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『観覧車』 作者:スナフキン / リアル・現代 未分類
全角1386文字
容量2772 bytes
原稿用紙約6.55枚
‐『観覧車』-


その『観覧車』はどこにあっただろうか……


昔,何かの雑誌の片隅で見かけた不思議な『観覧車』
その『観覧車』は人生を変えてくれると言う。

深夜0時の最終に乗り込む,1周およそ15分の観覧
それによって変わる人生……

さほど大きくも無い『観覧車』は、その中心に大きな時計が
飾られていた。
丸いその針時計は内側から秒針、分針、時針、日針、月針、年針と
すべての時間を刻んでいる。
その時計と『観覧車』は深夜0時からの観覧一回のみ全て逆方向に
回るという。

男がその『観覧車』を見つけたのは、会社帰りの河川敷で行われていた
小さなサーカスのアトラクションの一つだった。


なに不自由の無いこの人生
普通の家庭
与えられる仕事
変わらぬ生活
物を食べる
風呂に入る
息をする
……

生きている

ただそれだけ……

「夢をもっている」いや
「もっていた」


その『観覧車』の入り口には注意書きがあった

注意
  1:『観覧車』は一周およそ15分です。
    過去を捨て人生を変えたい人だけお乗りください。
    『観覧車』を降りたときあなたの人生は変わっています。

  2:料金は一切頂きません、但し入り口に設置してある回収箱に
    あなたの希望の言葉をお入れください

       以 上

男は手帳の最後のページを破りそこに小さく「夢」と書いた

『観覧車』が23時55分で止まった。

手帳の切れ端を回収箱に入れ男は『観覧車』に乗り込んだ
男以外乗客はいない

そのゴンドラは決して綺麗とは言えずむしろその整備状態に
不安さえ感じるほどの物でガラス張りになっている足元からは
地面が見えていた。

静まりかえる川沿いの河川敷に”ポーン”と言う乾いた音が『観覧車』に
深夜0時を知らせていた。

ゆっくりと『観覧車』は逆方向に廻って行く
ゴンドラも”雨の雫”のようにゆっくりと地面から離れた。


ぼーっとした

ただ、ぼーっとした


卒業式,友達と抱き合って泣いた
妻と初めて会った時,張り裂けそうな胸を必死で押さえた
みんなに支えられ一つになってがむしゃらに働いた
子供の誕生に手を握り締めて感動した
どうでもいいことでで大喧嘩をした
あの一言に勇気をもらった
あの一言でがんばれた
あの一言でひとり泣いた
ささいな人生がささいな幸せで溢れていた


ぼーっとした

ただ、ぼーっとした

ただ、ただ、ボーットした


ゴンドラは真上に来ていた

ゆっくりと下を向く

『観覧車』の真ん中は「鏡」になっていた

真上から覗く男の顔が映っている
いままでの自分が映っている

男はゆっくりと上を向き静かに目を閉じた

繰り返される日々のなかで決して変わらなかったもの

「スーツのポケットに入れられるハンカチ」
「風呂上りに用意された着替え」

男が嫌いな食べ物
男が好きな歌
男ががんばっていること

受け止めてくれていたのは 


子供



「家族」

今度また,この「家族」で暮らしたい……


男の頬には涙が伝っていた


思った

ただ、思った

タダ、タダ、オモッタ……


どのくらいたったのだろうか

男はかすかに聞こえる話し声に静かにまぶたを開けた

ベットの上から伺える,何一つ変わっていない昨日と同じ生活

だが,男の描いた「夢」はこの家族と出合い
いつまでも一緒にいる事だった。






しかし,男はまだ『観覧車』を降りていない……





2005/12/15(Thu)20:58:58 公開 / スナフキン
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■作者からのメッセージ
不思議な感じの作品です。
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