- 『水いろの空。』 作者:二階堂千都子 / リアル・現代 恋愛小説
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原稿用紙約2.6枚
元お嬢様学校に転校してきた玉木玲(男)とそれをいじめる玉木桜子(ギャル)のお話です。
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2年前まで超お嬢様学校女子校だった、聖山百合学園椿校。
その穏やかで上品な校風からか、共学になった今も男子がほとんど居ないというこの学校に、一人
の転校生がやってきた。
とっても貴重な男子だということで、女子は相当期待してる様。
朝からせっせと教室で化粧をしている人も居る。
学校中で有名なギャル、玉木桜子なんかは、特に気合を入れてケバくなっていた。
そして朝のHRの時間、ついにやってきた。
このクラス唯一の男子が。
「えー、今日は転校生を紹介します。」
そう先生が言うと、皆がいっせいにドアの方を見た。
しかし、誰も入ってこない。
先生が教室を出て行く。
そしてしばらくすると、先生と一緒に一人の少年が入ってきた。
「……ありえない……」
思わず桜子はそう言ってしまった。
暗い。
それが彼の第一印象。
小柄で、色白で……まあそこまではいいのだが。
顔が、顔が問題なのだ。
目の下まである前髪で鼻から下しか見えないのだ。
「……マジ?」
もう一度、桜子は無意識のうちに言葉を発してしまった。
「ほら、自己紹介をしなさい」
数少ない男子から「美人だ」と好評な若菜先生がちょっと顔を近付けて言ったが、全く動じない。
それどころかただでさえも俯いてる顔を、さらに下に向けてしまった。
「……えーっと、玉木玲さんです。みんな、仲良くしてあげてね」
くすくすと笑い声が聞こえた。
「……ありえない…サイッアク……」
どうして私と同じ名前なんだよ、玉木は私だよ。
「後ろから2番目の席、あいてるからそこ座って」
あーカワイソー佐藤さん。あんなヤツの隣だなんて。
は?ちょっと待てよ、私の前の席じゃん。
桜子は自分の前の席に鞄をかけた玲を睨みながら舌打ちした。
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2005/12/07(Wed)20:52:27 公開 / 二階堂千都子
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■作者からのメッセージ
はじめまして、二階堂千都子と申します。
創作小説は初めてなので、変なところがあったらどんどん仰ってください!!
その他感想アドバイ等もいただけると嬉しいです。