- 『Real Game』 作者:令閨 / SF アクション
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全角2972文字
容量5944 bytes
原稿用紙約11枚
奇妙なフロッピー なぞのゲームに巻き込まれる人々 キャラクターを動かす今までのゲームとはちがう 自分自身が戦うサバイバルゲームが今始まる!
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『ついに生まれた、誰もが待っていたゲーム!あなた自身が主人公となり、ゲームの世界で戦う!その名はReal Game』
「でな、この前の喧嘩の時にさ、啓太の奴したまいて逃げ出したんだぜ」亮輔が逃げ出す啓太の真似をする。昼の二時の明るい公園に少年達の笑い声が響く。大きな木を中心とした円形の公園には、蒸し暑い空気が流れていた。
「喧嘩なんて、下等な奴らのすることなんだよ!」顔を真っ赤にしながら啓太が言い返す。公園に集まった四人の少年の中で一番チビで幼い顔立ちだ。
「ハイハイ、優等生の啓太はおうちでママとお勉強ですねぇ」亮輔がからかう。黒髪を頭の後ろで束ねて大袈裟な身振りで笑いを誘う。いかにもチャラチャラした奴って感じ。
「ぎゃははは!」太一が大声を上げて笑う。ぽっちゃりとした体つきで、笑い上戸、喧嘩の最中でも大声で笑ってたりする変なやつだ。いつもお菓子の袋を持ち歩いている。今日は『かっぱえびせん』だ。
「その辺にしとけ、亮輔。そろそろ、啓太が泣き出すぞ」彼らの中で一番長身で大人びた顔立ちの聡介が亮輔の肩を叩く。
「ハイハイ、分かりましたぁ」つまらなさそうに首を上下させ、啓太の頭をクシャクシャと撫でる。啓太はやめろよ、と言いながら亮輔の手を払いのける。普段と何も変らない日常。夏休みの一日。
◇
「社長!30エリア中25エリア準備できました!」デスクに座りパソコンになにやら打ち込んでいる男が叫んだ。
「よし、いいペースだ」社長と呼ばれた男はニヤリと笑う。
大きな真っ白な壁の部屋には、デスクが何台も置かれ、その一台一台にパソコンが置かれている。そしてその前に座る男達は、とても忙しそうにしている。
「ついに夢のゲームの実現だ」男は不敵な笑いを浮かべた。
◇
僕は今パソコンの前にいる。突然送られてきたフロッピー。送り主は書いてなかった。
パソコンを起動させ、フロッピーを入れる。何が始まるのだろうか。期待と不安が入り混じった感じ。僕はこういうのが好きだ。ワクワクして体がソワソワしてくる。
パソコンの画面が変わる。
『Real Game』
『ついに生まれた、誰もが待っていたゲーム!あなた自身が主人公となり、ゲームの世界で戦う!その名はReal Game』
ゲームか。ロールプレイングのようだ。でも何故か今までのゲームとはちがう感じ。暇潰しにはなりそうだ。
再び画面が変る。
『STARTorBACK』
もちろんSTARTだ。マウスを動かしクリックする。
『太刀川 巧、ゲーム参加』
◇
変なゲームだぜぇ。いきなり送られてきたかと思ったら、参加するかしないかだと?
しないに決まってんだろ、メンドクサイ。今日はこれから飲みに行くんだよ。俺様は忙しいんだよ。
でもなんだってこんなフロッピーが送られてきたんだろうな…
思い当たる節もないしな…
気になる…気になる…気になる…
ゲームに参加したら分かるのか?参加してみようか?でもなぁ…
STARTのとこ押したら始まるんだよな。
押してみようか?でもメンドクサイ…
押そうかな…?
あ〜あ押しちまったぁ
『大桑 剛、ゲーム参加』
◇
なんだろう?このフロッピー。ゲーム…みたい。私ゲームなんかやったことないし、START押しちゃったら始まるんだよね。やってみたいような、やりたくないような…
でも、経験って大切だよね。一回ぐらいゲームしたっていいよね。
最近受験勉強ばっかりだもんなぁ。学校でも塾でも。
生き抜きも必要だよね。
うん!押そう!
でもゲームなんかやってるとこお母さんに見られたらなぁ
大丈夫!さっき買い物行ったとこだもん。まだ帰ってこないよ。
よし!クリック!
『香川 玲奈、ゲーム参加』
◇
なんかさ、太一が公園で変なフロッピー拾ってさ。あんま興味なかったけど、やっぱ気になるじゃん?で、他にやることもなかったから集まってんの、啓太の家。パソコンの前
なになに?『Real Game』?面白そうじゃねえの。やろうよって俺はみんなに提案した。
太一は俺に賛成。啓太はビビってるみたい、やめようよだって。聡介はちょっと考えた後、面白そうだって。
三対一
多数決、決まり。
俺は啓太からマウスを奪って、STARTをクリック。
ワクワクする。
なんかいいね、この感じ。
『夏村 亮輔、杉本 太一、大川 啓太、高村 聡介、ゲーム参加』
◇
真っ暗…というわけでわなかった。ただ壁が真っ黒だから暗く見える。部屋は広い。その中には仲の良さそうな四人組、ガラの悪そうな男、無口そうな女の子、僕。
それ以外は…何もない。本当に何もない。
部屋に四人組の声が響く。うるさくはない。むしろ彼らの声が聞こえなければ不安で押しつぶされそうだった。ゲームの世界に送られるなんて…
それに気付くのには少し時間がかかった。急に目の前が真っ暗になって、気付いた時にはこの部屋にいた。話を聞いてみるとみんな同じようだったらしい。
急にスピーカー音が部屋に響く。
「ようこそ!Real Gameの世界へ!」
男の声。低い声だが口調は明るい。
「ざけんじゃねぇよ!出しやがれ!」ガラの悪そうな男が叫んだ。壁をドシンと蹴る。
「そうだ!そうだ!」四人組も立ち上がった。
スピーカーの向こうで男がフフッと笑う。
「君達は望んでゲームに参加したんだろう?今更キャンセルはできんな」
確かに僕らは望んで参加した。しかし、本当に自分がゲームに入り込むなんて思ってもみなかった。
男は続ける。
「君達にはゲームに参加してもらう。実はこのゲームに参加するのは君達だけではない。君達は一つのチームに過ぎない。このゲームには30チームが参加している」
「俺はそんなのに参加しねぇぞ!」ガラの悪そうな男が叫ぶ。そしてまた壁を蹴る。
スピーカーの男は構わず続ける。
「勝ち残ったものには賞金が出る」
一瞬ざわめき、そして沈黙。
最初に沈黙を破ったのは、ガラの悪そうな男だった。
「はっおもしれぇ!やってやるぜ!」さっきまでよりさらに大きな声。
単純な男だ。そして…馬鹿。
「ど〜せ参加するしかないんだろ?」四人組の一番背の高い男が言う。
スピーカーから男の不敵な笑い声が聞こえる。
「その通りだ。君達にやってもらうゲームとは、まぁ簡単に言うと殺し合いだ、といっても本当に死ぬわけではない。一定のダメージを受ければゲームオーバーで現実世界に戻れる」
前にも言ったけど僕はこういうのが好きなんだ。期待と不安みたいなやつ。
スピーカーの男は続ける。
「まぁゲームが始まれば、いろいろ分かるだろう。」
ガラの悪そうな男ももう何も言わなかった。
「ゲームスタートだ」
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2006/03/22(Wed)16:37:25 公開 / 令閨
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■作者からのメッセージ
こんにちわ。とりあえず第一部です。下手くそでお恥ずかしい(汗)
表現がおかしかったり、色々あると思いますのでご指摘よろしくお願いします。ご感想も頂けると嬉しいです。
お読みいただいた方、ありがとうございました。そして、これからもよろしくお願いします。