- 『夜空を見上げたい 』 作者:winds / 未分類 未分類
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第1章 憂鬱な日々
ガラスの窓に映った自分の顔はとても醜く思えて。
同時に他人の全てが素晴らしく思える。
そんな日々が続き、学校では優等生の様に振る舞いながらも、心の中でそんな自分は偽物だと否定するのに嫌気がさして、
この世の全てを壊したい。
そう思っても実際にそんな事が出来る訳も無く、嫌々ながらも学校に来ている。
授業中、
ヒトリボッチハ、イヤ……
そんな事を考えては否定する。
両親を早くに無くし、祖父の家から出て来て、一人暮らしをしているからそんな思考回路を持ったのかもしれない。
その様な事を考えていると、
「問5を………そうだな、赤田、解いてくれ。学年5位なら余裕だろ」
皮肉を交えて教師が当てた。そのことは気にしないふりを見せながら、
問題を解いていく。
……………ツマラナイ。
そんな考えが浮かんでくる。何時もと変わらない日常
そんな日々に退屈してきた。
何より学校に居るのは憂鬱だった。
進学校と言うこともあり、また、新築されたばかりだったので
校舎も白かった。
黒く汚れた自分の体と比べられてるようで、
酷く気分が億劫になり、授業をサボリ保健室に逃げ込んだ。
翌日に成っても気分は治らず、学校をサボった。
こんな休みは小学校以来かな、等とどうでも良いことを思いつつも
最近サボリがちだった部屋の掃除を始める。
学生の一人暮らしには広すぎるくらいのマンション。
掃除をするのも面倒臭く成り、昼食の料理に取りかかる。
住んでいる辺りはどことなく20世紀の雰囲気を残した、田舎町。
この町が好きか嫌いかと聞かれると…………嫌いかもしれない。
東京に住んでいた時、ある事が頭に浮かんだ。
浮かんだというよりそれはもう自分の中では確定されている答えだった。
自分の居場所は……此処じゃ無い
そんな事を考え、田舎の高校に引っ越して来た。
結果、何も変わらなかった。
自分が居場所なんて、何処にもなかった。
田舎町に出てきて、分かったことはその一つだけだったのだ。
昼食を作りかけて、野菜が足りない事に気づき、買い足しに出かける。
こういう時、田舎は便利だと思う。
買い物に行っても怪しがられない。誰にも会わないからだ。
フラフラと出かけた、市内で1番大きいとされているデパートですら
2階建てという小ささだ。
そのデパートに買い足しに行く。
ついでだから、本でも買うか。
そう思い、本屋へ向かった。購入した本の題名は
「人間において不可欠なもの」
この様な本を買って、批判する。それが趣味だった。
こんな本は大抵、
人間に1番必要なのは友情だ、勇気だ、信念だ、愛だ
等と、格好付けた科白しか書いていない。
クダラナイ……
人間において、一番必要なのは
知識とそれを実行出来る力。
その二つさえ有れば、どうにかこうにか成っていく。
そう思っている。
昼食の材料も買い、家に帰っていった。。誰もいない。独りぼっちの家へ……。
第2章 雨の降る日
翌日、流石に二日続けて学校を休むのもどうかと思い、
登校する。
夏の前ということもあり、雨が強く地面に打ち付けられる。
学校へ辿り着くと
「お早う。体、大丈夫なの?」
と、同じ中学から何故か一緒に引っ越してきた小川瑞穂が話してくる。
親に無理を言って転校してきたらしく、同じく一人暮らしだが、
こっちの方が広い、等と言って、よく遊びに来る。
「あぁ、取りあえずはね」
と、平たく返す。
「良かった。何か病気に罹ったのかと思って」
その様な事では無い。
それどころか多少頭痛がしただけで、ほぼサボリに近いのだから
「あぁ、それは全然違うよ」
と、適当に、それでいて嘘に成らないように答える。
「そうなんだ。最近、無理しているように見えて。まぁ、違うんならいいけどさ」
嗚呼、確かに無理してるさ
「そうでもないよ」
心の中では明らかに矛盾している、
しかし表面上ではこれ以上ないと言うくらいの答えを導き、言葉にした。
その後、適当な雑談を交わしている内に、半ば強引に
放課後、家に来ることが決定した。
授業中にそのことを考えていると、教師から
「赤田、そんな事じゃあ次の試験で順位が落ちるぞ」
と、指摘され
「すいません」
と、謝る。
別に俺の成績が落ちたってアンタにゃあ関係無いんだぜ
大方、自分のクラスに優等生が居ることでも自慢して居るんだろう。
将来はこんな矮小な人間にだけは成りたくないな。
と、思いつつも頭は放課後の事に向かっていった。
いつもそうだが、恐らく瑞穂は夕飯も食べるだろう。
と、成れば今日は瑞穂の好きなオムライスでも作ってやるか。
そう思い、学校が終わるとまず買い物に行った。
材料を買い終わり、家に向かっていると丁度瑞穂と会った。
「お、夕飯の材料。何作るの??」
と、目を輝かせて聞いてくる
「オムライスのつもりだけど。食べる?」
食べることを想定して買って来ているのだから、食べて貰わないとむしろ困るのだが。
「うん。食べる食べる〜」
良かった。もし食べなければ余った材料の使い道も考えないといけないところだった。
強く打ち付けられる雨の為、傘を持っていないと体が濡れる所だったが
瑞穂に会ったため、買い物袋を半分持って貰う事にした。
家に辿り着き、夕飯を料理している時は、
大抵瑞穂はウロチョロしてたり、味見役に成ったりするのだが、
今日に限っては妙に落ち着かない様子で似合わなく本を読んでいた。
夕飯を食べ終わり、普段は雑談を交わす所だが、今日に限ってはそんな話題も無かった。沈黙。その空間を切り裂いたのは瑞穂だった。
「ねぇねぇ、ジャンケンしてさ、負けた方が勝った方の言うこと聞こうよ」
多少考えたが、否定する理由が有ったわけでも無いので
「良いよ、よっぽど無茶な事じゃ無い限り」
そう言った。
「最初はグー、ジャンケンポイッ」
そう言って出したのは、瑞穂がチョキ、自分がパーだったので瑞穂の言うことを聞かなければいけない。
「あ、やったぁ。勝ったぁ〜〜〜」
こんな事で無邪気に喜べるとは羨ましいかぎりだ。
そんなことを考えながら、
「何が良いの?」
と、聞いてみる。
「あ、あのね。取りあえず立ってもらえる?」
「良いけど」
立つ事に何の意味が有るのか分からないが、取りあえず言われた通りにする。
「あ……あのね……」
その後、言うか言わないか悩むように
沈黙したり奮い立たせるように「〜〜〜ッ」
と言ったりなどしていた。
「どうしたの?」
何が起きているか分からないので訪ねてみる。
しかしその言葉が聞こえて無いかのように、返答された言葉は
「あのねっ、私。中学の頃から好きでしたっ。付き合ってください!」
沈黙が、訪れた。
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2005/12/14(Wed)20:24:12 公開 / winds
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■作者からのメッセージ
段々恋愛系に成ってきた気がして・・・・・・。。恥ずかしさ一杯のwindsです。
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