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『パターン化』 作者:修羅場 / 未分類 未分類
全角2199文字
容量4398 bytes
原稿用紙約6.75枚
 田舎町の中学校。
 と、いったところで何かあるのかと聞かれれば特にない。答えるとしたら、え? いや、普通の学校だよ。普通の。と、後々いやな目で見られて、その上、苦笑いされる。
それでも、小説というものは大変だ。場面の説明をしないといけないのだから……。
教室の前と後ろに引き戸があって、前の引き戸を開けると先に教卓があるのが見えて、教卓から見渡すと今度は生徒の机と椅子がずらずらっと並べてあるだけの風景だよ。ね? 普通でしょ。
 そういえば、田舎だったかな、あの学園ドラマも。いやいや、これはドラマとかそういうのじゃなくて極々普通の学園生活の一コマさ。

 学園ドラマといえば、ラブコメとか、そういうのがある前に出てきそうな口うるさい教頭とか、校長。それとか、体育系なんか担当してそうな男の担任なんていうのは原則って物があるようなないようで、ひとぉーつ! いつも上下ジャージ姿ぁー。ちなみにカラー・レッド。ふたぁーつ! 首にホイッスル、手に竹刀。みぃーつ! ねっけぇーつ。
で、古臭いのでいくと語尾が「ざます」口調で、眼鏡をかけてる数学教師。ちなみに女限定。とか、そういうのが居ても可笑しくないそういう世界なのだ。学園ドラマって言うのは。

 それじゃ、物語の始まり。始まり。




 きりぃーつ、れぇーい。

 田舎の中学校。で、ここはその教室。今まさに、チャイムが鳴って、号令係の指示がかかったところだ。
 少し遅れて前の引き戸から現れたのがこのクラスの担任。しかも、男である。青いワイシャツに、その細く白い首元に締められた赤いネクタイと爽やかな顔。
 担任は自慢げに、長く輝かしい黒髪を窓から流れる隙間風に靡かせ、涼しげな表情で一歩、一歩、教卓に近づく。
 教卓から僅か数センチほど離れた地点で立ち止まり、担任はそこから出席簿をポンと教卓に放り出す。
「やぁ、みなさん。いかがお過ごしでしたか? あ、立ち話もあれなんでいったん座りましょうか」

 清々しい朝の始めにはちょうどいい爽やかな笑顔の似合う担任が生徒に呼びかける。こういう感じの教師は生徒によく好かれるはずだが、この男はそうでもなさそうだ。
 号令係がまだ「着席ー」と言っていないうちにクラスメートは一斉に腰掛ける。
「はい、そこ。ていうか、みなさん。何、ぼけぇーっとした顔で着席なんてしてるの。で、はい。そしてまた、きりぃーつ」
 それを見た担任は、眉間にしわを寄せて、なんだか不機嫌そうに口を開く。朝、そんなに機嫌を損ねるようなことでもありましたか?
 けど、そんな担任の指示など聞く耳持たずして、クラスの誰一人立ち上がらなかった。この男は気付いていない。
なぜ、自分が生徒に好かれないのかを。

 それは、いたって簡単なことだ。言ってることが矛盾し始めてることに気付こうとしないし、少し身勝手。という悪い癖があることに気付いていない。
その男、岡田淳一という。ちなみに独身。

 …え? なにを人聞きの悪い。あんたらが人の言うことなんて聞いたからいけないんでしょーが。
ほら、そこ。直ぐ人のせいにしない。では、改めて…。

 きりぃーつ、きりぃーつ、れぇーい。
 ちゃくせぇー……き、なんていうと思ったら大間違い。そのまま立ってなさい。君たち。


 世の中ね、そんな都合よくパターン化されないんだから。


 世の中甘くないんだよ。解る? 先生の言うこと。


「せんせーい」
 着席したクラスメートの一人が挙手をした。淳一はその挙手に対して、言って見なさい、と呟く。指されたクラスメートは再び席を立ち、こう言い出した。
「それじゃ、先生の言うことも信用できないと思います」
 ほら、矛盾発言が始まった。よくいるよね、こうやって先生の意見とかに意義する生徒。こういうパターンってよくあるある。
 で、次に出てくる台詞はこうだ。
「あっそ。じゃ、君は誰のいうことなら信用するのかな?」
 パターン化だね。お決まりの台詞とかあるでしょ?

 ここでちょっとパターン化について、軽く説明しましょうか。
パターン化というのは早い話が同じことの繰り返しのことをいいます。同じ場所、同じ相手、同じ空気の中に居れば必ず起きる自然的な現象。
 ほら、歴史だって。実はパターン化しているのです。
世の中の流れなんて、気付かぬうちに、例え全てが同じじゃなくても、あれ? なんか、この流れ前にもあったような……。じゃぁ、こうしたらこの先こうなる。みたいな思考が出来たのなら、それはもう既にパターン化の始まりだと思いましょう。

 日常でもよくあるでしょ? あれ、この話前にもしたっけ? それはただの物忘れです。
 自分じゃ、違うことをしていると思っても周りから見たら「またか…」という感じに見られていることがある。例えば、簡単な例で行くとお笑い界なんてのもその一つ。
 誰にだって個性出して、金も受けてる人たちが居る。よく一人でいろんな物事に大声張り上げて、ツッコんでる芸人も居れば、二人一組で未知な世界を生み出すのも居れば、よく分からないけど面白いなんてのもある。
最初は面白いと思って、その芸人だけをひたすら見てるけどしばらくして、思うんだ。
あれ? このツッコミ方ってあれに似てる。とかこれってあれのパクりなんじゃないの?? とかね。
そう思いこんできたら既に世の中はパターン化になりつつあるのです。
2006/10/30(Mon)18:02:58 公開 / 修羅場
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お久しぶりです。
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