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『空の下『1』』 作者:時計 霜月 / リアル・現代 恋愛小説
全角13609.5文字
容量27219 bytes
原稿用紙約44.75枚
 親からの虐待。そして、愛を知らずしてそだった青年、梓。 ある日の朝であった、紗江と言う少女の頼みから、梓は何かを得て…!?
 
 両親が、離婚すると言ってから俺の人生は崩れ始めた気がする。
 怒鳴り合い。 殴り合い。
俺は、まだ愛という物を知らなかった。

 二00六年、一月十五日、仙台市。
中野 梓は、紺に白の線が描かれたブレザー、そして紺のズボン…制服を着て、二階
から階段を伝い降りてきた。
 リビングルームに堂々と横たわっている、大きなクリーム色のソファの上に学校指定鞄
を放り投げ、梓は洗面所へと覚束無い足を進めた。昨日は予習勉強と塾の勉強に追われ、
夜遅くまで勉強していたのだ。その証拠に、小さなクマが薄く見えた。
 洗面所に着くと、スイッチ型の電気をつけ、蛇口をひねり、顔を洗い始める。
「冷てっ」
 梓の黒く、短い前髪が、額に引っ付くのが分かった。
予め用意しておいた白いタオルを使い顔に着いた水玉を拭くと、梓はリビングへと戻り、
冷蔵庫から牛乳パックと先日の夕飯の残りを取り出した。
「…パンでいいか」
 席に落ち着くと、梓は一人で食べ始めた。
母は、降りてこない。思えば昨日から、ずっと彼女の姿を見ていないかもしれない。
 梓はそんな事を考えるよりも、数学のことを考えるのが好きだった。
「母親なんか、もう必要ないだろ」
 自分で自分に言い聞かせる。これで何度目だろう?
まだ、自分を捨てた実母を恨んでいるのか、自分は。もう仕方のないことじゃないか?
彼女は俺を捨て、今は幸せに第二の家庭を築いている。
 それで、いいじゃないか。
 ―でも、じゃぁ…俺は?
俺は、どうなると言うんだ?禄な家庭に預けてくれるならまだしも、この家は大金持ち
なだけで、他にはなんでもないじゃないか。
 息子には毎週十万与え、会話は一日にするかしないかぐらい。
実母が言っていた話とは、遥かにかけ離れていると、最近になって梓は思う。
 もう十六歳で、もう世の中の仕組みや、それらについて分かり始めてきた年頃だと
自分では思う。そして、その中で生きていく準備をしている今、大切なのはもうその中で
生きている人間たちとの会話…両親達との会話なんじゃないだろうか。
 学校で渡される、進路相談の紙、三者面談の申込書。
親のサインを要求される様な物は、梓の大嫌いなものの一つだった。
「じゃ、行って来ます」
 歯を磨いた後、梓は革靴を履いて玄関の鍵を開けた。
階段を降りてくる音がして、母親の姿が現れた。
 茶髪に、細長い厳しそうな瞳。
「あら、居たの? とっくに消えたかと思ったわ」
「今、学校に行く所」
「そう…。帰りは? 遅くなってくれると嬉しいんだけど」
 梓は、母親を振り返らずに頷いて、出て行った。

 登校している間、梓は今度の三者面談について考えていた。
出来れば、自分の将来の為、先生の考えを聞かせてもらいたい。
 だが、それには母親か父親のサインが必要だった。
「父さんに頼んでみるか…」
 朝早くから夜遅くまで会社詰めの父親に頼むのは至難の技かもしれないが、そうするしか他に方法はないだろう。
 自分を虐待した母親を愛する父親も、憎いには憎いが、母親よりはましだった。
「中野くんっ。あの、コレ。落としたわよ」
 いきなり後方から声をかけられ、梓は心臓が止まるかと思った。
後ろの振り向くと、そこには同じ東北付属高校の生徒、吾妻 紗江が居た。
 二つ結びにした茶髪は、天然独特の色を保って、風に静かに靡いていた。
「良かった、間に合って。コレ、随分前に落としたみたいよ? 家のすぐ前に落ちてたの」
「あ…、ありがとう」
 渡されたのは、小さな雲のキーホルダーだった。
「案外可愛い系の物持ってるのね。彼女に上げるの?」
 紗江が、笑いながら首を傾げる。
「え? あ、いや。コレは、小さい頃…」
 そこで、梓は黙りこくってしまった。
と言うよりも、声が出なくなってしまったのだ。
 他人に、家庭のことを話すわけには行かない。そんな事をしたら、家の評判が悪くなる上に、母親に何かと難癖をつけられる可能性がある。
 黙っておかなくちゃ。
前の母親や、今の母親の暴行を、全て。
「…小さい頃…? どうしたの? それでずっと止まっちゃってるけど」
 紗江のその声で、梓は現実に引き戻されたように目を二、三回瞬いた。
「あ、ごめん。これは、親戚に貰った物なんだ。一緒に旅行行ったときに、お土産屋さんで」
「ふーん…?」
 誤魔化せる訳もないが、紗江はそれ以上追及しなかった。
それは梓を安心させたし、そうしてくれた事を感謝した。
「そうだ、もうすぐよね、三者面談。中野君、するの?」
 紗江がちょっと溜息をついてから、梓に向き直って言った。
「え? あ…どうだろ。母親が、あんまりやる気じゃなくて」
 梓は母親の事を知らせないために、少しだけ早くこの話題を済ませたいと思った。
「お母さんが? へぇ…。将来、何になりたいと思ってるの、中野君て」
 人の心配をよそに、紗江はどんどん話を深めていく。
これじゃ、すぐ終わりそうにないな、と梓は心の中でひっそりと溜息をついた。
「俺は…出来れば、弁護士」
 その応えに、紗江は相当驚いたようだった。
梓は、その紗江の顔を見て、改めて紗江が学校一のアイドルだと言う事を思い出した。
「本当に…? 私も、私も弁護士になりたいのっ。信じられない」
「へ…なんで、弁護士に…?」
 梓が聞くと、紗江は俯いて、それからにっこりと笑った。
「私の友達がね…。親からの虐待にあってて…。もうその子引っ越しちゃっていないんだけど。助けてあげられなくて、すんごい悔しくて…。だからいつかそんな無責任な親
達に罰を与えて、友達みたいなかわいそうな子を助けてあげたい、って…。」
「それで、弁護士に…?」
「うん。…中野くんは、どうして?」
「俺は…」
 どうすればこの質問に、答えられるだろう。
そんなことも考えずに、梓は答えていた。
「少しでも、俺のような子を減らすため」
 気付いた時には遅かった。
紗江は目を見開いて、梓を見つめていた。
「中野くん…それって!」
「ごめん、今の忘れて」
 そういって、梓は校門をくぐり、校舎へと駆け込んだ。
下駄箱のところで、一人荒い息遣いをしていると、親友の一人瀬田 洋介が肩を叩いてきた。
「よっ梓! 吾妻とラブラブ登校はどうだったよ? え?」
 洋介の、青年らしい声が梓の耳にキンキンと響くようだった。
「なっ何言ってんだよっ。見てて…?」
「たぜ。てか、殆ど皆お前等に視線向けてたと思う」
 梓は、顔を恐怖の色で染めてから、はぁぁぁぁ、と大きな溜息をついた。
「別に、そういう意味じゃねぇのにな…。ただ、吾妻がたまたま俺の大切な物拾ってくれてさ。追いかけてきて、それから話して…。気付いたら校門前、ってだけ」
「なーんだ。付き合い始めたのかと思った」
 洋介は、真面目に落ち込んだように声の口調を少し変えて言った。
「バカじゃねぇの。俺、そんな事してる暇ないし」
 そうだ。
吾妻なんか、可愛い、なんて思ってる場合じゃないんだ。
 だから、今は勉強に集中しよう。
もっともっと成績を良くして、全国第二位を一位にしよう。
 そうすれば、進める大学が多くなる。
梓の本命は東北大学で、そこに行くためには最も優秀な成績を収めないといけない。
「勉強勉強ばっか言ってると、女寄って来ねぇぞ?」
 洋介の冷やかすような声に、梓は冷えた声で言い返した。
「別に、俺は女なんて今はいらない。そのときになったら、そのときで見つかると思うし」
「自意識過剰すぎだろ」
「やっぱり?」
 
 授業が終わって、昼。
いつものように机で食べる気にはなれなくて、屋上で食べる事にした。
「あれ…先客?」
「あは、私よ。絶対来ると思ってた」
「吾妻!」
 後ろを振り返ると、紗江がにっこり笑って、ヒラヒラ手を振っていた。
そして、一回スキップしてからニヤッと笑った。
「あのね、頼みがあるの」
 唐突な頼み、だった。
だけど、それが俺の人生を、大きく変えてくれる、その一歩だと直感した。
 「た…頼み?」
 梓は、意味もなく少し後ずさりしながら言った。
紗江は逆に一歩近づいて、コクリと頷く。それにあわせて、二つ結びの髪が、引っかかっていた肩から綺麗に空へと流れ落ちた。
「何だと思う?」
 紗江が、まるで謎々を出しているような口調で言う。
梓は訳も無く、心拍が早まるのを感じた。
「え…と…勉強教えて、とか?」
 梓は、後頭部を手で掻きながら苦笑いしてみせる。
紗江はふむ、と言うように手を口に当てて指を少し動かしてみせる。
「うーん…それでも良かったかもしれない。どうせ私、頭悪いし。だけど残念。それじゃぁないんだなっ」
 紗江は、梓が分からないのを心底嬉しがっているようだった。
コレは多分、梓が謎々に答えられるまで続くかもしれない、と思っていると、紗江は床に
正座をし、
「座って」
 と言った。
「…何で」
 梓は、紗江を挑戦するような瞳で見つめる。
だが、紗江の茶色の瞳からは何も読めなかった。
 紗江がまた、にっこりと笑って彼女の目の前を指差す。
「いいから、座ってよ。中野君背が高いから、首を上げて話すの結構疲れるの」
 絶対、そんなことが理由じゃないと分かっていながら、梓は渋々頷いて、紗江の目の前に胡座を掻いた。
「…で…? 座ったけど」
 しばらく紗江が何も言わないので、梓は首をかしげながら言う。
紗江はそれを聞いて、にっこり笑い返した。
 雲が風で押され、青い空をせっせと走り抜けていく。
その中央に居るような感じのする紗江は、何故だがいつもよりも大人っぽく見えた。
「あのね。私の目を、よぅく見てほしいの。そして、心を真っ白にしてみて」
「は…? バカげた事させるなよ。俺がそんな事すると思うか?」
「いいから、やってみてよ!!」
 梓が少し嘲笑う様に茶化すと、紗江が怒ったように口を膨らませて言った。
その顔が、なぜだか…実母の顔に似ているようで、梓は自然と流れ出てくる涙を止める事が出来なかった。
 一瞬、紗江と実母の姿が重なった。
目の前の紗江の後ろに、微かだが実母の姿を見た。
 それが見えた途端、梓は自然と涙を流して居たのだ。
それを見て、紗江は困った様子も無く、謝る様子も無く、ただ無造作にハンカチを取り出し、梓に手渡した。
 ハンカチを受け取る時、一瞬梓と紗江の手が重なって、梓は息が止まりそうなほど驚いた。
 紗江が、にっこり笑ってどこか遠いところを見つめるように、真上の空を見つめた。
「悲しい時とか…迷った時とか。そんな時、梓はどうする?」
 いきなり呼び捨てで呼ばれて、嬉しいような驚いたような感じを感じていると、紗江が
答えを促すように首を傾げるので、梓は慌てて言った。
「俺は…部屋で、ベットの上でどうでも良くなるまで勉強してる、と思う」
「えぇ! 悲しいときでも困った時でも勉強なんて…」
 梓が考えながらそう口にすると、紗江は心底驚いたように瞳を大きくさせた。
「変か?」
 首を傾げて聞くと、紗江も少し考えてから、向き直ってこういった。
「別に、変じゃないかもしれないけど。それよりも、もっといい方法があるよ。教えてあげる」
 紗江はそういうと、横たわって大きく大の字になって目を瞑った。
梓は首をかしげて、紗江と同じように寝転んでみる。
「それで?」
「それでね、目を瞑って心の中で、今までで一番幸せだった日や事を思い浮かべるの」
 梓は、それは無理だ、と否定する。
自分に人に語れるような明るい思い出なんて無い。今までで、一番楽しかった日や事なんて、一つもない。だって、真っ黒だったから。
 俺が居る世界はいつも真っ黒で、そこから逃げ出そうとする度に誰かに出口を塞がれていたから。
 だから…。
「これから起きてほしい事でもいいの。何も無いなら、それでもいいのよ」
 紗江は、隣に横たわっている梓を振り向いてにっこり笑う。
梓は小さく頷いて、目を瞑り、心の中で思い浮かべる。
 起きてほしい事。
『吾妻が、俺を好きになってくれたら』。
 そうなってくれたら、どんなにいいか。
梓は、その日が来る事を強く思い浮かべ、そして紗江の次の指示を待つ。
「そうしてね、ゆっくりと目を開けて、目の前の空を見つめるの。そうしたら必ず、奇跡が起こるよ」
 梓は、その言葉でゆっくりと目を開ける。
目の前に見えるはずなのは青い空だった。
 だが、梓が見えたものは…。
 紗江の、目だけだった。
そして、唇に何かが当たっている感触。
 そして…。梓はこれ以上考えられなかった。
目の前には吾妻 紗江の綺麗な顔があって、彼女の唇は自分のと重なっていて。
 その唇から伝わる紗江の温度が冷え切った梓の心をまるで溶かすようだった。
ゆっくりと、しかし確実に紗江はキスを終えた。
 目の前の紗江は、顔を真っ赤にして笑っていた。
「ファーストキスだったらごめんね。でも、今ので悲しみとか悩み、一瞬吹っ飛んだでしょ? 梓には全然奇跡じゃないかもしれないけど、私にとっては奇跡だったよ」
 紗江は、可愛らしくえへへと笑う。
梓は何も考えられず、段々意識が遠のいていくのを感じた。
「あ…やば…」
 遅かった。
梓はすでに、深い眠りに陥っていた。
 それは、夢なのかもしれなかった。
確かに自分がそこに居ると言う証拠は無かったし、自分はそこに居るべきではないと言う事も、ちゃんとそのときは分かっていたんだ。
 全てが消えそうになって、揺らぎ始めてきたあの日から、俺は狂い始めてた。
いや…狂っていたのは母だ。彼女が悪いんだ。
 彼女が俺を、苦しめるから…。
 あれはもう、何時の事だったか分からない程昔の事だった筈だ。
彼女から受けた痛みも、今となっては治り始めていたのに。
 あれは、俺がまだ六歳の頃…十年前の事だった。
「彼方を産んだのが、私の人生の最大の汚点なの」
 そういった母親の瞳は、今でも憶えている程冷たいものだった。
まるで、心の中の全てを見透かしてしまいそうな、監視されているような気持ちにさせる
瞳。
 憎しみに溺れて、憎悪に満ちた瞳。
彼女は、結局必要ない物を産んでしまったのだ。そのために、彼女は人生の半分を費やしたのだと、そんな難しい事も分からないまだ幼い少年の前で喚いた。
 腕を掴まれて、ソファに投げ出され、そして殴られる。
母親の冷たい拳が、他の何よりも痛いものだった。自分を傷つけるモノとしてしか存在
しないような、そんな部屋に閉じ込められて、一日中出して貰えなかった日もあった。
 お腹が減って、絶えられなくて自分なりに考え、抜け出そうとした。
だが、母親がドアの前を見張っていたので無理だった。
 如何して母親がここまでするのか、意味が分からなかったし、分かりたくも無かった。
きっと泣いてしまうだろう。今はもう立派な大人なくせに、きっと大泣きして、枕を濡らす事までしてしまうかもしれない。
 そんなの、したくなかった。
ただ何も知らずに傷つけられることが、どんなに辛い事か俺は知ってる。何もしていないはずの自分が、此処に居ない人への母親の感情をぶつけられて、ずっと平気で居られるはずが無い。
 俺の肩にある、大きな醜い火傷の跡。
母親が、俺が八歳になった時、フライパンで俺の背中を叩き付けたせいだった。
 十年経っても、その傷は消える居ことなくちゃんとある。
醜くて、肌がもう腐っているが、医者にも見せず、直してもらったりなんて、もちろんこれからもしてもらえないだろう。
 この傷を消すためには、自分で金を手に入れなくてはいけない。
それにはまだ何年もかかる。
 悲しみさえ忘れさせるほどの、絶望の日々。
光りが照らし出してくれない限り、俺はそれから逃れる事は出来ないのだ。
 そして、今願う事は一つ。
 その光りが、吾妻 紗江でありますように、と言う事だけだった。

「中野くん!! 起きて、もう授業行こうよ」
 瞼がだんだんと赤くなり、暑くなってきて目を開けると、太陽の光りに直面し、梓は
開いたばかりの目をギュッとまた閉じてから腕で目を隠し再び開けた。
「あ…今、何時だ」
「多分、今五限目の終わりごろね。さっき廊下まで降りて行ったら、教科書読み上げる音が聞こえたから」
 梓は、目を見開いて紗江を見つめた。
「じゃぁ、俺がサボってたって事、ばれてるのか!?」
 梓の物凄い凝相に、紗江は少し後退ってから、首をゆっくりと横に振った。
「ううん、私、鍵閉めておいたから大丈夫よ。だけど、そんなに心配する程の事?」
「東北大学を目指すためには、一回でもサボっているのがばれたら行けないかもしれないんだよ」
 梓はそう一言吐き捨てるように言うと、立ち上がって制服についた埃を手ではたいた。
「じゃ、俺は先に行くから」
「…分かったわ、じゃぁ、私はいきなり具合悪くなって倒れて、保健室に行ったら先生が家で休んだ方がいいって言われたのでご両親と一緒に帰りました、と言って置いて」
 紗江は、にっこり笑いながらそう言い切った。
「…分かった」
 梓はそれだけ言うと、屋上の鍵を開けて貰い、教室へと戻っていった。

 先生に言い訳をするのは、はっきり言って久しぶりだった。
言い訳なんてすれば、母親の拳が飛んでくるのは目に見えていた。
「紗江さんは、俺が廊下を歩いてる途中でいきなり体調を崩してしまって。倒れかけたところを、俺がちょうど通りかかりました。そして、保健の先生が両親に連絡して家で安静にしているように、と言ったので…」
「そうか。まぁ、吾妻は少し頑張りすぎだな。体調を崩すのも当たり前だろう」
「頑張りすぎ…ですか?」
 紗江、は今頃何をしているのだろうか。
何故、頑張り過ぎているのだろう。夢を叶えるため、と言われれば、それは当たり前…
当然の事だとは思える。
 だが、何故頑張っている最中に、休憩してしまうのだろう。
働き続けた方が、勉強し続けた方が、ずっと落ち着くのに。
 ずっと、集中できるのに…。
「まぁ、お前も頑張りすぎて、ぶっ倒れないようにけじめは付けろよ」
「大丈夫ですよ。俺は、勉強して、ずっと何かを求めて走った方が楽なんです。目的もなく走るなんて、まるで意味が無い。時間の無駄ですよ」
 そういって頭を下げ、職員室を去っていく梓には、真剣な瞳で梓を見つめる先生の顔は
見えるはずも無かった。

 放課後、梓は洋介と拓也と共に、学校から十分歩いただけの小さな拓也の家、喫茶店
「セレナーデ」で、お茶をした。
 梓は珈琲を、洋介はオレンジジュース、拓也は紅茶を頼み、それぞれ一つずつ、「セレナーデ」自慢のアップルパイチョコレート・ア・ラ・モードを頼んだ。
「洋介、三者面談するのか?」
 拓也が、紅茶をスプーンでかき混ぜながら、上目遣いに訊いて来た。
洋介は、うーん、と唸ってからゆっくりと頷いた。
「あぁ。するだろうな」
「するだろうな?」
 梓は、首をかしげて訊いた。
あの、見かけによらず頭のいい洋介が、三者面談で将来を決めたくないなんて、以外だったからだった。
「ああ。母さんがな。最近仕事忙しくて、三者面談の時間だけ抜け出せるかどうか、分からないんだ」
 あぁ、と梓は納得したように、黙って首を縦に振った。
洋介の母親は、大手会社のエリートで、社長の秘書だった。
 普通は、抜け出せないだろう。
「梓は?」
 拓也がまた訊いて、梓は少し体をビクつかせた。
出来れば言いたくなんて無かったのだが、二人は親友だし、自分の事を一番良く知っている奴は、洋介と拓也しかいないのだ。
「俺は…多分、行かないと思う」
「何で? やっぱり、…母親、か」
 洋介は、少し口調を変えてそう言った。
梓は、儚げな笑顔で頷いた。その場の雰囲気が少しだけ暗くなったところで、ちょうど良くケーキが現れた。
 運んできてくれたのは、拓也の母、美津子だった。
茶髪を後ろで二つ結びした41歳の女性は、とても若く見える。
「いつ見てもお若いですね、美津子さん」
 洋介が、冷かすようにニヤニヤ笑いながら言った。
「やだぁ、褒めても何もでないわよ」
 美津子さんは、にっこり笑いながらそういった。
洋介はちぇッと舌打ちして、すこし睨むような形で美津子さんを見た。
「美津子さん、拓也はいつも俺等に世話になってんですよ、こんな奴、俺等の仲間じゃ
ねぇのに」
「何でだよっ!! 酷いぞ洋介。梓は、そんな事思ってねょな?」
 洋介はニヤニヤ笑って、梓の答えを待っている。
その目はまるで、「苛め抜け」といってるようだった。
「…多分、な」
 梓は、あまりひどいことは言えなかったので、それだけ言った。
洋介はすこし溜息混じりになって梓の肩に腕を置いた。
「オイオイ、すこし優しすぎやしネェか」
「全然、そんなことは無いと思うよ、洋介」
 拓也は怒ったように言って、洋介のチョコレート・アイスクリームを頬張った。
「あーっ!! それは俺のだぞ!!」
「知るもんか。もう一つ、自腹で頼めばいいだろ」
 梓は笑って、自分のケーキを食べ始めた。
普通の一日の、こんな風に時間が流れる時が一番好きだった。
 二人と別れたのは、夜の10時のことだった。
母親に遅く帰れといわれていたのだが、どうにもこれ以上一人で時間をつぶせるようには思えないので、足は勝手に家へと向かっていた。
 そして…、家の前に立っていた、吾妻 紗江の姿を見つけた。
「吾妻…? 何でここに居るんだ?」
 近寄ってくる梓に気付いて、紗江の顔は一気に明るくなった。
「よかった、もう帰ろうかと思っていたのよ」
「何で、此処に居るんだよ」
「私、渡すものがあって来たのよ」
 紗江はにっこり笑って、手を差し伸べた。
「此処じゃ、ちょっと上げられないの。ムード全然無いし。だから、ちょっと一緒に来てくれる?」
 紗江の、突然のその一言。
彼女の言動、行動は予測がついていけない。
 次は何が待ち構えているのか、全然予想できないのだ。
「何で。もう、夜の10時だぞ。親達、心配してるぞ、きっと」
「大丈夫よ。友達の家に止まるって言ってあるの。だから、何時に帰っても平気なの」
 紗江のその言葉に、梓はまた頭がくらっと来るのをこらえた。
「あのなぁ。俺の家にでも、泊まる気かよ」
「それでもいいわよ。梓が、いいって言ってくれたら」
「吾妻…」
「“紗江”。紗江って呼んでよ。私も、“梓”って呼び捨てしてるんだから」
 紗江は、真剣な顔でそう言う。
梓は少しだけ、違和感を覚えた。
 いつもの、紗江じゃないような気がしたのだ。いつもの紗江よりも、なんといえばいいのか…。
 悲しくて、辛そうだった。
「……紗江、何か…あったのか?」
 梓は、訊くに耐え切れなくなってそういった。
それを訊くと、紗江は、俯いていた顔を勢い良く上げて、梓の瞳を真っ直ぐに見つめた。
 瞳を逸らしたら、今すぐにでも泣き崩れてしまいそうな顔があった。
「紗江…?」
「あ…私、もう、何がなんだか分からなくなってるの…、何も考えられないのよ。私、
どうかしちゃったみたいなの…」
 何で、こんな事になってるんだ?
梓は自問自答した。
 紗江は今、俺を頼ってきてくれてる。
紗江は今、俺が必要なんだ。
「…悪いけど、家には入れられないんだ。どこか…休める所へ行こうぜ」
 梓がそう言うと、無き崩れていた紗江はコクリと小さくうなずいて、言った。
「此処の家の近くに、ホテルがあるでしょう? そこに行きましょう。きっと誰にも気付かれないわよ」
 紗江のその瞳を見つめて、梓は紗江が本気で言っている事を確信した。
身じろぎするしか出来なかった。
 高校生で、男女で、ホテルに夜中の10時に泊まりに行くなんて。
「え…っと…。俺は…」
 梓が掌で頭の後ろを掻いているのを見て、紗江は梓が何を考えているのか分かったようだった。
「やだ、別に私そんなつもりじゃないわ。そんな…深い意味になんて取らなくていいのよ。ただ、私、その…。梓と、一晩中話たかっただけなの」
 紗江は、顔を真っ赤にさせてそういった。
不意にも、それがとても愛らしくて、心の隅がきつく絞られるような感触を味わった。
「う…うん。別に、いいよ」
 梓はそう頷くと、鞄から携帯を取り出し、目の前の家に電話をかけた。
ニ、三回、五回程呼び出し音が鳴って、母親の声が出た。
「もしもし、中野ですが」
「あ、梓。あのさ、今日は友達と…」
「あぁ、いいわよ。朝ご飯も向こうで食べさせてもらってね。電話してこないでよ、じゃ」
 母親は口早にそう言うと、電話を切ってしまった。
梓は、しばらく携帯を耳につけたまま、離さなかった。
 用件を言っただけで、会話はすぐに終わってしまう。それが、梓と母親の会話だった。
自分は、何のために電話しているんだ?
 母親が、自分を愛してなど居ないと、実感するためか?
「…梓? 何だって?」
 紗江が、恐る恐る聞いてきて、それでやっと我に返った梓は、紗江に向き直っていった。
「大丈夫だって。じゃ、行くか」
 梓は、平常心を保ちながら、歩き始めた。
紗江が横を歩く。
 身長170cmの梓と、身長162cmの紗江では、随分と身長差があった。
少し下を向くと、紗江がにっこり笑いかけてきた。
 梓は、その笑顔を見つめて、心が温かくなるのを感じていた。
「ねぇ、私ね、弁護士になりたいって言ったじゃない?」
 紗江が、覚えてる? というように首をかしげながら言った。
梓は、コクリと頷いて、どこか遠くを見るような目で話す紗江の綺麗な横顔を見つめていた。
「あれってね…梓が、居たからなの」
「は…」
 紗江の囁く様な小さい声に、梓は瞳を大きくせざるを得なかった。
「何で…」
「私。ずっとね、梓の事…見ていたの。中学生になって、始業式の時、初めて声をかけられたのが梓で…。憶えて、ないでしょ?」
 紗江は懐かしむように笑っていた。
それはまるで、梓が知っているどの紗江の表情よりも違って見えた。
「あのね、あの頃私、ずっと梓の事見てたの。恥ずかしいけど、夢中でたまらなくて…」
「そ…そうだったんだ…」
「気付いてなかったでしょ? 私以外にも、いっぱい梓のファン居たんだよ。女子の中だけで男子ランキングやったりして、いつも梓が一位だったなぁ…」
 梓は、そんなことも知らずに毎日を過ごしていたのかと思うと、勿体無い気がして、
過去に戻りたくなるような気持ちになった。
「俺、その頃女子ランキングやってたんかなぁ。なんか、少しだけそんなんやったの覚えてる気がするわ」
「本当? 誰が一位だったの?」
 紗江が、興味津々の顔で言った。
梓は、思い出して見ようと努力してみる。
「多分…うん、吾妻 紗江って子だったと思うな」
 梓は、笑いながらそういった。
紗江は、顔を赤くしながら、信じられない、というように手で口を覆った。
「本当…? 私、そんなに人気あったの?」
 人気も何も、中学時代は吾妻 紗江を狙った恋の戦いというものが勃発していた。
その中の一人に、梓達も居た。
 実は前、拓也は紗江のことが好きだったことがあったのだった。
「あぁ、凄かったよ」
 梓は、中学に戻りたいような、戻りたくないような。
そんな気持ちになった。
 学校は、中学時代が一番楽しかった気がする。だが、家庭やほかの事を考えると、一生戻りたくないような気持ちになった。
「その、私のファン? のなかに、梓も居たら良かったのになぁ…」
 紗江は、夢見るような顔で空を見つめていた。もう、10時30分だった。
「俺も…居たよ、その中に」

 一日で、たった少しの至福な時は、少しだけでも紗江の姿を見かけた時だった。
 梓の、照れながらも大胆な言葉に、紗江は少し…いや、物凄く驚いたようだった。
紗江は、顔を本当に、もうこれ以上赤く出来ないだろうというほど赤くして、俯いている。
 梓はそれを見て、思わずクスクス笑ってしまった。
「そんなに、恥ずかしい?」
 紗江が、火照った頬っぺたを手で覆いながら、モゴモゴと呟いた。
「べ、別に…そう言うわけじゃ、無いけどっ。たっただ私そう言うこととか…言われた事、あんまり無くて、だからっ…」
 紗江のそのしどろもどろな言動と、言葉を言うたびに少し揺れる髪が、梓は可愛いな、
と思ってしまった。
「大丈夫かよ? 今すぐにでも、燃えそうだぜ」
「意地悪? 本当に…もうっ。超ビックリしちゃったよ。もう変な事とか言わないでよね、梓」
 紗江は先を歩きながら、手をブラブラさせて頬をふっくらと膨らませた。
「さ、行こう? 段々遅くなってくよ」
「うん」
 梓は、さりげなく、そして冷静に、紗江の手を握ってみた。
とても小さくて、細くて、そして…。
 母親みたいに、それは暖かかった。

「えっと、コレが鍵ですね。205号室になります」
「はい」
 梓は鍵とカードを受け取って、エレベーターの前の自販機でジュースを買っている紗江
のところまで戻っていった。
 スプ○イトのボタンを押そうとしていた紗江の首筋に、梓は銀色っぽい鍵を当てて、エレベーターのボタンを押した。
「いこうぜ。二階だって」
「二階か…。どうせなら、もっと上の方が良かったよね?」
 紗江が、ふむ、と言うような感じで、人差し指を軽くあごの当てながら言った。
「何で?」
「だって、夜景が綺麗じゃない。この街って、昼とか結構寂しいの。でもね、夜になると
イルミネーションで、結構綺麗で…」
「よく知ってるな」
 梓は、こんな夜遅くに町に出た事が無かったので、そう言う事とは無縁だったのだ。

 部屋の鍵を開けて、そしてドアを開く。
「レディースファースト」
「あはっありがとう」
 部屋は結構広く、クイーンサイズのベットが二つ、横に並べてあった。
ドアから向かい側は窓になっていて、低いが微かに街の光りが見えた。
「ふぁぁ〜…なんだか疲れたなぁ。そうだ…」
「何?」

「梓…私と…一緒に寝てくれない?」

     カナシクテ、ココロハトテモツメタクテ。
  マックロナヒカリカラ、ドウカワタシヲスクイダシテ。
「え…」
 梓は、固まった白い石の様に、紗江をじっと見つめていた。
紗江は、胸のところらへんで手を振って、赤くなりながら苦笑いした。
「あ、違うの、そう言うんじゃなくて。ただ私、最近いつも同じ夢を見て…とても…怖い、夢で…。だから、その…」
 言い訳、だったのかもしれない。
そう考えても、おかしくはなかっただろう。
 紗江は、自分のことをどう思っているのだろうか?
疑問を、心の中に隠しきれず、梓は…。
「紗江、俺は…やっぱり、それは出来ないよ。一応もう高校生だし…」
「あ…そ、そうだよねぇ。すきでもない女の子となんて、寝たくないわよね。ごめん。
変な事言っちゃった」
 紗江は、瞳に涙を溜めて、それでも堪えてベットに横たわり、シーツを自分の上にかけた。
「紗…」
「おやすみ、梓」
 紗江はベットの傍に立っている梓に背を向けて、瞼を閉じた。
―泣いたらダメ。そんなことしたら、梓が。
 梓は、ゆっくりと洗面台に向かって、大きな鏡に映る、自分と瓜二つの、世界で一番
情けない男の子の顔を見つめた。
「俺は…もう、恋なんて出来ないんだ…。しないって、決めただろ…!!!」
 梓は、拳を握り締めて、太腿を思いっきり叩いた。
痛みは、不思議と感じなかった。
「紗江」
 洗面台から戻ってくると、梓はゆっくりと紗江の傍に座った。
彼女は、顔を見せなかったが、少しだけ首を動かした。
「俺…」
「ん…う…いや…やだ、やめて…!!!」
「紗江?」
 寝ている紗江は、瞳から涙を流して、一生懸命腕で顔を覆っていた…庇っていた。
「いやだぁっ!!!!」
「紗江!!」
 梓は驚きながらも、紗江の肩を掴んでから、細い腕を掴んで、紗江を揺すった。
紗江は、目を見開いて、それからゆっくりと、ゆっくりと首を降り始めた。
「あ…あぁ…梓…? 本当に…梓…?」
「そうだよ、俺。どうしたんだよ? 急に嘆き始めて…」
 そして、目の前の紗江は梓に白くて細い腕を回して、ギュッと強く抱きしめた。
突然の事で、だけれど、梓は嫌じゃなかった。
「紗江…?」
「私…夢を、夢を見てたの…。怖くて、遠ざかっていって…手が、掴んで…」
「落ち着け、紗江。最初っから、細かく話せる?」
 梓は俯いている紗江の顔を覗き込んで、聞いた。
紗江はゆっくりと頭を縦に振って、梓を見つめた。
「私、いつも怖い夢を見るの。その夢では、私は誰にも見えない、透明人間みたいで…
それで、街中を歩いている時、誰も私に気付いてくれなくて…でも、そこで梓だけが私に
気付いてくれるの…。そして、梓は私を優しく抱きしめてくれて…でも、すぐに暗がりに
なって、梓は私を放して…どんどん、黒い手達に、暗闇の中へ連れて行かれてしまうの。
 私、何でか分からないけど、ずっとこの夢を見続けるのよ。梓を、知らない前からもう
ずっと」
「俺を、知らない前でも?」
 梓は驚いて、紗江の真剣で、でも潤んだ瞳を見つめた。
嘘をついているとは、思えなかった。例えばコレが、紗江の渾身の演技だったとして、
冗談でした、と笑われても、梓はそんな紗江を、信じないわけには行かなかった。
「私…、梓のこと、ずっと前から見ていたの。クラスで人気で、友達も梓のこと好きで…。だから私、私…」
 梓は、優しく紗江を抱きしめた。
力強く、でも優しかった。
 紗江は驚いたように瞳を見開いて、それからゆっくりと元の表情に戻っていき、微笑んだ。
「痛いよ、梓…」
 梓は、ゆっくりと紗江を離して、彼女の瞳を見つめた。
手を、紗江の頬に滑らせて、ゆっくりと顔を近づける。
「あず…」
 紗江が言い終える前に、梓は彼女にキスしていた。
2006/02/04(Sat)09:09:44 公開 / 時計 霜月
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■作者からのメッセージ
 初めまして、時計 霜月と申します。
小説、全然書いた事なくて…。
 いきなりここはレベル高かったでしょうか…。汗

 指摘、アドバイス、感想の程よろしくお願いいたします。
{今回、少し修正させていただきました。}
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