤の上で動く針の音だけが聞こえていた。作業は困難を極めたものの何とか描き終わると、赤い封筒をキャンパスの隅っこにピンで止めておいた。彼女は時折見えているはずなのに、気づかないことがあるのだ。いつだったか彼女に赤の絵の具をくれと言ったのだが、いつまで経っても差し出した私の手に絵の具が乗せられることがないので、いい加減痛くなってきた手を引っ込めて振り返ると「ま、待って下さい。今すぐに見つけますから」と慌てながら赤い絵の具を探してくれていたのだが、実はこの時そういって探している彼女のすぐそこに目的のものが転がっていたのだ。あの時ばかりは、深くため息をつくしか出来なかった。私よりも目がいいはずの彼女が、目の前に転がっている華やかな赤色に気づかないとは。アホかと思うよりも先に、そんな彼女がおかしくて面白くて、笑いそうになっていた。
あの時のことを思い出して、ふと形を変えようとしている自分の口元を手で覆い隠した。
職員室に戻ると、数名の教師達がいて私がいたことに目を丸くしていた。確かに今日は違う高校への出勤の日で、この学校への出勤日ではないのだ。驚かれるのも無理はない。忘れ物をしてしまいまして、そういいながら教室の鍵を元の場所に戻した。教師の一人が、何か言っていた気がするが頭まで届くことはなかった。そのまま職員室を出て、生徒達とは別にある教職員の靴箱に向っている最中のことだった。
視界の端っこに、見慣れた人物が一人廊下を歩いていた。それまで規則的に辺りに響き渡っていた足音が止まった。
俯いてゆっくりと歩くあの人物は、まぎれもなく彼女だった。どんな表情をしているのか気になって自分とは反対方向へ歩いていく彼女を目で追ってみるもののしんしんと降り続ける雪が、それを邪魔して彼女の顔を見ることは出来なかった。
それでも、あの封筒の中のものを見て笑顔になった顔を思い浮かべるだけで心が温かくなった気がした。
不思議だ。どうして自分は、こんなにも――
+ + +
全ての授業が終わってメンバー達には、後で行くからと言うと「まさかチョコレートを渡すのか! 誰なんだよ! それはぁ」としつこく追求された。教授に渡すなんて言ったら絶対に止められるだろうな。「お前は、馬鹿か。やめとけ。あんなアンドロイドに渡したってお前が傷つくだけだ! ていうか、絶対に受け取らないだろうから俺たちに頂戴」って言われるだろうな。
あっ。しまった。メンバー達のチョコも作っておけばよかった。教授のことで頭が一杯で忘れていた。何故だか後の言葉が、恥ずかしくて顔を俯かせた。
学校の中は、ヴァレンタインの色に染められていて辺りにはかすかに甘い香りが漂っている。教授が苦手とする浮ついた春のような雰囲気が当たりに充満している。
何だか渡すのが怖くなってきて、足がすくんで動かなくなる前にメンバー達とは別れて教授が使っている人気のない教室に向った。
皆の声が遠くに聞こえる。教授の使っている教室は、他の教室から離れていて隔離されたみたいに静かだった。皆に繋がる廊下は、ここだけ別世界のように桃色に染められた浮ついた雰囲気もなくて、誰一人の声もしない。聞こえるのは、わたしの息遣いとやけに早く胸打つ鼓動の音だった。
大きく深呼吸した。
渡したいんだけれど、逃げ出したい。こんなことをするのは初めてのことだから。
どう話しかけて、どう渡せばいいのかもわからなくなってくる。ドアの前で顔を俯かせたまま耳まで真っ赤に染めていた。時間が止まってくれればいいのにな。わたしの心が、足が前に進んでくれるその時まで止まってくれていればいいのに。ふるふると顔を横にふって、ぐら付いた心を叱咤する。
ダメだよ。そんな弱気なこと言っちゃ。顔を上げたわたしは、意を決して教室のドアを開けた。
いつもの席に、わたしの大好きな後姿はなかった。筆も綺麗に整えられていて、今日一日使った痕跡さえなかった。太陽の光だけが、教授の席を照らし出していていた。
呆気にとられていたわたしは、急いで教授の姿を探してみる。となりの教室はどうだろうか。もう一つの教室に顔を入れてみるものの、誰もいなかった。
消えてしまったみたいだ。一瞬そんな思いが過ぎった。
教授は、今日はここに来ていない。でも、もう少ししたら来るかもしれない。
わたしは少しの希望と一緒に自分の席にちょこんと座って教授が現れてくれるのを待つことにした。
日が傾きかけていた。時計を見るともうすぐで六時になるところだ。教授ではないけれど深くため息をついてみる。来なかった。教授は現れてくれなかった。どうしてなんだろ。他の学校での授業でもあったのだろうか。そんなはずない。お昼までに何度だって教授を見かけた。この学校に教授は確かにいた。いないなんてあり得ない。
それともわたしのチョコを受け取りたくなかったのかな?
この気持ちを否定したいけれど、どこかでやけに納得している自分がいて。
先ほどからメンバー達からの電話が鳴り止まない。きっと文句の電話だろう。彼らのリーダーなのに、自分達の教室にいて彼らと絵の構図や着色について話さなければいけなかったのに。
自分は何をやっているんだろう。
泣きたくなって、でも一度泣いてしまったら涙の終着地点まで泣いてしまうから。天上を見上げた。夕日の赤い光で天上は、やんわりとしたオレンジ色に染め上げられていた。
しばらくそれを眺めていたけれど、皆のところに行こうと思って立ち上がった。熱くなっている頬をパシパシ叩いて、何通か着ている一通に「今から行くね。遅くなってごめんね」と送り返した。
でも手の中にあるチョコをこのまま持ち帰りたくなくて、自分の気持ちに最後の反抗をしようと思った。真っ白なキャンバスに可愛い箱を置いて、ピンクと赤の色鉛筆を取り出してハートを描いておいた。すぐに描けたので色鉛筆をもとあった場所に戻すと、そのまま夕暮れの色をした教室を出て行った。
文句を言われると思ったのに、メンバー達に合流すると何故か慰めの言葉をかけられた。
教授がチョコを受け取ってくれなかった場合は、心を癒してくれただろその言葉が、不安な心には痛かった。
+ + +
こうはしていられないと思ったわたしは、教授が迎えに来てくれる前に家に帰って存分におしゃれをして、今また学校にいる。ドジっ子なので万が一に服に絵の具が落ちてはいけないと思って、細心の注意を払いながら出来るだけキャンバスから離れて絵を描き進めていた。そうやって一日を潰して、ふと窓の外に目をやると太陽がひと際赤くなって、地平線に沈もうとしていた。筆をおいて何十回目かの休憩を取る。一人綺麗な夕日を眺めていた。教授が来るのを待っている間に一体何度あの封筒を見たことだろう。
もしかしたら来てくれないのかな?
椅子にちょこんと座ってこんなにも綺麗な夕日をたった一人で見るのは、何だか寂しい。足を交互に出して、夕日を見ていると、みかんが食べたくなってきた。実は、いつ迎えに来るのかわからないのでいつ来てもいいように、ずっとこの教室にいたので何も食べていない。お腹が空いたな。ミュージカルの前に、何か食べれたらいいな。そんなことを思っていると、教室のドアが開く音がして、廊下にはっていた冷たい空気が、何とかして暖かくなっていた教室に攻め込んできた。肩をぶるっと震わせて、後ろを振り返ると待ちわびていた教授がいた。何故だろう。教授が硬直しているように見えるんですけど。
「あ、あのぉ」
声をかけると我に返ったように教授は、あぁ、すまないと答えた。いいえ、寒いですねぇ、と言おうとしたその時、わたしのお腹から変てこな音が飛び出した。恥ずかしくて俯いていると、楽しそうな声が、聞いてきた。
「立川君、君何も食べていないだろう?」
「はい……」
素直にそう答えると、教授は時計を見て眉間にしわを寄せるものの顔を上げて、
「まだ時間はある。食事でも行こう」
「本当ですか!?」
嬉しくて思わず大きな声になってしまう。だって何も食べていないんですもん。何か食べられるなんて、急に教授が慈悲深い神様に見えてきてしまう。
「ミュージカルを見ている時に、その不協和音を聞きたくないからな」
「あっ、すいません」
確かにその通りです。はい。再び顔を真っ赤にして俯くわたしが、何だか小さな子供みたいに思えてならなかった。教授と二人、何を話すわけでもなく黙って廊下を歩いていると、教職員の靴箱と生徒の靴箱は反対方向にあるので、裏門のところで待っていると言われて、何だかどこかのドラマの中みたいっと思ってしまった。今から駆け落ちするみたいにドキドキしながら、裏門につくとこれまたかっこいい黒の外車が止まっていた。教授の服装は、ほぼ黒で統一されていて外車の窓から覗く教授は、見惚れてしまうぐらいにかっこよかった。ボケェっとしていると、さっさと乗れと言わんばかりにギロリと睨まれた。聞こえるはずもないのに、あっ、すいませんと謝りつつ外車に近づくと教授がドアを開けてくれた。何だか教授の優しさを独り占めしているようだった。外車の中も教授らしくシックだった。ナビやらテレビやら、最新の機能が充実していて自分の家にあるオンボロワゴンとの違いに、おろおろしてしまう。走り始めると安全のために、外車自身がドアのロックをするなんて始めてのことで、車もここまで来たんだなぁ、と思った。しかもこの静寂なこと。元来の車ならクラシックをかけていても、あまり聞こえないんじゃないかと思うときがあるけれど、この外車は外からの音を一切合財シャットアウトして快適な運転が出来るそうだ。
教授、すごい車ですね。もう貧乏人には、すごすぎて動悸が、動悸が止まりませんよ。
話すこともなく、というより車のすごさに圧倒されていて動かそうにも口が動かず、外の景色を眺めていた。綺麗に磨かれたガラスには、うっとりするほど美しい夕日が映っていた。
クラシック曲だけが、外車の中に響いていた。何だか夢見心地になってきた。
だって、あり得ないじゃないですか。あのアンドロイドとか言われている教授と一緒にミュージカルだなんて。あり得ないじゃないですか。こんなすごすぎる外車に乗れるなんて。
あまりの快適な運転に宿敵である睡魔が襲ってきて、寝るわけにはいかないと思って教授の好きなクラシック曲の話でもしようかと思って、
「この曲ってショパンのですよね」
「寝ぼけているのか?」
「はぅ。もしかして違っていました?」鋭い質問にぎくりとしながら聞き返す。
「この曲は、サティ作曲だ。おかしいなお前が、食い物のCMで使われている曲を覚えていないとは」
「えぇ、これって食べ物のCMに使われているんですか!?」
わたしの反応が、そんなに可笑しかったのか。教授は目を細めて笑った、ような気がする。笑い声を出すことも、口を三日月みたいにすることもなかったけれど、それでも確かにこの顔は教授の笑顔だと思った。フレーズの向こう側にある優しい瞳が、すごく素敵で釘付けになっていると教授は、ゴホンと一つ咳をしてわたしを現実世界に戻してくれた。
「サッポロ一番」
「えぇえぇぇー」
わたしが、あれほどまでにお世話になったサッポロ一番さんなんですか! わたしが、まだ中学生だった頃、何故かはわからないけれど棚の中にはサッポロ一番さんが大量にあって、空腹を満たすためにほぼ三食食べていたあのサッポロ一番さん。衝撃的な事実を知ってしまった。その後もこの曲は、あのCMなんだとか色々話しているうちに、どこかのクイズ番組みたいになっていたけれど、こんなに話したりして楽しそうな教授は初めてだったので全てが良しである。
わたしが、教授に恋心を抱き始めたのはこの日からだったことを記憶している。
周りの人には一度も見せてなかった笑顔を、わたしには見せてくれたあの日から。
ずっと、教授が好きで。
やっぱり教授の笑顔は、誰よりも素敵だった。眼鏡が仮面みたいになって本当の教授の顔を隠していたのかもしれない、と幸せなひと時を過ごしながらふと思っていた。
+ + +
やけに浮ついた雰囲気に圧倒された私は、スケッチブックを片手に屋上に上がった。どうせ自分には、縁のない日なのだ。こういった物と無縁な人間があの浮ついた中にいるのは、場違いだとも思うし、自分にはやはり静かな場所が一番いいのだ。学校が終わるまでこの屋上で過ごそう。
青い空の変わっていく様を描いて一日を潰そう。こういうときに限って、違う高校からのオファーがこないのだから頭にくる。オファーだなんて、学校には不釣合いな言葉のように聞こえるがこの学校は新しいシステムを作り上げた教育現場として注目されている。教師は自由に学校を転々と移動できるし、一つの学校にお縄になることもない。まぁ、このシステムは専門校にのみと限られているが。
教育現場では沢山の問題があげられて、正直教師達は疲労困憊、ノイローゼになるものもいた。
上からはネチネチ言われ、親からもネチネチ言われ、あの状態で正常さを保てる人間は凄いと思ったほどだ。生徒の自殺などの問題が取り上げられる中、教師の自殺も取り上げられたりもした。
訳の分からない状態に陥っている教育現場をもっとラフなスタイルに出来ないのか、その結果今のような新しいシステムが作られた。
先の丸くなった鉛筆で空を漂う綿菓子を描きながら、眼鏡を押し上げる。
今日は休めばよかったな。来るんじゃなかった。
空は変わらずそこにあり続けて、でもその姿は少しずつ変わっていく。
まるで変わらない人間なんてこの世にいないみたいに。まるで変わっていかない心がこの世にないみたいに。
あの日が懐かしいと思った。一年前のクリスマスの日、彼女と過ごしたあの時間の間に自分がどれだけ楽しい思いをしたのか計り知れない。これまでお預けにされていた甘いお菓子を貰ったような感じがして、何年も避けていたあの温かい空気を一緒に味わえて、彼女と過ごしたあの数時間の間に私は何年分の何十年分の幸せを実感することが出来た。
時々思うことがある。人は変わっていこうとするけれど、それはさも正しいことのように言うけれど、恐怖は感じないのだろうか。
――私は変わっていくことに恐れを抱いているんじゃないかって。
空は変わらずそこにあり続けて、でもその姿は少しずつ変わっていく。
まるで変わらない人間なんてこの世にいないみたいに。まるで変わっていかない心がこの世にないみたいに。
なら私のこの気持ちもいつかは変わってしまうのだろうか。彼女のことを、彼女と過ごしたあの日をこんなにも思っている自分は、いつかあの空のように変わってしまうのだろうか。
わからない。それはきっと何年も何十年も先のことで今考えることではないんだ。
いつかはわからないけれど、もし将来自分の気持ちが彼女から離れそうになった時にこの問題の答えを探し出せばいい。
今はまだ何も考えないでいたいんだ。彼女の笑顔が見れればそれで、いい。
モノクロの空をスケッチブックの中に閉じ込めて、今日の日付をページの端っこに書いた。空は赤くなっていた。青い空も好きだけれど、赤い空も好きだ。綺麗だから、あぁ描きたいなと思っても描いては、消してを繰り返していたので手は悲鳴を上げていて、とてもじゃないけど夕日をスケッチブックに閉じ込めておくことは断念した。冷たい階段を下りて廊下に出ると、自分ひとりがこの学校の中にいるみたいで、膠着したこの世界で自分だけが動いているようなそんな錯覚さえするほど、人の気配がなくなっていた。家に帰ったらスケッチしたモノクロの空に淡い色でも付けてみようかと思って水彩色鉛筆を教室に取りに行くことにした。時々は、色をつけるのもいいと思う。その鮮やかさが人の心を落ち着かせることだってあるだろう。
教室に向って長くて世間みたいに冷たい廊下を行くと、先の先に目的地へのドアが現れて何だかとても長い道のりのように思えた。ドアを開けて教室の中に入ると、夕日が落ちてきたんじゃないかっと思うぐらいに、グラデーションのかかったオレンジ色や赤色が広がっていた。
水彩色鉛筆は、確か色鉛筆と一緒にしまっていたな、なんてことを頭に浮かべて教室の中を進むと途中やけに可愛らしいものが視界に飛び込んできて一瞬固まった。
真っ白なキャンバスに可愛らしいハートが描かれていて、その横に淡いピンク色の表紙に包まれた箱が置いてある。
いつからだろう。人のことなんてどうでもいいなんて考えていた自分が、彼女のことを気にかけるようになったのは。
いつからだろう。他人と一緒の時間を共有して楽しいなんて、そんなことを思えるようになったのは。
あの日、俯いて廊下をゆっくりと歩く彼女を見て、つい目で追ってしまった。どんな表情をしているのか気になって、どんなことを思っているのか気になって、けれどしんしんと降り続ける雪が、全てを覆い隠すように、彼女がどんな表情をしているかなんてわからなかった。
それでも、あの封筒の中のものを見て笑顔になった顔を思い浮かべるだけで心が温かくなったんだ。
どんなことにも、どんなに小さなことにも、見逃してしまうような些細なことでも、幸せそうに笑ってありがとうって言う彼女だから。
心はいつも冬で、春のような暖かさなんてなかったのに。
不思議だったんだ。どうして自分は、こんなにも――。
こんなにも、彼女の笑顔に幸せを感じるのか。どうして、もっとその笑顔を見たいと思ってしまうのか。
女の子らしい可愛い気のある箱を手にとって、思うことはただ一つ。素直に嬉しかった。嬉しくて、嬉しくて、顔が綻んでしまうぐらい嬉しくて。
無縁だと思っていたのに。大切な人には自分の思いを伝えるつもりはなかったのに。
ありがとうの気持ちを伝えたくて、水彩色鉛筆を取り出すと小さくメッセージを残しておいた。
直接伝えられることにこしたことはないが、自分にはそんな勇気はないし、明日は違う学校で授業をしなくてはいけない。ここに来る人間なんて、彼女しかいないだろうから。
このメッセージを残しておいたところで、気づく人間はいない。
春宵。
彼女の笑顔が、より温かく見える季節の夜。
私宛に送られた贈り物をそっと鞄の中に入れて、家路についた。
+ + +
今日は教授を見かけることはなかった。ということは違う学校で授業をしているんだ。
教授は、ちゃんと受け取ってくれたんだろうか。そのまま置いてあったらどうしよう。気になって、気になって授業に集中できないので、昼休みにでも教室を見に行ってみよう。
教室にいて先生達の話を聞いているようで、聞いていないボケラァとした状態で半日を過ごして、いきなり何が起こったんだと聞かれるぐらいに、昼ごはんを猛スピードで食べ終わるとずっと時計と睨めっこをしていた。早く、早く、もっと早く時間よ流れておくれ。チャイムが鳴り始めると瞬時に立ち上がった私は、廊下に飛び出した。とにかくダメならダメで確認しておきたいのだ。
このままじゃ午後からの勉強にも乗ることが出来ず、一日魂の抜け殻みたいに過ごさなくちゃいけなくなる。早足でずんずん廊下を進んで、教授の教室の前に立った。
呼吸を整えると、ドアを開けた。
温かい日差しが教室の中に入り込んでいて、窓の向こうを鳥が飛んでいったのが見えた。
真っ白なキャンバスには、あるはずのものがなくて代わりに、
「ありがとう。またゆっくり話そう」とあの時のあの細い文字で書かれていた。
空は真っ青で、くじらみたいに大きな雲が浮かんでいて、光はわたしの足元を照らし出していた。
一瞬なにが、どうなっているのかわからなくて。嬉しいはずなのに、笑おうとするのに出来なくて代わりに涙がポロポロと光の中に落ちていった。
受け取ってくれた。それだけ、それだけで嬉しくて。
あの時のように、また心の中で何度も何度も呟いたんだ。
『ありがとう、教授』
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2007/03/12(Mon)02:30:44 公開 / 煉
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■作者からのメッセージ
またまたお久しぶりです。
はじめましての人は、始めまして。記憶の片隅にでも何となく覚えてくれている方は、おひさしぶりです。
今回は、初めてづくしの作品です。
恋愛小説も初めてならば、一人称も初めてで、頑張って書いてみたものの未だに、思うことがあるのですが、やっぱり主人公以外の視点をいれることは、ダメなんでしょうかね?
悩んだ挙句に、主人公以外の視点でも物語を描いているのですが、うーん、という感じで。
あと冒頭の部分のチョコ、チョコレートの部分はやはり統一すべきですよね?
こちらの方々の意見を是非とも聞いてみたいと思ったのです。
よろしくお願いいたします。
読んでくださった方へ
こんな腐女子炸裂しているタイトルで、季節はずれのものを読んでくださってありがとうございました。
ちょっとの間の暇つぶしになっていれば幸いかと思います。