- 『Mixture』 作者:LET / サスペンス ミステリ
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恵理子は魔性ノ女なと言われるほどの美人、しかし斉木と言う男にはめられて集団レイプにあう。そんな彼女が出会ったのは大学のときに付き合っていた大輔だった。大輔の恵理子に対する愛情、斉木の人に対する非情、恵理子の悲しみが交錯しある一つの事件が起こる。事件を追うのは一人の私立探偵と一人の刑事。事件を複雑にしていく人と人の感情の交錯が今起こる。
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第一話【再会】
目の前にある線路を目を見開いてジッと見つめ江島恵理子(えじま えりこ)は一歩進んだ。
恵理子は薄い紫色の長髪を後ろで束ねた髪型、白いワンピースをの上に赤いジャンパーを着込み膝まであるヒラヒラとしたセルリアンブルーのスカート着ていた。
駅のホームの針が午後8時をさした、それと同時に時間を伝える駅の放送が流れる。
駅は会社帰りのサラリーマンや学校帰りの学生などが多くいた。
駅は線路にはさまれた狭いものだ、その狭い中に多くの人が電車を待って列を作っていた。
その列の先頭に恵理子は立っていた、別に家に帰るために電車を待っているわけじゃない死ぬために待っている。
もう生きる気力など無い、そう思って家に一番近いこの駅にきた、飛び込み自殺という奴をするために。
後少しで電車が来る、死の時間が刻々と近づいてくる怖くなど無い、そう心の中で囁いた。
自殺を決めたのは1週間前、彼女を襲った悲劇が原因だった。
恵理子は恐ろしいほど美人だ、薄い紫色の長髪に整った輪郭に見開いた目、その眼の中で輝く丸い瞳、スリムな体。
その美しい体で何人もの男を食い物にしてきた、魔性の女という奴だ、それでも男は腐るほど近づいてきた、恵理子はその男の中から金持ちや自分の気に入った男だけと付き合い尽くした、一度に3又をかけるのも珍しくはなかった。
今まで何十人もの男と付き合ったが真剣に付き合ったことなど無い、いつもお遊び。
そんな男女交際を楽しんで今年で何年になるだろう?
今年で25歳になる恵理子だが男女交際に関しては初めて付き合った男のころから変わらないお遊びだ。
しかし、あんな男とであったのは初めてだ。
2ヶ月前に恵理子は職場であるキャバクラである男とであった、斉木幸助(さいき こうすけ)と名乗った男は小規模だがある会社の社長だった。
恵理子も流石に会社の社長と出会ったのは初めてだった、これはチャンスかもしれないと恵理子は思った。
斉木と結婚すれば結婚すれば一生遊んで暮らせるかもしれない、セレブになるチャンスだ。
そう考えた恵理子の行動は早かった斉木に凄いアタックをした、電話番号にメールアドレスに家族構成や住所、趣味、交友関係、会社の株価、いろんな事を調べ上げた。
そういうアタックが一週間前まで続いた、斉木も美人の恵理子にアタックされて悪くはなさそうだった。
しかし、斉木のその顔は表の顔だった。
斉木も裏で恵理子のことを調べていた、そして一週間前に斉木に呼び出された。
呼び出された場所はラヴホテルだった。
恵理子はウキウキした気分でホテルに向かった、もう斉木も自分に体を許してくれるところまで来たと考えると自然に笑みが出た。
約束の30分前にホテルに着いた恵理子は斉木が来る前にシャワーを浴びて待っていた。
シャワーから上がり着替えてベッドに座って待っていると部屋の扉が開いた、しかし扉の向こうに立っていたのは斉木ではない中高年の男が4人、会社帰りのスーツ姿で立っていた。
なぜこんなところに知らない男が立っているのか、恵理子は不思議に思った、しかし次の瞬間に男の中の一人が信じられないことを言った。
「恵理子さんだね?私らは斉木社長の取引相手のものだよ、実は斉木社長に2ヶ月ほど前に取引条件に若い女性と遊びたい、といってみたんだよ、そうしてくれたら契約金も上げるといってね、そして今日になって斉木君がココにくるといい女がいる、と言ったから来てみたら……こんな美人を用意してくれるとは斉木君もやるねぇ」
恵理子は固まった、斉木が…まさか…でもこの男達の話したことが事実なら…とおもってその場を逃げようとすると男達にベッドに寝かされ手足と抑えられ口もふさがれてしまった、そしてさっき喋っていたおとこが、近づいて恵理子の胸を触りながら
「恵理子ちゃん、遊ぼ」
と言った、そしてそのまま朝になるまで男達のおもちゃにされた、何度も気を失いかけた、その度に男達に起こされた、しかし最終的には気を失ってしまった。
そして目覚めるとそこには裸の自分と自分の手荷物そしてベッドに置いてあったメモ用紙しかない、メモ用紙には『楽しかったよ』と書いてあった。
気持ちを落ち着かせるためにシャワーをあびた、自分の体から男達の精液のベタベタしたものが消えていった。
シャワーからでて着替えた。
そのまま家に帰った、やはり気が動転していた、さらの性的暴行でうけた心の傷で精神はぼろぼろだった。
家に着くと玄関にガクッと膝を落としてし座り込んでしまった。
しかし、それでも斉木に怒りを覚えた、すぐに携帯から斉木に電話をかけた。
ツーコールした後、電話の向こうで斉木ではない声が聞こえた『こちらはNTYです、現在お客様がおかけになった電話番号は現在使われておりません』
恵理子はまた固まった、この調子では自宅に電話してもメールしてもまったく無意味だ。
完全にやられた、警察に言おうか、おそらく意味がないだろうな、キャバクラで働いている女がレイプにあった、なんていっても警察は何もしてくれないだろう。
それに斉木がやった証拠も無い、襲ったのは見知らぬ男達だ、斉木が襲ったわけじゃない。
運動もしていないのに息を荒立ている恵理子、もうどうしようもないと思い、そのままま傷ついた心をすこしで癒すために眠ることにした。
あれ以降、何にかんしてもまったくやる気がでなかった。
そして今日死ぬことを決意したのだ、怖くは無い後悔もない、自業自得かもしれない今までさんざん男達をもてあそんできた罰だ。
そんなことを考えていると線路の向こう側から光が近づいてきた、電車が来たのだ。
段々光が強くなる電車が近づく、自分まで後50メートル、30メートル、そして10メートル、今だと思って飛び込もうと思い白線を越えて地面をけり飛んだ瞬間に腕を捕まえれた、捕まれた手はま引っ張れれて駅に戻される。
結局死ねなかった、目の前に電車が止まり扉が目の前にきた、恵理子は電車から出てくる人の邪魔にならないよう下がった、いまだに手は離されていない、そして恵理子がふと後ろを振り向くと一人の男が恵理子の手を握っていた、茶髪のストーレート、綺麗な輪郭に細い目にとがった鼻、深緑のコートに茶色が薄れたジーパンを着れていた。
恵理子は目を疑ったこの男、佐々木大輔(ささき だいすけ)だ、同い年の25歳、大学1年時に弄んだ男の一人だ、性格が印象的だったので覚えている。
大輔は恵理子の腕を引っ張って電車に入った、そして近くの座席に座って恵理子を隣に座らせた、電車の扉がしまると同時に大輔が口を開いた。
「ひさしぶりだね」
相変わらずやさしい声だった、大学生のときもこの声が気に入って付き合ったのだ。
恵理子はうつむいた、今更昔の男に話し掛けられてもむなしくなるだけだった。
「何があったの?自殺しようとするなんてただ事じゃないでしょ?」
大輔が話している途中に電車が動き出した。
この電車はどこ行きだろうか、と恵理子は考えていた、大輔の言葉を無視するために。
「なにがあったんだよ?」
大輔も引き下がらない。
そういば大輔は恵理子に付き合っていたころ変わったことを言われた、俺は恵理子ちゃんの体じゃなくて性格が好きなの、と大輔は言ったのだ、恵理子は今の今まで嘘だと思っていたが今は信じられる。
なぜなら昔あんなひどい振り方したのにまだやさしい声で話し掛けてくるからだ、普通は振られた女に話し掛ける奴はいまい。
ましてや自殺を止める奴などいない。
どうやらまだ大輔は恵理子のことを好きでいるらしい。
大輔から受けた【愛情】と斉木からうけた【非情】の【感情】が恵理子の中で【交錯】する。
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2006/07/12(Wed)00:58:02 公開 / LET
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■作者からのメッセージ
2作目です、こんな階の作品は文章が上手くかけませんでした…ショックです。
何はともあれ新連載の予定です、感想やアドバイス、苦情などなど色々待っています。