- 『スバルとチカ【三話】』 作者:いかれた錬金術師 / 恋愛小説 未分類
-
全角11537.5文字
容量23075 bytes
原稿用紙約37.45枚
義理の兄弟になったそれがきっかけだわたしは恋におちた。
-
ここは私の家だ!いや…正式には私と離婚した両親の家だ!あがるな私と父との領域に土足であがるな!
だれだ!?お前は!?父の再婚相手だと?ふざけるな「あなたのママよ」そんな風に言うな私は…私は…これから…私は…誰だ?
誰?誰?よるな! 悪魔!
目の前にあるものといえば父と再婚相手こと悪魔の女そして…結婚届と私の本当の母の父がつけていた結婚指輪だ。
はずして何してるの?と聞くわけにもいかずに静かに身を潜めている私、その静かにしている私を女狐が見る、帰れ!
でも帰るわけがない、だって目の前の結婚届には女狐と父がサインしてある、納得できないけどそれが現実である。
「ほら千華(ちか)新しいお母さんだぞ、挨拶なさい」
父が私の名前を言いながら新しい母こと女狐を指差す、新しいお母さん?私の母は女狐じゃなくて綺麗な人だ!
出て行け!と叫んでやりたい。死ねといいながらマシンガンで打ち抜いてやりたい!
できないけどせめてもの想像をしている私に父が険しい顔で
「早くいいなさい!」
何を?そう聞く私に
「ほらあるでしょう『これからよろしくおねがいしますお母様』とかでいいのよ」
と女が狐が最高の笑みでいう、私はなんでそんなSMちっくな言葉を発しなければならないの?
しかもこの女のために!
父は何を考えてるだろうか?いや考えてない。
この女狐とのこれからの夜の時間しか考えてないんだ!私など考えていてくれないのだ。
悔しいけど現実、悔しいけど真実、悔しいけど運命。
そんな言葉たちが私の頭を行き交う私 一谷千華(いちたに ちか) の運命なのだ、運命とはつまりどうしょうもない。
だれも助けてはくれない、不思議に私の目からは涙がこぼれていた…とめることができない私の涙腺は決壊したのだ。
悔しさという雨のせいで。
父は呆れ顔で見て女狐はうっとうしく私を見る。
私はこんな見知らぬ女に見くびられて母には見せたことのないような父の見知らぬ一面を今日見た。
死んでも不思議じゃないくらいきずついてる私を癒してくれるのは涙という汚れたエキスだけだ。
笑えない…噛むことができない…目を瞑ることができない…普通の表情ができない!
私はこの見知らぬもの度押しに阻まれて何ができる?なくことしかできないの?
神様は私には何もしてくれないの?
ーパシンッッ!−
鈍い音が部屋に炸裂した、炸裂した場所は私の頬だ、見ると女狐が私の頬をたたいていた。
横で父はタバコをふかして当然のような顔をしているの。
私にはたたかれた意味もなぜ女が怒っているのかもわからない。
「いつまでもなかないでよね!うっとしいわ!ねぇあたなこんな子捨てちゃえば?」
女狐が私に対してどす黒い言葉をはき捨てた、捨ててくれ!もういっそ捨ててくれたほうがましだ!
「まぁ高1になると一人暮らしをさせる予定だ、それまでの辛抱だよ」
そういう父はその女を抱き寄せ頬にキスをした、母にはしなかった、母にしたことはいつも殴る程度なのに…
私の頬には見知らぬ痛みと見知らぬ涙が行き交う、そしてみしらぬ女狐が父から離れて私に近寄り腕をあげた。
だめだ!私はまたたたかれる!そう思って手で顔をガードしたが何もこない。
そっと腕をどけると、そこには見知らぬ若い男が立っていた、見知らぬ男だ。
その男が女狐の振り上げた手を止めていた。
女狐と父はまるで死人のような顔で驚いてタバコをふかした父はタバコを口からおとして女狐は化粧が崩れていった。
「やっぱりなぁ〜あんたらじゃむりだと思ったんだ、年頃の女って難しいんだよ?それわかってんの?」
見知らぬ男は女狐の腕を放して私に近づきながらも女狐と父にいった。
「ちょっと昴(すばる)なんであんたがここにいるのよ?あんたは家でおとなしくしててくれればよかったのに!」
女狐が血相を変えていう、こんな顔はここにきてはじめて見る。
しかし私はいまだになにがおきたか理解できていない。
この男は誰でそしてこの男と女狐の関係も私は何も知らないしわからない。
「あんな息苦しいとこはいやだね、俺はやっぱさこういう広々とした家が好きだわこういうかわいい子もいるし」
そういいながら男は私をなでてくれた。
その瞬間に涙がまるでせんをされたかのようにとまった。
なぜとまったの?そういう声にならない声が出た、その声は男には聞こえたようだ、そして私に合わせてしゃがんだ。
「悪いねうちのお袋が変なまねしちゃってさ、許してやってね自分のもんになった男に関してはうるさいのよ」
…おふくろ?…じゃこの男はあの女狐の息子?
「だれなの?」
私が小声でおびえる声で言った。
「俺か?俺は 三浦昴(みうら すばる)で大学2年20歳いい年頃の
男だろ?
男ってのはこの年が一番いいんだぞ?まぁこれはまた今度教えてあげるよ千華ちゃん。」
どうして私の名前を知っているの?スバル…どうやら場の空気を読めない男らしい。
「でっ……出て行きなさい!君はカナコの息子じゃない!もう勘当したんだろう?」
父が大声をあげていった、その横には女狐が抱きついている、実に醜い光景だ!
「出て行くさ俺はただ千華ちゃんを引き取りに来ただけだから」
「えっ!?どういうこと?」
私は男に聞いた、しかし男は笑顔で人差し指で私の唇を抑えた『静かに』という意味だろうか?
「とにかかくにも俺は千華ちゃんと暮らすからね、あんたらはなかよくここで暮らしといてよ」
そう父女狐に言い放った、とたんスバルは私を肩に乗せた、恐ろしく恥ずかしい!
「やっ…おろして」
「やだ、これから千華ちゃんは俺と暮らす場所に行くそれまでこの姿勢でいてよ俺の女だってしるしになって」
はっ…なにを言ってるんだろう?わからない?
見知らぬものに出会いすぎた今日はどうやら見知らぬ世界の入り口らしい。
俺の女って…なにがなんだかわからないまま私はその姿勢のままスバルにつれられて見知らぬアパートに着いた。
「ここ…どこ?」
「ふふん…千華ちゃんと俺の巣だよ」
この男は馬鹿だ、だけど女狐の息子とは思えないほど繊細だ。
その証拠にこの姿勢のまま連れてこられても恥ずかしかったけどうれしかった。
そして俺の女になれって言われても反論はしなかった、なによりあいつは私の涙を止めた。
もしかして私一谷千華は見知らぬ感情…恋愛感情…にきづいてしまったのかもしれない…
しかも女狐の息子相手にだ、なにかいやで何かうれしかった。
そう思ってるうつに私は抱えられたままアパートの一室に入った。
ずいぶん汚れている、ゴミ袋が転がっていていかにもゴミ屋敷ってやつだ。
「汚いところだけどこれから君の人生の新しい扉を開ける扉だよ」
なんてくさいせりふなんだろう?
スバル…どうやら私たちは恋に落ちたらしい。
一谷千華と三浦スバルの同居生活は親の許可も得なかったが親は何も言わないだろう。
「よろしくね」
スバルの笑顔で私は顔を真っ赤にして「よろしく」と返した。
どうも見知らぬことが多すぎる、どうもわからない。
スバル…こいつはいったいなにものなんだ?
そしてこれから私はどうしたらいいんだ?
不安な気持ちの半面にスバルと暮らせることがうれしかった、出会って30分の恋だ。
はやすぎるインスタント食品のようだ、そう思って部屋を眺めるとインスタント食品のゴミが大量にあった.
第二話
私がここにきてから今日で2週間がたった、やっとここの生活リズムが理解でき始めた。
私は完全にスバルと暮らし始めた、ついこの前父の家からこっちに私の荷物を全部持ってきたのだ、この部屋…つまり私とスバルの家は狭いのである。
すべて入れたせいでさらに狭くなったがスバルは『せまくなったね』と笑いながら話していた。
笑い事ではないのだが…どうもスバルは『笑う』という言葉がお似合いだ。
しかしおこった人もいる女狐である、どうやら私に家事をやらせようとしてたらしく私がスバルと暮らすことで自分が家事をしなければいけなくなったからだ。
すこしいい気味といえばいい気味だが、私が家事をしているのには変わりない何故ならスバルは家事ができないからである。
驚くほどできないチャーハンを作ってと言うとまず第一に塩をご飯にいれそのあとに何もしていないフライパンに乗せた。おかげでご飯の無駄遣いだった。
私は同居者として家事をしているがスバルだって何もしてないわけじゃない午前中は大学で午後はバイトで稼いでくれている。
まぁ当然といえば当然である、少なくともだれかが稼いで誰が家事をする『家族』の鉄則である。
私たちは一応…あの兄妹だからそれは当然でね。
こんんあ大変なそうな生活談義をしているが実際は父と暮らしてたときより楽しい、なによりスバルは私を娘や妹ではなく女としてみてくれるのだ。
それにたとえスバルがいなくてもこのアパートは楽しい、何がって近所がだ。
「チーちゃん!今日の晩御飯はなぁ〜に?」
スバルがバイトから帰ってきて第一声はいつもこれである、晩御飯を作ってる私の後ろにきて外で冷えきった手を私のほっぺに当てる。
「ヒャッ!?」
あまりの冷たさに驚いた私をスバルが面白がってみる。
「アハハハハ、今日のはまた一段と面白いよチーちゃん」
そう、このチーちゃんとは私のこと『チカ』だから『チーちゃん』だってさ、私は何歳だって怒ってけどこれはこれなりに悪くない…
だけどこの行動だけはいつも怒る。
「スバルさん!料理中ですよ!包丁持ってんですよ!怪我したらどうするんですか!?」
「まぁまぁ毎日のことじゃない、怒ったチーチャンよりは笑ってるチーちゃんの方がかわいいよ」
「でっでもいです…!!」
まだ文句を言おうとしている私の口を人差し指で抑える、スバルこんなことをされては文句が言えない、なんかズルイ。
「静かに静かに狭いアパートなんだしね」
私は自分の顔が赤くなるのを察知していそいでスバルの人差し指を払いのけた。
スバルはきょとんとした顔をしたがすぐに何か初々しいものを見るような笑顔をした。
「じゃ食事にしようか?今日は何のなのかな?」
「魚の煮物と味噌汁にサラダとデザートのシュークリーム」
「ほぅ〜シュークリームかそれはちゃんと4人分?」
「もちろん」
私がスバルの質問に余裕の笑顔で返した、なぜ四人分かというと私たちの食事は4人で食べるのだ。
私とスバルと隣のあだ名は『探偵カップル』ここら辺では有名なカップルらしい。
その4人で大体は晩御飯を食べる、だからシュークリームが4人分いるのだ、ご飯はもともと多めに作っておいてる。
でその探偵カップルだが決してラヴラヴではない、詳しい経緯はしらないが男の人のほうは嫌々ついてきているようだ。
「もうすぐくるよ、きっと僕の声とチーちゃんの怒鳴り声が聞こえたからね」
スバルが小さなステップ踏みながら玄関に近づいたとき。
ピン〜ポ〜ン〜
とチャイムがなると同時に玄関にいたスバルが扉を開ける、その間に私は居間にいって座布団を並べる。
「おじゃましまぁ〜すぅ」
ふちゃっとやる気が一気に消えうせてしまうような声とともによく探偵がきている、帽子と同じくよく探偵がきているあの長い服を羽織った虫眼鏡を持った20才くらいの女が入る。
その後ろには黒い服に黒いズボン銀の十字架のペンダントのつけた男の人が入ってくる。
そんな変わった人たちをスバルは家に平気で招き入れた。
いや私も反対してないしどちらかというと歓迎している、食事は大勢のほうが楽しい。
それにこの二人は話していると楽しい。
「そのやり気のない声はよせ」
「こえはうまれつきですよぉ〜」
その男が女のほうにつっこんだが声は変わらない、しかし本当にやる気がなくなる。
「今晩はですぅスバルさんに一谷さぁん」
「こんばんは長谷川さんに紺崎さん」
「やっ今日もよろしく頼むよ」
この二人女のほうは長谷川零夜(はせがわ れいや)に男のほうは紺崎歩(こんざき あゆむ)で現在私たちの隣の部屋に同居中である、なんで探偵カップルかといわれているかというと実際に探偵事務所を隣で開いているからだ。
ついでに言うと長谷川さんではない、紺崎さんらしく長谷川さんは格好だけが探偵で中身はドジな助手らしい。
そして今夜の晩御飯を見て目を輝かす。
「魚の煮物に…味噌汁…サラダ…栄養バランスに問題はナッシングゥでうねぇ〜」
「ナッシングって古いぞ」
「いちいちよけいなぁことをいわないでくださぁ〜い」
「もういい!スバルに一谷さん、さっ食事にしましょう」
と紺崎が見事に長谷川さんのことをスルーした。
とにかく私もその紺崎の言葉にのって食事にしよう。
そして小さなちゃぶ台に4人で並んで食べる、こういう食べ方は父との生活ではありえなかった。
父も私も一人ずつ食べていたから食事はいつも一人だった、だからこういう食事の楽しさを人一倍楽しめる。
「ではいただきましょう」
スバルが声をあげて言う、スバルは食事前の挨拶を忘れない。
「いただきますぅ〜」
「「「いただきます!」」」
長谷川さん以外の私とスバルと紺崎さんは声があったが、だれも不思議に思わない、そういつものことである。
そう思い私は自分の作ったご飯に食らいついたどこぞの女狐なんかより百倍いや千倍はうまいだろう、それは私の感想だけじゃなくてスバルの感想でもある。
あの女狐の息子でさえも私の料理を絶賛したのだ、ひどい料理を小さいころから食べさせられたにちがいない、そう考えながらも私たちはくだらない話で盛り上がっていた。
「チーちゃん!ビールは?」
「現在禁酒中でしょ?」
「酒は体によくないからな禁酒はいことだぞスバル」
「そ〜ですよぉもうお茶でも飲んで騒ぎましょうぉ〜!」
そんな会話が私たちの部屋を包み込んだ、スバルと暮らして本当によかった思うところはここだ。
そんな感じでもり上げっている所で紺崎さんが私に聞いてきた。
「そういえば一谷さん君はいくつ?」
そういわれる質問ははじめてだ、そういえばスバルにも年齢は教えていなかった。
「私ですか。私は15歳です中学3年生ですよ」
「の割にはずいぶんと大人っぽいな、さすがはスバルと暮らす女の子だ」
「えっ!?」
そんなことは言われると少し照れる、紺崎さんから顔をそらしたら長谷川さんと目が合ったら、長谷川さんがらしくもなく慌て始めた。
「いっ…いっ…一谷さん!!鼻血がでてますぅぅ!!」
へっ!?うそ!?
長谷川さんの言葉を聞いて私は手を鼻に当てる…すると見事なままに手に血が付いた。
「わっわっえぇ〜っとティッシュ!スバルさんティッシュとって!」
私は上を向いて鼻を抑えた、昔母に教えられた鼻血を止める体制になった。
「うっうん!」
スバルも慌て気味で急いでティッシュをさがす、私としたことが今日はどこかにおいたままにしている、いつも置いてるTVの上にティッシュがない。
「おいスバル!何でもう少し整理してないんだ!?」
紺崎さんがスバルに向かってかなり起こり気味で怒鳴りながら部屋の中でティッシュを探す。
「そんな事いわれてもなぁ」
「はやくさがしてくださぁ〜い」
みんなが探してるのを見ながら私はティッシュをどこに置いたか思い出す、どこだ?えぇ〜っと確か今日の晩御飯を作るために…
あっ!?
「思い出した!スバルさん台所です!」
「うんわかった!」
急いで台所へ急行したスバルはティッシュを片手に持って帰ってきた。
するとスバルは突然私のそばにきて突然正座した自分のひざに私を乗せた、そしてティッシュで鼻を抑えたが恐ろしく恥ずかしい。
さっき紺崎さんにいったように中学三年でしかもこの二人の前でだ。
すると紺崎さんは何かすべて分かったような感じで私たちにうなずいて、長谷川さんの首筋をつかんで
「よし飯は途中だがしかたない、邪魔者は帰るぞ」
そういって長谷川さんを引っ張りなgら言う、そして部屋を出る際に長谷川さんは私に手を振って出て行った。
すこし沈黙が続いたが私が砂を名気持ちを言う。
「……かっこわるい」
するとスバルは微笑して私の肩に顔を乗せて言う。
「いいじゃない、あの二人は何も言わないよ、それにこういうチーちゃんも僕は好きだよ、ちょっとドジな感じのね」
スバルは何も気にしていない、私が『かっこわるい』というのは鼻血を出したことじゃなくてこの格好がいやなのだ。
2人きりのときはいいけど目の前に人がいたら恥ずかしい。
それを分かっているのだろうか?
「それにチーちゃんもチーちゃんだよ、ティッシュをあんなところに置くから」
「それは…」
「以外に忘れんぼだね」
私は少し下を向く、鼻血が止まる気配はない、というかこのままの格好だと一生止まらないのではないだろうか?
私が下向くとスバルは肩に乗せた顔をはなして上を向いた。そして爆弾発言する、爆弾とは私の鼻だ。
「オレね、チーちゃんに『さん』づけで呼ばれるのあんまうれしくない」
「!!」
「だからもう『スバル』でいいよ、さん付けなんて他人行事じゃん、おれはチーちゃんに『兄』でも『他人』でもなくて『男』としてみてほしい」
へっ!?何を言ってるの?スバルは何を…落ち着け追いつけ、そう思うが体は興奮気味で鼻血は量を増す。
「ねぇだからさ、スバルってよんでみてよ」
でも…そんなことしたら…なんか…あの…こいび‥
でも勇気出していってみたら?
私の中でなにかの感情がささやく、どこの感情だよ!と頭で混乱しながらも叫ぶ。
「ねぇ呼んでくれないの?」
どうしよう?言うべき?言っとくべき?言おう、でもなんか…照れる。しかしここは全身のためにも!
「……ス…ス…スバル…」
何とか間を空けながらも言うと、スバルは下を向いてた私の顔をそっと上げた。
そして耳元でささやいた。
「ありがとう…チカ」
ぶっ!
爆弾が爆発した、私の鼻は血まみれになった、スバルは急いで鼻血を抑えるがティッシュが足りない。
結局私の鼻血は10分間続いたが、地の変わりにスバルから呼び捨てにされた。
アハハハ…やはりわたしはスバルのことが好きらしい、そしておそらくスバルも…
第三話
その日はあいにくの雨、時間は午後7時を過ぎたころ小さな路地を一人の青年が歩く、三浦スバルである。
今日のバイトが終わり、チカがいる自宅に少し急ぎ足で帰る。
「…すこし熱っぽいかな」
自分の額に手をあててでつぶやく、雨の中でかさをさしてるとはいえ冬でしかも少し走っているので風をあびてしまいう、そりゃたとえ短時間でもしんどくはなる。
自分の体を気遣ってか少しだけスピードを抑える、そんなときだった。
「ミャ〜ア」
可愛らしい猫のなぎ声にスバルは気づいた、そしてあたりを見渡すと電信柱の足元に不自然にダンボールが置いてある。
スバルはそのダンボールに近き、そっと中を覗き込むと小さな黒猫がいた。
「黒猫…」
そうつぶやいて更にダンボールの中を見る、すると小さな紙が折りたたまれはいっている、スバルはそれを開きゆっくりと口して読む。
「なになに……疲れました、どうか拾ってやってください……捨て猫だね、間違いなく」
スバルは紙をダンボールに戻すと、そっと猫を抱く、その猫の猫の体温はとても低いようでもかなり冷たい。
これはまずいと思い猫をダンボールにもどしてダンボールを持ち上げて走っていく。
「スバルさんおそいですねぇ〜」
その独特の口調で長谷川さんは言う、しかし確かに遅いいつもならもう帰ってきてる時間である、何か事故でもあってるの?
そういう不安が3人を染める。
3人とは私と長谷川さんといつものん気な長谷川さんと今は落ち着いてお茶を飲んでる紺崎さんんおさんいんである。
そろそろ食事の時間だと思って来たらしいがまだスバルが帰ってきてない。
今はおちついたように3人でちゃぶ台の前でTVを見てるが不安が時間がたつごとに増えていく。
どうしたんだろう?なにかあったのかな?
そんな言葉が私を襲う、すこしばかりそわそわする私を気遣って、隣にいた紺崎さんが私の肩をポンポンとたたく。
「そんなそわそわしなくてもいい、あいつの事だ捨て猫でも拾ってきてるんじゃないか?」
そんな事を笑っていってくれるが…しかし案外あたってるかもしれない、なにしろスバルはバカのつくお人よしだ、じゃなか私はここにいない。
「そうですよぉ〜心配してもなんにもなりませぇん、とにかく待ちましょ〜う」
この長谷川さんのやる気のない声で少し楽になった、そうだなんいもない、そう思うしかないのだ。
時計が丁度8字を示したときだ、ガッチャと玄関の扉が開いた、その音に反応して私たち3人は玄関にかけていくと、そこにはびしょ濡れで傘を何か箱に掛けて玄関にしゃがみこみながらもその箱を抱えているスバルがいた。
一瞬涙が出てきたが急いで涙を手で拭いてスバルに近寄る。
そこには箱に向かい話しかけてるスバルがいた、何を言ってるかは微妙にわからない。
しかし何かいってることはたしかだが、そんな事を気にしてる場合ではない、と思い私は玄関から風呂場に行ってタオルを多めにいると思いバスタオルとふつうの手拭タオルをいまいずつもっていった。
そしてそれをすばるにわたすとスバルは手拭タオルを箱の中に入れると何かを包んだ。
私はバスタオルのほうでスバルの頭を拭いている、するとスバルから紺崎さんが乱暴に箱を取る。
そして箱の中身を見てびっくりした顔をしてそしてすぐため息をついた、そして怒り口調で言う。
「おい…まさかこれをもって帰ってきたから帰るのが遅くなったんじゃないだろうな?」
「フフ‥そのまさかだよ」
スバルが笑いながら言う、しかし私は箱の中身より何よりスバルが無事ということがうれしくてしかし同時に腹が立つ。
だからバスタオルを頭からおろし首に掛けて、軽くスバルの首を絞める。
「ウッ!…ちょっ!……チカ!……グルジイ!」
「こっっっのバカ!連絡暮らしろ!どれだけ心配したと思ってんだ!」
私は涙声をおさえようとかなり大声で言う、スバルはごめんということか手を合わせて首を縦に振る。
「わっ‥がっだ‥がら…かん‥べ‥じで…」
そのときである、箱を見た長谷川さんがいう。
「わぁ〜かわいぃ〜黒猫ちゃんですねぇ〜」
えっ!?
驚いた私はバスタオルを話した、解放されたスバルはあらいこきゅうをするが無視をして箱に駆け寄って私は中身を見た。
中にはさきほどの手拭タオルに包まれて幸せそうな顔で眠る黒猫がいた。
私は目をパチクリさせる、本当かどうか確かめるためだがほんとうだ…
「…かわいい?…」
スバルが息の荒い声で聞くからコクコクとうなずいた、スバルは絵がで「よかった」と言う。
しかし私の頭の中では疑問が出てきた。
「これ飼うの?」
こざかしい前置きよりこの質問しか頭に浮かんでこない、飼うつもりだとすると困る点が二つある。
「飼う気だよ?なにかだめな点でも?」
スバルがあのキョトンとしたできくから私は大きくうなずいた。
「だってこの家午前中誰もいないのよ、この子のご飯とお世話は誰がするの?それに食費もかさむし、なによりこの部屋中が爪あとだらけになるわよ」
するとスバルは軽い笑顔でこういう。
「大丈夫だよ、午前中のご飯と世話はあてがある」
スバルがそういうと後ろで紺崎さんがふかいためいきをついて言う。
「アテはおれたちだろう?」
「ピンポン」
紺崎さんはうっとうしそうな目をするが反対に長谷川さんはルンルン気分である、猫が相当気に入ったのかずっと見つめている。
「わたしはぁ〜いいですよぉ〜こんなかわいい子の世話ならよろこんでぇ〜うけたまわりますぅ〜」
「えっ!?いいんですか?」
わたしがきくと長谷川さんはうなずいて、紺崎さんは首を横に振る、なぜこんなで同居しているのだろう?
「いいじゃないですかぁ〜なにかお困りの点でもぉ〜」
「あぁいっぱいあるね!うちだって暇じゃないんだ!」
「暇じゃないですかぁ〜事務所にお客さんは来ないしぃ〜365日24時間暇じゃないですかぁ〜」
うっ!という顔をした紺崎さんは起こり気味でスバルを見て
「仕方がなく引き受けてやるが俺たちにだって家計はある、無理と感じたらすぐにやめるぞ!」
するとスバルはうなずいた、それを見た私は紺崎さんと長谷川さんに葉玉を下げた、私もこの猫は飼いたい、ペットは昔からほしかったが両親が動物嫌いだったから飼うのは無理だった。
「ところでぇ〜なまえはぁ〜なんでしょうかぁ〜?」
「あっ中に入ってたかみにかいてあったよ、たしか…」
「…ポプラ…」
紙には紙にはそう書いてある、どうやらこの黒猫の名はポプラとうらしい。
「ポプラちゃんですかぁ〜かわいぃ〜ですねぇ〜」
「ですねぇ」
私と長谷川さんは喜んでるが紺崎さんは何もしてないのに疲れ顔である。
「もういい…一谷さんご飯にしようそうですね」
「さめちゃいますよぉ〜」
「もうさめてんじゃない?」
とスバルがいうと私たち三人は声をそろえて言う。
「「「だれのせいだ!!」」」
「………すいません………」
そういってみんなに頭を下げるスバルはいつになく小さく見える。
こうして私にはポプラと言うあたらしい家族ができた。
第四話 -母-
朝起きるとスバルはもういなかった、今日は日曜バイトがあっていつも日曜だけはスバルのほうが早く起きる。
私は土曜はスバルが大学に行くのであさごはんをつくるために起きるが日曜は10時くらいまで寝る。
いまだって時計は10時をさしている、日曜は比較的にやることが少ない私だが今日は違った。
起きてすぐに朝食を食べてポプラにえさをやってすぐさま家を出る準備をする、さすがに寒いので厚着を着てマフラーをして手袋をはめる。
そんなことをしている横でポプラはえさを食べて「ニャァ〜ア」と満腹そうな声を出す。
そんなポプラを見て私はすこし微笑みながら家を出た。
町の大通りの方向に歩いていると前方から黒い服で黒いズボン銀の十字架をつけた相変わらずのファッションの紺崎さんがきた。
明日貸さず私は頭を下げて挨拶する。
「おはようございます、紺崎さん」
「やぁおはよう一谷さん」
私の挨拶にすこし微笑み返事を返してくれた紺崎さんだがよく見ると頬が手形に赤い、どうしたんだろうと思いみている、紺崎さんが聞いてきた。
「…やっぱり目立つか?」
「と言いますと?」
すると紺崎さんはため息をついて腕を組んで話し出した。
「実はさっきまで零夜とファーストフード店で朝食食べていたらだな…」
零夜とは紺崎さんと同居している女の人だ、そして紺崎さんは経緯を話し始めた。
「今なんていいました?」
ファーストフード店の端の席で男女が向き合いハンバーガーを食べている、長谷川零夜と紺崎歩だ、そして驚いた表情で長谷川が聞く。
「今なんていいましたか?と聞いているんですが!」
今度は怒ったようにファーストフード点の机をたたく、よく聞けば長谷川はあの口調を使っていない。
そして困ったように紺崎はコーヒーを飲みながらいう。
「だからだな今晩大学の友達と飲み会をすると言ったん…」
「あなたは前そういってぇ〜一晩私以外の女の人といましたじゃありませんかぁ〜!!」
「だからあれは酔った友達の女の子を家まで送ったら無理やり一晩一緒にいらされる様にされたんだと言っただろう」
すると長谷川は疑いのまなざしで紺崎を見て、急にたった。
そして紺崎の前に立って…
-パッシィン!-
狭いファーストフード店に激しいビンタの音が響き渡った、そう長谷川が紺崎を叩いたのだ。
「もぅ〜しりませぇ〜ん!!」
そういうと長谷川は店を出た、紺崎は驚いてすこし硬直していたが、状況を理化し走って店を出た、もちろん料金は払って。
「と言うわけだ」
お手上げ状態で紺崎さんがいう、がその話を聞き私は笑い出してしまった。
当然紺崎さんは笑っている私を注意する。
「あのなぁ他人事だと思って笑えるか知らないけどこっちは深刻なんだよ」
怒りながらいう紺崎さんに笑いながら私が言う
「アッハハハ!!だって…ぷっ…あぁ〜だめ笑い死にしそう…あっすいません、だけど面白いんで…」
「どこが?」
「いえいえそれをいういとお終いですからね長谷川さんの計画が…では今日は飲み会に行かずに長谷川さんといてあげてください…きっといいことが怒りますよ」
「はぁ!?」
私は不思議に思ってる、紺崎さんに手を振りながら立ち去った、いや実に面白いお話だった。
あの二人はあぁ見えて子供なんだな…今日の晩御飯のときにスバルに話してやろう。
そう考えながら私はある場所に走る、
-
2006/01/12(Thu)22:17:42 公開 / いかれた錬金術師
■この作品の著作権はいかれた錬金術師さんにあります。無断転載は禁止です。
-
■作者からのメッセージ
感想やアドバイスなどお待ちしています。
1月6日午前2話公開、1月6日午後2話訂正&追加。
1月7日 3話公開。