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『君の光に僕は成る』 作者:winds / 恋愛小説 未分類
全角1752文字
容量3504 bytes
原稿用紙約6.1枚
普通の少年―加瀬竜也ちょっと謎の転校生―川嶋優そんな二人のちょっと悲しい恋の物語。そして―彼女は最後の微笑みを僕に見せる
第一章 桜が舞う日〜初春〜

桜の花が咲き、散っていきそうな頃、俺―加瀬竜也は国坂学院の二年になった。
年齢的には16。現実的な進路を決めていく頃だ。
多少の懐かしさを秘めながら、学校へ登校していった。
新年度初のホームルームがあり、転入生が居る旨を伝えられる。
高校で転入とは珍しいので、少々どんな奴か考えながら、扉が開かれるのを待った。
そして、扉が開かれた。
そこには―天使が居た。
他の表現方法が無かった。
白い肌。黒く伸ばした髪。痩せているのではなく、細い体。
自分でも顔が赤く成っているのが分かった。
彼女が自己紹介を始める。
「川嶋優です。」
お決まりの、名前からの自己紹介。
俺は、彼女の事を少しでも、他のクラスメイトが知ってることでも良いから、知りたかった。よく見れば周りの男子皆が、僕と同じように顔を赤くしているのが分かる。
「……です。よろしくお願いします」
彼女の自己紹介が終わり、担任が彼女の席を決めた。
「まぁ……加瀬、後ろのアイツだ。アイツの隣に座ってくれ」
そう言って、俺の隣に彼女が来る。
「隣だね。よろしく。」
そう言って、微笑んでくる。俺はそれが気恥ずかしく、
少し頬を紅潮させながら、
「うん。よろしく」
そう、挨拶を返す。
その後、俺たちの自己紹介を彼女にする。
彼女は少し咳き込んで話を聞いていた。
もう四月も中旬へ差し掛かろうというのに、咳き込んだのを見て少々不思議に思ったが、
自己紹介の順番が回ってくる頃には、その事は忘れてしまっていた。

二日もすると、彼女とは他の女子とは比べものに成らない位、仲良くなった。
最初に使っていた君付けは消えないが、彼女の癖だと言うから余り疑わない事にした。
「ねぇ、食堂行こうよ」
不意に彼女から話しかけられる。
「え、別に良いけど。食堂は量が少ないからなー」
正直、育ち盛りには質より量だ。
内心そんなことを考えていると
「あんまり多く食べられないんだよ。私は」
そう言って笑った彼女の顔が一瞬曇った気がしたが、
すぐに彼女は食堂に向かって歩き出したので、気にしないことにした。
食堂へ向かう途中、彼女は窓から空を見上げ
「空が綺麗だなぁ」
そう、呟いてこっちを向き、
「ねぇ、加瀬君もそう思うでしょ?」
と、微笑んできた。
僕は、その微笑みが何より好きだった。
今を、一生懸命生きている。
そんな、笑顔。
「どうしたの?」
俺の顔に接近して、彼女が上目遣いで問い掛けてくる。
まさか、好きだとは言えずに
「なんでもないよ」
など、適当に答える。
彼女はそのまま歩みを進め、食堂へ辿り着いた。
「Aランチ一つ」
彼女の後ろに並んでいた俺は、正直何でも良かったが、多少量が多いうどんにすることにした。
「加瀬君ってさぁ、なんか他の男子と雰囲気違うよね。私の気のせいかもしれないけど」
それは俺に対して特別な感情を持っていてくれているからなのか。
「そうか?良くわかんないけど」
「うん。私も良くわからないけど、何か違う」
そう言って、彼女はまだ多少残っている学食を見て、
帰ろうか、と同意を求めてくる。
俺は賛成して、彼女と共に教室へ帰った。

彼女が来てから、二週間がたった。
俺が彼女に対して持っている感情は、最早確信へと変わった。
―俺は、彼女のことが好きだ
だから俺は、自分にミッションを与えた。
今日中に、彼女―川嶋優に告白する
俺にとっては難易度が非常に高いが、頑張ろうと思う。
「川嶋、今日、一緒に帰れるか?」
問い掛けてみる。
「うん。大丈夫だよ」
そう言われて、安心する。それからの授業はかなり暇な物だったが、
放課後は、逃げずに来た。
俺は玄関で彼女を待ち、一緒に歩を進めた。
適当な雑談を交わし、笑いながら帰る。
信号で待っている時、彼女が
「雨が降りそうだね」
と、言ってくる。
確かに雲行きが危ない。
そして、彼女と別れる道まで来た。
丁度、他人は居ない。
「あのさぁ、言いたいことがあるんだ」
俺は、唐突に切り出した。
「俺、今までこんなに成ったことはなかった。でも、今俺は……」
言葉が切れてしまった。
「どうしたの?」
彼女が上目遣いで聞いてくる。
そんな顔されたら……
意を決して、彼女に向かって
「俺は、お前のことが好きだ。お前も、分かっていただろう?」
そう、言い放った。
2006/04/17(Mon)21:32:01 公開 / winds
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■作者からのメッセージ
全作がデータ全消しになってしまったので。
諦めて新作を作りました。
今後もよろしくお願いします。
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