オリジナル小説 投稿掲示板『登竜門』へようこそ! ... 創作小説投稿/小説掲示板

 誤動作・不具合に気付いた際には管理板『バグ報告スレッド』へご一報お願い致します。

 システム拡張変更予定(感想書き込みできませんが、作品探したり読むのは早いかと)。
 全作品から原稿枚数順表示や、 評価(ポイント)合計順コメント数順ができます。
 利用者の方々に支えられて開設から10年、これまでで5400件以上の作品。作品の為にもシステムメンテ等して参ります。

 縦書きビューワがNoto Serif JP対応になりました(Androidスマホ対応)。是非「[縦] 」から読んでください。by 運営者:紅堂幹人(@MikitoKudow) Facebook

-20031231 -20040229 -20040430 -20040530 -20040731
-20040930 -20041130 -20050115 -20050315 -20050430
-20050615 -20050731 -20050915 -20051115 -20060120
-20060331 -20060430 -20060630 -20061231 -20070615
-20071031 -20080130 -20080730 -20081130 -20091031
-20100301 -20100831 -20110331 -20120331 -girls_compilation
-completed_01 -completed_02 -completed_03 -completed_04 -incomp_01
-incomp_02 -現行ログ
メニュー
お知らせ・概要など
必読【利用規約】
クッキー環境設定
RSS 1.0 feed
Atom 1.0 feed
リレー小説板β
雑談掲示板
討論・管理掲示板
サポートツール

『胸の中の思いで』 作者:りゅうりゅう / リアル・現代 ショート*2
全角1338文字
容量2676 bytes
原稿用紙約4.1枚
上京したての『ボク』の理想と現実と哀愁のショートストーリーです。
 今日、夢を見た。当たり前だった日の夢…。

 ボクは今年から大学生になった。親の反対を押し切り、上京という形で都会に出てきたんだ。
 合格発表で僕の番号があったとき、それはもう嬉しかった。柄にも無く握りこぶしを作って、天高く振り上げたくらいだ。
 そして出発の日、両親は少し不安そうだけど、めいいっぱいの笑顔で送り出してくれた。
「がんばるんよ」
 心配と不安、そして励ましのこもったその台詞に、ボクは「大丈夫」と繰り返し答えた。
 一人で飛行機に乗るのは二度目、受験に行ったとき以来だ。空港まで見送りにきた心配性な母に笑顔で手を振りながら、飛行機に乗り込み出発した。
 無事現地に着いたのだけど、あいにくの雨。両手いっぱいに荷物を持っていた僕には、雨を防ぐ手立てが無かった。
 そこまで強い雨じゃなくぽつぽつとしたものだったけど、到着した日に雨っていうのは少し悲しかった。……確か受験の日にも雨が降っていたなぁ。
 アパートに着いて、まずは両親に電話をかける。
「一人でもちゃんとやっていくんよ」
 母はやはり心配そうで、でも勇気づけようとしてくれた言葉が嬉しかった。実家ではあんなに口やかましく命令してきたのに、反則だよ。
 この言葉と、まだ家具も何も無いがらんどうの部屋を認めたとき「ああ、独りぼっちなんだ」と初めて認識した。
 周りには頼れる親戚も、友達も誰もいない。人は通りにごった返すほどいるのに、僕は独りぼっちだ。
 上京すれば親に縛られず、自由になれると思っていた。好きなものを食べ、好きなものを買い、好きな時間に寝て好きな時間に起きる…。
 だけどこれは浅はかな願いだったのかもしれない。襲い来る孤独という名の恐怖、未来への不安、焦燥…。
 初めて寝る自分以外誰もいない家。
 いつもの時間に寝たのに、ずいぶん早くに目が覚める。
 次の日も、そのまた次の日も…。
 少し慣れてきた一週間目のある日、両親とペットと暮らしている夢を見た。
 晩御飯を家族みんなで食べ、食後のお菓子の争奪戦をしたり、そして犬に抱き着いていじめたり、早く風呂に入れと怒られたりした…。
 その夢は、ボクが上京する前の十八年間、毎日過ぎ去った唯の日常だった。当時はほとんど煩わしいことだったというのに、何故だかひどく心地いいものだった。
 ――目が覚める。目の前にはボクの思い描いた、少しくすんだ天井ではなく、あまり慣れていない、無機質な白い天井だった。
 差し込む光によって目が覚めたみたいだ。まだカーテンのついていない窓からは、橙色のやわらかく暖かな夕日がボクを照らし出している。
 どうしようもない虚無感がこの胸に溢れてきたけど、これも自分が望んだことの結果。いつか思い出が色あせ、この生活に慣れるその日まで、ボクは耐えていこうと思う。
 『本当に大切なものは、失ってみて初めて分かる』というのは、きっと本当なんだろうね。
 ボクはがんばろうと思う。たとえ独りぼっちだとしても、がんばれると思う。
 いつか本当の意味で一人立ちするまで、この思い出が色あせるまで、きっと耐えていける。いや、耐えてみせる。

 ――それは、暖かな人たちに囲まれた、この夕焼けのような思いでが、ボクの胸の中で生きているから……。
2006/11/11(Sat)19:33:09 公開 / りゅうりゅう
■この作品の著作権はりゅうりゅうさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
はじめまして、りゅうりゅうと申します。今までコメントも投稿もしたことがないんですけど、どうかよろしくお願いします。
ぜひ辛口な評価で鍛えてください。
この作品に対する感想 - 昇順
感想記事の投稿は現在ありません。
名前 E-Mail 文章感想 簡易感想
簡易感想をラジオボタンで選択した場合、コメント欄の本文は無視され、選んだ定型文(0pt)が投稿されます。

この作品の投稿者 及び 運営スタッフ用編集口
スタッフ用:
投稿者用: 編集 削除