- 『剣と道のしめすもの』 作者:アリ / ファンタジー 異世界
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全角8148.5文字
容量16297 bytes
原稿用紙約29.05枚
自分の道は何か――主人公ロルクはそれを考える。自分の道、自分の心、自分の生き方を考えていく主人公達の物語。
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ここはとある世界。
よくある異世界のようなものである。
ここに一人の少年がいる。
彼の名はロルク。
彼の日課は洞窟探検。
今日も洞窟探検に出かけている。
「なんか変わったことないかなぁ〜」
いつもの洞窟なので変わったことなんかないと思っていた――が違った。
「あれ? だれかいる」
ものすごい大きな怒鳴り声が聞こえてきた。
「誰だろう?」
ロルクは隠れて声のする方を見た。
「なんだって!? 失敗した? バカやろう!! あれほど失敗するなっていってたのに。ラウスル様に怒られたらどうするんだ!!」
ロルクは見ているほうの壁に影があって大きいほうの影の声だと分かった。
「ラウスル? 誰だ?」
ロルクが考えていると
「お前は本部に戻っとれ!!」
すると、小さいほうの影が消えていった。
「すげぇ〜」
ロルクが見とれているとガサッという音がした。
「え?」
自分が足を動かしてしまった。
「そこにいるのは誰だ?」
ロルクは飛び出して言った。
「お前こそ何者だ? うわっ!!」
ロルクの目の前には黒い竜の姿をした黄色い目が光っているものが立っていた。
「クックック、威勢のいいガキだ。お前はさっきから居たな。そうだろう?」
ロルクは考えた。そして
「ああ。そうだよ、居たさ。それがどうした」
ロルクの目の前に立っている黒い竜は
「だったらここで始末するんだよ!!」
ロルクはすぐに
「ここで終わってたまるか!!」
剣と道の示すもの 第一話
ロルクは考えた。
「何かないのかよ? 武器は?」
「どうした? 来ないのか? ならばこちらから行くぞ!!」
ロルクが考えている時に黒い竜の腕がすぐ目の前まで来たが、かろうじて交わした。
「あっぶねぇ〜。武器武器っと」
「クックック、攻撃しないのか? 小僧」
「うるせぇ〜!! あっ!! あった」
ロルクが飛んだ先には木の棒が落ちていた。
「これで攻撃できるぞ」
「ふん。攻撃できるものなら攻撃するがいい」
ロルクは軽いステップで黒い竜の足の目の前に来ると、一気に切りつけた。
「どりゃぁ〜!!」
「グオッ!!」
「やったか?」
「なんちゃって!!」
「はっ? 効いてないのか?」
「当たり前だ。そんなもので倒されるような弱いやつではない」
「えぇ〜」
「いくぞ!!」
ロルクは避けて避けて避けまくった。
右、左、時に斜めに。
しかし、体力の限界が来た。
「はぁ、はぁ、はぁ」
「とどめだ!! クロスブラスト!!」
黒い竜の口から黒い液体が現れ、その液体から10個の球体ができた。
「なんだぁ、これ?」
「いけっ!!」
いきなり球体がものすごいスピードで突っ込んできた。
「マジかよ!!」
「終わったな」
その時、カッという光が出てきた。
「なんだ?」
「こ、これは?」
ロルクの手に剣があった。
その剣は先が翼の形をしていて、持つところは銀色の鳥の紋章が組み込まれた竜のうろこのような持ち手だった。
「なんだよこれ?」
「クックック、そんな剣があっても別に何も変わりはしない!!」
「そうだと思うか? 俺は思わねぇな!!」
ロルクは軽いステップで黒い竜の真下に来ると、全攻撃を剣で跳ね返した。
そして、黒い竜の攻撃に隙ができたところを
「必殺!! ウィンド・アッパー!!」
ロルクは剣を持った状態で飛び、黒い竜の真下から風のように2度切り上げた。
「なっ、なぜ当たるのだ?」
「う〜んと、俺にも分かんないよ」
黒い竜は消えかけていったが
「ならぬ!! ここで消えてはいかんのだ!!」
黒い竜はロルクの腕に向かって飛んだ。
黒い竜がロルクの腕に入っていた。
「うわっ!! 入ってくんなよ!! 出て行けって俺の左腕から!!」
ズサッという何かが切れる音。
「あっ!! 俺の下半身が!!」
「切ったぞ!!」
黒い竜はロルクの左腕に入ってしまった。
「ちきしょう!! 上しか入んなかったじゃないか!!」
「うわっ!! 声が高くなってる。しゃべり方も変わってるし」
ロルクの左腕は真っ黒になっていた。
黒い竜が入り込んだので黒くなってしまった。
「こうなったら、お前のサポート役になってやる」
「はぁ?」
「その剣が気になるんだよ」
「この剣か? ええと、ウィング・セイバーのことか? あれ?」
「何でお前この剣の名前知ってんだ?」
「知らないよ。でも、お前はこれから俺の言うことを聞くんだ」
「なんでだよ!! 俺は大神官ラウスル様の左官グロガン様だぞ!!」
「グロガンっていうんだ。俺の名前はロルク」
「ああ、ちきしょう。俺の身動き取れないから、お前の言うとおりになってやる」
「やったね!!」
その時、ウィング・セイバーの先が光った。
その光が線となりまっすぐ出口に向かっていった。
「なんだろう?」
「でも、いやな予感はするぞ。もう戻れないのかもな」
「いいんだよ、それでも進むぞ」
「なんでだ?」
「毎日ここに来ていたのは何かを進めるためだと思う。それは俺の人生なのかもしれない。俺の人生だから俺が決める。悔いのない方向にな」
ロルクたちは進み始める。自分の人生の悔いのない方向へ。
剣と道の示すもの 第二話
ロルク達は進み続ける。ウィンド・セイバーから出た光をたどって。
今は森の中。永遠と続いていそうな森の中。
自分で選んだんだから、と思ってロルクは進み続ける。
この森はロルクが探検していた洞窟を出てすぐ右の場所にある。
普通に異世界だから魔物は出る。しかし、
「うわっ!! 真っ黒じゃん」
「当たり前だろ。俺のいた組織が全魔物を改造したんだから」
左腕からにょこっと顔と腕を出してグロガンがしゃべりだした。
さくっとウィンド・セイバーで魔物を倒し、ロルクは森の中を歩き出す。
「お前が左腕に居るおかげでなんか変わったかなぁ?」
「闇の力が使える」
「えっ?」
「あっ、なんか見えてきたぞ」
ロルクが前を見ると永遠に続く森の中にあるはずのない扉が立っていた。
さらに、それはロルクの身長の5倍以上の高さだった。
ウィンド・セイバーから出た光の線は扉のちょうど鍵穴の部分に刺さっていた。
神秘的な扉。森の色と似合わないピンク色の扉。
ロルクは目の前にある現状とさっきグロガンが言った言葉が頭の中を回っていた。
闇の力?この扉の意味は?
グロガンが何かに気づいたようにしゃべりだした。
「おいっ、なんか書いてあるぞ」
「え?」
グロガンが指を指した方向には『少年と黒い竜の出会った洞窟は?』と書いてあった。
「あの洞窟か。あの洞窟の名前はグローズネルク!!」
すると目の前にあった扉に刺さった光が、扉の模様を駆け巡り1人の少年と1つの黒い竜を描き出した。
扉に刺さった光は消えていき、扉の中からゆっくりと光を出しながら開いていった。
目の前にある光に目をつぶる。しかし、はっきりと見える。
こことは違う何かが。なぜか見える。
「進むぜ。この光の先へ」
ロルク達は扉の方へ再び進む。ゆっくりと扉は閉まっていく。
ロルクはかすかに何か聞こえる気がした。
「その名前を忘れないで」
ロルクは聞こえたと確信した。
扉は閉まった。そして扉は消えていく。
その扉にはこう書いてあった。
魔法の世界への扉――
「その名前を忘れないで、っか」
「どうした?」
「いやなんでも。それよりここはどこだ?」
「知らねぇよ。でもさっきの世界と違う世界だな。外観が違うからな」
森が丸みを描いた木々であり、空を飛ぶ鳥はリアルな感じがしない。
キャラクターっぽさ全開である。
だが、おかしい。それ以上におかしいことがある。
家が空に浮かんでいる。さらに、魚が空を泳いでいる。
そして、キノコが行列を作って行進している。
普通ではありえないことがありえている。
でも、異世界なのでキノコだって魔物として行列を作る。
異世界だから他の世界でも空飛ぶ魚があってもおかしくない。
家が空に浮かぶことは他の異世界では当たり前のようにあったりする。
そして、ロルクたちはようやく気づく。
「世界がいろいろあるけれど、丸みを帯びてキャラクターっぽいってことは?」
「少女とかの世界ってことだ」
「分かったぞ!! ここは魔法の世界だ」
「いかにも男が作れるような世界じゃないな」
さて、どうやって進んでいくのか。ロルクの頭の中はそれしかなかった。
剣と道の示すもの 第三話
ロルク達は謎の扉を通り魔法の世界とみられる場所に来た。
「とにかく人を探さないと」
「おい。あれを見ろ!!」
指を差した先には、人が魔物に襲われている。
魔物は真っ黒なものではなかった。なんだかカラフルな感じの魔物だった。
「こいつらに武器は通じるのか?」
ロルクはウィング・セイバーを持ち、魔物に向かって走り出した。
一撃目の切り裂きで魔物を切った後、切った場所から風でできた刃が飛び出し魔物を一気に片付けた。
しかし、魔物はこれだけではなかった。
あちこちの森からどんどん出てくる。
いろいろな形をしたカラフルな魔物が出てくる。
亀、犬、鳥、猫、馬、竜。訳が分からないが大きいモグラが出てきた。
「モグラがボスか? 微妙だなぁ」
「んなこと言ってる場合か!! 来るぞ!!」
いろいろな魔物はロルクめがけて突進してきた。
亀が犬が鳥が猫が馬が竜がモグラが。
ロルクでもこんな大群は防ぎようがない。
生きる道はただ一つ。
「逃げるぞ!!」
ドドドドッという音から逃げる。
もちろん襲われていた人も一緒に。
すると、一緒に逃げている襲われていた人が気づいたように言う。
「この近くに家があります。そこへ逃げましょう」
「分かった」
走っていたロルクはその人についていく。
いきなり森の中に入った。
森の中に入ると右へ左へ進む。丸みを帯びた森は一つ一つに顔があった。
ロルクは驚いた状態で走っていた。
森の中に入ってだいぶ経った頃ようやく到着。
オンボロ一軒家。
「どうぞ。中に入って」
「最悪だな」
「しっ!!」
中に入ると外観と同じだった。
「とりあえず座って」
「あっ、はい」
普通の木のテーブル。オンボロなカーペット。今にも剥がれ落ちそうな壁紙。
無理のある電話線。あちこちに飛び回っている。
なんとか動いているキッチンもやっとのことで魔法で動かしているみたいな感じがする。
「あの、何かあったんですか?」
「あ、そうですよね。こんなオンボロじゃ。信じてもらえないと思いますけど、あたしここの世界の女王なんです。」
「えっ!?」
「うそだ!!」
二人がおどろくのも無理はない。
このオンボロの家だけでもそんなことが信じられないのに、彼女の着ている服が女王様が着るはずのない服装だったからである。
ロルクは何があったか聞く前に頭の中で整理をした。
ここは魔法の世界。いろんなところにカラフルな魔物がいる。
この貧乏そうな人は女王様。
無理!! 考えられない。はっきりとそう思った。
「何があったんですか?」
「実は、魔法使いの一人にサナラっていう人がいたんです。その魔法使いは性格が悪く、女性らしさのないひどい魔法使いでしたが、使う魔法は一流でした」
「やばくないか? その魔法使い」
今まで黙っていたグロガンがいきなり口を開いた。
その女王という人は悲しい顔をして、少し考えまた口を開いた。
「そのサナラという魔法使いはあるとき突然、城を乗っ取りにきたのです。案の定誰も勝てるものはおらず、城はのっとられました。それから、狂ったようにあちこちにいる動物を魔物に変え始め、この世界を乗っ取ろうとしています」
「大変だなぁ〜」
「あのこんなときに聞くのもなんですが、この剣について知りませんか?」
「ええと、たしか城にある書物の中にそれに関係するものがあったような」
「本当ですか。それでしたら僕が行きます」
「おいおいマジかよ。できるのか?」
「大丈夫だって」
なぜか自身に満ち足りたロルクを見てグロガンは不安が隠せなかった。
自分の組織と関係しているのか?
この剣にはどういう秘密があるのか?
ロルクという存在に合い、考えが徐々に変わってきていることにグロガン自体は気づいていなかった。
女王はロルクの自信のある顔を見て笑顔が出てきていた。
女王は少し考え立ち上がった。
そして、声も出さずに奥の部屋に入った。
しばらくして部屋から出てきた。
女王は何か分からない大きなものと小さな袋を持っていた。
「こちらはこの世界の地図です。そして、こっちは何でも永遠に入る袋です。役に立つようにと思ってもって来ました」
「ありがとうございます」
「お城はこの森をでて、北に行って砦を通って右に曲がっていけばあります」
「分かりました。では」
ロルクは家の入り口の戸を開けて森の中に足を入れた。
そして、ゆっくりと顔のある森の中を進んでいった。
どんどん北の方向へ進んでいく。
道に沿ってどんどん進み続ける。
「そういえばグロガンが俺の左腕から出てたのに驚かなかったな」
「この世界の出来事でもびっくりしてるから別に驚かなかったんだろ」
話しながら歩いてどんどん進んでいるとロルクがふと立ち止まる。
ロルクはやっと気づいた。
「ハハハハハ、森のぬけ方が分かんないや」
「あほ」
左腕から出ているグロガンと共にため息をつき、しょうがないと思って歩き続けた。
城のある方向といっても道の中心に光のような細い筋が入っていて、その道を進んでいけば――と思っていた。
剣と道のしめすもの 第四話
森を抜けると早速この世界の地図を見た。
女王に言われたとおり地図の中心に砦があり、右のほうに城があった。
城の名前は「マジック・キャッスル」
「魔法の城か」
「いかにもこの世界の城だな」
ロルク達は森から出ている一本の道に沿って北を目指していった。
途中、カラフルな魔物たちに襲われたりしたが、ロルク達はあっさりと倒し進んでいった。
思えば、右の方向を向いても家は一軒もない。
左の方向も何も無い。
この世界は見た目だけじゃなく何かがおかしい。
出てくるのは魔物ばかり。
人といえば女王だけ。
途中の村には人が居ない。
「なんなんだ……? この世界。人が居ない……?」
ロルク達は気味が悪くなったが、進んでいくことにした。
そして、ロルク達が砦に付いた頃――
こちらはマジック・キャッスル。
「ふん、誰がこようとあたしが負けるわけが無い」
「そうだぞ。この『ブラック・ステッキ』がある限りな」
古臭い部屋の中で水晶を見て笑っている二人。
古臭い部屋の中にはあちこちに散らばった本。
激しく切り裂かれたベッド。破れかけたカーテン。
床にはラクガキがたくさん描いてある。
窓はキィキィという音を出すほどにボロボロになっていた。
「サナラよ」
「なんだ?」
「いずれやつらはここに来る。何か手を打っておかぬか?」
「ふん、そんなことしなくてもここには来る事ができない」
一方ロルク達は――
「誰も居ない……?」
砦の中はもぬけの殻。
物音一つもしない静かな砦。
風の音しか聞こえない。
左手からいきなりグロガンが出てきた。
身振り手振りで何かを伝えようとする。
「これは、あれのやつらだな。俺の組織に居たあれの――」
「あれじゃわかんないよ。とにかく、マジック・キャッスルに行けば分かることだし」
ロルク達は進んでいった。
砦を出ると辺り一面野原が続いていたが、不思議なことに右に一本道が続いている。
右の方を見るとかすかに城のようなものが見える。
ロルクは城だ!! と思い走り出した。
ところが、いきなり地面から魔物が現れた。
モグラの形をした竜……?
ロルクはウィング・セイバーでモグラの形をした竜の腹を思いっきり切り裂いた。
すると、中から宝石が出てきた。
「なんだこれ?」
「さぁな。俺でも知らないぜ」
そして、一本道を走り出した。
途中でいろいろな魔物を見たがおかしかった。
モグラの形をした竜といい、馬の形をした鳥。
猫の形をした亀。竜の形をした犬。
何かがおかしかった。
そして、ようやく城に着いた。
確かに城があった。
だが、
「マジかよ……」
その城があったのは湖の底だった。
剣と道のしめすもの 第五話
マジック・キャッスル。
かつて、天空にあったといわれ魔法の世界を常に見守り続けた城である。
だが、長く続いていた歴史も終わってしまった。
天空にいられるのは魔法の力のおかげ。
今、サナラに乗っ取られたマジック・キャッスルは魔法の力がなくなってしまった。
魔法の力とは純粋な者の魔法力のことである。
サナラは純粋ではない者になっているので天空に城はあがらない。
ちょうど下にあった湖に落ちていった。
そして今、ロルク達は湖の底にある城に向けてどうやったら行けばいいか考えている。
「う〜んと、息が続くわけないし」
「お前の体力じゃ持つわけが無い。うんうん」
「なんだと!! まぁ、無理なのは仕方ないけど、どうしよう……」
進めるわけの無い湖の目の前でロルク達は立ち続けている。
そして、時は流れ……三時間後。
湖の片隅にはまだ考えているロルク達がいた。
どうしようもないあきらめかけていたその時、
湖の端に風が集まりだした。
「なんだ?」
その風は水の中に吸い込まれると、消えていった。
普通に不思議なことといえばいろいろ見てきたが、これはびっくりする。
風が水に吸い込まれるなどありえないことだ。
ロルクはその風を見てしばらく考えた。
そして、さらに時は過ぎて……二時間後。
湖の片隅で剣をまっすぐに向けてロルクは持っていた。
そして、
「ウィング・セイバーよ!! 風を呼び集めろ!!」
そう言い終ると、ウィング・セイバー剣の先のあたりに風が集まりだす。
ロルクはそれを湖に向けて、いきなりその風ごと切り出した。
切られた風は湖に向かって飛んでいく。
すると、湖の上に竜巻が起こった。
ロルクの集めて切った風が湖に向かって、渦を作り出したので巨大な竜巻となった。
すると、ロルクはいきなりその竜巻の中に飛び込んだ。
ロルクは水の中に風が吸い込まれる時、一瞬竜巻のような渦になり水に吸い込まれたので、水の中に渦ができるのだろうと考えた。
巨大な渦ならば消えていくまでの時間も多いと考えた。
しかし、
「しまった!! どうやってこの竜巻を操作するんだ?」
すでに時遅し。
ロルクを巻き込んだ竜巻はそのまま湖の中に吸い込まれていった。
案の定、水の中に巨大な渦ができた。
さらに、そのまま運良く城の方に向かっていった。
ここは……?
「ぷはぁっ!! あれ? ここは……どこだ?」
「城の中だぞ。うえぇ〜。水がぁ〜!! まだ、のどの中に!!」
グロガンはずっと左手にいて、ロルクの袖の中にいたが運悪く、水が入り込みそのまま外に出られなくなってしまったので、口の中を水が大量に流れ込んだのである。
あの湖の中にあった城の中に間違いない。
しかし、城の中はとても「マジック・キャッスル」とは呼べない。
ホール中央にはシャンデリアが落ちている。
ホールにある柱には、ラクガキと爪の切り傷。
ホールの床にも同じようなものがあった。
それでも、ホールは広くお城の感じはあった。
横の幅は絶対に五十メートルはある。
上を見上げると何かが飾ってあったという痕跡が残っている額縁がある。
上の幅はおそらく百メートルはあるだろう。
中央の階段は一部壊れかけていたが、何とか登れるようだった。
中央階段からは左と右にいけるが左の方にしか階段がなかった。
「右の方の階段は?」
「崩れたんじゃないか? 何かいるみたいだし」
「じゃぁ、左に行くしかないか……」
崩れかけた階段をとおり左の方に向かった。
左の方には部屋が一つしかなかった。
一つしかない部屋に入ると辺り一面本棚だらけだった。
本棚の中には難しい本があるところがたくさんだった。
一つの光が出てきた。
自分の手の入れ損ねた部分から光が出ている。
そこには一冊の本が光っていた。
「なんだこれ?」
光っている本を手に取ると、本から光はなくなった。
本の題名をよく見るとこう書いてあった。
「伝説のしるしの扉……?」
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2006/01/17(Tue)18:08:53 公開 / アリ
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■作者からのメッセージ
初めましてです。
なれないものなんですが、書かせていただきます。
続きが遅くなるかもしれないですが、しっかりと書いていきます。