- 『パートナー』 作者:リメンバー・トゥデイ / 恋愛小説 リアル・現代
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原稿用紙約11.5枚
俺には足の動かない彼女がいる。ある日の不運な事故で足が動かなくなった少女、彼女の恋人は彼女が事故にあったのは自分のせいだと思い込んだ。
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俺の彼女は、足が動かない障害者だ。
そういえば昨日も雨だった、朝、学校に行く道に傘をさしながら歩いているときに思った。
天気予報では明日には晴れるらしい。
今はそんなことよりも今日のテストのことを考えなければならない。
そういうわけで俺はカバンから英語の教科書を取り出し、歩きながら読み出した、片手でカサをもち、もう片方の手で教科書を持った、教科書をよんでいると後ろから女の声がした。
「こらっ!島崎赤也(しまざき あかや)!あるきながら本を読むな!」
その声は俺のフルネームを叫びながら注意してきた、振り返らなくても声の主は分かる、神崎綾香(かんざき あやか)だ、彼女は俺と同じ高校3年生、髪の毛は方まで伸びていて、瞳は見開いている、更に輪郭も綺麗、だが、気が強い女だ、だから男子生徒も絡みやすい存在だ、で、同時に俺の幼馴染であり、俺の恋人である。
ちなみに彼女の成績は学年1位、だから今も成績の心配などしていないのだろう、心配をしなくてはいけない奴の身にもなって欲しい。
俺がそんなことを思っているうちに綾香はすでに俺の隣に並んでた(同時に俺から教科書を取り「危ないから歩きながら読むな」と言い没収した)
渋々、普通に歩くことにした。
「ねぇ今日の午後、買い物に付き合ってよ」
綾香が突然言った、正直、気乗りしない、なぜなら今日の午後はテストのできが悪くうなだれてる自分が安易に想像できるからだ。
だから断ろうと思っていると後ろから嫌な声が聞こえてきた。
「女の子のデートと、テストで落ち込んでる自分、どっちが大切ですか?」
この声の主も振り返らなくても分かる、江口慶介(えぐち けいすけ)、俺たちの学校の英語教師であり、俺たちのクラス担任、そして俺がもっとも苦手とする人間。
苦手な理由は2つある、1つは人の考えている事を簡単に見ぬところ、2つ目はきつい嫌味を言ってくること。
俺が考えている間にも
「君は今、テストで落ち込んで元気が出ないだろうから今日は買い物したくない、思っているね?」
これが苦手な理由の一つ目。
「まったく、女の子が誘っているのに断ろうとするなんて……君は……いや、言わないでおこう、言ってもわからないだろうからね」
これが苦手な理由2つ目、クソッ!途中できられると余計むかつく!
しかし、その横で綾香が「先生ナイス!!」と言っている、2人とも、人の気持ちを考えなさい。
そんなやり取りが交わされていってる間に俺たちは学校についた。(うわぁ〜これからテストだ…)
俺と綾香は3年の教室、ちなみに俺らはB組だからB組の教室に、江口は職員室へ向かった。
教室に入ると皆いつもと違っていた、いつもなら女子は他クラスの女子あいにいったり、プリクラをノートに貼ったりしてて大盛り上がりのはず、男子はいつもなら半分の奴が机で寝ていて、半分の奴が運動場で遊んでいるはず。
だが、今日はテスト、皆、呪文のように数学の公式を言ったり、ひたすらノートに英語の単語を書いたりしている。
よく観ると皆、目の下にクマを作っていた、恐らく俺も作っていて、作ってないのは綾香ぐらいだった。
俺は綾香から英語の教科書をかえしてもらい、ノートにひたすら単語を書き続けた、そしてしばらくするチャイムが鳴った、皆(綾香は除くぞ)の顔が「やべぇ!サツがきたぞ!」とあせっている、ヤのつく自由業の方みたいになった。
そして直後に先生が入ってきた、それでも皆(ここでも綾香は除くぞ)は勉強をし続ける、先生はなれたように。
「はいはい、チャイムが鳴ったぞ、勉強は止めろぉ〜」
一部の者はやめたが、大体の人はやめない、そして先生が切り札をだした。
「やめねぇと点数引くぞ」
その一声でみんな片付けをして、机の上には消しゴムとしゃーぺんだけにした、テストの状態にした。
そして先生がテストを配りはじめる、まずは回答紙を配り、次に問題紙をくばる、問題紙はすぐに回答紙の下にいれて見えないようにした。
くばり終えた先生が教卓の前に立ち、腕時計をみつめる、そして腕時計の針がテスト開始時刻をさした瞬間、先生は「はじめ!」と叫んだ。
そしてこのとき、皆(やっぱり綾香は除く)のきもちは同じ!
さぁ!テストよ!いざ!勝負!
と、心の中で叫んだはずだ、そしてみんな問題に取り掛かる。
テストの時間は1時間、この1時間はものすごく早くかんじる。
1時間後、皆(綾香は除く)は口をポカンと開けて白目になっていた、まるで口から魂が出ているようだ。
一番後ろの席の奴が回答紙を持っていく、あぁ……これでおれはもうどうすることもできない。
しかしテストはこれで終わりじゃない、俺は休み時間10分利用して次の教科の勉強をする。
この教室に入ってからの出来事が、今日はこの後2回繰り返された。
学校の帰り道、俺は死んでいた、横で「ねぇどこ買い物行く?」と楽しそうに聞いてくる綾香の元気な声とつめたい雨が俺をさらに追い詰める。
「まぁまぁ!元気出せよ!いつまでも落ち込んでたって仕方ない!」
綾香が俺の肩を叩きながら慰める、いいよな成績優秀な奴は…
俺たちはある人気の無い横断歩道に差し掛かった、赤信号に引っかかった俺たちは素直に待つことにした。
この横断歩道の先には一つの小さなせまい道がる、塀に囲まれたその道は俺たちの家の近道でいつも使っていた。
今日は横断歩道の周りは人は少ない、そもそもこの横断歩道も大通りが近くにあり、その大通りの小さな小さな曲がり角をまがってまっすぐ20メートル行ったところにある、だから人気はほとんどない。
横断歩道で信号を待っていると、綾香が「あっ」と声をあがた、綾香の視線をおうとそこには赤い首輪をした猫が横断報道の真ん中にいたのだ、猫はその場に寝転んでしまった。
俺が「あぶないな」と言うと、綾香は指していた赤いカサをその場において猫を救いに行った、この後、俺はひどく後悔する。
なんで、この時に綾香を止めなかったのか、と。
綾香は猫を抱き上げると俺のほうに歩いて戻ってきた、、おれは綾香の赤いカサをもち手渡してやろうと、体をよこにしてすこし腰をおろし、綾香の赤いカサに絵を伸ばした瞬間のできごと。
ドスンッ!
鈍い音がした、おれはおどろいて音がしたほうをみる、そこには軽自動車一台とその5メートル先あたりに倒れている綾香がいた。
倒れている綾香に恐る恐るおれは近づき、綾香を起き上がらせようと、上半身をだいた、そして、必死で声をかけた。
「綾香…おい…あやか…おきりょ…綾香!!」
その後のことはパニックになっていて詳しくは覚えていない、ただ、綾香とともに救急車にのり近くの大きな病院に来たのは覚えている。
病院についたら綾香は手術室に入れられた。
おれは医者に言われたとおり、手術視の前の長いすの端に座った。
そして自分に、落ち着け、と暗示をかけるよう言った。
綾香の家族にも学校にも連絡はした、後は綾香の手術の結果を待つことだけだ。
おれが頭を抱え込んでいると、横に誰かすわった、うと横を見るとそこには江口が座っていた
「状況は聞いてる、君も大変だったね…大丈夫かい?」
そういうと江口は俺に缶のコーラを差し出してきた、しかし受け取らなかった、受け取って飲める気分ではなかった。
江口は缶を字武運のバッグ入れた、そして沈黙が続いたが、先にしゃべったのは俺だった。
「なんいも言わないんですか?」
「なにをだね?」
「だから…なんで彼女を渡らせた、とか、君は何をしているんだとか、いつもの嫌味を」
「言って何とかなる問題じゃない、それにこの事故はきみのせいじゃない、と僕は思うよ」
そしてまた沈黙が続いた、すると駆け足でだれかが近づいてくるのが足音でわかった、人数は2人だな。
そして近づいてきた二人を俺はみた、多少若めで瞳がぱっちりしていて、髪が長い女性と厳つい顔をした男性、綾香の両親だった。
俺は立ち上がり、二人にあたまを下げた。
「……赤也君…頭をあげてくれ、君は悪くない、どちらかというと娘を救ってくれた…感謝する」
厳つい顔の男…綾香の父親がいってくれた。
その時、手術室のドアが開き、一人の医者が出てきた。
俺たち4人は医者にいっせいに聞いた。
「綾香はどうなりましたか?」
「娘はどうなったんだ?」
「あの子は無事なんですか?」
「現在の状況は?」
医者は俺たちの質問攻めにたいして、複雑そうな表情で言った。
「手術は成功です、一応、彼女は一命をとりとめましたが…」
次の瞬間、医者の口から信じられない言葉が出た。
「脊髄をやられまして…非常に申し上げににくいんですが、彼女は目覚めたら足が動かない体になってます」
俺たちは一瞬、時が止まったように感じた。
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2006/05/28(Sun)02:58:36 公開 / リメンバー・トゥデイ
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