- 『ある草原で』 作者:痲羅慧 / 未分類 未分類
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私は、樹だ。私は、人間の様々な生き様を見てきた。その中で、今は、戦争の最中。ずっと生きているから、戦争は、もう終わった。人間なんて、嫌いだ。私を必要としているくせに、枯れてきたらすぐに切る。人間は、自分のいやなことが有っただけで、すぐ自殺する。そんな世の中、腐ってる。樹は、自分で動くことも出来ない。話すことも出来ない。嗚呼……私が見てきたことを、そっと、教えてあげましょう。
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ゴオゴオと燃える炎達。礼儀という物を知らないのか、遠慮なんてせずに駆け回る。炎達が通った、道は、一瞬で、何も無くなる。あった物の変わりに、灰だけが残る。たとえ、消えた物がどんなに大切なものでも、何であろうとも、灰になる。それは、誰が、どうしようとも、変えられない。
人の悲鳴が、途絶えることなく、響く。それは、生死を彷徨っている者の叫びと、ただの願望を言っているものだけの、叫び。それは、悲鳴でも、ある。
私は、どうしてこんな所に居るのだろう。早く逃げないと、礼儀を知らない者達の、強引に通られる“道”に成ってしまう。でも、逃げようにも逃げられない。どうしてだろう。私は、どうして動けないのだろう。私は、何で、動くことが出来ないのだろう。
でも、私は、動けたら何をする?あの、私達のことを何も考えない、憎き人間のために尽くすか、なすすべも無くただ、たち呆けているか、普通に、生活をするか。
きっと、何もしないだろうな、と思う。こうして、ほかの事を考え、気を紛らわそうとする自分と、それに対して比率する自分。私は、きっと、人間になったとしても、駄目な奴だな。と思う。ヤッパリ、気を紛らわそうとしているな
そんな事を考えながら、私は眠った。
――どうせ 動けないなら、 寝ていたほうが ましだ――
私が目を覚ますと、周りは悲しみに暮れていた。
「おとぉさん、どこいっちゃったの……!!おかあざん!!どごいっだの?マキ、ひどりでざみじいよ!!どうじでがえっでぎでぐれないの?おどーざーん!!おがーざーん!!わぁーーー」
「アナタ、アナタ、どうしたの?ねえ、目を開けてよ。私を見て。二人で、絶対に生き残ろう、って行ったじゃない。どうしてなの?私、アナタが生きていないと、生きられないわ……どうして?アナタ。死なないでよ。私を残していかないで!!!!」
人間は、どうして、こう、自分が一番不幸せだ、ということしか、考えられないのだろう。不幸せだとしたら、それは私達のことじゃないか。
いつも必要とされて、不必要になったら、すぐ殺す。
そんな世の中。
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2006/12/28(Thu)12:04:23 公開 / 痲羅慧
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■作者からのメッセージ
なんかぐちゃぐちゃで御免なさい。
いろいろ教えてください。