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創作小説 投稿掲示板『登竜門』 『イヌの気持ち』
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- 『イヌの気持ち』 作者：作楽 / 異世界 未分類
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全角1142文字犬と御主人のある物語。
容量2284 bytes
原稿用紙約3.45枚 -
――この世に生まれることに理由は必要かい？
「イヌの気持ち」
１．
初めまして。僕はイヌです。年齢はイヌ年齢にして５歳。体重は約２ｋほど。まだまだ赤ん坊の子犬です。好きな食べ物はドックフード、菓子、パン、焼肉、牛肉、豚肉、鶏肉、肉、肉、肉……色々あります。嫌いな食べ物は……まぁ、特にありません。なんでも食えます。あ、でもねぎ類は駄目です。ねぎはイヌにとって結構な毒ですから。
好きなことは自慢の白い体毛を舌べろで毛づくろいすること。暇な時はずっとこれをやっています。一日中やっていても別に飽きることはありません。嫌いなことは尻尾をつかまれること。これは本当に嫌いです。なぜか尻尾をつかまれた時にはそのつかんだ相手を許せない気持ちになるほどとても嫌いです。本能というやつでしょうか。つかまれると咄嗟に体がびくついてしまうのです。
僕は木々に囲まれた一軒の木製の家に住んでいます。気がついた頃には僕はそこで生活していました。ここはとてもいい所です。自然に満ち溢れいつもぽかぽか暖かいのです。
この家にはもう一人、僕以外の者が一緒に住んでいます。多分僕が生まれる前から既にこの家に住んでいたのでしょう。僕はその人のことを御主人と呼びます。言葉が話せないので現実には呼んでませんが。
御主人はとても優しい人です。お腹がすいたら御飯をくれるし毎日散歩にも連れて行ってくれます。まぁ、食べ物の好き嫌いをするとたまに怒りますが。しかし、そんなことは別に気になりません。僕はそんな御主人が好きですし。
――あ、丁度御主人が帰ってきました。
ギィィィという鈍い音が一面に響き木製のドアが開かれた。時刻はちょうど正午。天気は太陽が燦燦と輝き、空には雲一つない快晴である。家の周りに生えている緑々しい木々達は太陽の下熱心に光合成を続けており、木々の間ではチュンチュンと小鳥たちが歌を歌っているかの様に囀っている。また、家の傍に茂っている草むらの傍ではモグラが一生懸命に穴を掘っている。自然と天気に恵まれた平和な正午である。
「ただいま」
男はそう言うと居間に入り、手に持っていた重そうな荷物をテーブルの上にどさっと置き、木製の椅子の上に腰掛けた。そして「ふー」と一呼吸すると、今度は日当たりの良い床の上でごろごろと寝転がっている一匹の白い犬を見下ろして呟いた。
「コン、ただいま。寂しかったかい」
そう言うと男は椅子から身を乗り出し犬の背中をわしゃわしゃと撫で始めた。白い体毛が背中の上で波の様な動きをする。
「ワン」
白い犬は小さい声で一声鳴くと、再び安心したかの様に目を閉じた。
――そう、僕の名前はコン。そして、今僕の傍で椅子に座っている男は僕のご主人様なのです。
続く -
2005/12/03(Sat)17:21:57 公開 / 作楽
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■作者からのメッセージ
早くも第二作目です。なぜかこの話は前作に比べすらすらと書くことができました。モデルが家の犬だからかなぁ・・
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