- 『ブラックウォーカー』 作者:パープル / リアル・現代 未分類
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全角3412文字
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原稿用紙約12.8枚
何でも屋の彼らは本当になんでもする奴らだった。殺し 護衛 盗み何でも屋としてすべての任務を確実に遂行する。彼らの孤独な戦いの記録。
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午後3時45分 男 注文 掃除
午後4時34分 女 注文 荷物の配達
午後6時12分 男 注文 殺し
暑苦しい時間が終わり涼しくなり始めた時今日はじめての本業の依頼が来た。
「ここは何でもやってくれると聞いて・・それで殺してほしいのです」
「誰をでしょうか?」
いつもどうり事務的に高橋が聞く。
「はあ・・お恥ずかしい話私には莫大な借金がありまして・・」
「金融会社にですか」
「いえ知人にです、はい、でっですから彼を」
さすがに怖くなったのか男の声が震えた。
「大丈夫ですよ、それではその知人の方の住所と氏名それから癖や毎日必ずすることなどここに書いてください」
氏名 影林 卓 ○×県○×市△×町○△番地
性別 男
職業 会社経営
特徴 右目の下に大きなほくろ
毎日朝6時ごろ犬の散歩をする。
高橋が俺の顔を見る
「やってくれるわね滝本君!」
第一話〜滝本〜
午前5時43分 ターゲット宅横の林
「でかい家だな」
思わず溜息混じりにそういってしまう様な家だった。
門から玄関まで100メートルはあり、さらに庭の中に噴水まである。
どこかのおとぎ話で見かけそうな家だ。
滝本の今日の任務は2つターゲットの殺害と借金の誓約書の奪還および始末だった。
プルルルル プルルルル
不意に滝本の携帯がなった。
「はい、滝本ですけど。」
「滝本君、任務はうまくいってる?」
高橋のはきはきした声が聞こえる。
「高橋さんですか、当然でしょこんな任務。」
「それがそうもいかなくなったのよ。」
高橋の溜息が電話越しに聞こえる。
「どうしてですか?」
滝本にはどう考えてもこの任務が難しいものには思えなかった。
「それがね、ターゲット宅の玄関の所を見て」
滝本はターゲット宅の玄関に目を移す。
なるほどそこには3匹のドーベルマンが行儀良くお座りの姿勢をとっている。
「もう分かったでしょ。その三匹は元警察犬よ。今になって依頼主が電話をかけてきたのよ。」
電話越しでも高橋がイラついていることが分かる。
「じゃあ、散歩するターゲットをつけて人目に付かない所に入ったところで射殺っていう作戦は無理ですね。だって奴らは小銃の臭いも嗅ぎ付けますから。」
滝本は冷静にそう答えた。
「そうね」
その言葉を聞いて、滝本はにやりと笑った。
「じゃあ、作戦は変更って事で!!俺は小銃などの警察犬に嗅ぎ付けられるような物全てををここに置いてターゲット宅に侵入し誓約書を奪う、そしてそいつを焼き払う」
「・・あなた、たとえ警察犬がいなくてもそうするつもりだったでしょう」
高橋の半ばあきれたような声が聞こえる。
「はい!!」
「あなたってほんと人殺すの嫌いよね。」
そういった高橋の声は完全にあきれていた。
「俺だってほんとに悪い奴なら殺しますよ。でも今回のターゲットは金貸しただけで何も悪いことしてませんし。」
「まぁそうね。でも任務の内容は簡単になったんだからもし失敗したら給料減らすわよ!!」
「はいはーい」
滝本はまったく気のない返事をし携帯をきった。
「さてやるか。」
第二話〜『ケルベロス』〜
滝本はまずターゲット宅に侵入することから始めた。
おもむろに手をポケットに突っ込み双眼鏡とあらかじめ手に入れておいたターゲット宅の見取り図を取り出した。
(普通誓約書は寝室か倉庫のようなところに置いてあるもんだけどな。)
そう考えどこの窓から侵入するのが一番最短距離か見取り図を使って調べる。
おおよそ侵入ルートを決め侵入作業に移ろうとした時だった。
激しい犬の鳴き声が聞こえた。
(見つかった?そんなはずない・・)
滝本は犬の方を振り返った。
その時3発の銃声が聞こえ犬の鳴き声がやんだ。
犬は3匹とも真っ赤な血を流して倒れていた。
そしてその3匹の前に立ち、銃を構えている男達は全員、頭から銀色のマントをかぶっていた。
(ケルベロスッ)
滝本は心の中で最も憎むものの名前を叫んでいた。
ケルベロスとは殺しを専門とする仕事屋で殺戮・破壊を好むもの達の集まりである。
滝本は急いで小銃を隠したかばんの元に走った。
小銃を掴みながら滝本は再び『ケルベロス』の元に視線を戻した。
ケルベロス達は家から出てきた執事風の男をためらうことなく撃ち殺した。
バーン
滝本が小銃の引き金を引いた。
『ケルベロス』の一人がバタリと倒れた。
残る二人の『ケルベロス』が一斉に滝本を見た。
「貴様は『ブラックウォ−カー』の」
『ケルベロス』の背の高い方の一人が言った。
「あの会社まだあったのかよ?」
もう一人の背の低いほうが言った。
「まあいい、殺せる奴が一人増えたってワケだ!!」
そういった『ケルベロス』の顔がにやりと笑った。
第三話〜奈月〜
背の高いほうの『ケルベロス』が小銃を上げ滝本のほうに向けたが、それと同時に滝本は隣の大木の裏に回り、間一髪『ケルベロス』の攻撃をかわした。
「はっは、『ブラックウォーカー』なんて所詮雑魚の集まりなんだよ。」
背の低いほうが叫びながら大木に連射する。
連射を続けながら移動し始めた『ケルベロス』が叫んだ。
「ほら、当たっちまうぞ!ははははは・・」
その不気味な笑いは覚悟を決め大木から飛び出した滝本の放った銃声にかき消された。
「ぐっ」
顔にはまだ不気味な笑いを残しながら背の低い『ケルベロス』がバタリと倒れた。
すぐにもう一人の『ケルベロス』が滝本を押し倒し小銃を額に押し付けた。
「まさか素人一人を殺すだけの任務で二人も殺られるなんてな」
『ケルベロス』は勝利の笑みを表しながらいった。
「まっ待てよ俺は生きて・・」
死んだと思っていた『ケルベロス』が叫んだが短く響いた銃声にかき消された。
「なぜだ!!」
滝本は自分の上に乗った『ケルベロス』のやったことが信じられず叫んだ。
「使えないものは足手まといになるだけだからな。」
そういった『ケルベロス』の顔には人を殺したことで歓喜の表情が広がっていた。
もうだめだと諦め滝本は目を閉じた。
「いい判断だ、お前は立派に戦った。なんせ二人も『ケルベロス』を殺したんだ、ただ、あと一人が殺せなくてその殺せなっかた奴に殺さ・・」
最後まで言い終わらずに『ケルベロス』の言葉は銃声によってかき消された。
バタリと自分にを倒れかかった『ケルベロス』を滝本が退かすとその先には小銃を構えた
『ブラックウォカー』の一人である奈月が立っていた。
第三話〜竜門〜
「奈月っ」滝本が叫んだ。
奈月の優しい笑顔が滝本の緊張感を一気に吹き飛ばしてしまった。
「サンキュー!!マジ助かったよ。やばかった〜。やっぱ小銃使うのはやだよな。変な感じがする。」
滝本は言いたいことを言い切った。
「今まさに死にそうだったわりにはすごく元気だね。」
奈月は優しい笑顔を崩さずに言った。
(まったく、腕は確かなのに小銃を使うのが嫌いだなんて・・ )
奈月は内心それが惜しいと思っていた。滝本ほどの腕なら『ケルベロス』三人など分けないはずだ。しかし彼にはいざ戦いとなった時戦うことを躊躇する癖があった。それが高橋の人間的長所であって、仕事屋としての短所だった。
「じゃあ、もう仕事は終わりだな!」滝本が笑顔で言う。
「・・・まだだよ。」相変わらず奈月は笑顔だ。
「依頼主が危ない。相手は『ケルベロス』だからね。」
奈月の表情が変わった。
「そうか!」
滝本は安心感のせいで忘れてしまっていた。相手が『ケルベロス』だということを。
奴らは主に二組に分かれる。一組はさっき滝本が戦った任務遂行班、もう一組は依頼主から金を受け取りさらに殺人の証拠を残さないために依頼主を消す処理班だ。
「急がないと依頼主が・・」滝本が言った。
「君、今日ここに何で来た?」奈月が聞く。
「歩き!」滝本は今にも走り出しそうだ。
「まずいな。それじゃ間に合わない・・」
奈月が悔しそうに唇を噛んだ。
「それならこれを使うといいっす!!!!!!!!」
大声に目を潜めながら奈月が声のほうを見るとそこには自慢げに白いパトカーに手を置く竜門がいた。
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2005/11/04(Fri)18:45:37 公開 /
パープル
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■作者からのメッセージ
こんにちは!!初投稿です
これから面白くして行こうと思っていますのでよろしくおねがいします。