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『好きだったから… (改良)』 作者:JKD / 恋愛小説 リアル・現代
全角2056.5文字
容量4113 bytes
原稿用紙約6.75枚
 一気に雨が降り、一気に雨が止んだ。
 空は青くなり、白いものが無くなった。

 そんな空を見ることもなく森下 裕一(もりした ゆういち)は家でボーとしている。
 そして、いつも通りにチャイムが鳴る。

 ピンポーン

 いつものやつだなと思いながら裕一は、面倒くさそうに重い腰を上げてインターホンに出る。
「はいよ」
 いつも通りの返事をして答える。
「おーい、遊ぼうぜぃ」
 聞こえてきたのは2人の声だった。
「わかったから待っててくれ」
 裕一はまだパジャマだったので急いで着替えた。いつもこんな感じなので、着替えはあっという間だった。
 裕一は外に出てビックリした。そこには知らない女子がいたのだ。
「その子は誰?」
「何言ってんだよ裕一。前にも会ったことあるだろ」
友達の木田 大介(きだ だいすけ)が答える。
大介は頭が良く、社会全般が得意な雑学王である。身長は149センチと低く、運動は苦手である。性格は明るくもなく暗くもなく特徴のない性格である。容姿は普通で彼女はいない。
「あれ、そうだったかな」
裕一は記憶をたどってみる。
「ああ、思い出した。てかもう1年も前の話だろ」
裕一は大介ほどではないが頭はそこそこ良い。数学なら大介にも負けない。身長は165センチで運動は可もなく不可もなくといった感じだ。容姿はこれまた普通で彼女はいない。性格は明るく、人を笑わせるのが得意だ。でも少し適当なところがあるので、彼女のことは覚えてなかったのだろう。
「でも覚えておけよ」
今度はもう一人の友達の太田 進(おおた すすむ)が答えた。
進は頭は悪いが運動神経が良い。身長は裕一と同じくらいだ。性格は明るくていつもバカみたいなことを言っている。容姿は、まあ普通なのだがファッションのセンスが良いのでかっこよく見える。
「それで、なんでいるの?おっとその前に名前は何だっけ?」
「私の名前は前田 香奈(まえだ かな)です。覚えておいてね。今日進に会って遊ぼうって言ったら、友達と遊ぶから無理って言われたんだけど無理矢理ついて来ちゃったの」
裕一は第一印象で明るい子だなと思った。
「まあとりあえず遊びに行こうぜ」
中学三年で受験しなきゃならないのにこんなんでいいのか、と内心で裕一はつぶやいた。
でもまだ5月だしいいか、と心のどこかでは思っていった。
その後、普通にボールなどを使って公園で遊んだ。
 裕一は香奈に恋愛感情を抱いているわけでもなかったので、あまり話さずに携帯の番号を交換しただけでその日は終わった。別に顔がそれほど可愛いわけではなかったので、当然ではあるが。

その後も大体というか、毎日遊びに香奈がついてきた。
そして、その日がやってきた。

 いつものように遊んでいると雨が降ってきた。
 進と大介が住んでるマンションの近くで遊んでいたので、マンションの玄関に避難することにした。
「それにしてもひどい雨だな」進が言い、
「この分だと止まないかもな」と大介が答える。
進と大介が並んで立っていて、向かえ合うように何故か俺と香奈が並んで立っていた。
正確には、香奈が俺の方に来たと言った方が良いだろう。
進の隣にはまだ1人分のスペースが合った。俺はそこに行こうかと思ったが、わざわざ行く必要もないのでやめた。
だが香奈はいつも進の隣に狭くても座ったり、よく話したりしていたので当然進の隣に行くものだと思っていた。
普通に考えればおかしいことなど何もないのに、なぜだか不思議に感じた。
それもそのはず、香奈が異様なくらいに俺にくっついていたからだ。
そして、香奈の手がすーっと俺の手にのびた。
俺は一瞬ビックリしたが、自然と手は絡み合っていた。
進と大介は話していたのでバレてはいなかった。
「雨降ってきたからそろそろ解散するか」進がこっちを見て言った。
俺はバレないように自然と手を後ろに回していた。香奈の手も一緒に。
「そ、そうだな。ひどくならないうちに帰るか」と動揺しながら俺が言う。
「じゃあな、裕一と香奈」進と大介の二人はマンションの中へ入っていった。
 帰り道も手は絡み合っていたが無言だった。
分かれ道で俺は上、香奈は左だったので俺は、じゃあまたなと言って帰ろうとしたが、
「あのー、ちょっと待っててください」と言い、俺を引き留めた。
すると香奈は、絡んでいた手をほどいて後ろを向いてしまった。
少しの間沈黙が入り、俺の携帯が鳴った。Cメールが届いた。
電話番号は香奈のであった。
メールの内容は
『あのー、好きです付き合ってください』
実にシンプルなメールの内容だった。
まあ大体察しはついていたので、返事をもうすでに考えていた。
そして裕一はメールを返した。香奈の携帯が鳴る。
俺の返事は
『良いよ、べつに』
これだけだった。
そしてかなりの沈黙があった。5分だろうか、10分だろうか。
「じゃあ帰るよ」裕一が言った。
香奈は、ハッとして「さようなら」と言い振り返ることもなく足早に去っていった
帰る頃には雨が止んで白いものが無くなっていた。

 続
2005/11/30(Wed)17:30:28 公開 / JKD
■この作品の著作権はJKDさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
書き直しました。
昨日は書き終えてそのままベッドin(布団)だったので書いてるときは気がつかなかったのですが、読み返してみるとおかしいところがいっぱいあったので直すのが大変でした。
これで良いと思うのですが、またおかしな所があったらご指摘のほどよろしくお願いします。
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